第154回国会 財務金融委員会 第1号(2002/01/25) 抜粋

議事録全文(衆議院のサイト)

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日が第百五十四通常国会の最初の財務金融委員会ですので、おのおの財政担当そして金融担当大臣に概略的な御質問をさせていただきます。

 まず、柳澤金融大臣にお願いいたします。

 昨年の暮れから今年の初頭にかけて、とりわけ年頭の小泉総理の御発言等々の中で、いわゆる金融危機を起こさないためにはあらゆる手段を講ずるという御発言が随所で見られております。

 もちろん、総理の御発言ですから、柳澤金融大臣にあっては私ではないとおっしゃられるかもしれませんが、一応全体の、内閣での受けとめ方ということにかんがみまして、まず、言葉だけではひとり歩きいたしますので、この金融危機と申しますのは、実際にはどのような事態、一つは言葉の定義、それから状況として何が生じた場合に金融危機というふうに認識いたしますものか。柳澤金融大臣のお考え、そしてもし小泉総理との間にそごがあれば、その点についてもお聞かせくださいませ。

柳澤国務大臣 金融危機というのはどういうものかということですが、これは法律の規定から我々これを読み取るわけでございますが、国及び地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障を生ずるおそれがあるという事態というふうに考えております。

 どういう状況かということでございますけれども、これについては、具体的にどういう状況だということを申し上げるということはこれまで差し控えさせていただいたわけでございます。ただ、そうはいっても何にも言わないということではやはり全然イメージもわかないじゃないかというお話に対して、これは従来から申させていただいているわけですけれども、やはり他の金融機関の連鎖的な破綻が発生するような場合、それからまた、他の金融機関の資金繰りが連鎖的に困難になる場合、さらに言えば、かなり程度のきつい貸し出し抑制とか回収というようなことを通じて資産の圧縮を進める動きが生じている、あるいは生ずるおそれがある場合といったようなことがその状況ということでございます。

阿部委員 昨日の予算委員会の中で柳澤金融大臣がお答えになっていたのは、もう一点、銀行が債務超過ということ、この中の、今のどれかに当たるといえば当たりますが、債務超過になった場合というのも挙げられておりましたが、一応それでは概略四点ほどだというふうに認識いたしまして、そして特に、先ほどの吉井委員の御質問にもございましたが、貸し出し抑制ということに関して、強い貸し出し抑制とは何を意味するのでしょうか。

 金融大臣の今の三番目のお答えでしたが、今中小企業等々はなかなか借りられないというふうに受けとめておられるわけですね。強い貸し出し抑制というのは、何でもそうですが、ある程度のやはり具体性がないと、何をして危機というか、何をして次の手が打たれるかというところの国民的合意は必要と思いますので、今の御答弁の中の、強い貸し出し抑制というあたりは何を意味しておられますでしょうか。

柳澤国務大臣 まず阿部委員に申しますが、私が債務超過ということを申したということで、先ほど私が言った三つの状況にさらに加えられたわけですが、これは破綻ということでございますので、それを言いかえたということでちょっと御理解をお願いしておきたいと思います。

 それから、どのくらいの貸し出し抑制かというようなことになりますと、これはもう私ども、もとに返らせていただくしかないわけでございまして、これについて、数字を挙げて云々するというようなことは非常にいい結果を生まないということで、かねてから申させていただいているように、ここはむしろ言わないということで、そういう事態に対して的確な対応ができるような状況にしておきたいということでございます。

阿部委員 金融は潤滑油のようなものですから、やはり貸し出し抑制という事態は地域経済にとっても深刻でございますし、そこをあえて言わない、内々の腹づもりをお持ちだということですので、そういうふうに本日は承っておきます。

 あともう一点、その危機という言葉の中に、いわゆる銀行の株価はいかがなものでしょうか。株価がある程度以上暴落する場合も危機というふうに認識されるのでしょうか。

柳澤国務大臣 銀行の株価ということを仰せられました。

 これは、保有株ではないという理解でお答え申させていただきますが、株価そのものが何か危機を生むというようなものではないというふうに認識しています。

阿部委員 では、一応取りまとめまして、いわゆる債務超過、それが経営破綻を来し、それが連鎖的になっていく場合に危機対応をなさるというふうに本日の御答弁は確認させていただきます。

 さて、その場合に、あらゆる手段を講ずると今度は小泉総理はおっしゃっておりますが、あらゆる手段とは何でしょうか。

柳澤国務大臣 だんだんと言いたくないというか、言わないようにしているところに踏み込まれた御質問をいただいているわけですけれども、基本的には、私ども行政というのは法律に基づいて仕事をさせていただいておりますので、法律の定める諸措置ということなのでございます。とりあえずそういうことでございます。

 だとすると、それは何かというと、一つは、預金保険法百二条に定めるあの三つの措置ということでありますし、また、これは財務大臣と内閣総理大臣が取り計らわれるわけでございますけれども、日本銀行における特融というようなことが総理の想定ではなかろうかと考えているわけでございます。

阿部委員 そのような、主には預金保険法の百二条に基づく十五兆円という形の出動をなさった場合には、担当の金融庁のいわゆる行政責任、並びに総理としての責任問題はどのようにお考えでしょうか。それはもう既に手のうちというか、そこまで認められたことというふうに御認識でしょうか。

柳澤国務大臣 ちょっとよく御質問の意味が判然としないようにも思いましたけれども、これは、責任の問題ということであれば、責任はいつでも感じながら仕事をしております。ですから、責任を全うすべく、全力を挙げてこの事態に対応しているわけでございまして、この点は御理解を賜りたいと思います。

阿部委員 政治家でありますから、責任を伴わないでやっていられる方はないと思いますので、それでもなおかつ責任問題というのはかぶってくると思うのです。

 私は、きょう、予算委員会で武部農水大臣にも同じことを伺いましたが、おのれの主観的な誠意と、政策的にしかしながらとらざるを得なかった国民負担に対しての、やはり政治家の誠意ある態度というのは、今の政治の中で非常に大事になってくると思うのです。それはもちろん、銀行の経営者が経営責任をとるというのが第一段ですが、引き続いて、これは公金投入も二度目になってまいりますし、そのことについて、やはり担当の大臣の覚悟のほど、そしておまけに言えば小泉総理の覚悟のほど。

 危機になったらこれをやるからいいんだという言い方は、一見、表面上聞こえはいいですが、それは自分の痛みを伴わないやり方でございます。この間一貫して国民に、痛いけれども我慢しなさい、もうすぐよくなるよということを言ってきたのが小泉内閣でございますから、しかるべく痛みを本当の意味で共有し、それは政治家にとっては責任をきちんとするということでもございますので、私の聞き方が大変抽象的に聞こえるとすれば、逆に、政治家としての責任の所在を柳澤金融大臣からお答えいただければ結構です。

柳澤国務大臣 ちょっと意味しているところがとらえかねているわけですけれども、そうすると、何でもイージーゴーイングにどんどんやることが痛みは何にもないですね。赤字国債も出す、それから資本が不足だといえば資本をどんどん入れる、これは何にも痛みは感じなくなるわけですけれども、そういうことではだめではないか、そういうことをしないでこの状況を乗り切ろうということでずっとやっているわけです。

 しかし、そういうことで済まない、もっと大事な問題が問題化するというようなときに対して、これは御審議いただいて成立した法律の運用なんですね、それをいかに的確にやるかということが私どもの責任だというふうに考えているわけです。

阿部委員 では、再度お伺いいたしますが、もし不良債権額が予測に反してというか、金融庁の予測に反して膨らんでおって、この預金保険法の十五兆を上回る何らかの不良債権処理をしなくてはならない場合は、その場合の行政責任はいかがでしょうか。

柳澤国務大臣 私どもは不良債権というものを、私の立場でいうと、不良債権というものが現にあるということで、その処理をするのに、我々いろいろな政策で一つの方針を決めさせていただいて、これでやってくれということを頼んでいるわけですが、それでもって何か金融機関の破綻が起こるなんというようなことは見込めませんということを言っているわけです。

 しかし、世の中にはいろいろな不安があるじゃないか、本当の経済の崩壊というようなことがあるのだけれども、そのときはどうするのだと。それはそのとき、我々はやはり厳しい見方をするわけだけれども、それが我々のコントロールのもとにあるということを申し上げているわけですね。ですから、今阿部委員はどんなことをお考えかわかりませんけれども、ビッグバンというか、もう全く日本国がなくなってしまうような、そこまで考えろと言われれば、私ども、もう答えようがないんですね、そういう御議論に対しては。

 ですから、我々は、通常予見される危機というものをどうやってコントロールするかということに対して、我々、責任を持って対処するつもりですということを申し上げているわけです。

阿部委員 私も、日本が消滅するようなことを想定しているわけではございませんで、例えばですが、ここにございます、一年前の査定で破綻懸念先とされたもの。いわゆる大手七行で、二〇〇〇年度上期に倒産した融資先のうち、一年前の査定で破綻懸念先とされたのは三〇%足らずで、残り七〇%以上は正常先であった。

 これはマイカルの破綻のときにも問題になっておりますが、国民のだれもが、このような事態があり得るから、現在の不良債権問題、ずっとこの委員会、そのことを論じてきたと思うのですが、そのことから銀行がまた破綻しかねない状況もあるのではないかということで御質問を申し上げています。そして、預金保険法百二条で定めた十五兆という手当てで果たして本当にそれがくりぬけられるのか否かというところでの質問でございます。もしくりぬけられなかった場合は何をなさいますでしょうか。そして、それをした場合の責任はどのようにとられますでしょうか。二点です。

柳澤国務大臣 今阿部委員が前段でお触れになられたその数字は、実は集計された数字なんですね。何行かの事例というか数字を集計された数字でございまして、その原資料によりますと、非常に銀行によってばらつきがありました。そういうものを集計して、それで何でばらつきが起こったかというと、ある大手の小売の破綻がその年に起こったということで、物すごいばらつきが起こったわけです。そういうものを集計して平均値であるかのように論議するというのは、ちょっと私ども本意でないというか、そういうことをちょっと申させていただきます。

 十五兆円でどうだろうかといいますと、これはもちろん、この十三年度予算でも十五兆円ということになっております。それから、十四年度も予算では十五兆円ということに保証枠をさせていただいておりますが、私どもとしては、これで考えられる事態に対して十分対応できるというふうに考えているわけでございます。

阿部委員 では、そのような公約をいただきましたこととして、なるべくやはり破綻というのは望まないものですから、そのようなうまい運営ができますようにお願い申し上げておきます。

 そして、質問通告をしてございませんが、柳澤金融大臣は何でもすぐお答えくださいますので、ペイオフ問題について少しだけ御答弁をお願いいたします。

 予算委員会でも問題になっておりましたし、小泉総理も予定どおり四月から行うということでございますので、その前提で、現下の銀行の情報公開の程度から見て、果たして国民にとって、ペイオフ解禁と、その後、銀行を選択することに足る十分な情報がおありと金融大臣はお考えか。また、そうでないとすれば、どのような点を、このペイオフという事態をきちんと国民が我が事として乗り切っていけるために何をすればよいのかということについて、銀行が何をすればよいのか、そのあたりのお考えをお願いします。

    〔委員長退席、根本委員長代理着席〕

柳澤国務大臣 ペイオフを延期するとかしないとかということの議論、あるいはこれはペイオフを一回凍結すべきではないかというようなときになされた議論を思い出すわけですが、それは今阿部委員が御指摘になられたような情報公開の問題でございました。

 それを受けて、これは銀行法が改正されたり、あるいは金融再生法などにおいてもそうだったのでございますけれども、やはり不良債権の情報というものをもっときっちり公開しなければいけないということでリスク管理債権というものが公開され、あるいは再生法では再生法上の不良債権というようなものが開示されたということで、つまり、情報公開がされるべきだといって法律改正がなされたのはそういうものであったわけです。

 ですから、その法律が正しく履行されていれば、少なくとも国民代表の議員が論議をして、そしてこの情報公開でペイオフが求める情報公開というものの水準は一応満たされる、こういう考え方であったんだろうと私は法の運用に当たっては考えているわけでございます。

 そういう意味合いでは、今、法律で定められた情報公開というものについては条件が満たされている、これを国民の皆様によく知っていただくということが大事だろう、このようにお答え申し上げる次第です。

阿部委員 これも予算委員会での柳澤金融大臣のお答えの中に、ペイオフの対策として国民はどんな手だてがあるだろうかというと、先ほども御答弁でした、銀行を区分けして一千万円単位にやっていくような方法、あるいはもう一つは、定期じゃなくて普通預金にするような方法というふうなコメントでありましたが、それは素人の私でも考えつく知恵でございまして、ペイオフ問題が本当の意味で安心できる金融ということの背景には、例えば、大手銀行が過大な債務超過に陥らないで、そのためにはまず貸出先の企業等々が健全運営されていてという、逆に大もとの方のより積極的な対策ということも私はぜひとも求めたいと思いますが、恐縮ですが、お時間の関係で柳澤さんのお返事をいただかずに、また次回よろしくお願いいたします。

 次に、塩川財務大臣にお願いいたします。

 先ほどの予算委員会でも御質問させていただき、御答弁もいただきましたが、この財政演説の中で触れられているような、何度も申して恐縮ですが、「構造改革を推進しつつ、高い経済効果が期待できる施策について緊急実施するため」というこの中身を具体的に挙げてくださいませとお願い申しましたら、先ほど、教育分野、介護分野、あるいはIT関連分野等々、幾つかの例示を下さいました。

 そして、そういうお話を聞きながらも、例えば平成十三年度補正予算の当初のページを開けますと、いわゆる箱物のうちでも公務員の、先ほどもどなたかの御質問にありましたが、宿舎とか官庁の営繕費とか文化庁の施設費とか、そういうものが大変に目につくわけでございます。国民感情から申しましても、当然ですが、やはり公務員の方ばかり何らかの優遇があるんだな。

 この施設整備関連も非常に、こういう公務員宿舎を初めとして公の部分が多いように思いますが、これで果たして本当に、ここで述べる緊急の経済効果、構造改革を推進、高い効果が期待できるというふうになっております予算体系、補正予算でございましょうか。

塩川国務大臣 いろいろな細かいところを拾って質問されておられますね。

 確かに公務員宿舎もございますけれども、これは、総額の中に占める割合というのはごくわずかでございます。しかも、地方におきます公務員宿舎の改造を今回は積極的にやって進めていきたいと思っております。都会の方にあります公務員宿舎は、これは総合設計方式をとって多目的に使おうとするものでございますから、できればPFIというこの方式でやりたいということで、今度の予算にはごくわずかしかその準備資金をとっておりません。

 それよりも阿部さん、あなたに一番関係あるので、少子高齢化の中で小児施設の充実、これをやっているんですよ。それから、障害者施設の充実、放課後の児童クラブの子育て施設の整備、こういうようなのに重点を置いている。ここらをちょっと言うてくれぬと、住宅ばかり言うているんじゃなくて、こういうのをちゃんと書いていますから、ここはやはり見てほしいと思いますよね。

 そしてもう一つですが、環境に配慮した活力ある地域社会、ここにはエコタウンの事業があるんです。それからもう一つ、リサイクル施設があるんですね。こういうようなものが地方自治体との合同で、合同――補助事業としてやっていますので、制度的にそうなっていますので、なかなかそれが地方自治体の間で要件が出そろってこないんです。ですから、箇所づけからいったら非常に少なくなっちゃうんですね。これについて我々も、地方自治体がそういうようなことを受け入れしやすいように後年度負担について等、考えていきますので、こういうのは積極的にやっていきたいと思っております。

 それからもう一つ、何で構造改革に先行してやるんだということの一つの中に、電子カルテの、あなたの方がえらい関係のあるところですよ、これは。だから、電子カルテなどの医療分野の情報化推進。これなんかでいいますと、やはり構造改革につながるやつなんですね。それから、産学連帯によるところの技術開発の推進、それから国立大学の世界先端研究施設の整備、こういうようなのをやっているということ、それから地域のIT化の推進、公立学校における校内LANの整備。こういうようなのに金を今度配分しているということは、これは従来の補正予算のあり方と大分違うでしょう。これ、わかりますわね。そこらはやはりちゃんと認識していただいて、相変わらず相変わらずとばかり言わないで、ちょっと変わったところもありますなということはやはり言うてくれないかぬと思いますね。

    〔根本委員長代理退席、委員長着席〕

阿部委員 そのように言いたいと思いますが、そういうのは本当に本予算できっちりした他のソフトの面の手当てもしていかないと、例えば小児医療施設も、施設だけあればいいのではなくて、今は小児科医が非常に足りないのでございます。このことは、本当に国が力を入れ、本腰を入れて計画立てていかないと、箱はできても中身がいないという体制にもなります。

 ですから、塩川財務大臣が今御指摘されたような、私は、この中に新しい芽はなしとはしません。ただし、こういうふうな緊急補正予算で組まれるような内容かというと、もっと本筋、本論、国の骨格に置いてほしいというのが私の見解でもございます。

 そして、あわせて、本当にこれが経済的に高い経済効果が期待云々というところは、やはりちょっと考え方の違いがある。本当に経済の効果という意味においてももっと、逆に言うと、今の高い失業率、失業保険の問題、雇用保険の問題、そうしたことの方がセーフティーネットの面で一番重要になろうかと思います。

 でも、その点に、塩川財務大臣が先ほどおっしゃいました学校のこと、保育所のこと、小児医療のこと、お心をお配りいただいているのは大変ありがたいと思いますから、本予算の折にしっかりと論議をさせていただきたいと思います。

 きょう私に与えられた時間がこれで終わりましたので、中途半端でございますが、以上、終わりにさせていただきます。

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