第154回国会 厚生労働委員会
第9号(2002/04/17) 抜粋○阿部委員 同じく社会民主党・市民連合の阿部知子です。
最後の貴重な十分をちょうだいいたしまして、臓器移植のことに関しまして御質問をさせていただきます。
ちょうど昨日の新聞報道で、河野洋平前外務大臣が、御子息の河野太郎さんから生体肝移植を信州大学でお受けになる。河野洋平氏の方は二カ月、河野太郎氏の方は一カ月ほどかかるということで、この国会にとりましても貴重な二人の人材が今、生体肝移植の術後を経過されておられます。お二方の一日も早い回復を私からも祈りまして、私の質問に入らせていただきます。
私の質問は、いわゆる生体移植ではございませんで、脳死臓器移植ということで、特に人権侵害が起こりやすい分野でございますので、このことに関してお伺い申し上げます。
実は、ことしの三月二十五日、日本弁護士連合会が、既に一九九九年の六月二十四日に大阪府立の千里救命センターで行われました日本で四例目の脳死臓器移植のドナーの脳死判定において、特に、臨床的脳死、お医者様がこれは臨床的に脳死だと思われた時点で、無呼吸テストといって自発呼吸がないことを検査するテストを千里救命センターのマニュアルに基づいて実施されましたのですが、これは、既に我が国会で取り決めました臓器移植法のガイドラインにも違反しておりますし、施行規則にも反しておるということで、人権侵害の事例に当たるということで勧告書が出ております。
まず、私がこのことをきょう御質問するということで、きのう臓器移植対策室の方にもあらかじめちょっと質問予告をいたしましたら、臓器移植対策室の方では、そのような日弁連の勧告書が出ているのはまだ御存じなかったようで、とても残念でもありますし、健康局長の方にちょっとこの事態について御答弁をいただきたいと思います。
○下田政府参考人 委員御指摘の事例につきましては、日本弁護士連合会から担当部局に対しまして、平成十三年十一月十四日付で、人権侵害救済申し立て事件に係る照会ということでお尋ねがございました。担当部局から同月三十日付で回答を行った経緯がございます。
しかしながら、今御指摘の本年三月二十五日に出されました勧告書につきましては、日本弁護士連合会あるいは臓器提供施設のいずれからも情報提供がなかったといったこともございまして、委員御指摘まで知らなかった、承知をしていなかったというのが実情でございます。
○阿部委員 日本弁護士連合会というのは、日本の諸団体の中で人権ということについてそれなりのオーソリティーでございますし、何度も申しますが、特に脳死臓器移植というのは、ドナー側にとってもレシピエント側にとっても、この人権という問題において極めて重大な要素をはらんでおりますので、臓器移植対策室並びに健康局長でしょうか、担当部署にあってはアンテナを高くぜひとも今後お取り組みいただきたい。
そして、もう一点お伺いしたいのですが、実は、このことの勧告を受けました千里救命センターの方では、その病院独自のマニュアルがあり、それに基づいて実施しておると。そして、このような勧告に対しての応答と申しますか反応においても、独自のマニュアルに基づくものであるのでということで、平行線をたどっておるわけですが、このような事態について担当局としてどのように対応なさるかについて、御見解を伺います。
○下田政府参考人 臓器移植をめぐりましては、さまざまな御意見、御指摘があるところでございまして、当局においてこれらをきっちりと把握する、その収集に努めるといったことは極めて大事なことであり、国民の信頼を得る上で必要不可欠なものという認識でございます。
今回の御指摘の勧告書が報告として担当部局に上がってこなかったといったことは、体制として十分に機能をしていなかったというふうに考えておりますので、臓器提供に係ります御意見、御指摘について、より幅広く的確に収集できるような仕組み、体制、こういったものを検討していきたいというふうに考えているところでございます。
○阿部委員 ここで指摘したいのは、いわゆるガイドラインにも反し、施行規則にも反した行為が現実に行われていたという事実で、こういうことが積み重なりますと、すべてが無視されたまま臓器移植が進むということになります。
そして、この事例について、実は厚生省の中でも検証会議を持たれて、この問題に気づいておられないわけです。日弁連という外の組織から指摘を受けて、改めて人権侵害の事実というふうな事態に至っているわけで、この検証会議のあり方、あるいは、せめて四例目についてやり直しをしていただくことについて、担当部局から御見解をお願いいたします。
○下田政府参考人 日弁連の勧告書におきましては、第四例目の臨床的脳死診断を行う際のやり方が施行規則あるいはガイドラインに基づいていなかった、基づかないで無呼吸テストを行った、このことをもって人権侵害があるとしているところでございます。
この件につきましては、厚生科学審議会の中にございます臓器移植専門委員会におきまして既に検証が行われているわけでありまして、その委員会の中では、施設が独自に定めた基準に基づいて臨床的脳死診断の際に無呼吸テストを行ったことについても、事実としては当然確認をしていたわけでございまして、その上で、本症例を法的に脳死と判定したことは妥当と言っております。しかしながら、結果として侵襲の多い無呼吸テストの回数が多くなったことは必ずしも適正とは言えないという指摘もあわせてやっているところでございます。
こういったこともございますので、四例目の検証の目的は達成しているものと考えてはおりますけれども、今般の日弁連の勧告書につきましては、脳死下での臓器提供事例に関する一つの指摘といたしまして、検証会議にも報告をいたしまして、議論をしていただきたいというふうに考えておるところでございます。
○阿部委員 ただいま担当部局から御答弁いただきましたが、坂口厚生労働大臣に最後に一言お願いいたします。
やはり検証会議のあり方そのものが、他方から見れば人権侵害の事例をゴーにしてしまった。そして特に、国が決めているガイドライン、施行規則も全くルールどおりに運ばれないという事態でございますので、厚生労働省としてもこの件を重くお受けとめいただきまして、人権という観点から脳死臓器移植全般について問題のありかをさらに探っていくということで、厚生労働大臣のお取り組みについて御答弁をいただきます。
○坂口国務大臣 五例目からはこの検証会議で検証をしていただきまして、そして後ほどそれはすべて公表をしているところでございますが、ちょうど五例目からでございましたので、その前の一例ということになって、少しそうしたところでぎくしゃくしたところがあったのかなというふうに思いながら、先ほどから聞かせていただいていたところでございます。
いずれにいたしましても、今後、検証を明確にして、そして今後の臓器移植ということに誤りがないようにしていきたいと考えております。
○阿部委員 五例目以降は、今度は逆に報道の情報量が非常に少なくて、外から検証できない体制にもなっております。
問題は多岐にわたると思いますが、とりあえず、今いただきました人権的観点からの見直しということを前向きに受けとめまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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