第154回国会 財務金融委員会
 第10号(2002/04/09) 抜粋

議事録全文(衆議院のサイト)

阿部委員 ただいまの佐々木委員の御質問に関連して、一つだけ補足で質問をさせていただきます。柳澤金融大臣にお願い申し上げます。

 ただいまのような、もちろん今問題になっておりましたのは外為法上の制度的な本人確認でございますが、いわゆる金融庁管轄の中での本人確認ということについて、今お聞きになりましたような事例、直接ではございませんが、どのようなお考えでお聞きあそばしましたでしょうか。

柳澤国務大臣 外為法の本人確認は、今溝口国際局長が答えたように努力規定になっている、こういうことのようです。

 それから、片一方、国税の方も、これも為替の自由化に伴って措置されたもので、従来は五百万だったと思うのですが、二百万に下がってしまったということで、ある意味で、自由化の趣旨からいうと私もどうかなと思ったこともあったのですが、しかし、税の捕捉ということを考えると、やはりそういう情報もとっておく、こういうことだろうと思うのですね。

 そういうように、いろいろな行政目的のために本人確認あるいは所要の手続というものが規定をされておるわけですけれども、今回は、国際条約というようなものの批准に伴って、テロ対策ということの国内措置として、本人確認を今度はガイドラインによるものから法律による義務規定というものにしたということでございます。

 これも、現在の安全保障あるいはそれぞれの国内の治安目的ということにかんがみれば、やむを得ない措置だというふうにとらえているわけでございます。

阿部委員 国民的な感性、感覚からすれば、外務省すらそれほどずさんなことをしている、そのことの、ある意味で言い逃れ、だから義務規定にしないといけないのだという今の論法ですね、非常に、本当に国民をばかにしていると思います。

 本来努力義務だった、だからこのような事態が生じた、結局外務省のおっしゃったことはその一言です。そして、それを柳澤金融大臣は、諸般のテロ事情に関連して今度は義務規定にすると。こういうのを本当に盗人たけだけしいと普通は言うのでございます。

 そして、私はあわせて金融庁にお伺いしたいですが、今回、例えば金融庁の方で、これまでの疑わしい取引の届け出件数の推移というところをずっと見ておりますと、麻薬特例法に基づく届け出から、二〇〇〇年の二月以降は組織的犯罪処罰法に基づく届け出になり、件数も、七千二百四十二が二〇〇〇年度、二〇〇一年度が一万二千三百七十二と、大変な数が届け出られておりますが、先ほどの参考人の御答弁ですと、この届け出られた疑わしい取引のその後についてはフォローされていないというふうな御答弁でございました。

 果たして、疑わしいとされてその後疑わしくなかった事例はあったのか。疑わしくなかったら、そこで疑わしいとして報告されたことはどのように修復されるのか。この点についての御答弁をお願いします。

原口政府参考人 先ほど御答弁していますように、金融機関としては、疑わしいということでございますから何か確証があるわけではございませんけれども、いろいろ取引の形態ですとか金額ですとか、そういうことから犯罪捜査に役に立つかもしれないというものを届け出をしていただいているわけでございます。

 そのうち、またこれを金融庁の方で、担当しております部局で、過去の経験ですとかそういうこと等判断して、必要と思うものは捜査当局に提供するわけでございますけれども、必要でないものについては、その報告を受けたというままで、何かそれを修復するとかそういう必要は特段ないというふうに考えております。

阿部委員 例えばですが、今外務省の行ったことは極めて疑わしいわけです。この事例については、法律を改正して義務規定にするということで一件落着したかに見えますが、逆に、民間、個人に起こったことで、疑わしいと届け出られて、でも疑わしくなかったものがあるのかないのかをまずお答えください。

原口政府参考人 先ほど御指摘を受けましたように非常にたくさんの数があるわけでございますから、それで届けられたものがすべて何らかの形で疑わしいということではなくて、まず金融庁の判断、もっとも、これは犯罪捜査の資料としても有効でないというふうに判断するものもございますし、捜査当局に行ったものが、すべてそれが疑わしくなっているというようなことではない。逆に言えば、疑わしくなかったといいますか、犯罪に結びつかなかったものも、それはあるということだと思います。

阿部委員 そうした形で犯罪に結びつかなかったものは、あるいはその嫌疑をかけられた個人は、どのようにこのことの補償、汚名挽回、あるいは取引の支障等々生じた場合の損害の賠償を受けるのでしょうか。

原口政府参考人 今、そういう届け出がされたこと、それから、それが捜査当局に行ったかいないかということを含めて、そういうことは一切外に出ているわけではございませんので、何かそれについて損害が生ずるとか、回復をするとかという問題にはつながらないというふうに認識しております。

阿部委員 それは、そういうことに対しての異議申し立て機関がないからであって、先ほどから言いますが、官が起こしたことはあいまいにごまかされても、民がかぶった被害は一切表に出ない。その体制のまま、安易に本人確認というシステムだけをつくろうとする。これの問題は、実は、私は、今回のみずほ銀行の顧客への姿勢と非常に密接に連関していると思います。

 ただいまの原口参考人の御答弁も、幾らやっても堂々めぐりですので、嫌疑をかけられた方が、自分はそうじゃないというふうな、いわゆる訴えるための一方の措置をこの法律自体が持たないと、私は、極めて一方的な、官優位、そして官がやったことはごまかせる、そうした体制に結びつくように思いますので、あえて同じですから質問いたしませんが、この法案自体をよくよく、お手盛り弁当ですから、お考え直しいただきたい。

 そして、私の時間の関係で、あと少々ですので、きょうはせっかくお越しいただきましたみずほ銀行の、前田参考人でいらしたでしょうか、ちょっとだけ私は、もうお疲れのところ恐縮と思いますが、どうしても世界最大の大手銀行としてお心にかけていただかなければならないことがありますので、申し上げさせていただきます。

 まず、きょう、前半、いろいろな各委員が御質問でありましたが、四月五日の新聞報道、会見について、御自身が御出席なさらなかったことは、現時点で考えて誤りであったとお思いでしょうか。一点お願いいたします。

前田参考人 誤りかどうかと言われると、大変答えにくいんですが、反省いたしております。

阿部委員 反省は、当然、誤っていたというふうに認識するから生まれるわけです。そうした言い逃れをしたのでは、顧客の信頼は得られません。

 なぜならば、まず、この社長という地位は、自分が行内をまとめると同時に、表に向けた代表者であります。そして、きょうの御答弁で、塩川財務大臣も柳澤金融大臣も、顧客が大事、塩川財務大臣はお客が大事、こうおっしゃいました。やはり銀行というのもサービス業です。

 ちなみに、私の例を引いて申しわけございませんが、私はある病院の院長をしていて、業務の九割は、患者さんに対して起こしたミスのおわびでございました。私は、でも、私の役割は、私がきちんと謝ることによって、その後のさまざまな体制がとられると思い、毎日四十五度に曲げたような生活でございました。

 しかしながら、これは、この銀行という仕組みが、先ほど申しました、小さな個人は大切にせず、大きな官庁とか後ろの権力があるときにはあいまいにしたまま前に進み、小さな個人は、二百五十万件問題を起こしても、みずからは謝りに出ず、こういう体制を四月一日に就任された社長がなさるということは、銀行行政上の汚点でございます。

 もう一度、反省の度合いについて、間違っていたか否か、お答えをお願いいたします。

前田参考人 まず最初に、システム障害を起こしたことにつきましては、本当に深く反省いたしておりまして、一刻も早く完全な形に復旧するのが私の務めだと思います。全力で尽くします。

 また、会見の仕方が遅いとか、このおしかりにつきましても、そのとおりだと思います。私も、先ほど申し上げましたとおり、反省いたしておりますが、全体の掌握にやはり若干時間がかかったということは否めません。

 まことに恐縮ですが、信頼を取り返すために全力で頑張ります。よろしくお願いします。

阿部委員 復旧や原因の検索は、あなたが指示して関係部署にやらせればよいことです。しかしながら、国民に対してのおわびはあなたしかできません。この一点を履き違えると、社長たるものの任が全うできません。

 何度も重ねて失礼ですが、この認識がない限り、あなたには三千万という口座が預けられる大銀行の社長の任は務まりません。いかがでしょうか。

前田参考人 私ども、サービス産業でございますので、まことに、本当に申しわけないと思っております。信頼回復に努めます。

阿部委員 あわせて、四月五日の会見で、石坂専務がおっしゃったことも、これまた全部裏切られました。ATMも、その後の二重引き落としも、また生じております。極めて楽観的な会見をされて、その後、まだ、きょうのお話でも、あと一週間か二週間復旧にかかる。この事態に対しての、改めて社長としてのおわびはいかになさいますか。

前田参考人 重ねておわび申し上げます。

阿部委員 私は、何も意地悪おばさんではありませんので。ただし、国民がその長たるものに求めるものをわきまえていただきたいというのが、私のしつこい質問の趣旨です。その社長しかできないことが何であるのかをわきまえない管理者は、何度も申しますが、資格がございません。そして、もうやっても同じですから、私からこれは通告でございますから。

 それから、柳澤金融大臣にお伺いいたしますが、諸外国はこの事態をどう見ておられましょうか。

柳澤国務大臣 諸外国というほど広く、今、反響をいただいているというか、そういうことは実はないのでございますけれども、決して、具体的に先ほど前田社長が言われたように迷惑がかかっているということではないんですけれども、率直に言って、今、日本の金融システムあるいは金融機関というものに対しては、この別の面でもいろいろと問題ありというような気持ちで見ている方が多い中で、こういうことをやってしまったということについては、厳しい目が当然注がれるだろう、こういうように思っております。

 私どもも、金融監督を通じまして信頼回復に努めてまいりたい、このように思っております。

阿部委員 柳澤金融大臣に私がこの場で何回か御質問をさせていただいたときにはいつも、銀行の体制は大丈夫なんだ、国民が余分な不安を抱くからさまざまに風評被害も生じる、ある意味で、言い方は少し違いますが、そういう御指摘も多々あったと思うのです。

 ただしかし、これだけのことが起き、それがまた日本の金融の世界的な評価の下落につながると私は思いますので、監督省庁、そして金融大臣として、ぜひともこのことにきちんとした大臣としての対応をなさるようにお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

坂本委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

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