第154回国会 財務金融委員会 第7号(2002/03/08) 抜粋 ○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
一昨日、本日と長い時間への御審議、皆様御苦労さまでございます。なるべく簡略にいたしたいと思いますので、いましばしおつき合いをお願いいたします。
冒頭、まず塩川財務大臣にお伺いいたします。いつものごとく質問通告ございませんテーマですが、一昨日の我が党の植田至紀議員へのお答えを拝聴いたしましての御質問でございます。
いわゆる三十兆円枠をめぐりまして、塩川財務大臣のお言葉を要約いたしますと、どういう効果をねらってどこにどれだけの金額を持っていくのかを見きわめて、枠の撤廃を考えるならば考えたらいい、大変よいお答えだと思います。国の予算も、五兆むだを削り、二兆重点分野にというお話もございますが、今私ども、特に社会保障政策、雇用政策、現状ではまだまだ不十分というか、全く今の小泉内閣においては切り捨てられていっているのではないかという危惧を抱いております。
そこで、塩川財務大臣にお伺いいたしたいのは、特に私の医療関連分野のことで、簡単な質問でございますから、通告してございませんので、お答えのお願いできる範囲でお願いいたします。
いわゆる経済産業省にございます医療問題研究会報告書概要というのが十三年の十二月に出されておりますが、要約いたしますと、医療産業というものがどういう位置を占めるかということを要約したもので、ある意味でよくできておると私は拝読いたしたものでございますが、塩川財務大臣は、この報告は御存じでありましょうか。
〔委員長退席、根本委員長代理着席〕
○塩川国務大臣 私は、存じておりません。
○阿部委員 先ほどの三十兆枠、よいところがあればそこに補てんして、この枠自身はある意味では変わるかもしれないとおっしゃったこととあわせて、ぜひお読みいただきたいのですが。
実は、医療という分野は、費用対効果という言葉を使いますと、一兆円の投資をいたしました場合に、約五兆四千億の投資効果と五十八万三千人の雇用を生みます。対して、土木工事は、二兆八千億の投資効果と二十万六千人の雇用ということで、簡単に言えば、費用対効果が非常に高い分野でございます。そして、現在のデフレ、あるいは日本の経済の産業空洞化等々をかんがみましても、いわゆる高齢社会に真に必要なものは何か。やはり医療や介護や福祉という分野は、日ごろ何度も強調させていただきますが、必要とされ、なおかつ、費用対投資効果が高い分野でございます。
私はぜひとも、さきの植田至紀への塩川財務大臣のお答えを受けて、この医療問題、今般の小泉内閣では削減ばかりが前面に出ておりますが、この経済産業省の報告でも、いたずらに、単に医療費を抑制するだけではかえって問題が生ずるという、一言で言えばそういうふうな内容でございますので、あわせて前向きに御検討いただきたく、一言お答えをお願いいたします。
○塩川国務大臣 確かに、費用対効果の中で投資の重点を図れと仰せでございまして、これは私も結構な思想だと思いますけれども、医療は、ほとんどが公的医療になっております。私的医療というシェアが非常に小さいのでございまして、公的医療は全部保険とつながってきております。
でございますから、そういう公的医療のいわば財政の中において、できるだけ効率ある投資をするという考え方をとって考えていきたいと思っております。
○阿部委員 医療もある意味で道路等と同じ社会資本でございますから、社会資本の適正配分という意味で、公的医療分野の重要性もあり、なおかつ、発展する枝葉の部分としてのいわゆる私的な医療分野もあると私も存じますので、両方にわたっての御検討をよろしくお願い申し上げます。
引き続いて、藤島委員の御質問に対しましての塩川財務大臣のお答えをもう一度反すうしながらお尋ねいたします。
きょう皆様のお手元に「消費者物価の動向」という、こういう一枚のものを配らせていただいております。この中で特に、私もこのような分け方で拝見したのは初めてでしたのできょう皆様にもお伝えしようと思いましたが、輸入と輸入競合商品ということの下落度が、非常に物価下落が強うございます。もちろん全般的に、デフレはデフレ、下落は下落でございますが。
このことは逆に、なかなか我が国が、今後、経済回復に本当の意味でしっかり腰を入れた改革をしていかないと、多難な局面を迎えているという認識を皆様もお持ちであろうと思いますが、それを数値化したものとして一点ここに出させていただきました上で、先ほどの、三月八日に発表されましたGDPに対して、経済財政諮問会議でのデフレスパイラルの定義として「物価の下落と実体経済の縮小が相互作用し、加速度的・継続的に進行する状況」というのを挙げてございますが、物価の下落、この表のごらんのようでございます。
実体経済の縮小というところで、一つ、民間投資、設備投資が非常に今般落ち込んでおったと塩川財務大臣おっしゃいましたが、それらを勘案いたしまして、今の政府の認識は、デフレ状態にあるというところにとどまっておりますが、より事態はデフレスパイラルに、入り口をあけておるというふうに認識すべきではないかと思いますが、この点、再度塩川財務大臣の御見解をお願いいたします。
○塩川国務大臣 これはどこの資料ですか。
○阿部委員 私どもが日銀にお願いいたしまして策定いたしました。
○塩川国務大臣 日銀でも、古い統計ですね。時々刻々変わって、今二〇〇二年なんですが、これは二〇〇一年のあれですね。
これは、どうなっているんですかね、実は、今度の十月―十二月のQE、これが発表になりましたのは、物価は、対前期よりは上昇しておる状況なんですね、消費物価はですね。ですから、これはマイナス二・六って、どこのですかね。(発言する者あり)
○阿部委員 塩川大臣、恐縮です。この件でお時間をとると、皆さんにも、帰りの時間が心配されますので。
私が丁寧に言い直せば、日銀のデータを利用して、私どもでつくりました。日銀にお願いしてというと語弊がございますのと、対前年比でございまして、このデータ自身ここまでしかとれません、対前年比でございますから。ですから、今回はよくじっとごらんになっていただければ幸いと存じます。
そして、私は、状況認識、先ほど塩川財務大臣、消費者の指数と申しますかについては、これがそう悪くはなかったからということで、デフレという、必ずしも物価状況、悪いものではないとおっしゃいましたが、私はその点に関しても問題があろうかと思います。確かに、データですので、一点のみで何かを言うというのは間違っておると存じますが、やはり長い傾向を見てみますと、日本の中でのさまざまな経済活動、消費活動、やはりフリーズした状態にあると思います。
きょうは関税関係の法案ですので、そのことに関連しても少しデータを出させていただいたのがもう一つの「牛肉の輸入数量の推移」というものでございます。
これは、簡単にどう見るかというと、いわゆる狂牛病、BSE問題が起こって以降、輸入牛肉の方が、例えばマクドナルドに行っても、安楽亭に行っても、吉野家に行っても、輸入牛肉を使っておるからということで、一見皆さんの中には輸入牛肉の方はふえているんではないかとお思いやもしれませんが、実は和牛も、これは表示のうそもございますが、それから輸入牛肉も、この黒三角はみんな減っておるわけです。
前回、私が塩川財務大臣に去年お尋ね申し上げましたときに、肉がだめなら魚を食えばいいかなとおっしゃってはいただきましたんですが、やはり牛肉というのは、みんなの高級感というところでもっている食品で、それが廉価に入ってくる輸入牛肉の方も同時に減ってしまっているという現状は、やはり消費者マインドという意味では、財務大臣にはぜひとも御自覚していただきたい。
きょうは何度も、私が一方通告だけで失礼ですが、お時間の関係でデータだけお示しさせていただきます。
引き続いて、お引きとめいたしております柳澤金融大臣にお願いいたします。
マクロの経済のことあるいは物価の下落等々のことは、本来は金融大臣の御専門のお仕事ではございませんが、金融大臣は常日ごろ、あらゆる事態に備えて、あらゆる経済状況をかんがみながら金融のシステムの安定ということを目指しておるとのお考えでした。
私は、もう一問、いわゆる鉄鋼十四品目のアメリカのセーフガードということで三〇%関税をかけた問題もあわせて、輸出の問題でも影響がございましょうし、こういう狂牛病問題の消費マインド、そして先ほど塩川財務大臣もおっしゃいました民間設備投資の非常な低迷ということもあわせて、もちろんこのことに即どうこうせよという対応ではないのですが、柳澤金融大臣として、今回の揺れ動く経済状況に対しての一応御認識と、それからある程度今後のお考えをお聞かせくださいませ。
○柳澤国務大臣 私どもの方は、かねて申し上げておりますように、マクロ経済の動き、あるいは今阿部委員がお触れになったような、いろいろな業種にわたる広範な資料というものを独自に収集、分析する、そういう担当の部局は実は欠いております。これは、私どもが新しく生まれた役所ということで、ちょっと困ったことなんですけれども。そういうことで、私どもとしては、政府部内のこれらのことを専門にしている当局の診断なり分析なりというものに依存せざるを得ないということでございます。
そういう意味では、今回の十―十二月のQEも、非常に私どもにとっては厳しい状況だなということですが、唯一実質のGDPと名目のGDPの落ちというのが同じ数字でたまたまあったということで、そう強いデフレーターの影響はなかったのかしらんというようなことはありますものの、しかし、名目にしろ実質にしろ、やはりマイナスの一・二というのはかなりきつい下げというふうに見ざるを得ませんので、さらに我々にとっては厳しい状況が続いておるということでございます。
加えまして、今委員がお触れになったような、個別の品目についての消費者の信頼性の問題、あるいは貿易相手国のいろいろな措置というようなことで、本当になかなか厳しい状況が続くんで、気を引き締めて、よく指標を見て、常にアラートの態勢でいなければいけない、このように考えている次第です。
〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
○阿部委員 十五四半期に及ぶいわゆるマイナスがずっと続いておりますし、GDPデフレーターも、今金融大臣少しお触れになりましたが、でも依然として下がりっ放しという状態でありますので、かなり私は事態、もちろんトリプル安の問題は、先ほど株価、債券、もう一つお触れになりました為替、それ自身は、ここのところ、空売りの規制問題もあって一応安定の方向にありますが、でもなお、私は、患者さんでもそうですが、ちょっとよくなったときにどんと悪くなるということがございますので、政府にあっては、気を引き締めて、そしてなおかつ、ぜひとも財務大臣にお願いでございますが、枠にとらわれることがかえって本当の再生を妨げるということもございますので、先ほど私のお願いいたしました点、御検討をいただきたいと思います。
最後に、税関職員の定員増についてお伺いいたします。
これも、さきに植田至紀委員が御質問したことをさらに詳しく言及させていただきますが、いわゆる大麻でございますね、大麻の密輸入。全体に今税関の職員が薬物の密輸入を一生懸命摘発しておられる現状というのは、非常に御苦労もあり、また我が国の安全にとって大事なことと思いますが、いわゆる大麻の押収量が八百十八キロ、〇・八トン。先ほどどなたかもお答えでしたが、史上最高に上っております。
この大麻の押収ということに関して、どういうルートでの、どこでの押収が多いのかということについて、一点お伺いいたします。
○田村政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま先生からお話ございましたように、昨年の税関におきます大麻、覚せい剤等の不正薬物の密輸押収量は、大麻が約〇・八トンとなっておりまして、全体でも三年連続して一トンを超える大量押収が続いているわけでございます。
ルートということでございますと、我が国への大麻の主な密輸ルートは、フィリピン、タイ等のいわゆる東南アジア・ルート、ナイジェリア等のアフリカ・ルート、さらにはオランダ等のヨーロッパ・ルートからが中心でございます。
○阿部委員 私の質問が少し不明瞭であったかもしれませんが、私が警視庁の方からちょうだいした資料によりますと、いわゆる地方港を通じて香港、中国と北朝鮮等からも来るいろいろな密輸物の問題、そしてこの大麻の問題、双方に非常に我が国の安全上問題がありというふうに私は麻薬関係で少し情報をいただきました。今おっしゃったようなルートも確かにございますと思いますが、今回特に定員増になりましたのは羽田空港をめぐる職員でございまして、地方の小さな港というところでの密輸問題はまだまだこれは不十分だと思いますが、その現状と御認識についてお聞かせください。
○田村政府参考人 お答え申し上げます。
先生おっしゃるように、確かに近年は地方港をねらいました密輸入事犯の摘発が相次いでいることは事実でございます。昨年も、これは新潟港でございます、もうかなり大口の大麻樹脂の密輸入が摘発されているところでございます。
お話しの税関の人員配置につきましてでございますけれども、各事務部門全体につきまして、従来から、機械化あるいは重点化等によりまして事務の効率化を図りながら、毎年、業務量の推移や職場の実態等を踏まえ、見直しを行っているところでございまして、今御質問の地方官署につきましても、こうした見直しの中で、大麻等の不正薬物の密輸取り締まりといったことを見きわめながら、税関に課せられた使命の遂行に支障を来すことのないよう、体制の整備に努めているところでございます。
○阿部委員 今は、密輸の手口も巧妙化しておりまして、加工品等々の形で出てくることもあるということで、税関職員の万全の布陣ということが、国の安全上極めて重要になると思います。なお担当部局でも適切な人員配置に向けて御努力いただきますように私の方からもお願い申し上げまして、最後に、今の点、財務大臣にも一点、税関職員の、特に地方の港等々、警備が薄くなりがちなところへの配置等についてもお心配りをいただくよう、御答弁をお願いいたします。
○塩川国務大臣 私は、もうずっと何遍もこの委員会でも申し上げたと思うのですが、日本の今行政システムの中で、プラン・ドゥー・シーとございますが、仕事は、このシーの関係のところがどうも手不足になっておるということを私は痛感しております。
その一つとして税関の問題もあると思っておりまして、これはよく政府部内で協議いたしまして、税関の対策なり、あるいは国税対策もそうだと思うのですね。やはり、そこらが不足しておると思っておりますので、十分な対策を講じていきたいと思っております。
○阿部委員 前向きな御答弁をありがとうございます。
これで終わらせていただきます。
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