第154回国会 厚生労働委員会 第26号(2002/07/19) 抜粋

議事録全文(衆議院のサイト)

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 第百五十四国会も終わりに近づきまして、この国会の一番の大きな法案であった有事関連法案の方はこの国会で成立を見ず、よかったなと思う点と、また逆に、食の安全ということでは、食の安全保障ということをぜひともこの国会は真剣に対峙しなければいけないテーマであるなときょう一日皆さんの御討議を聞きながら思っておりました。そして、討議も大分出尽くしましたので、私は今までの皆さんの観点とは少し観点をずらして聞かせていただこうかと思います。

 今、小沢委員の、監視にかかわる人員的な不足の問題の御指摘、あるいは、特に農薬はポジティブリストという形で一九九五年の改正時からテーマとして積み残してあるので、このことをしっかりやるべきだ、あるいはもっと大きく言えば、通常国会あるいは臨時国会で食品衛生法の全般的な改正をやるべきだ、本当にいずれもそうだと思います。

 そして、そのこととあわせて、このグローバル化した経済のもとでは、例えば有事という軍事問題でも同じでしょうが、情報収集能力ということがひたすら、殊さらに極めて重要になってくると思います。

 私は、このホウレンソウ、冷凍ホウレンソウの件に関係して、さまざまなメディア等々から報道されるところからしか知り得ませんが、昨年十二月の十日付の中国紙の中国青年報というのを、中国大使館におられた、多分厚生労働省から出向しておられる方がお読みになって、昨年十二月ですから、こういうふうにたくさんの、中国で毒菜と呼ばれるような、非常に残留農薬が中国の国内で高いということの報道があったことを受けて、そしてまた民間団体もことしに入ってホウレンソウ、冷凍ホウレンソウの残留農薬をはかられて、それらを受けて厚生労働省としては今回のような法案の作成にも検討を始められたということではあるんだと思いますが、まずこのスタート時点、大使館における、特に現地の農業実態、あるいは農薬のさまざまな被害、あるいは全般的なその国の健康状態の問題点などなどを掌握すべく、厚生労働省としてはこれまでどのような取り組み、それからこれからどのような御指導をしていかれるのか、一点お願いいたします。

坂口国務大臣 今お話ございましたように、中国を初めといたしまして、我が国には多くの食品が入っているわけでございますが、それに対するやはり情報というものを的確に把握をするということは非常に大事なことであることはもう論をまちません。

 中国を初め、我が国に食品を輸出している国々におきます食品衛生に関する情報収集につきましては、現在のところは、在外の公館でありますとか輸出入の関係者からの情報を集める、それから現地のマスコミ等の報道を収集する、それから検疫所等の残留農薬検査における輸入食品の違反状況を見る、それから我が国の担当者を派遣をして実施します輸出国における農薬規制でありますとか使用状況の調査というものも行っている、国際機関や各国の政府からの情報を集めている、こうしたことを総合しながら現在のところやっているわけでございますが、必ずしも、だからといって十分にこれが機能しているというところまでいっていない点もある。これから、さらにこうした点を充実をしていかなければやはりいけないんだろうというふうに思っております。

 現在、中国だけが問題になっておりますけれども、問題は中国だけではなくて、他の諸国におきましても同じようなことが起こる可能性というのはあるわけでございますから、そうしたことも十分に配慮をしていかなければならないというふうに思っている次第でございます。

阿部委員 今大臣の御答弁で、在外公館、いわゆる大使館の役割ということもこれまで以上に重要になってきますし、多面的になってくると思うのです。ぜひ食の安全ということの教育も含めて、それから現地での農業実態を把握すること、これは農水省や経済産業省との協力のもとに行わなければならないと思いますが、在外大使館の機能というものを改めて見直していただきたい。今外務省疑惑で揺れておりますが、とてもあのような形では食の安全も守れないと思いますので、重ねて政府内でお取り組みをお願いいたしたいと思います。

 そして、いま一点、実は私は今週月曜日、ミスタードーナツというところに行きまして、酸化防止剤の肉まんのことで有名なところでございますが、今度はつけめんというめんについているネギがなくなっておりまして、また掲示が出ていて、ネギが中国産であったからまた問題であったということがございましたが、いずれもこれらのネギ、シイタケ、そしてホウレンソウもそうですが、多くは、実は日本の商社が海外に出向きまして、栽培から農薬指導からいろいろいたしておるということがかなり実態として指摘されております。

 そこで、私はきのうあらかじめの質問のときに、一体いつごろから日本の商社は中国に行き、そうしたネギやシイタケ、あるいは今回のホウレンソウの製造にかかわっているのか、データをお持ちですかと、厚生省と農水省の方が来てくださいましたのでお伺いいたしました。両省庁からのお答えは、実はそれは財務省管轄で、例えば海外からの野菜がどのくらい、どのように輸入されているか、あるいは、日本の商社が海外に行き、どのような活動をしているかというのは財務省マターであるということを伺いました。

 そこで、これ、あとは経済産業省がかかわりますでしょうが、安全性の部分は厚生省、農業の実際のところは農水省、そして産業構造としては経済産業省、輸出入については財務省とばらばらにやっていたのでは、やはり有事に備えられないと思います。

 そこで、一つ御質問がございます。

 この法律案要綱の中に、食品衛生上の危害の発生を防止するために特に必要があると認めるときは、あらかじめ関係行政機関の長に協議した上、食品衛生審議会の意見を聞いて販売を中止したりするとありますが、発生を防止するために特に必要があると認めるときはというのは、いわば事後対処的な側面が強いと思うのです。このあらかじめ関係行政機関の長に協議した上という、あらかじめ関係行政機関というのは、具体的にはどこを指しておられるのでしょうか。お願いします。

尾嵜政府参考人 私どもが想定いたしておりますのは、経済産業省、外務省、農水省、この三省を想定いたしているところでございます。

阿部委員 私があえてこのことを伺いましたのは、ぜひやはり財務省というものも入れていただきたい。私は今さっきまで財務金融委員会におりましたから、それで言うのではないのですが。

 実は、財務省の貿易統計によりますと、中国からの輸入量、一番早くキャッチするわけですが、ホウレンソウに関して、八八年は六百トンでございましたものが昨年は五百万トンで、これがいつから破格に上がっておるかというと、九七年、冷夏の折のホウレンソウの輸入でした。

 そして、ちょうどこの九七年という時期を合わせますように、中国国内では検出される農薬の数が非常に増加しております。例えば、九七年に中国国内で中国当局によって検出された農薬は三種類ですが、二〇〇〇年度では二十六種類にふえておる。逆に、この構造を見ますと、我が国の企業が進出し、逆さに、ホウレンソウを輸入する量がふえればふえるほど、中国国内の農薬汚染も進んでおるという実態が出てくると思います。

 特に、これから、WTOは経済産業省マターですが、税関、通関、グローバル経済化の中で、一番先にもしかして情報をキャッチできたりするのが財務省であるという場合もあると思います。

 そして、きのうもお伺いいたしましたが、この件で何社くらいが一体中国で生産にかかわっておりますかというと、これが、お答え、なかなか財務省も出してくださいませんとおっしゃいます。

 ですから、きょうこの委員会で言っても出ないものと思いますが、逆に、予防的に安全を図っていくためには、別に企業活動を制約するためでなくて、実態を把握するために、ぜひともここのあらかじめという中には財務省も検討に加えていただきたい。何せ予算を握る強い省庁ですから、入ってねと言ってどういうお答えかはわかりませんが、予防的な食品の安全衛生というためには、物の流通というところが極めて大事になってくると思いますので、この件、坂口厚生労働大臣にお考えを伺いたいと思います。

坂口国務大臣 関係いたしますところは全部連携をしていかなければいけないわけでございますから、それは財務省につきましてもいろいろと連携を密にしていきたいというふうに思います。

 捕らえてみれば我が子なりという言葉もございますが、やはり日本の企業のあり方、モラルというものも問われているわけでございます。そのことも十分に我々は把握していかなければいけないと思います。

阿部委員 重ねてお願いいたします。

 では、最後にというか、この件では最後ですが、農水省にお願いいたします。

 六月の中旬でしたか、厚生省の皆さんと一緒に、この件で中国に一応調査に赴かれたと思います。私の気になっております日本の在外商社の問題、あるいは中国での農薬使用の実態、そのあたりをもしも今御答弁いただければお願いしたいのと、今後どういう課題を思っておられるかについて、農水省としてのお考えを伺います。

坂野政府参考人 中国の現地の調査でございますけれども、農水省としましては、ことしの一月と三月と六月に行っています。一月と三月は農水省独自で行っております。

 今御指摘の六月でございますけれども、六月の出張は、厚生省の担当官と農水省の農薬、野菜の専門家を現地に派遣いたしました。行った場所は、山東省の冷凍野菜の輸出企業、また、北京における国家農業部と国家質量監督検験検疫総局というところでございます。そこで調査を行いました。

 行った際に、中国側からは、冷凍野菜の輸出企業は、各省にあります輸出入検査検疫局の登録が必要であるというような説明、また、農場段階における残留農薬の検査は各企業の検査部が実施している、さらに、輸出前の製品検査、製品段階での検査は輸出入検査検疫局が実施しているという説明があったわけでございます。

 しかしながら、先方の説明において裏づけとなるデータ、例えば、こういう農薬をやって、こういうようなデータを分析して、こういうチャートがあった、そういうような情報は得られておりません。

 したがいまして、今後でございますけれども、在北京の日本大使館なり、また、輸入業者等を通じた情報収集や、必要に応じて再度の現地調査によりまして実態把握に努めてまいりたいと考えております。

阿部委員 検疫体制がいかに充実しようとも、やはりもとから正すということが極めて重要ですし、それも敵対的な関係ではなく、やはり中国の国民の健康にもかかわることですから、我が国がこれまで、例えば公害を克服し、また農薬問題も以前よりは格段に、少しずつではありますが進歩しておる。その経験を踏まえて、本来的な意味の日中の交流が行われるように、農水省としても御尽力いただきたいと思います。

 この件はこれで終わらせていただきまして、次に、情報公開という、特に厚生省における情報公開についてお尋ねいたします。

 本年六月の二十八日に、情報公開審査会というところが、かつて厚生省が、ことしの四月二十七日段階で、臓器移植にかかわります情報公開を受けた案件に対しまして、そのようなものは資料として存在しないから、不存在ということを理由に不開示決定をした事案がございます。(発言する者あり)

森委員長 御静粛に願います。

阿部委員 第九例目の臓器移植、これは、福岡の徳洲会で行われた臓器移植について情報公開を求めました。検証会議に出されたメモ等々を情報公開を求めましたが、ちょうどその検証会議の四月二十七日当日に、厚生省は、開示要求をされた方に対して、一方で検証会議をやりながら、この資料は存在しませんというふうに、不開示、存在せず不開示という通知を起こされました。

 これに対して、この審査会の方で、存在しないから不開示ということは真実ではないのではないか、いろいろな意味でこうした不開示を行うことが問題ではないかという指摘をされたと思います。

 坂口厚生労働大臣、この件につきまして櫻井充さんも参議院で伺いましたが、私は、やはり情報公開ということをきちんと、せっかくできた制度ですから、防衛庁のあの不始末のようなことを厚生省はしていただきたくない。これは、厚生省が手に入れた文書をコピーして、そのコピーを廃棄して不開示、ないから不開示といたしました。この案件について一言お願いいたします。

坂口国務大臣 具体的な話はまた局長からもするというふうに思いますが、この件のみならず、今までの脳死にかかわります案件は同様な扱いをしてきたわけであります。

 私も事の事情を聞きまして、今回までとってまいりました厚生労働省の考え方がどこに起因をしているかといえば、それは、個人情報というものをできるだけ外に出ないようにする、漏らさないようにする、そういう趣旨からやってきたわけでありまして、いわゆる情報公開をしないという立場をとってきたわけではなかった。個人情報を極力外に漏らさないということを中心にして考えてきた。

 そして、情報公開につきまして、総務省が行政管理局編としてつくっておみえになります「詳解 情報公開法」というのがございまして、その中にも、「一時的に文書を借用している場合や預かっている場合など、当該文書を支配していると認められない場合には、保有しているとはいえない。」非常にわかりにくいんですが、読み方によっては、それは保有しているということは言えないともとれる、そういう文章が中に書かれておりまして、厚生労働省としてはそういう立場をとってきたわけでございますが、今回、これはやはり情報公開をするという方向にすべきだという御指摘でございますので、今後はそういうふうにしたいというふうに思っております。

阿部委員 ありがとうございます。今、二十例目まで移植が行われ、検証会議も折々に行われております。その検証会議で使われる資料でもございますから、それがない、不開示というふうな、あるのにないという形の判断がなされることは隠ぺいともとられかねませんので、極めて重要な対策と思いますので、重ねてお願いいたします。

 同じように、臓器移植ネットワークのことでお伺いいたしますが、実は、この臓器移植ネットワーク、昨年度の事業報告が現時点でもまだ出ておりません。事業報告というのは通常四月十日までで、決算も済み、翌年度の予算がかかるということで、さきに私どもの山口わか子が決算行政委員会でも指摘をしておりますが、四月十日、従来であれば、あるいは他の公益団体であればきちんと報告されるべき会計報告がなぜこのようにおくれているのか、また、どのような御指導を行っているのか、この点についてお願いします。

下田政府参考人 御指摘のように、平成十三年度のネットワークに対する補助金の事業報告は、五月十日に提出を受けまして、内容を確認しましたところ不備な点が見られたということで、修正の上、再提出をするように今指導をしている最中でございます。

 なぜおくれたかということでございますが、従来からネットワークの報告はややおくれぎみであるという事情がございましたので、適正に提出をするように指導をしてきたところでございますけれども、特に、昨年六月の立入検査の際に、会計監査法人による外部監査の導入、社団監事の複数選任といったところを指導したところでございます。こういった事務の適正化を図ると同時に、ネットワーク自体も、従来の七ブロック体制から三支部体制に移行させるといった事務の簡素化、こういったこともあわせて行っておりまして、そういった合理化の中で、限られた人員でございますので、事務処理が今回若干おくれたというふうに承知をいたしております。

 いずれにしましても、適正な執行という観点からはおくれるということは問題でございますので、さらに今後とも重ねて指導してまいりたいと考えています。

阿部委員 先ほど私がお願いいたしました情報公開の透明性、それから会計報告というのは最低限のものでございまして、そうしたものがきちんと行える事務体制がまだ整わないなどなど、本当に、やはり人間の命の、これは極めて限定的に、脳死という場合に限って御本人の善意で移植しようということを支える体制が、足元が危ういということだと思います。

 今、一部には、拙速な対象年齢の拡大、特に小児への臓器移植の拡大問題が論じられておりますが、日弁連は、第四例目に対しては脳死判定で人権侵害のおそれありとしている指摘もございます。当然ながら、厚生行政といたしましては、まず透明性、そして体制の、システムのきちんとした整備ということに心がけていただきたいと思い、本日の私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

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