植木ゆう子さんと語る
 

~ 地方分権時代の県政 ~

 
植木ゆう子(うえき・ゆうこ)さん
 1954年東京都生まれ。1976年武蔵野音楽大学声楽学科卒。藤沢市立高砂小学校区PTA会長、生活クラブ生協湘南理事などの地域活動に関わりながら、2003年に地域政党の神奈川ネットワーク運動(略称:ネット)から藤沢市議会議員に立候補し初当選。2期8年務める。NPO法人・こどもみらい塾理事、NPO法人MOMO理事。植木ゆう子のホームページ http://ueki.kgnet.gr.jp/

 

 【対 談】地方分権時代の県政
 
 春の統一地方選挙が迫ってきました。4月10日に投票が行われる神奈川県議会議員選挙には、阿部とも子が応援する植木ゆう子さん(神奈川ネット公認・社民党推薦・現藤沢市議)が県政に挑戦します。植木さんに、長年の地域活動の経験や2期8年にわたる藤沢市議の経験を踏まえて、地方分権時代の県政でどんなことを実現したいか、抱負をお聞きしました。

春の統一地方選挙間近 県政で住民自治を実現したい

阿部
 植木さんは、生活クラブ生協を基盤にした、神奈川ネットワーク運動の市議会議員を2期8年務められ、このたび、県議会議員選挙に挑戦しようとなさっています。地域政党がブームのようになっていますが、植木さんが所属する神奈川ネットワーク運動は元祖地域政党ですね。
 ■地域から社会を変えたいと元祖地域政党の活動に参加■
 
植木
 今の地域政党は首長主導のところが多いですが、神奈川ネットワーク運動は、市民主導の地域政党です。なぜ市議会議員になったかというと、PTA活動や自治会活動や生活クラブ生協などの地域活動に参加しながら、食べ物やゴミの問題に取り組むなかで、地域から社会を変えたいと思ったからです。

阿部
 トップダウン型の首長が仲間を増やすための地域政党ではなく、市民が主体の地域政党が出発点なのですね。
 この間、片山総務大臣が、「団体自治は進んだけれど、住民自治が進んでいない」と言っていました。団体自治は、行政が財源を持って進める自治のことです。社民党も社会党時代から地方分権を主張したけれど、それはどちらかといえば、団体自治に主眼をおいていて、住民自治にはあまり注目していなかったように思います。
 食べること、ゴミのこと、暮らしのこと、子どもの教育、地域の安全は、日本の民主主義にとって大切な、地域共同体の営みです。これらがお金に置き換えられ、サービスと言い換えられ、質が変わってきました。その意味で、私は神奈川ネットワーク運動の女性たちが、地域の課題に取り組みながら地方自治を変えていく取り組みに共感しています。
 神奈川ネットワーク運動などで取り組んでいる活動についていくつか教えてください。
 
 ■地域活動から社会を変える取り組み■
 
植木
 植木 地域で生活するなかで法の狭間にあって困っている人たち、困っていることを自分たちでなんとかしてみよう、そこから問題提起して社会を変えていこう、というのが活動の趣旨です。1984年から始めたのでもう27年になります。
 具体的な取り組みとしては、藤沢市は待機児童が多いので,多くの市民からお金を借りて,NPO法人立の認可保育園を湘南台につくってしまいました。一時保育や病後児保育なども一緒に始めました。今後は障がいを持つ子どもさんの預かりも始めたいと思っています。また,仲間が介護保険ができる前から高齢者介護を非営利組織で、ワーカーズコレクティブという働き方を作りながら行ってきました。家事介護といっても、1日中一人でいて誰とも話さない方にとっては、お話し相手になることもひとつの重要なサービスです。お金も少しはいただきますが、自分たちが年をとったときに払える金額で設定しています。
 食事も利用者のお宅で作るより専門のところで作ってあたたかいものをお届けする方が、家事介護の時間がよりとれるようになるので、食事をつくってお届けするサービスを作りました。藤沢市では昼ご飯だけですが、ここでは夜の食事の配達も行っています。
 ほかにもアジアの女性の自立支援のためのお店を作って、売上を寄付するなどの活動も行っています。
 
 ■介護と子育ては社会の仕事障害児のデイサービスも実現したい■
 
阿部
 植木さんが特に力を入れてきた分野はどこですか。

植木
 私は8年前に立候補したときは、環境、ゴミ、食べ物の問題に力を入れていました。現在は、高齢者福祉の問題にも強い関心を持っています。県議会議員になってやっていきたいと思っているのは、障害を持つ子どものサポートです。障害児のデイサービスを作るということは、有言実行していきたいですね。

阿部
 県議会議員というと市議会議員よりは、地域から遠くなりますが、自治体を活性化させるために国の仕事を県に担ってほしいという要請もあります。これまでの活動に加えて、高齢者福祉、障害児のサポートにも力を入れたいという抱負をお聞きして、なかなか光が当たらないからこそ、政治や行政が光をあてなければならない分野だと思います。そういうことに取り組む方にこそ議員になってほしいと強く思います。
 植木さんのウェブサイトには、「介護と子育ては社会の仕事」と書いてありますが、とても重要だと思います。介護や子育てをお金の話にしてしまうと、そもそも成り立たないのですが、国も自治体もそのあたりがだんだん怪しくなっていますね。
 では、地方分権について思うことはありますか。
 
 ■議会への市民参加が課題■
 
植木
 県がやることと市がやることでだぶっていることがあるので、それは整理した上で、県はスケールメリットを生かした相談窓口など、広域に取り組むことがあります。現状では、国から自治体に交付するお金も県に一旦交付して、県から各自治体に交付するような仕組みになっています。
 補助金の元締めを県がやっているような格好なので、自治体が県にお伺いを立てるようなことになっています。そのあたりの県と自治体の役割をまず整理して、国から地方に交付するお金は、直接自治体におろすようにして、県は県独自の役割を果たすべきだと思います。自治体に合った税金の使い方をできるようにしてほしいです。
 例えば、介護の事業所の紹介を県域で作るというのは本当にムダです。事業所からお金を集めて、お金をたくさん使って作っても、利用者は、そんな情報は県域では調べません。自治体単位で作るべきです。

阿部
 神奈川は、住民自治と団体自治が両方モデル化できるところですから、やりがいがありますね。  連日、政治と金にまつわる報道がされていますが、声を上げられない者、弱い者は、団体に行って献金して、政治に力を及ぼすことができません。金で政治が動く構造については、日々地域の問題に取り組んでいる神奈川ネットワーク運動の皆さんと思いを共にして変えていきたいと思います。
 今の地域政党の主流は、議員定数や歳費削減などの主張が目立ちますが、ただ減らすだけでよいというものではありません。地域分権時代にどういう議員像を求めるのか、その合意形成はこれからだといえます。

植木
 行政への市民参加はある程度行われるようになりましたが、議会への市民参加はまだまだです。議会への市民参加が不十分ですと議会が見えづらく、議会は必要ないという人まで増えています。これは大変なことになってしまいます。

阿部
 地方議会の議員は、地域の姿を議会に伝えられるような力をつけるべきですね。その意味で神奈川ネットワーク運動がすごいと思うのは、若い人や女性の労働時間の調査をして、非正規が増えていて、低賃金で労働時間も増えていることを目に見えるかたちで明らかにするなど、調査活動にも熱心なことです。
 まだまだ県議会に女性議員は少ないですが、住民自治を実現できるようがんばってください。応援しています。





(「阿部とも子News ともことかえる通信No.40」に掲載)