国会よりBlog

6月9日厚生労働委員会議事録

○丹羽委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

 

○阿部委員 民進党の阿部知子です。

近年、子供の出生数が減少しておりますが、その中でも、わけてもやはり悲しい事案というのは、せっかく妊娠した赤ちゃんを、分娩時に、お母さんが亡くなるあるいは赤ちゃんが亡くなる、あるいは脳性麻痺など重い障害を負うという事案が、今もなおございます。きょう取り上げたいのは、いわゆる無痛分娩における死亡事故であります。

無痛分娩と申しますのは、最近大変お母さん方の間でもふえてきております。一つは妊婦さんが高齢化をしておられること、そして、やはり痛いのは嫌だから、もし無痛で済むならそちらがいいなと思うお母さんもふえているのですが、しかし、そのはらむ危険性について十分認識されているかどうか不安がございますので、御質問をいたします。

まず、ことし一月に老木レディスクリニックというところで、いわゆる無痛分娩として腰椎麻酔を受けた妊婦さんが、その後急変して呼吸困難となり、一週間余りで亡くなってしまいました。また、二〇一五年八月、母と子の上田病院というところでは、無痛分娩の麻酔をかけて、プラス、どうしても、麻酔がかかりますと陣痛がちょっと緩い、緩く感じられるということもありますし、その上で、陣痛促進剤を投与されて出産されて大出血をして、緊急搬送されましたが、約一年間寝たきりで、その後亡くなられました。

こうした事態を踏まえて、四月の十六日に三重大学の池田教授が、医療機関に対して、急変時に対応できる十分な体制を整えた上で無痛分娩は行うべきだという緊急提言も発表しておられます。

皆様のお手元にあるものは、この池田教授が学会で発表されたときのものを示してございますが、二百九十八例中無痛分娩が十三例あって、これは妊産婦さんの死亡の二百九十八例中十三例あって、有床診療所、医療施設、大学病院など半々。その死因は出血死が多く、陣痛誘発剤は十三例中十二例で使用され、分娩も、吸引分娩や帝王切開に移行していくということをずっと書いたものでございます。

そして、下には、提言がございますけれども、無痛分娩は自然分娩と違った分娩経過をとることを十分認識する、陣痛促進剤が使われ吸引鉗子分娩が必要となる率が高い、そして、自然分娩のみを扱うときよりもより高いスキルとマンパワーが必要なんだ、さらには、クモ膜下麻酔などの合併症による知識を持っていないと一例目のように死亡するなどの提言をしてくださっています。

この一連の事件を受けて、産婦人科医会でも実態調査を開始すると聞いております。産婦人科医会というのは、開業医を中心とする全国一万二千人の産婦人科医が参加する専門職集団で、病院のお勤めの場合とか病院での出産を扱うところは基本的には産婦人科医会のメンバーではありませんが、この産婦人科医会の調査に協力して、医療界を挙げて、医会もそれから病院側もこの調査に乗り出すということが六月から始まろうとしております。

私が一点目に伺いたいのは、本来、こうした事案というのは、例えば、厚生労働省が率先して調査にかかり、そして学会やいろいろな医会のお力もかりながら、やはり、厚生労働省の関与というものが今のところまだはっきりいたしません。この点について、神田医政局長に伺います。

 

○神田政府参考人 お答えいたします。

無痛分娩に関しては、実施した際の死亡事例等が日本産婦人科医会に情報収集されていることから、日本産婦人科医会が主体となりまして、先ほど先生から御指摘ございましたように、無痛分娩の実施状況や合併症の発生状況等について近く実態調査を行うこととしているところであります。

厚生労働省といたしましても、日本産婦人科医会の調査を踏まえまして、関係する学会と連携して、無痛分娩とその他の分娩を比較した合併症の発生状況等について詳細な分析を行うなど、しっかりと関与していきたいというふうに考えております。

 

○阿部委員 私が今、厚労省の関与を伺ったのは、実は、今回の医会を中心とする調査では、そこに陣痛促進剤の使用実態というものがきちんと把握されるかどうかという問題がございます。

きのうのヒアリングで伺いますと、医会の方の調査項目にはない。でも、この池田先生の提言というところを見ると、陣痛促進剤、吸引分娩が必要となる率が高いという指摘もございまして、きちんと陣痛促進剤の使用というものもチェックリストの中に入れていかないと、だって十三例中十二例は使用しているわけですから、そのときにどんな注意が必要かなども浮かび上がってこないと思いますが。

この点は、厚生労働省の方から、学会の皆さんとも御相談の上、ぜひ調査の項目に加えていただきたいが、いかがでしょうか。

 

○神田政府参考人 お答えをいたします。

妊産婦が死亡した事案につきましては、日本産婦人科医会で情報収集しており、三重大学の池田教授らを中心に構成されます妊産婦死亡症例評価検討委員会で原因等について分析を行っているところでございます。

先ほど先生から御指摘ございましたように、二十九年四月十六日の日本産婦人科学会の学術講演会で池田教授が報告を行ったものの中では、妊産婦死亡例二百九十八例の分析をしたところ、無痛分娩が行われた十三例について、子宮収縮剤が十二例で投与されており、その十三例の死因について、一例が麻酔薬の影響によるもの、十二例については子宮破裂や羊水塞栓症を原因とする大量出血等であったというふうにされているところでございます。

この報告等を踏まえまして、日本産婦人科医会において、近く無痛分娩に関する実態調査が行われることとなっております。

御指摘の無痛分娩に関連した死亡事案における子宮収縮剤の使用実態や出血の原因について、日本産婦人科医会等とも連携しながら、どのような把握の方法があるのか、引き続き検討していきたいというふうに考えております。

 

○阿部委員 私がここで繰り返し子宮収縮剤の使用のことを問題にいたしますのは、実は、この十三例中十二例の出血死、大量出血死ですが、それが大量出血死という表現しかとられておりませんで、例えば、子宮破裂したのか、頸管裂傷したのか、弛緩出血といってお産の後の大量出血なのか、産道裂傷なのか。子宮収縮剤を使ったときに起こりやすい過収縮、ぎゅっと収縮したり、それによって分娩のときに子宮が破裂してしまったり、あるいはその後の弛緩出血という、非常に多い合併症であります。

繰り返しますが、十三例中十二例が使用されています、そして大量出血ですから、ぜひ、これをチェックリストの中に加えて、そして因果関係も含めてきちんとチェックされるようにということを、今、神田医政局長、御相談いただけるという御答弁だと思いますので、お願いをしたいと思います。

あわせて、いわゆる産科医療補償制度、脳性麻痺に子供がなった場合の産科医療補償制度というのは、大変に、いろいろな意味で、再発防止の提言をされたり、この間、子供の安全、お母さんの安全な出産ということに大きな役割を果たしておられると思いますが、この産科医療補償制度の二〇一三年度の報告書の中で、陣痛促進剤を使用したケースの約八割は、学会のガイドラインを守らずに、きちんとモニターがされたりせず、投与実態も決められたものとかけ離れておったというようなことが既に指摘をされております。

今回の調査に当たって、きちんとモニターがこういうことをされていたのか、亡くなった事案、もう既にこの産科医療補償制度の再発提言の中に入っていることが果たしてどこまで実施されていたのか、このこともあわせて検証されるべきと思いますが、神田局長の御答弁を伺います。

 

○神田政府参考人 お答えいたします。

産科医療補償制度では、再発防止委員会におきまして、再発防止に関する報告書として取りまとめられた提言について、その取り組みの状況の調査を行っているところでございます。

先ほど先生御指摘がございました、子宮収縮剤を使用した場合に分娩を慎重に監視することといったことにつきましても、平成二十七年九月に再発防止に関するアンケートを行っておりまして、御指摘の子宮収縮薬の使用に関する提言について、既に取り組んでいる、既に一部取り組んでいると回答した分娩施設は調査対象の約六〇%ということになっておりまして、さらなる遵守率の向上が必要であるというふうに考えております。

この点につきましては、これらの提言の認知を高めるために、診療ガイドラインを作成している関係学会、医薬品の添付文書の作成を行う製薬会社と連携してさらなる普及啓発に努めるとともに、日本医療機能評価機構とも連携いたしまして、遵守状況の把握に継続的に努めてまいりたいと考えております。

 

○阿部委員 神田局長、聞いたことにだけ答えてくれませんか。時間がもったいない。私は、今の十三例もちゃんとモニターされていたのかどうか、調査項目に入れなさいよと言っているんですよ。そこだけ答えて。

だって、私が言ったことを繰り返すんじゃ、質問時間を二倍もらわないとやれないですよ、申しわけないけれども。丁寧な答弁はいいけれども、確信のない答弁はやめてください。この十三例でどうだったのかと私は聞いているんですよ。

これは厚労省が自分で調査してないから、わざわざ厚労省が把握するために、学会の方と連携してやるしかないから今言っているんです。本当は厚労省がみずから調査研究班を設けてやるべきですよ。お母さんたちの妊娠の安全、本当にこれだけ子宮収縮剤が使われて事故が起きて、放置されることになりかねないからです。

さっきおっしゃった、アンケートを聞いて、六割やっているといっても、実はこの死亡例ではどうだったのかということが大事なんですよ。全般じゃないんです。起きた、本当に不幸な事態がそういうことがなされていなかったら、やはりそこを改善するのが医療事故をなくす道なんですよ。きちんと自分の役割を考えて御答弁をいただきたいです。

同じように、この無痛分娩というものは、麻酔を使用するため、先ほど申しました、本来の陣痛が感得されづらいということで、プラス陣痛促進剤の追加投与ということが非常に多々起こる。しかしながら、薬の使用の添付文書の中に、こうした事案は慎重投与すべきだということの中に、胎児の機能不全とか、妊娠の高血圧症とか、子供と骨盤の大きさが合わないとか、帝王切開の既往のある方、これは破裂しやすいですから、それから、高年初産の人、多胎妊娠、常位胎盤早期剥離などの人には子宮収縮剤の投与は慎重に行えと。

私は、ここに、慎重に行うということの項目の中に、無痛分娩というのを入れるべきだと思うんですね、添付書の。なぜなら、無痛分娩をするときに、促進剤が使われて、安易な監視のもとに使われると事故につながるというのがこの間の事態なんだと思います。

この件について、武田医薬・生活局長、御答弁お願いします。

 

○武田政府参考人 お答えいたします。

陣痛促進剤の添付文書の慎重投与の欄に、無痛分娩に関する記載を追加すべきという御指摘をいただきました。

私ども、この添付文書の改訂につきましては、陣痛促進剤と無痛分娩において発生した有害事象の関連性を医学、薬学的な観点から評価する必要があると考えておりまして、医療機関などからの情報を幅広く収集した上で、専門家の意見も聞きながら、この慎重投与の項も含めまして、添付文書の改訂の必要性について早急に検討してまいりたいと思います。

 

○阿部委員 幅広く検討するにも、自分たちの情報収集のための特別な方法を持たないんですよ。幅広く情報収集するなら、ちゃんと厚生労働省で研究班をつくるなり、本当に命がかかっているんです。今も、すごく無痛分娩、ふえています。そして、子宮収縮剤が使われます。私は、本当にお母さんたちを守ろうという気が厚労省にあるのかどうか、もし御自分の家族だったら、どうでしょうか。今、みんな使いたがっています、お母さんたち。そういう中で、でも、注意しておかないと危険があるよということで申し上げています。

塩崎厚生労働大臣に伺います。

今の武田局長の答弁を前向きととるかどうかは、私は、そういう独自の情報収集の手段を厚労省が今特に持っておられませんから、今の産婦人科医会と協力するなりなんなり、こういう項目についてはもっと丹念に調べてほしい、特に、大量出血、そして陣痛促進剤の使用などが非常に大きな影響を及ぼすのではないか、そういう視点を持って連携をしていただきたいですが、いかがでしょう。

 

○塩崎国務大臣 こういう特に新しい命が生まれてくるという大事なことで、このようなことが頻発するようなことでは困るわけでありますから、もちろん、専門家としての産婦人科の先生方の調査と私どもは連携しないといけないと思いますけれども、常時、やはりこういう問題についてもしっかり情報が入ってくるように、みずからも努力をするということも大事だというふうに思います。

 

○阿部委員 添付文書の慎重投与のところで、例えば、胎児機能不全のある患者さんの、なぜ慎重投与する理由かというと、子宮収縮により胎児の症状を悪化させるおそれがある、これだけのことで慎重投与になっているんですね。

無痛分娩は、妊婦さんの側の痛みの閾値を、上げてしまうというか下げてしまう、鈍感にするんですね。それ自身がやはり過剰収縮とかに、誘因になりやすい。私は、これくらいの項目が慎重投与だったら、当然、無痛分娩は慎重投与の対象だと思います。

慎重投与というのは、そのとききちんとモニターをするということでありますので、ここがなぜそんなにおくれているのか、事故がたくさん重なって、悲しい死が重なってなお慎重に検討では、とても納得ができない。塩崎大臣には、きちんとここをリーダーシップをとってお願いをしたいと思います。

引き続いて、今話題の愛媛県今治市、でも、きょうは加計学園ではなくて、昨年の十二月に、愛媛県今治市の丹産婦人科というところで、実は、この産婦人科は、死亡を含む重大な出産事故が複数、十一件と言われています、起きていたと。

二〇〇四年からは、先ほどの産婦人科医会が、全国の会員に重大事故の報告義務を課しているんですが、これは報告義務であって、義務と言われながら、産婦人科医会ですから、報告、必ずしもしなくても罰則はない。ただ、ここが余りにも妊産婦さん死亡や出血を繰り返しているので、近隣の産婦人科の先生も、あるいは医師会の会長も含めて、この産婦人科の先生のところに行って、一人でお産をしないようにとか、そういうことはお話しされていたようですが、だらだらずるずる続けられてきました。

大臣、これは、私は都道府県による医療監視が甘かったのではないかと思うんです。平成二十六年に監査が一回入っているようですが、実は、この院長は腰痛がひどくて、キシロカインというお薬を大量に使って足元がふらふらしていた、そういうことが周辺の患者さんにも漏れ伝わっていたようなところなんです。でも、この二十六年の監査が甘く、その後も二例出血死が起きています。

今、私は、自分も医者だから思いますが、医療界はそれなりに、事故とか質の整わない診療を放逐していこうと努力していると思います。一方、行政の方は、医療監視というものがなかなか、監査ですね、きちんとした質の担保がされているんだろうか、すごく不安です。

私は、この事案を具体例として、塩崎大臣にお願いがあります。やはり都道府県による医療監査のあり方、十分な情報収集がされ、そして、医療監査は、実際のクリニックの営業をとめさせることもできるんです。先ほど申しました産科医会の先生あるいは医師会の先生も、これは危ないよと、医師会の会長みずからずっとそこに行っていたんですね。でも防げなかった。やはり医療監査という行政の役割が大きいと思いますが、大臣、いかがですか。

 

○塩崎国務大臣 立入検査がこの診療所に対して、三年に一度定期的に行われてきているわけでありますけれども、いずれもこの問題について素通しをしてきてしまっているということでありますから、今御指摘のように、立入検査を充実すべきだということについては、私もそのように思うわけであって、これは厚生労働省としても、愛媛県に対して、厳しくしなければいけないということを申し上げなきゃいけないというふうに思っています。

そもそも、クロノロジーを見ますと、平成十七年から、死亡例だけでも四例もあり、それから一時重体という方がお二人おられ、なおかつ半身麻痺が残るというケースもある、こういうことでありまして、非常に残念な事案が連発をしている。そういう意味で、まず、亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げなければならないと思います。

愛媛県が立入検査をした際に、事故等の重大な問題が発生した場合に速やかな原因究明とか分析を実施されているかどうか、あるいは院内での再発防止策が遵守されているかといった医療安全管理体制の確保について、実態の把握ができていなかったと言わざるを得ないと思います。

平成二十八年の十二月に、この診療所に関する事案が発覚をいたしましたことを受けて、厚労省として、愛媛県に直ちに立入検査を実施するように要請をして、それを受けて、愛媛県が臨時の立入検査をいたしました。それから、全国の都道府県に対して、重篤な搬送困難事例とかあるいは母体死亡事例などが生じた場合には、各都道府県の周産期医療協議会というのがありますが、そこで地域の医療機関関係者で協議をするように、それを徹底するように周知を図ったところでございます。どうも、愛媛県にあっては、この周産期医療協議会が十分開かれてなかったというふうに理解をしております。

厚労省としては、今後とも、周産期医療協議会に報告がなされた事案とか、あるいは妊産婦御本人や御家族から情報提供があった場合、こういった場合に、速やかに自治体に対して、事実関係を把握した上で、必要に応じて臨時の立入検査を行って、特に医療安全管理体制に関する事項については徹底的に確認を行うということが大事だと思っています。

私は、この直後に愛媛県の産婦人科の先生方と勉強会をたまたま予定していて、大変皆さんショックを受けておりました。こういうことがないように、これは一人で帝王切開をやったりされていたということでありますが、病診連携も十分できてなかったということで、特に愛媛大学の産婦人科の先生方などは、やはりもっと病診連携を強化していかないと、診療所で一人でおやりになっている先生方のリスクをしょい切れないという話を私も聞いたところでございまして、こういうことが二度とないように、これはひとり愛媛県だけの問題ではないと思いますので、周知徹底を全国にしていかなければならないというふうに思います。

 

○阿部委員 今の大臣の御答弁のように、これを機に、全国的に必要なことと思いますので、行政の監視能力というか立入調査能力を上げて、緊急に、次の不幸が起こらないようにお願いをしたいと思います。

続いて、医療の情報提供、情報開示の問題に移らせていただきます。

実は、医療事故調査報告制度ができまして、それなりに病院からも情報が上がるようにはなっておりますが、果たして、市民、患者さんの側からこの医療事故調査報告制度がどのように理解されて周知されておるのかということでお伺いをしたいと思います。

大阪で、実は、医療相談、医療被害者を支援する民間団体がホットラインをいたしまして、その相談件数六十三件ございました。そのうち十八件が死亡事故であったそうですが。この民間団体が丁寧に電話対応をする中で、十八件中どなたも医療事故調査制度を御存じなかった。ああ、被害が起きて、どうしようかと思っている人も、医療事故調査報告制度を知らない。病院側は多分、知っているものと思いたいですが、そうすると、患者さん側への、こういう制度があるんだよという周知徹底はどのようになされるかというのが一点。

それから、大臣、続けて二つお願いします。

もう一つ、患者さん側が自分に起きたこと、家族に起きたことを知る場合にカルテやレセプトの開示ということを求めますが、この開示に係る費用は、手数料を徴収することができるとなっておりますが、病院側の手数料が一体幾ら徴収されているのか。実費を勘案して合理的であると認められる範囲で額を決めよとなっているのですが、ある大学病院では一万円、ある大学病院では、カルテの開示は医師の立ち会いがなければだめ、ある病院では、遺族が開示請求したところ、相続人全員の同意書を持ってこいなど、なかなかカルテの情報開示にも到達いたしません。実費とは、一体幾らで開示されているのかの実態調査もお願いしたい。

私の論点は、とにかく医療事故というのは、患者さん側も一緒に協力して、病院側も真剣によりよい医療を求めていかなきゃいけないときに、今、患者さん側からのアクセスがなかなかできないということで、二点お伺いをいたします。

 

○塩崎国務大臣 今、医療事故調査制度についてお話がありましたが、これは前にも申し上げたとおり、最近は世界ではペイシェントセーフティーと言うことが多くて、医療という供給側の目線でいう事故ということで扱われるのは私はいかがなものかなというふうに思っています。

その上で、医療事故調査制度は、医療事故の再発防止に向けての自主的な調査を行うことを委ねられた医療界の取り組みと、医療安全を願う国民と医療機関との間の信頼関係がなければ成り立たない、こういう制度です。

医療事故の、医療事故調査・支援センター、ここへの適切な報告とか院内調査が適切に行われるためには、一般の市民の方に制度そのものについて知っていただくということが大事であって、今御指摘のとおりであります。

では、国民がみんな知っているかというと、必ずしもそうではないのかもわからないということで、私どもは、周知を目的として、医療機関とか自治体等に対して、制度開始時に加えて、ことしの一月にリーフレット約六十二万部、ポスターも三十六万部配付をいたしまして、周知を依頼しております。

まずは、医療機関内の見やすいところにポスターの掲示、あるいは窓口へのリーフレットの配置について医療機関に指導を徹底していこうと思っておりますけれども、例えば国民健康保険を扱う市役所の窓口とか、こういうようなところにも広く張るべきではないかと私は思っているので、そのように徹底していきたいと思っております。

カルテの開示の費用とか条件、恣意的な条件づけの御指摘が今ございましたけれども、厚労省において情報提供の指針というのを策定しておりますが、費用は実費を勘案して合理的であると認められる範囲内の額としなければならないということでありますが、実費というのは何で、合理的というのは何だというところが、なかなか悩ましいところがあると思います。

患者等が補足的な説明を求めたときにどうするかですが、「担当の医師等が説明を行うことが望ましい。」というふうになっておりますが、必ずしもそうなっていないことが見受けられる、そういう問題があるのではないかと思っておりまして、高額な費用徴収を禁止するとともに、医師の立ち会いや説明の義務づけなどの過度な条件設定は行ってはいないわけではありますが、厚労省としては、やはり今御指摘のように、この実態をまず把握する、これが大事だと思いますし、指針に反している事例があれば、これはやはり修正していかなきゃいけないので。

いろいろ見ると、都内の誰でも聞けばわかるような大きい大学病院などで見ると、一つは五千四百円プラスコピー代とか、医師の説明三十分以内で五千円プラスコピー代とか、あるいは三千円台プラスコピー代、ですから、医師の説明が入っていたり入っていなかったり、こういうばらつきが、有名なところでもそうなっていますから、これについてしっかりと調べてみたいと思います。

 

○阿部委員 ありがとうございます。

しっかり実態把握して、患者さんにとって必要な情報が得られるよう、なおお願いいたします。

最後に、子育て安心プランについてお伺いをいたします。本当は、きょうはこれで長くやりたかったんだけれども、最後になりました。

子育て安心プラン、六月二日に出されておりますが、相変わらず、四月の締めでも待機児童が二万三千七百名ある。九月まで見れば、さらに待機児童はふえる。今回、待機児童の解消を三年先送りということで臨まざるを得ない状態と思いますが、私は、そこについてもやはり残念でありますし、しかし同時に、何が一番問題であろうかということで、これも、厚生労働大臣にぜひお願いがあります。

この間、政府は、ハード、受け皿づくり、施設づくりにかなりの精力を注いできましたが、実は、受け皿ができればふえるものというか、待機児童がふえ、そしてもう一つ、保育士不足が加速する。保育士さんのマンパワーが同じ中で、器がふえて取り合い合戦になる、あるいは派遣などにお願いせざるを得なくなる。では、どうすれば本当に、子供の大事な成育にかかわる保育士さんが確保できるんだろうかということで、大臣に見ていただきたいものがございます。

資料の終わりから二枚目でありますが、保育士さんの退職理由で一番多いのが、妊娠・出産、給料が安い、職場の人間関係、結婚、仕事量が多い、労働時間が長いなど、今、ワーク・ライフ・バランスとかM字カーブの解消といいますが、保育士さんほどワーク・ライフ・バランスのないものはない、結婚してやめざるを得ない人ばかり。

そして、下を見ていただきますと、もし再就職するならどんなことを希望するかですけれども、勤務日数を短くしたい、通勤時間の問題、あるいは勤務時間も長過ぎる、雇用形態、給与等々、ずっと並んでおります。

こうしたことを勘案すると、私は、保育士さんというものの働き方をもっと抜本的に見直していただく。

ちなみに、これは私の部屋で独自につくったデータで、最後のデータを見ていただきたいですが、ブルーのラインがM字カーブであります。黄色いラインは東京都における保育士さんの就労割合です。M字カーブというよりも、他の職種に比較して、圧倒的に来ない。他の職種は、例えば八〇・三%くらい、あるいはもうちょっと高い女性の就職率。これは六二。せっかく保育士さんの資格を取っても、はなから来ない状態が都市部では比較的ずっと顕著。ほかに仕事があるからだと思います。

さらに、中国地方のある保育関係学校のその後の女性たちをフォローしたデータですが、当初、二十から二十四歳は八割くらいの就労率なんですが、二十代の後半から三十代でがんと四八・四に落ちて、その後やや上がりますが、その後ずっと下がりっ放し。

私は、M字カーブどころか、地方では一度勤めるけれどもその後ほとんどやめちゃう、都会では最初から余り選ばないとなっていて、抜本的な保育士さんの労働の見直しが必要と思います。

そして、こういうデータも、これは自分の部屋でつくりましたが、政府にはないと思います。ぜひ、労働実態の把握、そして、例えば短時間でも正社員として働ける制度の活用などをお考えいただきたいですが、いかがでしょうか。

 

○塩崎国務大臣 保育士不足と、今お配りをいただいた資料の中で、保育士の働く環境の余りよくない状況について御説明をいただいたわけでありまして。

保育士の勤続年数を見ますと、平成二十八年の調査でも、平均勤続年数七・七年ということで、全職種の十一・九年に比べるとはるかに短いということであり、また、勤続年数別の保育士の数を見ますと、一年未満が一番多くて、勤続年数がふえるにつれて少なくなってまいりまして、特に、勤続年数三年から四年にかけてどんと保育士の数が減っている。つまり、三年が限界で、四年目はもういない、そういう方が多いということだと思います。

また、離職した保育士あるいは保育士の資格を持っていながら保育士として働いていない方々にお聞きをすると、保育士としての就業を希望しない理由は、一つは、賃金と希望が合わない、賃金が希望どおりではないということですね。それから、責任の重さ、事故への不安。やはり保護者との、なかなか難しい保護者もたくさんおられて、正規になると大変だから非正規でいこうとみずから思う保育士さんがおられるという話を私は地元で聞いております。それから、御自身の健康とか体力、かなり、体力を毎日使う、そういうのが上位に来ていまして。

正規、非正規にかかわらず、本来は高い使命感と希望を持って働いていただかなければいけない、長く続けていただかなきゃいけない、そういうお仕事だというふうに思いますが、それは必ずしも今まではそうではなかったということもあって、待機児童解消加速化プランをつくった際には、同時に、保育士の処遇改善についても取り組みを始めて、安倍政権になってから底を打って上がり始めるということになりました。

しかし、絶対水準を見ますと、私も地元で保育園を経営されている方に見せていただくと、なかなか、政治家の事務所並みだなという感じがいたしまして、私どもの方がまだよかったりするときもあるような数字を見て、正直言って、びっくりいたしました。

そういう意味で、特に、キャリアアップの仕組みがない職場で来ちゃった、だから、三年は我慢するけれども四年目はもうやめる、それから、七・七年ということは、もう限界が七年、八年ぐらいという感じもしないでもないので、私どもは、そういうことも考えて、まずキャリアアップの仕組みをつくってください、その上で、経験年数がおおむね三年以上の方には月額五千円、それから、おおむね七年以上の経験をお持ちの方には、中堅ですね、こういった方々には月額四万円の処遇改善を行うということで、頑張れば必ずキャリアは上がっていく、そういう社会をつくるということで、処遇改善も含めて、今回、子育て安心プランをつくらせていただいているということでございます。

保育補助者から保育士になるための雇い上げ支援も拡充をし、保育士の業務負担軽減のためのICT化の支援など、総合的な対策も必要であり、保育料を保育士さんがみずから歩いて集めていかなきゃいけないということを聞いてびっくりしました、これをカード決済にするとか、そういうIT化もやってみると、保育士さんが本来の仕事、つまり、子供としっかり時間を使う、このことにやれて、ますますやる気が出てくるというお話を経営者の一人から聞いておりまして、そういうことを含め、あらゆることをやって、やはり子供が将来の社会を担うわけで、その子供を育てる保育士さんには夢と希望を持ってしっかり働いていただきたいというふうに思います。

 

○阿部委員 民進党も提言させていただきますので、またよろしくお願いいたします。

終わらせていただきます。

 

○丹羽委員長 次に、岡本充功君。

2017/06/29 国会質疑   abetomoko