第154回国会 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会
 第5号(2002/05/31) 抜粋

議事録全文(衆議院のサイト)

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日、公職にある者のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案ということで、与党、そして野党の対案が出ておりますことを審議するに当たりまして、二〇〇〇年の六月でしたか、中尾前建設大臣のあっせん利得のことが問題になり、その後、第百五十回の国会で、現在ある法律となりましたわけですが、逆に、この一年半ないし二年をとってみましても、政治家と金という問題は、国民の政治への不信をさらに強める方向に発展したことはあっても、軽減する方向にはなっていないという現実、これは恐らく今回の提案者の与党側、野党側、双方重く受けとめた上で、本日の審議があることと思います。

 私は、きょうこの部屋で質問するに当たって、かつてこの同じ部屋で加藤紘一前幹事長が、自分の発する言葉が国民への信頼を失ったときに自分は政治家としての辞任を決意したとおっしゃっておりましたが、今、政治状況というのは、政治家の発する言葉が国民に全く空疎に、極めて空虚に響くという状況を生み出しており、その大きな根本にこの政治とお金という問題が横たわっていると思います。

 そして、恐らく、百五十国会で、今回、与党の御提案になっている私設秘書の問題も含めて、これが成立しておれば、この間の加藤紘一氏それから鈴木宗男氏の問題あるいは鹿野道彦氏の問題も、かかる不祥事にはならなかったやもしれないと思うと、取り返しのつかないこの二年というのも残念でもあります。

 そこで、まず与党の提案の皆さんにお伺いいたします。

 加藤紘一氏の佐藤三郎事務所代表、いわゆる私設秘書ともみなされますが、その中でも、特に事務所の運営にかかわる、世で言う金庫番的な役割も果たしておられたと思います。今回の与党の提案には、そのような金庫番と言われるような役割の人、あるいは事務所の運営にかかわる、それは私設秘書という言葉とは必ずしも丸ごと一致ではないと思いますが、そうした役割の方も含んでの御提案なのか否か、まず与党側にお伺いいたします。

西川(太)議員 阿部先生にお答えを申し上げます。

 本法改正案の私設秘書の定義と申しますのは、衆議院議員または参議院議員に使用される者で当該衆議院議員または参議院議員の政治活動を補佐するものというふうにしております。その意味で、国会議員の指揮命令に従って労務に服し、当該国会議員の政治活動を補佐する者ということでございますれば、こうした実態にかんがみて、ただいまの金庫番と俗に言われるような者も私設秘書に該当することになる、こういうふうに理解をいたしておりまして、指揮命令に従って労務に服し、政治活動を補佐する、こういう者は、これは秘書を名乗っているか否かを問わず、本法改正案で私設秘書に該当すると私どもは理解をいたしております。

阿部委員 事務所等の責任者が「使用される」という表現にふさわしいかどうかはわかりませんが、今の西川先生の御答弁で、確かに与党案は、そうした立場の、金銭の出納管理にかかわる者も含まれるということで、与党提案を伺いました。

 そして、野党、私も実は提案者の一人ですので、野党の中でも、この件、話し合いもいたしましたし、私自身も金庫番も含むものと認識しておりますが、さらに確認のために野党提案側にも一言お願いいたします。

保坂議員 もちろん、私ども野党案でも該当いたします。とりわけ、実態として、政治家、公職にある者の資金の出し入れを管理し、これは政治資金規正法上の届け出をしているか否かにかかわらず、いわゆる裏金と呼ばれるものも含めて、粉飾処理あるいはさまざまな操作など任されるいわゆる金庫番、こういった存在は、これはもう私設秘書に該当するし、これ以上の政治活動の補佐というのはないのではないか、このように考えます。

阿部委員 その他、与党案と野党案の今回の提案の違いの中で、特に地方自治体の議員ないしは首長の秘書にかかわる部分と親族にかかわる部分が差異になってございますが、やはり現実にこの場で論じていることが実効性を持つためにも、具体的な事例に即して考えてみたいと思います。

 先ほど来、多少は触れられておりましたが、読売新聞の五月三十日付の夕刊一面トップは「鎌ケ谷市長逮捕へ」という見出しになっております。鎌ケ谷市と申しますのは千葉県にございまして、御承知おきのように、井上前参議院議長の選挙区でもあります。

 ここで起きました事例をめぐりまして、特に読売新聞で詳しく報道されておりますので、お伺いいたします。実は、この贈収賄をめぐりましては、皆川鎌ケ谷市長、そして川井助役という収賄側と、贈賄側として、いわゆる井上前参議院議長の私設秘書の野崎一雄氏と元政策秘書の半田好雄氏という方が贈賄の方で今回疑義に問われております。実はこの野崎一雄氏という方は、二十年前から皆川市長の誕生に関与し、いわば皆川市長と深い関係、それを秘書というかどうかは、ここがまたグレーになってまいりますが、深い関係にある中で、井上前参議院議長の私設秘書となりました。

 私ども野党が、いわゆる首長、地方自治体議員の秘書も含めて論ずべきと申しますのは、かかる野崎一雄氏のような存在があるからでございます。野崎一雄氏は、実はその前、友納武人、これは衆議院議員で、千葉の同じ地区の議員であられましたが、その方と深いかかわりがあり、その方の関係で皆川市長の誕生にまたこれは寄与しております。二十年間、皆川市長を支え、そして井上前参議院議長の私設秘書になられました。

 この事例について、果たして与党案ではこのような事態をどのように考えられ、あるいは処罰に、今回は井上前参議院議長の私設秘書になられておりますが、その前がございます。そして、二十年来の長い、ある意味での癒着が今回の事件を生んでおりますが、この事例についてお考えを与党側にまずお伺いいたします。

西川(太)議員 今、先生御自身もおっしゃいましたように、この件は贈収賄事件としてこの法律があろうがなかろうが立件できる案件であることは、ただいま先生御自身もおっしゃっておられたとおりだと私も理解をいたしております。

 したがいまして、今回、逮捕されました市長側の私設秘書的立場であったかどうかということは判然としないわけでございまして、今もお話しのとおり、この事件に限っていえば、国会議員の私設秘書であり、しかし、その方の指示を受けたかどうかは別として、いわゆる建設会社から、公共事業をめぐる贈賄側の立派な犯罪者としての役割を果たしているわけでありますから、これは、私どもは、私設、公設を問わず、その共犯者であればこれらは法の裁きを受けるのは当然であるということでございます。

 したがって、この事件についての感想はと言われれば、これは贈収賄事件ということであって、国会議員の私設秘書云々という問題では、この事件に限ってはないと理解をいたしております。

阿部委員 私は西川先生を大変尊敬しておりますが、でもしかしながら、そういうあり方では氷山の一角として現実に出たものしか贈収賄で罰していけないという、今の政治不信をそのまま引き継いでまた私たちは議員活動をしていかなくてはならない事態が生じると思っております。

 この一件というのは、先ほど私が申しましたように、二十年来の地方議員の、首長と国会議員との間をつなぐような方の存在があって、そしてまた新たな、井上前参議院議長という国会議員の問題が露見しましてから、初めてここで浮上したという形を持っております。しかしながら、物事はそのベースとなる部分がきちんとどのように規制されていくかということにおいて、法律は非常に意味を持つのだと思っております。

 もちろん、網のかけ過ぎはいけないというのは存じておりますが、先ほど中山委員の御発言の中にもありましたが、これからはますます地方自治体が自主課税権を持ち、そして、そこの中でのさまざまな贈収賄も行われていくときに、我が立法府にある者は、やはりきちんと事態を明確に把握し、物事に先んじて物が起こらないような体制をしいていかなくてはならない。それが野党案の地方自治体の議員、首長を含む、その秘書を含むというところの立法趣旨だと思います。

 この点に関して野党側の、私も一員ですが、意見を伺いたいと思います。

保坂議員 今回の法案は、いわゆるあっせん行為を行って、その報酬としてわいろを収受するということ、これについては、私ども野党案は、地方公共団体の議員や長であっても国会議員の私設秘書同様、このあっせん利得処罰法の保護法益を害する、これは言うまでもないことではないかと考えております。

 きょうの議論でもありますように、公共事業や口ききビジネスの現場は、何も永田町やあるいは中央省庁絡みということではありません。公共事業、公的融資をめぐってさまざまなあっせんとそして利得が行われているのは、むしろ地方にかなり目立ってきているのではないかということがありますので、私ども野党は、与党の皆さんの中からもそういう声がきょう聞こえてきたというふうに思います。ぜひ、この私設秘書は国会議員の私設秘書に限定をしないで、公職にある者の私設秘書というふうに地方議員、首長も含めるべきだと強く呼びかけてきているところです。

 そして、与党の方のお考えは、国会議員の場合には公設秘書がいて、公設秘書がいるから今回まで公設秘書だったところを私設に広げたと、地方議員には公設がないので、私設秘書は含めるわけにはいかないのだという御意見のようですけれども、私どもは、この法律は、あっせんをし、そして利得を得る、これは政治不信を増大させ、税金を横取りするということですから、これは中心は政治家にあるのであって、公設秘書にあるのではない。したがって、政治家が中心にあるのであれば、地方議員も首長も政治家ですから、その私設秘書が含まれるのは当然のことである、このように考えております。

阿部委員 時間の関係で、あと一点だけ指摘だけで終わらせていただきますが、実は、井上前参議院議長の奥様とこの皆川鎌ケ谷市長のお母様が高校時代の同級生でありました。やはり地方に行けば行くほど、親族、いろいろな関係で物事が……(発言する者あり)千葉を地方と言っては失礼です。ごめんなさい。失礼しました。起こってまいります。

 私は、たまたま医療現場ですので、医療ミスが起こるような体制そのものを問題にしていかなくてはいけないという立場で、あえていろいろな事態が起こるそのことの構造的な問題を問題にしたいと思い、きょう取り上げさせていただきました。また、参議院の側でもこの井上前参議院議長の問題をめぐって論議が深められますでしょうから、そうしたものを見きわめて、よりよい法案として成立することを私からもお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

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