第154回国会 予算委員会 第10号(2002/02/14) 抜粋 ○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
皆さんにお知らせしてある質問の順番を、恐縮ですが、金融大臣のお時間の関係で、最初にデフレ対策のことから触れさせていただきます。
まず、竹中経済財政担当大臣にお願いいたします。
昨日、小泉首相の方からの御指示で、デフレ対策ということで、先ほど五十嵐委員の御質問にもございましたが、不良債権処理の促進、日銀による一層の金融緩和、株式市場の活性化、中小企業対策の四点をお述べになりましたが、一応この四点でよろしゅうございますでしょうか。竹中大臣にお願いいたします。
○竹中国務大臣 先ほど委員御指摘の問題に加えて、金融政策の話をさせていただいたと思いますが、金融を入れて五点ということになると思います。
○阿部委員 そういたしますと、金融システムの安定化ということを先ほど確かに五点目におっしゃいましたが、その一つの解決策として、公的資金の注入というチョイスもあるかと存じます。
そして、もしも公的資金の注入、先ほど五十嵐委員の御質問では、今はその判断の時期であるという御質問もございましたし、私もそう考えておりますが、もしもこのことを竹中大臣が実施なさるとした場合に、このことが銀行救済だけに終わらないための諸策、これは先ほどの御質問にもございましたが、かつて公的資金の注入もございましたが、それがほとんど、現在また同じような危機がめぐってきているという中で、今度新たに公的資金の注入をやるとすれば、そのことが有効に運営されるための諸策について、まず竹中大臣の御所見を伺いたいと思います。
○竹中国務大臣 これは委員よく御存じだと思いますが、銀行監督の行政は、御担当は柳澤大臣でいらっしゃいます。私の方は経済政策全体の取りまとめということになるわけでありまして、そういったことも含めて議論はしなければいけないというふうに思っておりますが、これは基本的には、政策の中でも非常に特殊な、当局がある問題であります。この銀行監督の当局が現実に応じて適正に御判断されるという問題だと思います。
○阿部委員 私の御質問はもう少し意味がございまして、今、日本の経済状況を考えますと、空洞化を含めて経済そのものの実体が陥没しておるということで、そのことについてやはり経済担当の竹中大臣にあってもお考えがなければ、このことはまた同じような公的資金の注入だけに終わるのではないかという懸念を述べさせていただきました。ただし、今御答弁でそれ以上の内容が得られませんと思いますので、大変恐縮ですが、また引き続きにさせていただきます。
同じ御質問を柳澤金融担当大臣にお願いいたします。
○柳澤国務大臣 金融システムの安定ということを今度のデフレ対策でよく検討するようにということを総理から指示をされたわけですけれども、もちろんその中に、阿部委員の御指摘になられるような点というものがここに含まれていないんだというようなことを言い張るつもりはないんですけれども、しかし、ペイオフを控えて、その前にきっちり金融の検査をやり、それで監督もして、そうして四月以降の金融機関についてはみんな健全なものにしていく。つまり、金融検査監督をしっかりやって、そういう体制をつくろう、つくれ、こういうこともまたそこに含意されているというふうに、これも排除する必要はない。つまり、金融システムの安定というものを広く総理はおとりになっているんだろう、こう思います。
したがって、阿部委員の御質問に答えますと、今まで言っているのと違って、柳澤も何か頭のどの辺かにそういうものが念頭にあるかのようにとられるということにもなりかねません。
我々は、本当にしっかりと金融機関を見ているんです。今、竹中大臣がいみじくも広い範囲で言ってくださったんですが、まさに当局なんですね。金融監督当局なんです。まさに当たっている部署なんですね。そういうことを責任を持ってやらせていただいているということなものですから、そういうことは今私どもの認識の中には入っていないということをかねて申し上げているわけでございます。
なお、資本が入った場合にそれがどういうところに使われるかということは、これは、お金に色目がついておりませんので、資産の側ではいろいろなことに使われるというか、そういうことでございます。資本ということですから、それが、入れた分だけが、変な、すぐ破綻をするようなところに融資されちゃって、それですぐ不良債権になっちゃうというのではこれはもう話にならないわけでございますが、そうでない以上、資本として、危機というかリスクに備える基盤になるということが一般論として言えるかと思うのでございます。
○阿部委員 この金融システムの不安定ということについては、柳澤金融大臣にも私が財務金融の委員会でも何度も御質問申し上げて、お考えとして、現段階で公的資金の注入は選択肢の遠い一つにはあろうかと思うが、金融監督庁から金融庁になり、諸般の業務を行う中で、今は銀行の健全性は自己資本比率を初めとして保たれておるんだという御発言は何度も伺いました。
ただしかしでございます、そうした御認識と実態がずれているということもあるのではないかということがずっと指摘されており、そして、このデフレという認識も今の政府内でも一致した中にあって、私は、あえて言えば、そのときにとり得る一つのチョイスとしてそれを選択して、なおかつその先をどうなさるかというふうに非常に好意的に聞いたつもりでございますが、現段階で考えていないというお答えですので、また引き続き委員会で詰めさせていただきます。
では、竹中経済財政担当大臣と柳澤大臣にはどうもありがとうございました。
続いて、塩川大臣にお願いいたします。
このデフレという事態、かなり国民は深刻に受けとめておりますし、塩川大臣にあってもそのようだと思いますが、再度、失礼ですが伺わせていただきます。
現在の経済状況認識について、このことはもちろん直接の担当ではございませんが、不良債権処理も含めて、不安定性があるのであれば公的資金の注入ということもあり得るという判断をなさるのかどうかということも含めて、もちろん直接の担当部署でないのは存じておりますが、塩川大臣の御判断というのは現政府の中でも重要と思っておりますので、現状認識についてお伺い申し上げます。
○塩川国務大臣 私は、必要あれば公的資金を注入することもやむを得ない、むしろ、注入することによって、解決を促進し、経済の活力をつけていく上において有効な手段になってくると思っております。
ただ、その場合、先ほど来御質問ございますように、三年前、金融再生法に基づきまして金融機関の体質改善のためにやった公的資金の注入と、今回やらなければならないとするならば、その意味合い、位置づけといいましょうか、効果というもの、ねらっていくところはおのずから違ってくるということも言えると思います。その点を十分に勘案し、御心配しておられるように、また食い逃げされるんじゃなかろうか、そんなことのないようなことをきちっとした上での注入ということはもうもちろんのことだと思っております。
○阿部委員 閣内不一致を言う声もございまして、私も、今の御答弁だと、柳澤大臣と塩川大臣、不一致があると認識いたしますが、ただしかし、今の塩川大臣の御発言は、政治家としてはきっちりとした見識をお持ちと思いますので、きょうの段階では、そうした前回の公的資金の注入の二の舞を踏むことのないような、新たな展望を持っての政策を考えているというふうにお答えを受けとめさせていただきます。どうもありがとうございました。
引き続き、坂口厚生労働大臣にお伺いいたします。
今塩川財務大臣にお伺いいたしましたような現在の経済情勢認識、デフレということが、デフレスパイラルに陥るかもしれないというふうな厳しい経済情勢下にあって、私は、今回小泉首相が頑迷に固執された、サラリーマンの自己負担三割を先に決めて、痛みを先に決めて、その後改革を考えていこうというやり方は、政治家として大きな誤りがあると認識をしております。
このデフレ下に、あるいはデフレスパイラルに陥らんとするときに、あえて自己負担、もっと痛みを、この痛みを前面に立てて政策を遂行なさる、このことが果たして正しい政治的判断や否や、坂口厚生労働大臣のお考えを伺います。
○坂口国務大臣 経過はいずれであれ、私もそれに合意したことには間違いがございません。そして、これから先の医療制度を考えていきますときに、やはり、人生九十年時代を迎えますこの世界の中で、医療制度をどういうふうに持っていくかということを今は真剣に考えなければならないときを迎えているというふうに思っております。
そうした意味で、平成十五年四月一日からということでございますが、その三割自己負担の前に我々のやらなければならないことがある。それは、国民の皆さん方から御理解のいただけるような改革、抜本改革をなし遂げて、そしてその暁において三割自己負担を皆さん方にお願いするという手順を間違ってはならないというふうに自覚をしている次第でございます。それを来年の春までに責任を持ってやり遂げたいというふうに思っておりまして、私自身、そのことに対して責任を持ってやり遂げたいと自覚しているところでございます。
○阿部委員 そういう決意と認識がおありなことがわかった上で、でもなおかつ、今サラリーマンに負担を強いることを前面に押し立てて、それが譲れないまず第一歩であるというふうに政策として打ち出されることの是非を私は伺いました。
なぜならば、一九八四年にサラリーマンの負担が一割負担になりましたときに、やはりそのときも同じような受診抑制が起こりまして、これは、当時日雇い健保というのがございましたが、日雇い健保の方々の受診抑制が一番きつうございました、一八・四%程度低下。一般的には受診抑制は四・七%でございましたが、やはり明らかに、自己負担増は、同じ職種の中でもより所得の低い、階層的にきつい部分に大きな抑制を来します。
そして、今回、二割負担になりましてから、平成九年だったと思いますが、まだわずか数えて四年でございます。今回三割負担を打ち出されるのであれば、二割負担になさった後のサラリーマンの受診抑制の現状、そして、本当に悲しいことに、この層は今一番自殺が多く、そして私の身の回りでも四十代、五十代で病に倒れる友人が後を絶ちません。この国を一番支える働き手の皆さんでもあります。やはり私は、物事と施策を間違えば大きくこの国を滅亡させるというほどに今回の改革は改悪である、時局を考えましても、それから及ぼす影響の深さを考えましても非常に重大なことと思っております。
坂口厚生労働大臣にあっては、一割負担のときからもう既に政治の世界におられたやもしれませんが、一割負担、二割負担、三割負担と上ってきたサラリーマンの自己負担の中で、果たして勤労者はどのような受診状況、疾病状況、そして本当に今、自殺者が三万七千人に及ぶか、こうした時局で、このことがなお打ち出すべき当初の政策であるとお考えでしょうか。もう一度お願いいたします。
○坂口国務大臣 前回の、一割から二割になりましたときに、その翌年の受診抑制がありましたこともよく存じております。
そうした過去の問題につきまして、我々はよくそこを見なければならないというふうに思いますが、過去を見ると同時に、やはり前方を見て将来のことも考えなければならないわけでございます。それらを両方にらみながら、どうしたらいいか。この急激に進みます少子高齢社会の中で、現在の皆さん方が医療制度を享受できるのと同様に、これから先の皆さん方も同じように医療制度を受けることができるようにするためにはどうすればいいか、現在と将来とを両方見ながら決めていかなければならないというふうに思います。
したがいまして、そうした今御指摘の点も十分に踏まえながら、できる限り低所得の皆さん方には御負担が多くならないように、低所得の皆さん方に対する配慮も行いながら進めていきたいというふうに思っているところでございます。低所得のところも、今までは〇・七%ぐらいのところでございましたが、それを一五%までその枠を広げるといったようなこともその中に含めているところでございます。
○阿部委員 ただいまの御答弁ではございますが、実は、二割負担に引き上げましてから引き続いて三年間受診抑制があり、いまだに当初の受診率には回復しておりません。このことは、私が何度も申しますように、この国を支える一番働き手の方々が早期に受診し、健康管理をし、よりよい家庭生活、職場生活、そして、あえて言えば老後の生活までを本当に人間らしく生きるための諸権利を奪っていることであると思います。
加えて、先ほど春名委員の御質問にもございましたが、今この層を直撃するリストラのあらしは本当にひどいものでございます。しかるに、予算の中で、どなたかの質問にもございました、雇用に対して充てられた対GDP比はわずか〇・五%と、本当に、働くことの保障もなく、病、体、健康についての保障もなく、果たしてこの国が立ち上がれるのか否か、よくよく坂口厚生労働大臣から首相に御進言いただきたいと思います。私は愚かしいにもほどがあると思います。
そして、果たして今このことを決めておかなければ将来の御老人あるいは弱者に対して配慮を欠くことになるか否かという点に言及されましたので、そのことについても私は御質問がございます。
実は、今回の医療制度改革の中で、サラリーマンの三割負担もさることながら、それ以前に、ことしの秋から、御高齢者の一部、六百三十万以上の年収の方について、患者本人二割負担にしていこうという案がございます。もちろん、この件はまだ確定までに数カ月を要するものかもしれませんが、これは御高齢者が、それほど論じられておりませんが、まず直撃されております。もちろん、先ほど申しましたサラリーマン層にもきつい改革でございます。
そして、この御高齢者で、ある収入以上の方は窓口負担を一割じゃなくて二割にしようという考え方は、収入によって窓口負担が変わるという、これまでの保険制度ではなかった考え方でございます。これは、保険料を払うところで既に収入に応じた保険料を払っておるわけです。かてて加えて、窓口でも、あなたは収入があるからお払いなさいという考え方をとることは、私どもの依拠している保険制度の考え方からは大きく逸脱してくるもとをつくると思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
○坂口国務大臣 今御指摘をいただきましたことはそのとおりでございまして、そのとおりでございましてというのは、事実関係はそういうことでございますが、やはり高齢者といえども、所得のある皆さん方に対しましてはそれ相応の御負担をいただかなければならないという考え方に立っております。お若い皆さん方の平均賃金を見ましても、御夫婦での六百三十万という額に達していない皆さん方にそれ応分の大変な御負担をいただいているわけでございますから、高齢者といえども、所得のある皆さんにはどうかひとつ御負担をいただきたい、そしてみんなで支え合う社会をつくっていきたいというのが基礎的な考え方でございます。
したがいまして、その皆さん方にも、それは一割にしろという御意見もあることも十分に存じておりますが、全体としての財政を考えましたときに、高額の所得の皆さん、まあ高額と言えるかどうかわかりませんけれども、やはり、お若い皆さん方と比較をしてそれなりの所得をお持ちの皆さん方に対しましてはお願いをしたい、そういう考え方でまとめた次第でございます。
○阿部委員 そのことは、一見平等に見えて、しかしながら、続いて、高額なサラリーマンには窓口負担も多くしましょうという考え方にも相通じてまいります。
何度も申しますが、保険制度は、自分が払う保険料のところで収入に応じた拠出、お金を掛けているということでございますから、その窓口負担を収入に応じて変えていくという考え方自体が私は問題であろうというふうに申しました。
そして、それが、今おっしゃったことはすべて、サラリーマンの本人負担も、ある程度の収入のある御高齢者負担も、みんなみんな国民、患者負担でございます。しかしながら、例えば御高齢者の医療にあっても、日本はある意味では破格に少ない国庫負担でこの医療保険財政を賄っておると私は思っております。ちなみに、アメリカではメディケア、メディケードという形で、御高齢者のメディケアは全額税で負担されております。その中間をとった我が国が、保険と税のミクスチャーという形で始まったわけですけれども、それでも、今回の三方一両損には国庫負担増はございません。こうした中で、今、私が何度も申しますのは、この経済状況下で本当に国民にこれ以上負担を強いるようなことから始めるべきかどうかという、政策、政治、高度な判断でございます。
そして、あわせて、私は、坂口厚生労働大臣でなくてはできないことを実はしていただきたいと思っております。こうした不毛な政策よりも、むしろ、今一体この社会の需要はどこにあるかということでございます。あるデパートの店長が上から下まで自分のデパートを見て歩いたが、買いたいものはなかったということが出ておりますように、今の消費デフレ、このことの中にあっても、実は、健康ということに対してだけはいや応なくある程度の支出をしていかなくてはならない。非常に、その意味では、より良質なものを提供することによって、ある意味でそこに新たな消費も喚起できる分野です。
坂口厚生労働大臣にお伺いいたしますが、日本の医療費の対GDP比、アメリカでは一三%、日本が七・六%と思いますが、この数値についていかにお考えでしょうか。
○坂口国務大臣 単純に比較をいたしますと日本の方が低いことは、今御指摘のとおりでございますが、しかし、全体の保険制度のあり方やあるいは社会全体の仕組み等も踏まえまして、全体でやはり比較できることと比較できにくいこととがあるわけでありまして、単純にその数字だけを比較することは私はできないというふうに思っております。
全体で見ました場合に、日本の医療は確かに少ない財源で大きな効果を上げていることは事実でございます。このことは、一方で私は評価をすべきことであるというふうに思っておりますが、しかし、さりとて、何でもかんでも出さなくてもいいかといえば、それは、必要な部分にはやはりお願いをしなければならない。それは塩川財務大臣にもそういうふうにお願いをしているところでございます。
○阿部委員 私も坂口大臣も医療分野におりましたから、日本の医療が、例えば世界一低い乳幼児死亡率とか御高齢者の長寿とかを達成してきたこと、そして、それも比較的コストを安く、比較的でございます、達成したこと、それから国民皆保険制度をしいてアクセスをよくしたことの二つを評価しながら、しかしなお欠けているものは何かと考えたときに、いわゆる医療の質の問題であろうと。
多発する医療ミスということはもちろん、三分診療、さまざまな問題が質の面ではあろうかと思いますが、私は、今あえてこの質問をいたしましたのは、坂口大臣もずっと医療をやってこられた中で、何が一番我が国の医療の質をよくしていくことか。とりわけ、圧倒的に少ない医療労働者、特に看護婦さんの比率で見れば、同じベッド数に対してアメリカの五分の一、イギリスの三分の一という形で行われている医療の実態の中で、逆に言えば、これからますます少子高齢社会で必要となってくるものは、多くの介護や看護や医療の担い手である。この人的な要素、これは言葉をかえますれば雇用の創出ということにもつながってまいりますが、日本では総労働人口のわずか五・六五%が医療従事者でございます。これが、先ほど竹中大臣のお答えにもありましたが、これから雇用創出をしようといった場合に、本当に高齢社会に見合うような雇用創出と経済効果、そして国民の納得できる医療を提供することができるという一つのかぎ、高齢社会のキーになるマターと私は思っております。
そこで、坂口厚生労働大臣、あえて言えば、やみくもに医療費を抑制しよう、抑制しよう、私は、必要な抑制はすべきと思います。ただし、今の質をこのままにしておいて抑制し、弱者に負担をかけて医療から遠ざけるような方法をとるよりも、今の我が国の高齢社会に本当に見合う医療の姿、それは、働く人々の数の問題も含めてどのように考え、それが医療経済あるいは日本の経済にどのような貢献を加え得るべきかということも含めて、坂口厚生労働大臣であれば御提言できる立場と思い、強く期待するわけです。
先ほど申しましたが、我が国が今後高齢社会ということを控えて、今非常に少ない人数で、ある意味ではGDP比も低くやっておる医療ということについて、もう一度、坂口厚生労働大臣の御見識を伺います。
○坂口国務大臣 医療財政全体は一兆円ずつ毎年ふえてきているわけでありますから、ここに対してどう抑制していくかということを考えなければならない一方において、人の配置におきましては、今、阿部委員が御指摘になりましたとおり、ここはやはり積極的に配置をしていくべきだというふうに私も思っております。しかし、これを達成いたしますためには、どうしても他の分野でむだがあるところは積極的にこれを排除していかなければならないというふうに思います。その中には、厚生労働省自身がやはり痛みを感じてやらなければならないことも多いと思っております。
それから、現在の診療報酬体系におきましても、もっと節減すべきところはある。現在の診療報酬体系の中で何が一番大事なのか、その報酬の一番の基礎になるところ、一番の基準になるところは一体何なのか、不明な点がございます。これらの点も明確にしながら節減すべきところは節減をして、そして、そこから出てきました財源は人の配置の方に回していくべきだと私も考えております。
○阿部委員 今、日本の国の中で一番不足が言われております小児医療は、薬剤の投薬量が少なく、検査もほとんどなく、ただし人手がかかるということで、非常に医療経済的にも片隅に押しやられ、結果的に小児が入院できる病床数は圧倒的に少なく、また、小児科医のなり手も少ないという中で、逆に少子高齢化の喫緊の課題となっております。
そう考えましたときに、私は、物事は抑制すべき順番というのを間違えれば大きな禍根を残す、診療報酬上はもっと人手に厚く、これがまた新たな雇用の創出にもなる、国民の納得にもなるということで、坂口厚生労働大臣に、より本当に国民の医療という観点に立った見識を示していただきたい。
あわせて一言お願いがございますが、いわゆる研修医問題においても、アメリカにあっては研修医一人につき十万ドルの予算がつき、その中で四万ドルが給与に払われ、残り六万ドルで教育のさまざまなスタッフが整えられております。
我が国においても、平成十六年度から研修医の義務化の中でございますが、予算措置は一切明らかになっておりません。国民の医療、それから医療従事者の質の向上、この双方の観点から、研修医問題についても、また次回、私が御質問を重ねさせていただきます。
時間の問題がございまして恐縮ですが、農水関係の質問に移らせていただきます。
まず、武部農水大臣にお伺いいたします。
先回の予算委員会でも私がお伺いしたことですが、いわゆる狂牛病の発生、伝染、伝染と申しましょうか、伝播問題についてでございます。
昨日の夕刻の報道にもございましたが、イタリア政府の肉骨粉が加圧不十分でプリオンの混入等があるやもしれないという報道も載ってございますが、この件について、現下の農水省の対応をまずお教えくださいませ。
○遠藤副大臣 阿部委員からは大臣への御指名でございますが、私、イタリアへ行ってまいりまして帰ったばかりでございますので、その件に深くかかわりを持っていますので、お答えさせていただきたいと思います。
今回の訪欧に当たりまして、日程を組むに当たりましては、イタリア政府との日程を組むのに非常に手間取りました。そこで、出発するに当たりまして、文書で私の訪問の目的を告げたところであります。それはどうしてかというと、再々この席やあるいは農水委員会でも御指摘があり、かつまた御答弁申し上げたように、イタリア製の肉骨粉には疑わしきものというか、完全にシロとは言えない部分があった。それを確認に行ってまいったところでございます。
シルキア保健大臣とお会いいたしました。実に誠実な方でありました。一緒におられた獣医局長さんから聞きましたところ、二月五日に我が国から出した文書に対して、異例の早さですが、二月八日付で返信がありました。その中身は、加圧していなかった、いわゆるOIE基準によって、百三十六度、三十分、三気圧というその三気圧の部分、湿熱による加圧がなかったという回答であったわけであります。
そこで、これまで加圧しておったという公式文書をよこしたものとの整合性はどうなんだということをお聞きしました。しかし、先方も大臣でございますから、私は、イタリア政府を詰問したり責任を問うたりしておるのではない、真実を知りたい、実際はどうだったんだと。そうでなければ、ルート解明や感染源の追及にも至らないのではないか、お互いの国のためにも真実を話してくれということをお願いしてまいったところ、そのような回答でした。
ただ、しかし、ルートをこれで確定したとか、これが感染源だということを特定できたというものではないのでありまして、これから検証しなきゃならぬと思っています。
○阿部委員 新聞報道等の域を出ませんので、私は、それがもしもイタリアからの肉骨粉にそのような可能性があった場合、次に農水省としてどのようなアクションをなさるかということをお伺いしたかったのですが、また次回、御答弁を求めたいと思います。
そして、同じくオランダルートの問題も再度お伺いいたします。
この件につきましても、さきの予算委員会で私が質問しまして、今オランダからの報告を待っておるということでしたが、この件については、武部大臣、いかがでしょうか。
○武部国務大臣 一例目から三例目までの農家において、同一の銘柄ではございませんが、共通の成分が含まれている代用乳が使用されているということが判明したわけでございますが、その原料として、BSE発生国であるオランダから輸入された動物性油脂が使用されていたということでございました。このため、担当官をオランダに派遣いたしまして調査を行ったところでありますが、現地調査においては、当該動物性油脂は大部分が牛脂とカゼインとを混合した粉末油脂であったことが確認されまして、牛脂については、BSEの感染性のない牛の脂身であるとの回答を得たところでございます。
現在、持ち帰った調査書類によりまして、BSE原因究明チームにおきまして、このことが確認できるかどうか等についてさらに詳細な分析を行っているところでございますが、日本への輸出には複数の粉末油脂の製造工場四社がかかわっていること、さらに、その粉末油脂の製造工場は複数の動物油脂の製造工場から原料を調達していること、また、当時原料を供給した工場で既に閉鎖されているものもあることなどから、調査書類に基づく製造、流通過程の分析に時間を要していたところでございます。
現在までのところ、我が国の感染牛の生年月日から推測いたしまして、関連の可能性の考えられる九六年五月以前に輸入された粉末油脂の数量、輸入時期、粉末油脂の製造工場、原料油脂の製造工場等が判明したところでありますが、さらに、原料油脂への不純物の混入可能性の有無等について分析を進めているところでございます。
阿部先生からは質問主意書でもこのことの御指摘がございまして、大変おくれていることを申しわけなく思いますが、なお、二月中には分析を終了できるよう事務方に作業を急がせている次第でございます。
○阿部委員 いずれにしましても、この感染源の問題は早急に解決していただかないと、いつまでたっても不安が消えていかないという悪循環を生むものと思います。早急な御返答を私の方からもお願いいたします。
引き続いて、雪印問題に移らせていただきますが、これもさきの予算委員会で私が農水省の須賀田政府参考人にお尋ねしたところで、ちょっと事実と反する御答弁がございましたので、まず訂正をお願いしたいと思います。
私が、畜産事業団で検品にかかわる人数が何人ですかという問いをいたしまして、須賀田参考人の方から百八十人ですという御答弁でしたが、これは私が申しました十人ということでよろしゅうございますでしょうか。
○須賀田政府参考人 前回、先生の御質問で、検品体制はどうかということで、検品に従来当たっておりましたのが農畜産業振興事業団でございましたので、その職員数百八十人とお答え申し上げました。前の体制で当たっておりましたのは、実際には百八十人のうちの十三名でございまして、まことに申しわけございませんでした。陳謝して是正させていただきます。
○阿部委員 私が問題にいたしましたのは、わずか十人とか十三人の体制で本当に国民の税金を使った買い取り作業が正しくできるのかどうかという点でございました。
あに図らんや、きょうの新聞にも出ておりますが、肉の買い取り申請業者の名すら把握しないまま、畜産事業団では検品をやっておったと。ここに書いてございますが、食肉業者名の記入欄がないもので検品をなさっておったということでございますが、この点も確かにそうでございましょうか。
○須賀田政府参考人 この事業は、たしか十月二十六日に実施要領を定めまして、十月十七日以前の肉を急いで市場隔離するという事業でございましたので、助成の主体が全国団体といたしまして、会員から適正に買うであろうということを一定の前提として仕組んだものでございます。
したがって、買い上げる全国団体が所管している在庫証明、これでチェックしていくという体制をとっておったわけでございますけれども、今般ああいう事件が生じましたので、大臣からの強い指示もあり、検品体制を強化せよということで、団体に対しては自主点検を求めましたし、我々もそれまでの検品体制を格段に強化いたしまして、全倉庫、全ロットを見る。さらに、そのロットの中で少しでも問題のあるものがありましたら全箱をあけて見るという体制にいたしまして、この人員も、一チーム五人から七人のチームを十から十五チーム一日当たり平均で編成をいたしました。今後、検品状況によりさらに増加する可能性はあるんですけれども、延べ七千人を動員いたしまして、順次全国の倉庫の検品に赴くという体制をとったところでございます。
○阿部委員 それでも、食肉業者名の記入がなければ、その検品しているもの自身がどこから来たかわからないと思いますが、この食肉業者名の記入がないということについてはどのように改善されたのですか。もう倉庫に預かってあってそれに記入がないのですから、その段階はどういうふうに指導されているのですか。
○須賀田政府参考人 先ほど申し上げましたように、この事業を仕組んだ当初は、短期間で市場隔離を行うということで、その事業実施団体が末端会員等から買い上げるに当たりましては、両者間に一定の信頼関係が存在するということを前提として仕組まざるを得なかったということで、事業の実施上、特に会員等の名称まで求めることはしなかったわけでございます。
ただ、今回こういう事件が発生をいたしましたので、現在、この事業実施六団体を通じまして、その牛肉の買い上げ先となっている各会員等の名称と数量につきまして把握して報告するようにということをしております。相手方のあることでございますので、各会員の同意が得られましたら公表というようなことにしたいと考えておるところでございます。
○阿部委員 ただいまの御答弁にもやはり少し勘違いがあるのではないでしょうか。
農水省は、当初は食肉業者に牛の解体日時を示す食肉処理証明書の添付も求めたが、一週間後に農水省側が業界団体に示したひな形では、そのもともとの業者の解体年月日の証書が要らなくなっていた。当初は求めていたものを、農水省が途中でひな形に入れずに示したために起きていることですね。
それから、私の時間の関係で続けて言わせていただきますが、やはり、国民の税金二百九十三億を用いて行っている事業を管轄する農水省といたしまして、余りにもずさんの一言に尽きると思います。私は、雪印も問題がございますでしょうが、やはり国の行政そのものがきちんとしたチェック体制にない、後手後手に回るということが不安を増大させ、社会不安まで来しているということについて、しかるべく農水省そして担当大臣がきちんと御認識いただきたい。
御答弁を最後にお願いいたします。
○武部国務大臣 断腸の思いで国民の血税を使わせていただいたこの事業でございます。かような悪質きわまる事件が発生してしまったということにつきましては、国民の皆様に私は心からおわびを申し上げなければならない、かように存じている次第でございます。
この事業は、ただいま局長から御説明申し上げましたように、もう短時間に一気にやらなければならないという、そういう必然性がありました。したがって、団体等、各会員の皆さん方にも善意を前提で御協力をいただくということでやったことでございます。
しかし、かようなことが起こったということで、今後、検品についても、全倉庫、全ロット体制をしいて、今お話のありましたように、七千人、まだこれはふえるかもしれません、厳正を期して努力をしていきたい、かように考えておりますので、御理解のほどお願いいたしたいと存じます。
○阿部委員 須賀田参考人の御答弁の、例えば検品体制にかかわる人数の誤解、御存じないということ一つとっても、農水行政というのは極めて、本当に安易にずさんに行われていると私は思います。そのことが国民の不信と不安と混迷を深めているということを再度指摘して、農水大臣にも深い御認識の上に立った行動をお願いするものです。
ありがとうございます。
○津島委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。
次回は、明十五日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
第154回国会 国会活動コーナーに戻る 阿部知子のホームページに戻る