第154回国会 厚生労働委員会 第19号(2002/06/11) 抜粋

議事録全文(衆議院のサイト)

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 参考人の皆様には、長時間大変に御苦労さまでございます。私で最後の質問ですので、よろしくお願いいたします。

 私は、きょう、各参考人、非常に内容の濃いお話をお教えいただきまして、大変参考にも勉強にもなりました。わけても、最後にお話のありました勝村参考人、一つには大変にお若いということ、そしてもう一つには、医療の主役は間違いなく患者であるという当たり前のことを、これは消費者という言葉で言いかえてもいいですけれども、こうした医療問題の論議の出発点、根幹になる部分を、御自身の経験、そして具体的にはレセプトの開示という行動を通して実践されているという意味で、冒頭、勝村参考人にお伺いしたいと思います。

 私は、今とりわけこういう問題を論じますときに、若い年齢層、特に四十歳以下、勝村さんは四十一になったかなと思いますが、若い層が大体は今国民健康保険にも入らないなどなど、大変に、社会保障のこれからを論ずるときに、机上の空論になってしまうような日本の現状というのがあると思うのです。

 そこで、やはり当事者性を持ってもらう。自分も医療にかかったら、実はこれくらいの分が保険で支払われていて、自分はこれくらいを払っているのだ、当たり前のこの意識を喚起するためにも、レセプトの開示というのはとても大事だと思うのです。でも、レセプト開示と言われても、一体どうすることなの、何から始めるの、何することなのということが実はまだそんなに共通言語ではないと思うのです。

 そこで、恐縮ですが、レセプト開示というのは何をすることなのか、ちょっと簡単にもう一度おさらいをしてください。

勝村参考人 私たちが病院で医療を受けたら、窓口で支払うときには請求の明細書がありますが、それは、詳しいものでも、投薬料幾ら、検査料幾らの小計しかない。非常に詳しく書いた、薬剤名も検査名も処置名も、すべての正式名称が記載されて、単価、数量もすべて記載されている、病名ももちろん記載されているそのレセプトというものは、私たちが加入している健康保険組合なり国保なりという保険者の方に送られている。

 保険制度が始まった当初は、患者の自己負担分がゼロであったこともあったのかと思いますが、だから患者本人には、お金を支払わないから明細は見せない。ところが、保険者からお金をもらう、請求するときには、こういう明細だからお金を下さいという、そういうお金のやりとりのためのものがレセプト。ところが、今はもう一割、二割、三割と患者が支払っているにもかかわらず、病院窓口では、お金を支払う際には明細は見せてもらえない。明細は保険者にだけ送ります。保険者は明細をそのまま支払っているということです。

 では、私たちが加入している保険者なんですから、私たちが保険者へ行って、医療機関から送られてきている明細を見せてくださいと言ったら見せてもらえるものかなと思っていたんですが、それを厚生省は、長い間、患者本人には見せてはいけないと指導して、法的根拠はなかったのですが指導していて、保険者たちもそれの言うなりになっていたという状況があったわけです。

 今はレセプト開示請求が、五年前、小泉厚生大臣のときに、子供が死んで親にもレセプトが見せられないなんというのは憤慨にたえないと国会で当時の小泉厚生大臣が答弁をして、レセプト開示が実現しました。しかし、いまだに、私たちが保険者にレセプト開示請求をして、見せてくださいと言っても、保険者は弱腰で、主治医に見せてもいいですかと確認をして、そのレセプトは見せないでくれと言ったものに関しては見せないという実態がある。それを実は、社会保険庁がそういうふうにしなさいという指導を法的根拠がないのにしている。

 また、社会保険庁のマニュアルにも問題がありますが、その言いなりになっている保険者にも問題がある。被保険者は見せてくださいと言っている、主治医は見せないでくださいと言っている。だけれども、本来それは、お金を支払っている者に、どんな内容なのかをなぜ見せてくれないのか。実際に、見せないところというのは、後で監査や個別指導が入って、多額の架空請求が発覚しているということが今はパターンになっているわけです。

 そういう、中身を全く国民に見せないで、先ほど賛成か反対か手を挙げるように言われたんですけれども、そもそも中身がわからない、中身を見せないのにどうして国民が議論に参加できるだろうかというふうに思っています。

 レセプト開示というのは、本来、保険者に行けば、被保険者であることが確認されればすぐ開示されるべきものだし、そもそも三割も自己負担分を支払うのですから、病院窓口で自己負担分を支払う際にもそういう詳しい明細書を見せていただいて、請求に間違いがないかとか、またはどういう価値観に基づくどういう単価がついて医療がなされているのかということを市民に、患者に知らせてほしい、その上で医療制度、医療保険制度の改革の議論に参加させてほしい、そういう思いです。

阿部委員 ごく一般に暮らす人たちにとって、レセプト開示というのを、自分のかかっているお医者さんに、私のレシート、私の例えば何が何円、何が何円をくださいねと言うことかと思っていらっしゃる方が実は九割九分だと思うんです。それで、お医者さんにそういうことを言いづらい。何であんたそんなことを私に聞くの、私が不正なことをやっているとでも思っているのとお医者さんが言うんじゃないか、思うんじゃないかと。本当に、市民レベルになると、レセプト開示ということ自身がどういう手続でやるのかも全然行き渡っていないと思うんです。

 この点に関して、村上さんにお伺いいたしますが、連合としてレセプト開示をみんなで運動として取り組もうとやっておられると思うのですが、やってみられてどの辺に問題があるか、あるいはどこまで進んだか、お教えくださいますか。

村上参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、レセプト及びカルテの開示を法律で義務づけるべきだ、こういう立場であることを申し上げておきたいと思います。

 私どもは、昔は医療費の通知運動から実は取り組みました。二十数年前になりますけれども、この医療費の通知運動でも相当な行政の抵抗等々もございました。私どもは四年ぐらい前から、領収書下さい運動というのをやっております。この領収書には、ある意味で医療明細がわかる領収書を下さいということで、連合組合員七百数十万名全員に実は持っていただいております。そこから我々のところにいろいろなお話がございまして、非常に憤慨をしたということが多うございます。阿部先生がおっしゃったように、私たちが信用できないのですかとか、何のために必要なんですかと。私どもにしてみれば、やはりお金を払う以上、領収書をもらうのは当たり前の世界じゃないか、それも明細がわからなければ領収書にならないではないか、こういうふうに思っておりますけれども、なかなか、診療家の人にはなぜですかということは言われます。

 私も時々お医者さんに行きますけれども、とにかくくれるのはせいぜいレシートでございまして、先生、ちょっと明細が要るんですがとこういうものを出しますと、何ですかこれはということでよく驚かれるわけでありますが、やはりそういうことが診療側の中で努力をされるということで、実はこの法定化が見送られたのですね。だから、私は、医師会さん側の自己努力ということがどこまで来ているのか。私どもの運動の結果でいきますと、まだ変化はあらわれていない、非常に抵抗が強いということでございますし、私ども組合員からは非常にいろいろな不満が寄せられているということでございます。

 以上でございます。

阿部委員 国民の医療費の将来がどうなるかということを本当に論じる大もとが、やはり一人一人の国民が幾ら自分に医療がかかっているかということを知ることでもあると思います。

 きょうは時間の関係で、本来はこの後、青柳参考人にもお伺いしたかったのですが――違いますよね、よかった。今、間違った紙が来ましたので、失礼いたしました。では、伺わせていただきます。

 一点目は、やはり医師会の皆様のこのレセプト開示に対するお取り組みの件。私自身も医者ですから、確かに不正請求とか言われますと何をこのくそと思いますが、そうじゃなくて、患者さんにも、いかに今の健康保険制度が保険としてお金をカバーし、自己負担を幾らお支払いしていただいているのか、明朗会計にすることは医療を担う者にとってとても意味があると思っておりますので、その点が一点。

 そして、時間の関係で続けて二問失礼いたしますが、きょう各委員から今回の法案の医師会の公式見解やいかにということで質疑がございましたが、私がちょうだいしております日医ニュースの中に、四月二十三日に記者会見をなさって、本法案には反対であるという見解を説明されたと。きょうお伺いいたしますと、修正を求めていくのだというお話でございましたので、特に高齢者の患者負担の定率化、そして被用者保険三割導入に関して修正を求めていくことが明らかにされたということで繰り返し述べられておりますので、この修正を求めてこられた経緯と、今どこまで到達して、あとどこを押せば修正されるのか、この点についてお願いいたします。

青柳参考人 二つの御質問があったと思います。

 阿部議員もドクターだというお話を聞きました。日本医師会は数年前から情報開示という大きなくくりの中で、私どもは各医療機関、ドクターが積極的に患者さんに説明責任を果たすべきだ、そういうスタンスのもとに運動を今推進しているところでございます。

 この中には、おっしゃるレセプトの問題、それだけじゃなくてカルテ開示の問題、あるいは診療情報全般にわたる問題、これは現在三年目に入りましたか、私は相当進んできているんだろうと思います。現在十分だと私は思っておりませんので、これは今後とも推し進めていきたい、そのように考えております。

 それからもう一つは、これは今、消費者といいますか患者さん側からの意識改革というものがございました。私どもは、それだけじゃなくて、やはり医療担当者としての意識改革、これがなければ、ある意味では説明責任を果たすという役割は担えないのじゃないかなと。先生、恐らくお気づきでしょう。意識改革というのは、言うことは非常にたやすうございます。しかし、それを実際に実行するには、やはり少しは時の流れというものも私は必要なんだろうと。しかし、そうは言っていられませんので、推進をしていくということには変わりはございません。

 もう一つの問題は、これは今回の健康保険法一部改正法案に対しての私どもの考え方を述べろと。

 これは先ほど来申し上げておりますように、すべてを否定するわけではございません。しかし、先ほど議員が申された二つのポイントについては十分配慮してくださいよということで、私どもとしては、きょうあえてそれを指摘材料として挙げていた。問題は、附則に盛られている抜本改革に向けて、これは非常に私どもは高く評価をさせていただいております。したがって、これが実行に移されるような、そういう道筋を早くにまとめていただきたいという期待は持っていることをお伝えさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

阿部委員 きょう、青柳参考人からちょうだいいたしました資料の五にございますように、いわゆる家計負担、保険料プラス自己負担は、ここには書いてございませんが、今回の改定で五割に及ぶというふうになってまいります。ぜひとも、国民の体力という意味においても、そして医師という職業が国民に近く、患者さんに近く接しておる中から、これはきつかろう、無理であろう、これ以上はすべきでないという臨界点を超えていると私は思いますので、なおなお、当然、修正を求めていくというのをこの場で詰めるものではないという御指摘がありましたが、私は、医師という職業が本当に患者のサイドに立って何をなすべきかという観点からお考えを推し進めていただけますようにお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

第154回国会 国会活動コーナーに戻る   阿部知子のホームページに戻る