議員インターン生と語る 若者と政治

藤井葉子(ふじい・ようこ)さん

藤沢市生まれの藤沢市育ち。慶應義塾大学法学部政治学科2年。実際の日本の政治について知りたい、小さいころからよく目にしていた阿部知子議員の働きぶりを近くで見てみたい、という思いで議員インターンに参加。

工藤好(くどう・このみ)さん

岩手県田野畑村出身。日本女子大学人間社会学部文化学科4年。東京で岩手の復興イベントを主催。卒業論文「よみがえれ三陸」では、東京から岩手を盛り上げる方法について論じる。東北の企業で働きたいと思い、現在就職活動中。

今年2月、議員インターンシップに参加した2人の大学生が、私の事務所にやってきました。議員インターンシップとは、学生が議員の秘書として働く研修プログラムです。議員の日々の活動だけでなく、法律ができる過程や記者会見の様子などを間近で見ることができます。民進党では、以前からインターン生を受け入れてきましたが、私にとっては今回が初めて。とても新鮮な2ヵ月間でした。インターン生活の最後に、2人に研修を振り返ってもらいました。彼女たちは国政の場でどんなことを肌で感じたのでしょうか?


 ■阿部さんの仕事を見たい 被災地を復興したい■

阿部
 まず最初に、議員インターンをやろうと思った理由をそれぞれ教えてください。

藤井
 私は新聞を読んで、政治の話を家族とするのが好きなのですが、中学や高校の授業ではあまり政治的な内容を扱うことはありませんでした。だから大学で学ぼうと政治学科に進みました。そして政治の現場を知りたいと思い、インターンに申し込んだのです。

阿部
 ここを選んだのはなぜ?

藤井
 阿部さんがどういう仕事をしているのか興味があったので。私は藤沢に住んでいて、昔からよく街頭演説を見ていたんですよ。

阿部
 子どもにもメッセージを送りたいと思って活動してきたので、それはすごく嬉しい。
 工藤さんは東日本大震災の被災地である岩手県田野畑村の出身で、大学では故郷の復興について研究していると聞いています。

工藤
 震災のとき高校生だった私は、盛岡に住んでいたので直接被害を受けていませんが、祖父母がいる田野畑には大きな爪跡が残りました。なんとか復興したいのですが、地元の力だけでは限界があります。
 ですから東京でイベントを行い、被災地の人々の体験を伝える活動などをしています。被災地の現実を広く知ってもらい、政治の力で復興を進めたい。そうした思いから、国会議員のもとで勉強しようと決意しました。

阿部
 確かに復興は進んでいないし、政治も動いてない。でも、そんな中で震災時に子どもだった工藤さんたちが、希望を捨てずに未来に向けてがんばっているのは心強いわ。その活動はかけがえのないものだと思うの。

 ■待機児童問題を解決せねば 日本社会に未来はない■

阿部
 ところで「保育園落ちた、日本死ね」という匿名ブログから、いま待機児童の問題に焦点が集まっているでしょ。最初にあのブログを取り上げたのは、民進党の山尾志桜里議員なんだけど、実は山尾さんのところにいるインターンが見つけたのよ。

工藤
 へー、そうなんですか!?

阿部
 すごい感性よね。この問題、どう思う?

藤井
 新聞などでは知っていたのですが、私は、母が仕事をやめて家で育ててくれましたし、幼稚園からは私立に入ったので、正直、自分とはあまり関係のないこととして無意識のうちに目を背けていた気もします。ですが、委員会などを傍聴して、実は私たちの将来に関わる重要な問題なんだと実感しました。

阿部
 そうよね。藤井さんたちがこれから子どもを産んだら、直面することかもしれない。仕事を持つ女性が子どもを産んでも、預けるところがないってすごく不幸なことでしょ。

工藤
 私の周りには保育園で働く人がいるので、労働環境についても気になります。保育士として働く地元の友だちは、「収入が少ないから部屋を借りるのがやっと」と言うんですね。アルバイト先の居酒屋にも、保育園の調理師の人がいて、仕事の賃金が安いからバイトの掛け持ちをしている。保育園は子どもを育てる大事な場なのに、なんとかできないのかなって思います。働く人の待遇が改善されないと解決にならないんじゃないかと。

阿部
 保育の質と量を確保する、そして「保育=女性の役割」という意識を変える。そうしないと絶対に社会がおかしくなると思うの。

 ■“お手洗いにも憲法”すべては政治につながる■

阿部
 国会議員が活動する現場を見てどう思ったのか、率直な感想を聞かせて。

藤井
 私、ここに来るまで国際政治に興味があったんですけど、インターンをやってみて少し考え方が変わりました。確かに紛争や難民なども大きな課題ではあるけれど、それ以前に足下にあるこの国が抱えるいろんな問題を解決しなくちゃいけないんだ、と思いました。日本を見つめ直すことができたというか。

工藤
 私もです。これまで政治といえば「国会で討論することなんだ」と思っていたんですけど、そうじゃなくて、まちの小さな問題……保育もそうだし、医療や介護、福祉、教育など自分の身の回りすべてが政治に関係してることに気づきました。

阿部
 「これは政治なんだ」と気づいたときに政治は変わるのよね。ママたちもこれまでは子どもを抱え「保育園落ちた」って泣いてたけど、「日本死ね」という言葉を見て決然と立ち上がって訴え出した。私たちの生活すべてそう。政治と関係ないように見えるけど、実はみんな政治につながっているのよね。
 議員になりたてのころ、「お手洗いにも憲法」って教えられたことがあるの。トイレに憲法の条文を貼るのね。憲法って社会の基本を決めているもの、すなわち政治の目標でもあるんだけど、それを1日必ず何回かは行く場所に置いておけば嫌がおうでも見るじゃない。「日常の風景の中にも憲法はあるんだ。政治はあるんだ」ということを自覚するためにそういうことをやってた人がいるのよね。それは大切なことだとあらためて思う。

 ■選挙権年齢引き下げ プラス面・マイナス面■

阿部
 今度18歳から選挙権が与えられるけど、これはいいと思う? 反対?

工藤
 私は賛成です。ハタチからってすごく中途半端だと思うんです。大学生でも行ける人と行けない人がいる。だったら、高校生のときから自分で考えて選ぶ方がいいと思う。
 ただ、年齢を引き下げると、タレント議員や知名度が高いだけの議員が増えちゃうかもしれない、という心配はありますけど……。

藤井
 私は20歳のままでよかったと思ってます。18歳って高校3年生で、自分の進路を決める大事な時期なので、国の方向性について考える余裕がないというか……。

阿部
 国どころじゃないよね(笑)。

藤井
 自分のことでせいいっぱいだから、たぶんインターネットやSNSの情報で選んでしまう。結局、人気投票みたいになる危険性があるように思います。

阿部
 なるほどね。ただ、10代にとっても国の政策は無関係ではないと思うの。たとえばいま、大学の授業料が高くて、奨学金を借りる人がとても多い。それを返すのが大変だから進学を諦めるケースもたくさんあるのね。学びたくても自由に学べない世の中になっている。そういう状況を選挙を通じて自分たちで変えるのも一つの手段だと思うの。
 若い人たちには、もっと政治に関心を持って主張してもらいたい。そして、政党が新しくなった私たちは、そうした声を取り入れて変わらなくちゃダメ。その意味で、今回、考えをしっかり持った2人に出会えたことは、すごく刺激になったの。本当にありがとう。

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(「阿部とも子News ともことかえる通信No.52」2016年6月号に掲載)