第154回国会 厚生労働委員会
第14号(2002/05/22) 抜粋○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
まず冒頭、昨日の有事法制関連三法案の審議におきます与党側の一方的な地方公聴会の開催の採択に至る過程に強く異議を申し立てたいと思います。
やはり、本日、佐藤公治委員のここでの御発言にもございましたが、この国会の場は、出された法案について審議を尽くすということにおいて国民に責任が果たされる場でございます。最初からもうもともと提案どおりでこれでいくんだというのをごり押しと申しまして、それでは実は多様な意見あるいは多様な立場にある人の本当の幸せないしは人権、生命を守れないということを私は冒頭申しておきたいと思います。
そしてもう一つ、私がきょう急に援護局に参考人としてこの場に御出席をお願いいたしましたのは、やはり非常にだまし討ちに等しい御遺骨の取り扱いがあったことをこの場でただしたいと思っております。
私は機会あるごとに、千鳥ケ淵での、かつての大戦でお亡くなりになった方たちの遺骨収集とその納骨、あるいは収集された遺骨の取り扱いについて、今なお極めて人道的な見地から問題が多いということを指摘してまいりましたが、実は来週の月曜日の千鳥ケ淵での納骨慰霊祭を踏まえて、先週の金曜日でしたか、急遽、焼骨、集めてきたものを四百十数体、今度は一緒にまとめて再焼骨を先週の土日に行うということで、私の方からあらかじめ再焼骨に関しては御連絡をいただきたいと繰り返し繰り返し繰り返し担当部局にお願いしていたにもかかわらず、何の御連絡もなく、また、月曜日には納骨を済ませたというふうな後手の、後々の御報告でありました。
私はせめて、みとる人がない遺骨については、焼骨の際にだれかが立ち会うことくらい人間としての当たり前の送り方だと思います。そういうことすらされないこの政府が、今の有事法制関連三法案といって、国民の生命や財産にかかわる保護規定を全く据え置きにしたまま同じ過ちを繰り返していこうとする事態に対して、心底怒りを持っております。
この間の事態について、冒頭、法案審議とは全く関係ないかに見えますが、国民の生命や人権を守るということが政治の責務であるという観点から、援護局からしかるべき御答弁を賜りたいと思います。
〔福島委員長代理退席、委員長着席〕
○真野政府参考人 本年度の千鳥ケ淵戦没者墓苑拝礼式は、来週二十七日に予定をいたしております。この準備作業といたしまして、五月十九日の夕方、納骨室をあけるということを行いました。二十日の墓苑の開苑前に、厚生労働省の社会・援護局の外事室の室長補佐以下六名が納骨を行いました。
また、焼骨の時期でありますとかそういうことを教えてほしい、立ち会いたいということが先生からお話がありましたことは十分承知をいたしておりますが、それにつきまして、焼骨につきましては御遺族以外の方の立ち会いというのは普通考えられてはいない、また、この準備作業もいわば遺族にかわって行うということで、公開をいたしていないということから、立ち会い並びにこの納骨に当たっての立ち会いということは私どもとしては御遠慮願いたいというふうにお答えを申し上げていたところでございまして、二十日の日に四百十柱をおおさめした状況でございます。
○阿部委員 だれにそのようなことを決める権利がおありでしょうか。御遺族はどなたかわからないのです。御遺族がわかれば、これは無縁の仏とはならないわけです。そして、政治にかかわる者が、政治の責任で、国が起こした戦争の責任に対して、私たちがしかるべきおわびなり礼を尽くしたいというのが政治家としての私の願いであります。行政府がそのようなことを勝手に判断なさる権限もなければ、お立場にもないということです。そして、それでは、遺骨収集に加わってきた、どの方の御遺族かは判明しません、南方方面で亡くなり、その方々の広い意味での御遺族の方々も、いつ納骨されるかを教えてほしいとおっしゃっていたはずです。あなたよりは近いはずです、その人たちの方が。そういうことを一切無視して、国民の声を無視して人の死を取り扱う、本当に無礼きわまりないと思います。
私はこの場でこんなに大きな声を上げたくはない。しかし、政治に一人の人間の生き死にへの思いがなくなったときには、私たちがこの場でやっていることは何の意味も持たなくなります。それを官僚の本当にさめた、冷たい態度と申します。人の生き死にに対してそのような形であるということを、私は次の質問がありますので、あなたの御答弁を待つ前に、一方的に言い置きまして、本来の質問に入らせていただきます。
私はきょう前半、骨太と言われます論議をぜひとも坂口厚生労働大臣とお願いしたいと思っております。
先ほど佐藤公治委員が、これからの子供を産む世代のお話がございましたが、私は、ちょうどその高齢者と言われるピークの、一番多い年齢を構成いたします団塊の世代でございます。それゆえ、我が身のこととして、そしてある意味ではまた、若い人たちに過度の負担をかけずに済むにはどのような形に今この医療制度改革をしておくことが将来的な展望によって立つかという、その視点からの御質問を申し上げたいと思います。
私は、本日の各委員のお話を聞きながら、私であれば、本来の中心的な論議は、当たり前のことですが、医療費を本当の意味でまず抑制すべきというような論が真っ先に来べきかどうかということに大きな疑問を持っているという点を、まず一点指摘したいと思います。
もちろん、坂口厚生労働大臣もおっしゃるように、むだは省かなくてはいけません。合理化すべきところも合理化されるべきです。また、しかるべき負担もあってよろしゅうございます。
ただ、大前提といたしまして、果たしてこの間、特に一九九九年以降、医療費の抑制まずありきという形でどんどん患者負担を増している現状が、基本的人権、生存権にも反する事態になっているということをかんがみた上で、本当の意味の改革を展望していただきたいと思うものです。
まず、資料の一ページをごらんいただきたいと思います。
お手元に配付しました一ページ目には、先進国における医療費対GDP比、よく取り上げられる事例ですので御存じだと思いますが、マクロな経済で見れば、日本の医療費は、先進国中、イギリスに次ぐ低対GDP比を示しておる。また、一人当たり、購買力平価に基づく換算をいたしましても、決して日本の医療費は高いということには値しない。
もちろん、何度も申しますが、むだはございますが、これまでの厚生行政というのは、ある意味で、人間の医療、生命にかかわる部分をそれなりのおもんぱかりでやってこられたものの結果がここの数値であると思います。ですから、物事を考えるときに、いたずらにまず抑制、まず削減という形でやっていけば大きな弊害が起こる。
次の二ページ目をごらんいただきたいと思いますが、二ページ目には、GDP比と医療費というのを縦横の相関図にとってございます。
この図におきましても、日本は、対GDP比、ほぼ平行して医療費も上っていくわけですが、アメリカやドイツ、フランスに比してGDP比に対する医療費の割合は少なく、かつ、昨今問題になっております六十五歳以上、これからはまた高齢者年齢どんどん上げられていきますが、とりあえず問題となっておりました高齢者人口の六十五歳で仕切りましたときのグラフで、六十五歳以上人口比と医療費の対GDP比を縦にとりました場合は、米国、ドイツ、フランスなどよりもはるかに日本は効率よく高齢期の医療も賄っておるというのが下の図でございます。
そして、こうした基本認識を持ちながら、さはさりながら、先ほど申しました、私たちのような団塊世代が大挙して高齢期に突入していくときに当たって何を考えねばならないかということで、質問の一点目をさせていただきます。
私も坂口厚生労働大臣も医療分野で仕事をしておりました。そして、医療という仕事は非常に労働集約型、どういうことかというと、人の手によって成り立つ分野であり、医業収益の中に人件費比率をとりますと、平均して五割は人件費にかかわる部分でございます。国公立病院ではこれは六割、民間病院、私が運営しておりました民間病院では四割にしないと逆に設備投資や次のいろいろな仕事ができないということで、民間病院では、ある意味で賃金を抑えながらでも、人を減らしながらでも、何とか黒を出す采配をしてまいりました。
そして、この間、日本の医療制度の中で、マクロに見ればある程度以上達成しながら、ミクロに見た場合に、先日お示ししましたように、やはり非常に医療ミスが多いという、医療の質の問題が国民の大きな不安と不満の対象になっておりますが、私から見れば、アメリカの五分の一、あるいは欧米の三から四分の一の、さまざまなコメディカルも含めた医療の人員でやっております中では、当然人手不足がミスにつながってくる場合が多々あると思います。
ある看護婦さんたち、国立の病院に勤める看護婦さんたち約三千人余にアンケートをとられた中で、いわゆるナースコール、看護婦さんを呼ぶ声が、自分の作業途中でナースコールによってみずからの作業が中断されたことがあるとする看護婦さん九一%、一年間にニアミス経験のある看護婦さん七七%、医療事故の不安は常に解消されないとお答えになる看護婦さん八六%というデータが出ており、最も改善が必要なことは増員であるというお答えが八一、夜勤体制の強化が五六%、私は現場のやむにやまれぬ切実な声がここに反映されておると思います。
そして、本会議でもお願いいたしましたが、坂口厚生大臣には、ぜひとも、この間で、医療には医療の質とそして患者さんの生命の安全のためにしかるべき人員が絶対必要である、それが原点であり、その後に、そのことをいかなるコストで行っていくかという段階、プライオリティー、物事の考え方の手順をきっちりとお示しいただき、この審議をリードしていただきたいと思いますが、一点、御答弁をお願いいたします。
○坂口国務大臣 日本の医療費が、対GDP比で世界の中で非常に低い位置にあると申しますか、よく言えば効率的にやっているということが言えるわけでございますが、対GDP比で低い値にあることは御指摘のとおりでございます。
それで、医療は、いつも言っておりますように、ただ財政的に効率よくやっておればいいということだけではなくて、そこで医療の質がちゃんと守られているかどうかということが一方で必要でございますから、その双方からやはり見ていくことが大事だというふうに私も思っている次第でございます。
そうしたことを考えますと、やはり医療従事者なるものをある程度確保しなければ質の高い医療というのができないことは、御指摘のとおりだというふうに思います。
日本の医療費をどう抑制していくかということが今までからもやられてきたわけでございますが、今回の制度改革におきましても、これでもなおかつ一年間に約七千億ぐらいはふえていくというふうに思います。一兆円近かったのが七千億ぐらいに減りはいたしますけれども、なおかつこれからふえ続けていくということになるわけでございまして、現状からいきますと、対GDP比で今までは割に低い位置にありましたけれども、この数年の間にかなり上位に上がってくるということも考えなければならないというふうに思います。
今まで医療費を抑制いたしますときに、診療報酬の面からそれをチェックするといったようなことを中心にやってきたわけでございますが、私は、これは必ずしもそういうふうにしようと思ってなったわけではありませんが、日本は医療の中での制約、薬品の使い方が非常に多かったということもあって、一度に多くの薬品を処方しない。三日ずつとか、あるいは慢性でも一週間とか、非常に短かな期間しか処方をさせないようにしてきた。そのことは、薬をたくさん使わないということでは効果を発揮してきたわけでございますが、しかし、病院を忙しくした。一週間先に来ていい人を、三日後に来いというわけでございますから、大変病院そのものを忙しくしたという、一方において弊害を生んだというふうに思っております。
したがいまして、もう少し間隔を置いて外来を訪れる、あるいは病院を訪れるということで済む場合には、そうした間隔をとることも考慮に入れながら、診療報酬でどうこうではなくて、本当に正しい医療のあり方を中心にしながら、より落ちついた医療が行えるように今後していかなければならないというふうに思います。
したがって、現在の対GDP比での予算を確保しながら、その中で、より少ない患者さんを相手にして、より効率よく対応をするということにしていけば、人をそんなにたくさんふやさなくてもやっていけるということになるのではないか。そんな努力も一方でしながら、それでもなおかつ足らないときには、特に看護婦さん等につきましては必要な人数はやはり確保していかなきゃならないだろう、質はそういうふうに維持をしていかなきゃならないだろうというふうに思っている次第でございます。
○阿部委員 薬剤の投薬日数制限のお話を冒頭お答えいただきましたが、そのほかにも私は、看護婦さんの二人夜勤体制、あるいは、せんだって問題にしました臨床工学士の不在ゆえに看護婦業務の増大、あるいは患者の高齢化、痴呆が加わるなどなど、煩雑な業務が非常にふえている現状というものを私自身もデータとして持っておりますし、引き続き大臣と審議を重ねながら、本当の意味の人間的な医療の方向を模索したいと思っております。
引き続き、御質問をお願い申し上げます。
今、日本の老人医療費の中で、一番安いところが長野県、高いところが、この間首位を北海道と福岡県が交代いたしました。この高齢者医療費、私は、実はいろいろな多面的な社会的な要因があって、医療はある意味で必要不可欠的に高くかからざるを得ないという側面もあるということをもう一点指摘したいために、後半の資料の説明、質問に入らせていただきます。
私の用意いたしました資料の三には、高齢者医療費が日本一高くなったところの福岡県のデータが、高齢者の独居率と一人当たりの老人医療費という形でお示ししてあります。ここで福岡はカーブの上方にございますが、この高齢者独居率というのは、六十五歳以上の御世帯で高齢者だけでお住まいの比率と医療費をとりました。
ここで明らかなことは、やはり日本においては、御高齢者が御高齢者だけで、あるいはお一人で住まわなくてはいけない状態、それがひいては入院の医療を多くせざるを得ない状態に反映するということの一点です。そして、ここからは、ぜひとも、それでは入院をただ単に抑制すればいいんだという答えではなくて、この御高齢者たちの住まいの問題をきちんと解決していただきたい。これは山井委員がよく御質問の点ではありますが。医療というのはある一側面であって、そこの抑制抑制だけを伴ってやったのでは答えにならないということで、次の四ページには六十五歳以上の御高齢者の医療費の集計がございますが、御承知おきのように、入院医療費が高いところは当然高く出てまいります。
そして、では入院しなければいいのか、させなければいいのかということについて、資料の五ページ目、福岡のデータに限りますが、この上段、表の二の三の三には、確かに福岡県は長野県に比して病床数は多い。しかしながら、この歴史を繰っていくと、実は、その下には結核病床数がございますが、かねてより福岡では結核の罹患率が高く、長野県より結核病床も多くあった。そして、次の六ページ目では、その後、筑豊の炭鉱産業の衰退に伴って精神的な疾患もふえ、精神病床数もふえていったというのが六ページの上段の図でございます。
医療は、その時々の社会、経済条件を反映し、そこに病人を生み、必要とする施策が生じてまいります。その下には失業率のグラフがございますが、ここには小沢先生もおられますが、福岡は全国よりも失業平均が高いところでもございます。そして、次のページ、七ページで見ていただきますと、今では悪性新生物というものが福岡で他より高く出ております。
ですから、日本全国を一概に並べて、医療費が高い低い、老人が何だかんだと言う前に、まずその地域の分析、背景の分析、必要な手だての分析をしていただいて、その総和が医療費として換算される方式をとっていただきたいと思います。
図の最後の八も同じでございます。ここには医療費の福岡県内のマップがございますが、大牟田、筑豊、かつての炭鉱地域で働かれた方々が高齢期を迎えました。その結果、高く算定され、都市部の福岡周辺もそうでございます。一方、過疎の山間部は低く出ておりますが、これがいいことかどうかは、必要な医療機関すらないということになってございます。
私が一方的にしゃべって恐縮ですが、私は、坂口厚生労働大臣には、ある意味でこの医療の論争の軸を変えていただける方と、かねがね本当に、これはお世辞でも何でもなく本心から期待しております。これからは本当に大変な時期ではありますが、人間が幸せに生きるための一つの手段が医療でございますので、その辺を勘案し、地域差をよく見ていただく。
そして、私は、坂口厚生労働大臣が地域保険に一本化していこうということは、その意味では正しい御指摘だと思います。地域の現状を見て、医療の保険の仕組みもよりそれを反映できるようにしていくということで、冒頭、金田委員とはお話がございましたが、あえて重ねて私は、政府管掌保険も地域への一本化、あえて言えば、国民健保、政府管掌保険、組合保険も地域保険への、遠い将来、一本化を考えた方が、私たちが高齢化を迎えるときにはよろしいと考えておりますが、長期的なお見通しについて、ぜひ御先見を一言お聞かせいただきまして、終わらせていただきます。
○坂口国務大臣 貴重ないろいろのデータを見せていただきまして、ありがとうございました。我々、ただ表面だけの数字を見まして、長野県と福岡との差ばかりを言っているわけでございますが、こうしていろいろのデータを拝見いたしますと、福岡が医療費が高くなっているそれなりの理由というものがやはり幾つかあるということが、これでよくわかります。統計的なデータを見ますときに、ただ単に表面に出てまいりましたものだけではなくて、やはり具体的に細かく見ていくことが大事だということを御提起いただいたものというふうに思いまして、感謝申し上げたいと思います。
医療保険制度につきましては、今朝来いろいろと議論を重ねてきたところでございますが、統合化をやはり目指していく。そして、方向としては一元化の方向というふうに言っておりますが、一本にというのはなかなか難しいと思いますし、また余り一本にしてしまいましては競争原理も働かないわけでございますから、財政調整でありますとか、あるいは保険の内容を、保険の名前を一本化していくということはたとえあったとしましても、やはり幾つかに分類をして、そしてそれぞれの地域ごとの競争というものがやはり大事だろうというふうに思っている次第でございます。
今お話をいただきましたように、都道府県単位ぐらいなところで一つまとめていくというのは、私は有力な方向性の一つというふうに考えております。そこへ組合健保も何もかも一緒にできるかどうかは、なかなか難しい面もあると私は思いますから、これから議論を要するというふうに思いますけれども、やはりできるところからそうしたことをしていくことは大事なことではないかと思っている次第でございます。
○阿部委員 終わらせていただきます。ありがとうございました。
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