第154回国会 厚生労働委員会 第18号(2002/06/07) 抜粋 ○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
週末の金曜日、遅い時間まで大臣を初め皆さんの熱心な御審議、大変に御苦労さまです。まだまだ審議は佳境でございます。きょう、野党側各委員、ぜひともこの三割負担の問題、あるいは保険料率のアップの問題、そして先行きの見えない診療報酬改定問題、さまざまに問題があるということの指摘がございました。私もまたその観点に立ってきょう幾つか質問をさせていただきますが、さらに審議が深められるということを来週にかけて期待しておるものです。
冒頭、今回の直接にかかわる法案以外のことで、質問予告をしてございませんが、坂口厚生労働大臣にお願いいたします。
実は、来週の月曜日、いわゆる事態特、武力攻撃事態法の特別委員会に福田官房長官にお出ましいただきまして、総理出席のもと、さきの福田官房長官の発言につきまして各委員が質問をするということになってございます。今週水曜日、坂口厚生労働大臣、この場で何名かのこの委員会の委員の御質問、特に福田官房長官発言をどう思うかという質問に対しまして、福田官房長官の真意ではない発言であったというふうに閣議で官房長官も言明しておられるし、自分としても核の問題、特に被爆国である我が国がどのようなスタンスに立つべきかという点において、福田官房長官の真意を重く酌み取って理解しているというお話でした。
私は、それは一応は承った上で、福田官房長官のお話が、いわゆる非核三原則の見直し、持たず、つくらず、持ち込まずというこれについて、それを見直そうとかそういう他意はないというお話であるというふうにその後も発言しておられますが、この当委員会としては、もう一歩進めて、ぜひとも坂口厚生労働大臣に閣議の場で思い起こしていただきたい、皆さんにも注意を喚起していただきたいことがございます。
平成六年十二月の十六日にいわゆる被爆者援護法が成立いたしました。そのときに、この前文にございます部分、いわゆる世界ただ一つの被爆国として、「核兵器の究極的廃絶と世界の恒久平和の確立を全世界に訴え続けてきた。 ここに、被爆後五十年のときを迎えるに当たり、我らは、核兵器の究極的廃絶に向けての決意を新たにし、」究極的廃絶に向けての決意を新たにすることを前文に置いた法律が被爆者援護法でございます。
非核三原則をそのまま堅持するということ以上に、攻撃的な核であれ、核が小型であれ大型であれ、核兵器を根絶する方向に決意したというこの被爆者援護法の精神、坂口厚生労働大臣にあっては、ぜひとも厚生労働省の長におかれまして、この重みを閣議の各位にお伝えいただきたいと思いますが、御答弁をお願いいたします。
○坂口国務大臣 核につきましては、三原則はもとより、これは未来永劫人類として使用すべきではない、そう思っているわけでございます。しかし、そのことは、現在の衆参両院議員すべてそれは理解をしていただいていることだというふうに私は思っております。
閣議というところはなかなか一般的なことにつきましての発言する機会のないところでございますが、そういうことを話し合うときがございましたら、率直な私の意見というものを述べたいと思っております。
○阿部委員 ありがとう存じます。
やはり廃絶する決意を持って臨むという、これを決めた委員会、この場でございますから、その代表として厚生労働大臣には御尽力いただきたいと思います。
では、関連する私の当委員会の質問に入らせていただきます。
きょう、いわゆる保険料の個人負担分、窓口負担分やあるいは料率において、特に若者が平時からどのくらいの分を負担しているかなどなどで、これ以上の国民負担を増すことは国民の基礎体力を著しく落としめ、ましてこの経済状況下にあっては命取りの政策になるのではないかという各委員の御発言がございましたが、私はその点も全くそのように思います。
いま一つ、やはり時代は大きく二十一世紀という扉をあけましたところで、医療政策全般、特に医療提供体制について見直さなければならない。そして、今特に診療報酬改定をきっかけに行われているいろいろな政策は、この二十一世紀にふさわしくない、誤った道へ導いておると思いますので、その観点からお伺いいたします。
我が国は、戦後、いわゆる医療制度、医療提供体制の改革においては四期に区分することができると言われております。
敗戦後間もなく、人々が心身の病を抱えて、そして復興期にあっては、当然ながら医療は拡張期、必要最低限なものを数多くつくっていこうという拡張期が一九六〇年代まで続きました。これを一期といたします。
その続き、引き続く第二期は、一応の必要最低限のものを配置した上で、改善期、例えばこの時期を七〇年代の終わりまでといたしますれば、一つは国立小児病院のような専門病院ができたり、がんセンターができました。その一方で、僻地の医療や救急医療や二次診療圏にきちんとした病院をつくるということがなべて努力されました。
そして第三期、いわゆる八〇年代からは調整期に入ってございまして、現在問題になっておる老人保健制度、それから昨今の介護保険制度などなどが定められ、今第四期にかかろうとしております。
日本は空前のと言われる世界で類を見ない少子高齢化に進んでおって、はたまた、それゆえにどのような医療の保険支払い体制と提供体制が伴って進んでいくべきかという論議にあって、私は、まずこの第二期において目指されました二次診療圏につきまして、大体、厚生労働省としては、二次診療圏というのはどのようなサイズとどのような機能と、そしてそこにはどのような病院が配置されたか、第二期の計画において。このことについて、お答えを担当部局からお願いいたします。
○篠崎政府参考人 ただいま先生から、一期、二期、三期、四期と期を分けて、我が国の医療提供体制の整備状況等について御質問がございました。
各地域ごとに中核的な病院を整備すべきだというような問題意識は古くから存在をしておりましたが、医療における地域というものの概念がある意味で法的に明確にされたのは、昭和六十年の第一次医療法改正ではないかと思っております。この昭和六十年の改正によりまして、医療計画というものが創設をされました。そして、通常の入院医療というものはおおむね二次医療圏で完了するという考えが出されたわけでございます。現在、四十七都道府県に三百六十三の二次医療圏が存在をいたしておりまして、都道府県は、住民の日常生活圏を一つの前提に置いて二次医療圏を設定しているわけでございます。
したがいまして、こういう二次医療圏におきまして今まで私どもが整備をしてきましたのは、例えば救急医療ですとかあるいは僻地医療、それから、今後の課題になりますけれども、臨床研修あるいはがん診療、そういうようなものについて、この二次医療圏を中心として病院の整備を進めていくべきではないかと考えておるところでございます。
こういう考え方におきまして、現在、大臣を本部長として設置されております医療制度改革推進本部においても、こういう考え方で検討を進めていきたいと考えております。
○阿部委員 果たしてそのようなお考えのもとに、現実には二次診療圏にきちんとした、その地域の住民が安心して日常的にかかれるような病院が充実しておるか、存在しておるかということについて、現状の分析をお聞かせください。
○篠崎政府参考人 例えば救急医療につきましては、今、搬送途上の医療の充実のことが話題になっておりまして、検討会を立ち上げておりますけれども、メディカルコントロールをするためには、当然、二次医療圏においてその司令塔となる医療機関の整備が必要でございます。
そういう意味合いから、各二次医療圏について見てみますと、今のところ約半分の、全国三百六十三の半分の医療圏において、そういうものに対応し得る病院が整備をされておりますが、残りはそうではありません。しかし、必ず二次医療圏には一つか二つの救急告示病院は存在をしておりますので、そういうところに焦点を当てながら、今後どういう形でそれを整備充実していくか、検討していきたいと思っております。
○阿部委員 二次医療圏と御答弁のありました三百六十三のうちまだ半数しか充実していないということは、大きく見れば、日本の半分では日常的に自分がかかれる地域の病院がないという状態にも等しいと言わねばなりません。
医療提供体制というのは、いつも金の問題としてではなく、基本的生存権の問題、あるいは医療というのは社会的共通資本でございますから、道路と同じような、非常にだれもがそこで暮らすために要るものでございます。そのことが単に、今篠崎局長おっしゃいましたが、救急医療については少なくともある程度は充実させておるとおっしゃいましたが、私はこの件も反論がございます。三百六十三のうちまだ半数に満ちていない空白区がある、選挙区ではございませんが、これは大変なことだと私は思います。にもかかわらず、この間、国は二つの過ちをしていると思います。
一つは、私の関連いたします小児医療のことで事例を挙げさせていただきます。
私は、実は、先ほど例を引きました、昭和四十年、一九六五年に日本の中で第二期の医療改革においてつくられました国立小児病院というところに籍を置いておりました。
この国立小児病院は東京の世田谷にございまして、大体八十万からの地域住民の、本来は地域病院ではないのですが、地域医療も担いながら診療を重ねておりました。世田谷区には、ほかに、東京都の母子保健院というのがございまして、これも出産からその後の小児の救急を担っておりました。この間の国の国公立病院の統廃合計画並びに都の都立病院の見直し計画において、実は八十万世田谷区が、小児の救急体制において、並びに地域基幹病院全く不在という状況に、あれだけ大きな人口があり、都市の中心部で、置かれてしまいました。私は、このことは非常に象徴的な意味を持っておると思います。
なぜなら、一方的にしゃべって恐縮ですが、今の国の医療体制の見直しは、センター病院や大きなものには予算をつけてまいりますが、当たり前に地域で毎日頑張る病院をどうやって育成していくか、あるいは残していくか、あるいはつくっていくかということにおいて、私は、極めて無策に尽きておると思います。そして、そのことに拍車をかけているのが、今回の診療報酬改定でございます。
どういうことかというと、手術件数、例えば心臓の難しいバイパス手術というのが百件以上のところは診療報酬満額です。でも、百件を欠けたら七掛けです、七〇%です。ほかの手術についても、たくさんやれている病院にはフル診療報酬、でも少ない病院には七掛けですという形で、むしろ地域で頑張って支えている病院が手術ということをやっても診療上一向に潤わない状況を招聘するような診療報酬改定が現在進められております。
私は、このことは非常に病院の再編を悪い方向に促している事態と思いますが、まずこの件に関しても、担当部局の御意見を賜ります。
○大塚政府参考人 今回の診療報酬の改定におきます手術に伴う施設基準の設定という、改革に関連するところでございますけれども、まあ千数百、千百程度と言われております手術件数のうち、特に難度の高いもの、あるいは点数の高いものというような基準で百十ほどの項目を設定いたしまして、それにつきましていわゆる施設基準というものを定めたわけでございます。
技術が集積するということが医療の高度化に資するというのは、おおむね広く言われていることで、御了解をいただいていることでございますから、全体としての医療機能、医療機関の機能分担、機能分化を進めるという観点から、このような設定をしたわけでございます。もちろん、症例数だけでございませんで、医師の経験年数も条件に入っているわけでございます。
ただ、この二つの指標で決めることが合理的かといいますと、今後のさまざまな知見なり技術の集積なりあるいは実態も見て、もちろん必要な手直しはしていく必要があろうと思いますけれども、大きな方向といたしましては、難度の高い、技術の集積の要る手術につきましては、一定の基準を定め、そこにできるだけ集約化していく、それぞれの医療機関においていわば特性を持っていくというような方向が、方向としては一つの考えられる方向じゃないか。今後の実際の定着状況なども見なければなりませんけれども、大きな方向づけとしては、私ども、必要な改定であるのではないかというふうに考えているところでございます。
○阿部委員 医療がそのように集約化されたりするものかどうかということにおいて、認識が誤っておると思います。
医療は、例えば胃がんの手術にしろ、遠い病院まで行けば、その病院が集積件数が多くても、遠い病院まで行く間の交通費、あるいは家族もそこに通うための時間的、金額的ロス、そしてまた療養を続ける場合も、その後通院等々にも、すべからく、遠ければ遠い分だけ負担がかかってまいります。
また、二点目は、例えば五十例までやった病院が診療報酬が高くて四十八例まではそれを満たさないのであれば、あと二例、極端な場合はむだな手術をやるか、あるいは、全く自分のところは診療報酬上潤わないから、もう患者のことは考えないで遠くに送ってしまうかという形に当然なってまいります。
診療報酬改定の及ぼす影響は三カ月ほどたたなければわからないと大塚局長の御答弁でございましたけれども、私は、今回のこの手術件数に伴う病院の区分けは、先ほど申しました二次診療圏の基幹病院に大ダメージを与えておると。
まして、あたかも科学的根拠があるようにおっしゃいましたが、一つの病院がたくさんの手術をすればその分だけ腕がいいかどうかは、一つ盲点がございます。一人の医者が、医者が少ないところで何件も頑張ってやっているところもあるわけです。そしてそれが、人口の多い地域でなければ必ずしも件数は集まってまいりません。
今回、この診療報酬改定に関しましては、特に病院関係者、四病院団体協議会なども厳しく批判しておりますので、この場で直、見直しが必要であるという御答弁はまあ出ないでしょうから、きょう私、これは質問予告してございませんから、診療報酬改定の指標に、二次診療圏の基幹病院をきちんと堅持していける方針か否かという大局的な医療提供体制とあわせて検討いただき、しかるべく、三カ月後にはお答えをいただきたいと思います。
ちなみに、この診療報酬改定について、坂口厚生労働大臣にも御所見のほどをお願いいたします。
○坂口国務大臣 診療報酬体系全体といたしましては、三カ月ほど状況を見せていただいて、そしてその結果というものをよく勘案したいというふうに思っている次第でございます。
二次医療圏の問題につきましても、現状を追認していくと申しますか、現在存在します病院でありますとか、あるいは、国公立の病院もあれば私立もあるというふうに思いますが、そうしたものを、存在すればそれを認めていくというのではなくて、もう少しやはり積極的にそれぞれの地域に中心病院をやはり育成していくべきだという御意見だろうというふうに思いますが、そのことにつきましては、私も、そのとおりではないかというふうに思っております。
ただ、公的な病院の場合にはそこに支援をしやすいわけでございますが、私立の場合にどういうふうな形でその地域の中心的な施設として育成をしていくかといったことも、一つ検討をしなきゃならないというふうに思います。
例えば、二つなり三つなりありましたときに、一体どこを中心にするのかとか、あるいはまた三つとも同じようにそれは手を差し伸べるのかとか、いろいろその点も難しい点もあるというふうに思いますから、それらのこともよく考えて、この医療圏の問題はやっていかないといけないというふうに思っている次第でございます。
○阿部委員 見識のある御答弁で、ありがとうございます。
ただし、今坂口大臣が御心配されたような、例えば十万とか十五万の人口のところで中核病院となるところが一つも二つもあるという状況だとよろしゅうございますが、むしろ、今、世上では、そのような病院がほとんど成り立たず、いわゆる倒産が相次いでおります。これはぜひとも現状を厳しく分析されて、命を支える地域中核病院というものをいかなる形で育成していくのか。
そして、おっしゃってくださいましたように、公立であればそれはたやすいかもしれないが、民間の場合どうであるか、私はこのことも確かに課題であると思います。
特に、この間、医療法人等々も日本は半分が民間でございますから、では、そこにいわゆる公的な性格、医療というのが基本的人権に基づく、生存権に基づくものであれば、公的な性格をどのように帯びさせるか。情報公開も一つでしょうし、ある程度、土地の取得とかにおいて公的なものがそこに提供するということも多々ございます。必ず三百六十三二次診療圏に病院があるような姿で二十一世紀を展望していただきたい。
このように申しますには、先ほどの、手術に伴います件数で少なければ診療報酬カットするぞという中の事例で、近畿医師会連合の調査におきますと、人工関節手術、人工関節というと、関節を置きかえて人工的なものを置く、非常に多い手術でございますが、二府四県にわたる近畿地区の二十一の二次医療圏のうち十二圏で基準を満たす病院は皆無である。近畿二府四県に住まわれていても、二十一医療圏に分けたら半分のところでは基準を満たす病院がないというふうな状況になっておるのが今回の診療報酬の改定でございます。
これはやはり、半分のところで人工骨頭が入れられない。遠くの病院なんか、何といっても通えないのです。骨頭というのは、歩くにも非常に大切なところです。遠くに通うには御家族の付き添いか、だれかが仕事をやめなくてはならないかもしれないような事態がここに起こっております。
極めて現実を無視した診療報酬改定ですので、いろいろな意味でこの件については見直しをお願いしたいと思います。
引き続いて、次の質問に移らせていただきますが、この間、いわゆる医療保険ということに関しましては、保険者機能の強化ということが各委員からも言われ、私も使い、坂口大臣もお使いになります。ただし、そのおのおのの発言者においてかなりニュアンスが違う。中身はどうなのかなというところまでそろそろ踏み込んで論ずべきかなと思っております。
私は、前から、これは大臣と考えが同じでございますが、例えば各市町村が保険者となって、その保険者が余りに弱ければお互いやっていけないからもう少し広域的に考えてはどうかということも申し述べておりますが、もう一つネックになりますのは、保険に加入している方たち自身が、どんなモチベーションなりあるいは共同連帯意識なり、そしてこれからこれがなくては困るんだという意識を持っていただくかにあると思うのです。
サイズだけが先に決められても、自分が関与していない、あるいは保険料を納めなくても、遠い関係になってしまえば、例えば市町村の保険であればまだ自分の市町村という近さがあるかもしれないけれども、今度遠くなった場合にはどうかという問題も必ず生じてまいります。
私は、この間、いわゆる建設国保という、一人親方とか建設現場で働く方たちの国保、これはなぜこの方たちが国保という中に入る経緯になったかはいろいろな政治的な動きの結果ではございますが、その中にあっても、建設国保の方たちが非常に努力しておられて、自分たちの保険だという意識を組合、その傘下の方々皆さんに持っていただいて、あと、レセプトのチェック、労災保険で適用されるようなものについて混入していないか等々も含めて、加入を、参加を誘うこと、そしてお互いが支え合っているという意識も含めて、極めて自治的に運用されておるという側面を拝聴いたしました。
そこで、坂口厚生労働大臣にお願いですが、これからの保険者の機能の見直しに当たって、やはり参加と、それから主体的にそのことを育成していく意識を各加入者が持てるような仕組みということも、この建設国保の事例も踏まえまして、また一つの視点としてお持ちいただきたい。これは要望でございますので、確認の御答弁をお願いいたします。
○坂口国務大臣 保険者のあり方というのは、私もいろいろのことを想定いたしておりますけれども、もっともっと保険者はさまざまな角度から、その中に入っておみえになります皆さん方に情報を提供することができますし、また、皆さんももう少し積極的にその保険者に対しまして、こういうふうにしたいというような意見を言っていただくことができるのではないかというふうに思っております。
これから保険の統合化を進めていく上で、その保険の中身、保険者の中身というものにつきましてもいろいろ議論を重ねていかなければならないというふうに私も思います。そこは必ず議論になってくるところではないかというふうに思っている次第でございます。
○阿部委員 特に、昨今、若い人たちが健康保険に加入しない、あるいはできない状況も現実に起こっておりますので、みんなに加入してもらう、そしてそのことの意識を分け合っていくという方向に、健康保険問題では意識の育成をよろしくお願いしたいと思います。
続いて、診療報酬改定のことについて、さらに一点お伺いいたします。
きょう、お手元に配付資料とさせていただきましたが、今回、もう既に四月から始まっております診療報酬改定の中で、六カ月を超す入院の方に関しましては、入院基本料の八五%については三割負担ですが、入院基本料の一五%については医療保険から外して自己負担にしていただくように指導されていると思います。
この件については、民主党の五島委員も、介護と医療との間をボール投げのようにするのはけしからぬという形で、同じテーマについて御質問があったと思いますが、私は、そのことに加えまして、例えば、このような図で示されました形で、入院基本料の一五%が自己負担になりました場合に、特に、高齢者ではなく若年者で現在入院の三割を負担している方は、プラス一五%の自己負担で、総計いたしますと、ここに書いてあります三九・二%、四割負担という現状が生じております。
そして、六カ月を超す入院と言われますと、世上では、御高齢者がいわゆる介護が必要なのに病院に入院していて、これを社会的入院だとかいう言い方でとらえておりますが、実は六十五歳以下の方も多数おられますし、そしてその方たちは、三割負担とプラス長期入院だから一五%自己負担しなさいと言われますと、結果的に四割。
きょうの論議でもたくさんございましたが、国民負担は三割が限度ですよ、三割以上は上げませんよという政府御答弁を繰り返されておりますが、かかる事例が生じ得ることについて、診療報酬改定を実施された担当部局としていかがなお考えか、お聞かせください。
○大塚政府参考人 長期入院だから給付カットするというわけではもちろんございませんで、長期入院をされておられて、なおかつ医療面での給付の必要性が低い、逆に申しますと、家庭あるいは介護施設などへ移ることが本来は可能だというようなケースでございます。そうした事情にある方につきまして、医療保険からの給付というあり方を見直さざるを得ない。
しかしながら、現実を考えますと、給付をしないという現状には到底ございませんから、在宅で利用されておられる方々などとの公平も勘案いたしまして、おっしゃいますように、八五%に当たる部分は特定療養費という形で給付をする、こういう仕組みを実施に移しているわけでございます。
実施に移していると申しましても、経過措置もございますから、全体といたしましては、二年程度をかけまして完全実施になるということもございますし、負担の面でも、直ちに一五%カットということではございません。これも段階的に進めてまいります。
したがいまして、お示しの資料、もちろん詳しく直ちに理解できないところもございますけれども、印象といたしましては、そうした経過的なこともお考えいただけるのではないかというのが一点。それから、入院ですと当然それなりの高額になりますので、いわゆる高額療養費の制度も発動される部分もございますので、四割というような数字にはなかなかならないだろうと思います。
いずれにいたしましても、私どもの考え方を率直に申し上げれば、これは、負担割合の問題というよりも、三割給付あるいは負担率の問題と、長期入院の患者の方で特に医療の給付の必要性の低い方に対する給付の見直しの論議、これは別個の問題で頭の整理をせざるを得ないと思っております。
お示しの資料につきましては、詳細を直ちに理解しがたいところもございますが、印象だけ申し上げれば以上のようなことでございます。
○阿部委員 三割負担が果たして妥当かどうかというところも、私はそうは思っておりませんが、今の診療報酬改定で進みますと、現実にこのような形で四割になる方が必ず出てまいります。それも、私は特に、長期で必ずしも御高齢者ではなくて寝たきりのような状態になられた方をたくさん見てきておりますので、その方たちが、介護保険施設の受け皿もなく、もちろん年齢の問題でなく、病気も限られたものしか介護保険適用にはなりませんから、そうなると、この四割というのは法外ですし、逆に社会的退院を強制していくことになるということで事例として挙げさせていただきました。大塚局長の方では、またよろしく御検討をいただきまして、実際にこのような事例が起こることのないようなことを検討してくださいませ。
そして、きょうは時間との関係で、私が要求して出てきませんでした資料ですが、実は、社会的入院を減らすために介護施設へ、あるいは介護保険が利用できる施設へという形の誘導は、地方自治体並びにそこに住む住民の介護保険料のアップということを生んでまいります。今までの医療保険ではなくて介護保険を使いなさいというわけですが、介護保険が二年たって、皆さんも御承知おきでしょうが、介護保険の中で施設入所がふえればふえるほど、地方自治体の負担は上がってまいります。このことについて、今回の診療報酬改定で、介護保険施設に移りなさいというふうなことを誘導しておられて、それは一概に悪いとは思いませんが、ただしかし、自治体あるいは自治体に住む人々の保険料のアップに結びつくのではないか、そのことをどのように試算しておるかと担当部局に伺いましたが、まだ集計が出ていませんということでしたので、きょうは恐縮ですが、これを次回送りにさせていただきます。
ちなみに、一つだけデータといたしまして、いわゆる介護保険の財政難が急増しているということでは、財政安定化基金の借入団体が四百二十六団体とふえております。医療保険のしわ寄せを介護保険に持っていくような愚はくれぐれもなさらないように、私の方から要望させていただきます。
そして、きょう私の最後の質問になるやもしれませんが、いわゆるスモン、亜急性脊髄視神経神経症と言われております御病気の方たちのことについて伺います。
スモンという言葉をもう御存じない若い委員もおられるかもしれませんが、私にとりましては、ちょうどこの病気は、一九六〇年代、下痢を主症状とした方々がキノホルムというお薬を内服されて、その結果、視神経に障害が出る、視力の問題が出る、あるいは手足の神経がしびれる、歩行が不能になる、さまざまな障害を生んだ薬害のはしりでございます。日本における薬害問題の端緒というか、極めて印象的な薬害事件でございます。
このことに関しまして、実は、一九七〇年、中央薬事審議会でも、スモンという症状が起こるのでキノホルムの製造中止、使ってはならぬということをいたしましたが、果たして、それを飲まされて症状を招聘した患者さん方にどのような救済がなされたか、このことは、今、医薬品の副作用の問題がさまざまに論じられていますが、当時はきちんとした救済機構がないゆえに、スモンを難病として扱うことでその場をしのいでまいりました。
このことに関しまして、昭和五十四年、当時の厚生大臣でございました橋本龍太郎大臣とスモンの被害者との間で、「厚生省は、治療方法の科学的研究、スモン患者らの福祉の向上に必要ないわゆる恒久対策の措置を講ずることについて、今後スモンの会全国連絡協議会と協議する。」と、いわゆる恒久対策を橋本龍太郎厚生大臣がお約束されました。そのことに基づいてスモンを難病指定し、いろいろな医療費も国において国が認めた薬による薬害なので補償してまいりました。
そして、この方たちが御高齢化してまいりました。そこで、先ほど申しました介護の問題も当然ながら生じてまいりました。そのときに、実は、医療保険関連の施設におりますれば、介護の問題が生じたというか、もともとの御病気でプラス高齢化も加わり、症状はよくはなりませんから、いろいろな向きに出てまいりました。その方たちが、医療保険の内にいるうちは国からの恒久対策で措置されておりますが、一たび医療保険を使わないで例えば介護保険の対応の施設に移れば、一割負担という形で負担を強いられることになりました。これでは、国によって起こされた薬害で体を侵され、そのことによって生じてきた要介護状態に、今度はあなたのお金を一割出しなさいと言われる現実になっております。
私は、やはり、国の責任において恒久対策をお約束された限り、今介護保険に移ればあなたも一割だというふうなやり方で患者さんたちに自己負担を強いるのは、恒久対策という約束、公約、国の方針にもとると思います。ぜひとも、この点に関しまして、坂口厚生労働大臣の前向きな、そしてスモンの被害の方たちに国がきちんと責任を最後までとるという一つのあかしとして、現在、介護保険における一割負担について、国としての前向きな施策、方針について御答弁をお願いいたします。
○坂口国務大臣 このスモンという病気がキノホルムによるということを聞いたときに、私は愕然としたことを今も覚えております。それはなぜかといえば、私も小児科でキノホルムをたくさん使っていたからでございまして、まさかこのキノホルムがその原因だとは私は、このことが発表されるまでゆめゆめ思っておりませんでした。そうしたこともございまして、このキノホルムという問題の患者の皆さん方のことにつきましては記憶に新しいところでございます。当時の橋本龍太郎厚生大臣とのこういう協議があることも存じ上げておりますし、橋本元総理からもこうしたことをお聞きしたことがございます。
現在どうなっているかということを見ますと、いわゆる健康管理手当といたしまして、全患者に対しまして月額四万二千七百円が出ております。そのほか、重症者には、障害程度に応じた介護費用というものを出させていただいております。それが、程度によりまして、四万八千百三十円、中ぐらいが九万二千八百円、そして一番重症の場合には十五万四千四百円の三段階になっているところでございます。こうした介護費用等もこのスモン訴訟の和解に基づきまして支給をいたしているところでございますが、こうした問題の中で御努力をいただいているものというふうに考えている次第でございます。
いずれにいたしましても、こうした薬害によってさまざまな問題を提起された皆さん方というのは、ほかにも実は御承知のとおりございまして、先日ここでも取り上げられましたけれども、らい症候群でございますとか、それからスティーブンス・ジョンソン症候群でございますとか、そうした問題も実はございまして、今大変、この人たちに対しましてもどうするか憂慮をいたしているところでございます。
この皆さん方の現状というものを、現在、私は十分に存じ上げておりませんので、これ以上申し上げることができませんけれども、皆さん方の状況というものもよく認識をさせていただきまして、全体的に取り組んでいきたいと考えております。
○阿部委員 今大臣のお述べになりましたスティーブンス・ジョンソンとか、らい症候群とかは、日本の国の中でも薬害という言葉がある程度浸透いたしまして、そして、薬害の救済機構というものも一方で国が準備している途上の事例でございます。このスモンということは、それ以前で、それゆえに難病指定という極めて、難病というのを国が起こしておいて、難病指定という形にしたわけですから、途上、いたし方なかったこととはいえ、万全の救済体制に持っていっていただきたい。
そして昨日、恐らく四十名から五十名の患者さんたちが大臣にも要望書をお手渡ししたと思いますが、まだまだこれから検討すべき課題があるかとも思いますから、大臣の方で、よろしくその点については患者さんの声を聞いていただき、なおかつ、先ほどおっしゃってくださいましたような介護費用というものもありますが、決して、実際に介護施設に入った場合に、現状として十分に介護療養ができる体制ではございませんので、その点についてもよろしくお願いしたいと思います。
また、なお医師たちの中には、スモンということがもたらす症状を御存じない方もあって、介護認定等々でも非常に患者さんは苦労しておられますので、その点についても御指導をよろしくお願い申し上げます。
引き続いて、実は先回の委員会で、上田清司委員が御質問になりました病院の給食費差益のことについて、私は、ある意味で違う観点から御質問をしたいと思います。
あの節、上田委員は、給食費について病院が診療報酬上ある一定をいただきながら、その給食を外注、外の業者さんに振りました場合の差益をもうけておる、これはけしからぬという御指摘でした。確かに、入院についての食費について、診療報酬上いただきましたものを外部委託した方が、実際に病院の中で栄養士さんを雇い、厨房をつくり、そして患者さんに小まめに応対しているよりも費用は安くつきます。
ただし、この場合に、ぜひとも厚生労働省の方針として、だから入院給食費の切り下げがよろしいんだという向きではなくて、患者さんにとって、自分に近いところから給食がサービスされるというのは基本的な人権にかかわることだと思います。私は、学校給食でも自校給食というのがO157の発生も少のうございましたし、子供たちの目に見える距離で食事を提供するというのは、人間としての基本教育にかかわる部分でございます。
先回の委員会で上田先生のお示しくださった資料はとても整っておりますが、逆に言うと、病院が各自苦労しながら、自分でやった方が苦労なのです、人件費も高うございます。しかしながら、それでも患者さんのためにと思って、各中小病院、特に民間病院は努力しております。厨房用のスペースを持たない方が土地も有効利用できます。しかしながら、その土地を取得し、厨房をつくり、人を手当てし、赤を覚悟で各地域病院は頑張っております。
この入院給食費の問題について、当日の御答弁とも重なるやもしれませんが、今後、どのような形で厚生労働省として食の問題を考えていかれるのかという観点とあわせて御答弁をお願いいたします。
○坂口国務大臣 先般、上田議員の御質問にもお答えしたところでございますが、近いうちに、実態がどうなっておりますのか、少し調査をさせていただきたいというふうに思っております。
今御指摘ございましたように、安ければ安いほどいいという性質のものでないことも事実でございますが、現実と余り乖離をしているということであれば、これはまた、それはそれなりに問題があるわけでございますので、そうした点を十分に検討させていただきたいと思っているところでございます。
○阿部委員 私があえてここで二度目になりまして取り上げさせていただきましたのも、冒頭の質問で申し上げました二次診療圏で頑張っている病院、そこの中でも、地域住民に近く食事をサービスしたい病院が、どのような形で創意工夫、努力、赤も覚悟でやっておるかという実態を、ぜひとも管轄の厚生労働省としては御認識いただきたい。
そして、そのとき事例が出ておりましたのが、刑務所とか小学校とかでございました。こういうものは、土地ももともとの厨房も公的に保障されたものでございます。民間の病院がこれをやります場合、何度も申しますが、非常に負担でございます。
ただし、先ほど大臣も冒頭おっしゃいました、これから二次診療圏に確実に病院を配置していこうと思えば、そこの病院の本当に心のこもったサービスの一番に出てくるのが食事でございます。これからの医療、単にコスト算段だけではなくて、人間のターミナルも含めて支えていく、それから地域の暮らしを支えていく、もっと言えば、地域の経済を支えていくために、極めて重要な分野と思います。
私は、あと関連質問が二つ残ってしまいましたが、来週またできることを楽しみに、きょうはここで終わらせていただきます。ありがとうございました。
第154回国会 国会活動コーナーに戻る 阿部知子のホームページに戻る