第154回国会 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会
第6号(2002/06/05) 抜粋○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
本日の討論も私で最後ではございますが、今、私どもがこの国会で論じております政治への信頼ということが、どの程度国民にメッセージされているかということにおいて、私は、本日の論議も含めて、極めて不安に思うものです。
もちろん、マスメディアが取り上げておらぬというのもありまして、ワールドサッカー中であるというのもございますが、しかしながら、より大きな本質的な問題は、何が論点であるかということがわかりやすく伝わっていない。私は、その点が、逆に今一番政治への信頼を回復しなきゃいけないことを論じているこの場がメッセージできないことを、やはり非常に歯がゆくも思いますし、残念にも思っております。
そこで、まず、与野党の提案者の方々にお伺いいたします。
本日、いろいろな議論がございましたが、野党が出しております修正案は、地方の議員の秘書、私設秘書も含めて、あっせん利得罪の適用対象にすべきではないかということが一項目めでございました。
これに対してるる御意見はございましたが、逆に、なぜ地方の議員の秘書を対象に入れないのか。入れない理由を、もう一度与党側、明確にわかりやすく、国民にもああそうかと思える形でまず御提示をお願いいたします。
○西議員 お答え申し上げます。
もうこの問題については、再三再四質問もあり、また、それに対する答弁もございました。少し角度を変えてお話を申し上げたいと思います。
委員も御存じのように、あっせん利得処罰法というのは、つまり、処罰される人の身分に着目して成立している法律でございます。いわゆる国民一般に対しての法律ではないという意味では身分犯というふうに申し上げますが、ここで、犯罪の成立に犯人が特定の身分を持つということがまず大きな要素となっている犯罪ということでございます。
このあっせん利得の世界に公務員としての身分のない私設秘書をどういう形で入れていくか、これは大変私どもも悩んだことでございます。本来、私人でございますから、そういう形のものをどういう原則でどこまで入れていくか、それは多からず、また逸脱することのないようにというのが、この刑法における基本的な構成の要件としては大事なことだというふうに考えました。
本当にさまざまな検討を先ほど来ありましたように加えまして、私設秘書に対応する秘書の範囲といたしましては、御存じのように、今は、対象としては衆参の公設秘書ということが犯罪の構成要件になっておりますので、この公設秘書に対応する私設秘書の範囲として国会議員の私設秘書に限定せざるを得なかったというのが、今回のいきさつの大きなポイントである、こういうふうに私は理解をしております。
○保坂議員 お答えいたします。
今回、犯罪主体の範囲を、与党が国会議員の公設秘書に加えて私設秘書ということに限定しているのに対して、そもそも我々野党案どおりに、公職にある者のいわゆる政治活動を補佐するものというふうに、そこはしっかり地方議員や自治体の首長も含めようと。
実は、前百五十国会の与野党の議論は、私設秘書をいかに加えることができないのかという与党の主張と、それではざる法になるという我々野党の主張が、繰り返し平行線で闘わされたと思います。結果どうだったのかというと、やはり我々が懸念したとおりの事態が生起してきて、与党からも、国会議員の私設秘書についてはさんざんその論拠も示されましたが、そこは事実上撤回をして、私設秘書は加えるんだということになっていると承知をしております。
しかし、それではなぜ地方議員の秘書を加えられないのかという論拠については大変乏しくて、国会議員の場合には公設があるけれども、地方議員の場合には公設という身分の秘書がいないのでなかなか難しいという、かなりこれは苦しい答弁だと思います。与党の側が、国会議員の私設秘書を入れるに当たっては、国民から見た場合に公設と私設は分け隔てができない、議員、政治家と不可分一体で動いている、こうある以上はここを加えるということですから、地方議員についても、これは公職であるということは変わらないわけですね、公職にある者を補佐しているわけですから。
ここを加えないということをこれだけ議論してわかりながら、我々は、修正協議の一点目で、相当の時間もかけ議論もしようという姿勢でいましたけれども、議論の入り口でふさがれてしまうというのは、本当にこれは大きな論点を素通りしていくというような、残念な結果になっていると言えると思います。
○阿部委員 私も、そのように印象を受けるわけです。結局、国会の審議というものは、お互い論点をかみ合わせてよりよいものに向かっていくものでなければ、最初からさも修正は受け入れる余地がございませんというふうな態度であれば、そもそも審議など必要がないわけでございます。その点から申しましても、御説明の中に、私はやはり、地方議員の秘書を入れない理由というのが、今お聞きいたしましても一向に判明してまいりません。
既に百五十回国会でも、二〇〇〇年十一月に、ちょうど、たまたま東京都の中小企業向け制度金融に絡んで、都議会の山崎都議の秘書の方が、これは出資法違反という形で、あっせん手数料のことをめぐりまして逮捕されております。この一例をとりましても、現実に議員の政治活動にかかわる秘書が都議会の方にもおられて、その方をめぐっての公務員への口ききが問題になっているわけでございますから、起きた出来事に着目するだけだって、もっといい論議ができると思います。私は、今、一番信頼を得なきゃいけないこの場が、本当に内容が煮詰まらない論議に終始するということを残念に思います。
そして二点目、同じことが、今回、野党案、私も提案者の一人でございますから、その中に親族を含めよということを私どもは要求いたしました。
これについても事例がございまして、若干御紹介させていただきますが、半田前市長汚職の問題でございます。愛知県の半田市の市長だった方の奥様と御長男が水道工事会社をやっておられまして、そこへの受注、口ききの件に関してでございます。
やはり親族というものが、例えば、議員の奥様が何かの会社をお持ちとか御子息がお持ちとかいうこともたくさんございまして、そのことが即悪ではなくて、そのことがあっせん利得の一つの受注窓口といいますか、になってしまうことも含めて、野党案では、妻や子、親族を入れるように要求いたしました。この点についてもあえて拒否される理由を与党側にお伺いいたします。
○西議員 親族の問題を御指摘になりました。
委員も御指摘のように、刑法の基本的な役割としては二つあるというふうに言われております。
一つは、刑法、法律を制定することによって犯罪を予防し、そして法益を保護することによって社会秩序を維持する、こういう大きな役割がございます。
第二の目的としては、法益の保護、そのことによって社会的な秩序を維持する、そういうことだけではなくて、市民の権利、自由、これがやたらに侵害されないように、きちっと犯罪と刑罰の適切な内容があらかじめ明らかにされて、そして国家による刑罰権が恣意的に発動されたり、こんなことがないというような、二つの側面を持っているというふうに、これは刑法の基本的な役割として言われているところでございます。
そんな中で、今回、親族を入れるという議論がなされているわけですが、親族を入れることによって、これは限界が、一つは、どこまでが親族なのか、どこまでが対象なのかということが、議論をしていっても、正当な一つの範囲というのは多分見つからないであろうというふうな気がいたします。
さらに、それよりも問題なのは、先ほどの原則にかんがみますと、国会議員の公職にある者の政治活動に全く関与をしていない親族もたくさんいるわけです。公職にある者の持つ、本人の持つ影響力を借用して、そして行使し得ない親族まで処罰の対象に加えていく。あらかじめ処罰の対象としてといいますか、処罰対象として加えていくということに私は大きな問題があり、また、さらに言うと、法のもとの平等という、生まれた後の立場とかそういうものにまで踏み込んでいくおそれがある問題ではないかというふうな認識を逆に持っております。
そんな意味で、今回の親族ということについては、非常に難しい問題であり、私どもも確かに議論はいたしました。しかし、そんな中で、今回のいわゆる私設秘書の拡大によって、親族の中でももっと広い範囲の親族の中にも、実質的な私設秘書の対象者であれば当然のこととして本法の適用範囲に入るということで、私どもはそういう理解をして今回の法律を制定させてきた、こういう経緯でございます。
○阿部委員 その点に関しましても、野党案の趣旨を十分御理解ではないなと思います。親族の規定も野党案もきちんと出してございます。ただし、そのことは次回の論議に譲らせていただきます。
私はきょう一日この論議に加わりまして、約一昨年の論議のときと、本当に何が変わり、何が変わっていないのか、与党が後ろ向きであることが変わっていないという一点だと思います。例えば、一年半前の論議では、定義困難な私設秘書、刑法のあっせん収賄罪は私設秘書を対象としていないのに、より軽い罪のあっせん利得罪に私設秘書を含めるのはおかしいとか、これは当時の反対理由を私が読んでおりますのですが、あるいはまた、私設秘書が国会議員の命令を受け、議員のかわりにあっせん行為をやったら、議員本人が処罰の対象となるんだから私設秘書は要らないとか、一つ一つおっしゃったことを、当時の議事録を振り返って、そしてきょう、保利先生は大変誠実な方ですから、御答弁がございましたが、いろいろ言うけれども、この間のこともあったんだし、まあ私設秘書は入れたんだよと流すようにおっしゃいました。当時の御答弁を一つ一つ着実に振り返ってみて、なぜあのときは入れないと言い、今回は入れると言ったのか、よくよく与党サイドは検討していただきたいと思うのです。
そして、私はきょう委員長にお願いがございますが、やはりこのことに一番深く関心を持っているはずの国民にメッセージが届くよう、国会の外からの参考人聴取ということも理事会で御検討いただきますようにお願い申し上げて、より論議が深まることを期待して、私の質問を終わらせていただきます。
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