第154回国会 財務金融委員会
 第12号(2002/04/17) 抜粋

議事録全文(衆議院のサイト)

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 日銀の速水総裁には、朝から長時間にわたる御同席で大変に御苦労さまでございます。私の質問、大半が速水総裁に対してですので、恐れ入りますが、もうしばしお時間をちょうだいいたします。

 まず、日銀の当座預金残高についてお伺い申し上げます。

 三月末に、期末資金を潤沢にするという名目で、約二十七兆六千億円という、これは恐らく二〇〇〇年のときを上回る、これまでの最高の当座預金残高となっておりますと思いますが、ある意味で、三月危機を越えて、四月になれば二月以前の水準の十五兆まで戻るはずだというふうに御報告も一部受けておりましたが、実際には二十兆円前後で推移しているように思いますが、このことは、この間、きょうも御質問にありました、みずほファイナンシャルのシステム障害等との関連でやや高目の当座預金残高に設定をしてございますのでしょうか。

速水参考人 阿部先生のおっしゃるとおりでございます。日銀当座預金残高は、三月末で二十八兆円近くに到達しておったわけですが、四月入り後も二十兆円前後の水準で高どまっております。これには、期末越えのための資金需要は一段落したわけですけれども、一方で、みずほグループのシステム上のトラブルを背景にしまして、金融市場において流動性需要が増大していることが影響していると思います。

 日本銀行としましては、引き続き、市場動向や流動性需要の状況を注意深く点検しながら、潤沢な資金供給を通じて市場の安定確保に努めてまいる方針でございます。

阿部委員 と申されますことは、このみずほファイナンシャルの問題が、金融の安定にとってかなり大きな問題を抱えておるという認識に日銀総裁がお立ちになっているということだと思いますが、実は先回、同じことに関連いたしまして柳澤大臣にもお伺い申し上げたのですが、この事態、この今回のみずほファイナンシャルのシステム障害ということを諸外国はどのように見ておるかというふうにお尋ね申し上げましたら、柳澤金融大臣は明確なお答えが実はございませんで、その後も、現在も四十万件と続いている障害等々がその後に発覚しておることもございますが、やはり当座預金残高を積み増さなきゃならない事態というのはかなり重大事態というふうに日銀は認識されておる。そして、諸外国はどう見ておられるかということについて、これも速水総裁の御見識を伺います。

速水参考人 今回、みずほグループで預金取引とか口座振替といった銀行業務の根幹をなす部分で混乱が生じて、多くの顧客に御迷惑をおかけした、影響を与えたということは残念なことでございます。

 今回のトラブルが海外にまでは波及しなかった、これは私どもとしては、顧客様を犠牲にして、海外や銀行間には今のところまだ影響が及んでいない。しかしながら、みずほグループは世界的に見ても規模の大きな金融機関でありますから、我が国の金融機関全般に対する信認を確保する上でも、みずほグループには早期に通常の業務に復帰して、二度とこうした事態を起こすことがないように徹底的に見直しを行っていただきたいと思います。今週末G7がございますので、ワシントンでまたこういう話を少し、よく聞いてまいりたいと思っております。

 日本銀行としましては、みずほグループに対して、今回の件に関して詳しい報告を求めておりますところです。また、今後考査を行うに当たりましては、こうしたリスクを十分注視して調査してまいりたいというふうに思っております。

阿部委員 みずほファイナンシャルは、先回社長もお越しくださいましたが、三千万という口座を持つ世界最大のメガバンクだというふうに承っておりますし、日本銀行といたしましても、日本のメガバンク化、四大大手銀行の最大のメガバンクが今回の不祥事を引き起こしたということにおいて、今後の我が国の金融システムのあり方ということ、このことから学んだ教訓について一言、これも速水総裁にお願いいたします。

速水参考人 電子ビジネスというものがこれだけ普及しておるわけでございますから、それを最もよく利用されているのが大金融機関、大きな銀行の振替の機能とか、自動振替あるいは自動引き出しといったようなことが便利に、大衆によって、市民、家計の非常に便利なツールになっておるわけです。そういう広まったツールの中で、今回のような、恐らく初めての大きな、今までにない大きな統合であったわけで、準備もかなり綿密にやってきたに違いないと思いますけれども、やってみると、ああいった巨大な資金が動き始めると、やはり電子機械の限界があらわれてきたといったような感じもしないではありません。

 したがいまして、今回のトラブルの原因や、何が、どこが足りなかったのかということをみずほグループからもこれからよく聞きまして、今後の参考にしてまいりたいというふうに思っております。

阿部委員 金融等に対して素人の私から見れば、何かとても恥ずかしい事態であるというふうに認識されるわけです。そして、日銀も、今後電子システムの考査も含めて指導を行うということでありますので、ぜひとも、我が国の名誉のためにも、きちんとした危機意識を持って対応していただきたいとお願い申し上げます。

 次に、量的緩和ということについてお伺いいたしますが、日銀が量的緩和という政策をとりましてから一年が経過しておりますが、まず総括を伺いたいと思います。特に、量的緩和によって銀行側には潤沢な資金を供給しておるが、そこからなかなか中小企業などへの貸し出しが、短観などの統計結果を見ても、現実にはふえていない。

 きょう午前中の質問で、かなり山本委員が、実質金利が高いからだというふうな御指摘もありましたが、それのみが要因ではないと私は認識しておりまして、逆に、この中小企業への貸し出しをふやすために、どのような改善点を日銀としてはお考えの中にお持ちなのか、お答えをお願いいたします。

速水参考人 金融機関が不良債権問題への取り組みを強めていく中で、信用力の低い先に対して貸し出し姿勢を慎重化させていくという面があることは、これは事実でありますし、これまた、ある程度仕方のない流れだというふうに思います。加えまして、景気の低迷が続くもとで企業の資金需要が減退していることも、貸し出し減少の大きな要因であろうかと思います。

 日本銀行の思い切った金融緩和の効果が企業にまで及んでいくためには、一つには、迅速な不良債権処理などを通じて金融機関の資金仲介機能を強化していく、強化を図ってもらいたいということ、第二には、税制改革や規制緩和も含めて、経済、産業面の構造改革を進めて、企業の前向きの活動、需要を引き出していくということの両方ではなかろうかというふうに思っております。

阿部委員 従来からいただいている御答弁ではあるのですが、果たして不良債権処理問題につきましても、これも速水総裁が新聞紙上等で御発言でございますが、大手銀行の自己資本比率は二〇〇一年三月末で一一%というふうに出ておるが、公的資金を除き、また税金資産も米国基準並みに限度を設けると、自己資本比率自体が七%程度になるのではないかというふうにコメントされておられます。

 私は、実はいつもこの委員会で柳澤大臣に御質問いたしますと、我が国の自己資本は十分であるというふうな御答弁がいつも返ってまいりますので、日銀サイドから見た自己資本のありようと金融庁から見た自己資本のありようがそんなに食い違ってしまっては、我が国の金融政策が大きく違ってしまうのではないか。その一つのあらわれが公的資金の注入問題にも反映するのかなと思います。

 再度確認ですが、速水総裁がごらんになるところの我が国の自己資本比率、ある意味で水膨れという表現をとる方もございますし、生保会社との持ち合い株で五千から六千億を積み上げておる等々の問題も午前中も指摘されていたやに思いますが、自己資本比率の認識について、速水総裁の御見解をお願いいたします。

速水参考人 今、現時点で資本不足に陥っている先があるとは認識しておりません。御承知のように、BIS規制というのがあって、金融機関の持つ自己資本が、国内だけのものは四%、海外と取引をするものは八%以上なければいけないというのが国際的なルールでございます。そういう意味で、今回のように一〇%以上あるということは、それで国際的には通用するものだというふうに思います。

 私がかねがね申しておりますことは、この一〇%の中に、かつて出した公的資本のかなりの部分、そしてまた、税金の前払いといいますか繰り延べ税制というものが、これはさっきも申しましたが、アメリカと日本だけで自己資本に算入しているわけですけれども、そういうものを、これもこの先、動きがなくなれば使えないものでございますから、そういうものを差し引いた、本当の資本といってはおかしいですけれども、コアキャピタルと呼んでいますけれども、ティア1から公的資本と繰り延べ税金資産を除いたもので見ますと、資本は必ずしも十分でないということになると思います。繰り延べ税金資産というのは、今申し上げましたように、将来の収益を見合いとしたものであるほかは、今の公的資本も民間資本にいずれ置きかえていくべきものであるというふうに考えます。

 このために、日本の金融機関はもっと収益力を強化して、コアキャピタルをふやしていくことによって資本金をふやして、不良貸し出しもそれを使って償却していく、これが中長期的に必要な事項だ、今すぐではございません、中長期的にこれを目指してもらいたいということを言っておるわけでございまして、当面の、今の公的資本が不足であるとか不足でないとかいうことにつきましては、別に意見は違っておりません。

阿部委員 金融という国境を越えた経済が動く指標になるものにおいて、我が国の自己資本比率の考え方が国際的な水準に満ちていないということは重大な問題かと思います。それの期間、国際的な基準に合わせる期間をどのくらいに置くかという多少の猶予はあったとしても、私自身は、やはり公的資本の注入が、それが一番よい手だとは思いませんが、やはり厳密に考えていかないと大きな過ちを犯すのではないか。そして、その間における速水総裁と柳澤金融大臣の本当に実際を詰めたお話を、ぜひとも責任者においてやっていただきたいと思います。

 そして、今の速水総裁のお話は、すぐの問題ではないと。すぐの問題ではないということは、日本の経済が構造改革を進め、ある程度不良債権の額も減り、その中で自己資本比率も安定的なものになっていくというお見通しも一方であろうかと思いますが、しかし、何度も申しますが、世界経済の速さからいけば、それで追いつかないかもしれないわけです。また、今回のみずほのシステム障害等々が世界に与える不安感も私はやはりあると思います。

 そして、あわせて、きょうぜひともお伺いしたいのですが、不良債権問題と構造改革というふうに、いつも我が国の現在の金融の不安定状況については因子が出されておりますが、私自身が疑問なのは、我が国の金融をつかさどる方たちの能力、これは、果たしてどういう形でこれからの金融の担い手を育てていくのか。あるいは、いわゆる世で言う目きき、どこに貸し出しをし、どのような収益を上げていくのかということについて、日銀として金融業界にどのような教育をお考えであるのか。とにかくマンパワーを十分に教育していかないと、これから太刀打ちできないのではないかということを指摘する外国人アナリストもあるように思いますが、教育的な金融行政に、金融行政だけではないですね、金融という中でお仕事をしておられる方たちの能力アップのために、何を日銀としては考えておられますでしょうか。

山口参考人 先ほど来、不良資産問題あるいは自己資本比率といったことを中心に総裁の方から考え方を述べさせていただいておりますけれども、金融機関のバランスシートを健全な状態に戻すということは、我が国の金融システムが健全な状態で経済成長を支えていく役割を果たす重要な第一歩ではありますけれども、決してそれで事足れりということではないと思います。

 やはり金融機関というのがリスクをとりながら経済成長を陰に陽に支えていくという役割を担うわけでございますから、御指摘のとおり、金融機関の内部に、さまざまなリスクというのを的確に評価して、それに適正な値段をつけるという力が備わってこないと、真の意味で金融システムの再生ということにはならないのだろうと思います。

 そのことは、金融機関が、みずからの将来に向けての収益確保の最大の課題として恐らく日夜真剣に考えている課題であろうというふうに私は確信しておりますが、実際には、これは言うべくしてなかなか実現することに時間もかかりますし、極めて難しい課題ではないかと思います。

 どうやって実現していくことができるのか、別に私どもに妙案があるわけではありませんけれども、過去数十年間の我が国の金融機関の経営環境というものを虚心に考えた場合には、やはりこれまで以上に市場の競争圧力というものになれてもらい、その風圧に耐えながらみずからを鍛え上げていくということしか多分ないのではないかというふうに思います。

 非常に抽象的なことを申し上げて恐縮でございますけれども、そういう中から金融機関が真のリスクを評価する力を養っていただきたいというふうに思っております。

阿部委員 今回のみずほのような事態があると、競争しようにも、非常に不安と不信と落胆を買うと思うのであります。ですから、今おっしゃられた理念と現実の金融のあり方の乖離を埋めていくために、日銀としてもう少し積極的なマンパワーの育成ということを、知恵の集まりでしょうから、ぜひお考えいただきたいと思います。

 そして、もう一度速水総裁にお伺いいたしますが、いわゆる日銀の役割の中に、デフレ対策について、これ以上日銀としてやれる手があるのか否か。量的緩和ももうこれ以上というところまで参っておりますし、デフレ対策として日銀が果たせる役割が、ほぼこれで手詰まりであるのかどうか、その一点についてお教えください。

速水参考人 日本銀行は、既に昨年三月にデフレ脱却に向けた断固たる決意を表明して、思い切った金融緩和を行ってまいりました。

 この結果、短期金利はほぼゼロに低下しておりますほか、マネーベースも極めて高い伸びとなっております。このような金融緩和というのは、金融市場の安定確保を通じて景気の底割れを防止するという点で、大きな役割を果たしてきたと思います。しかしながら、日本経済がさまざまな構造問題を抱えているもとで、家計や企業の経済活動が十分活性化するに至っていないということは、先ほどから申し上げておるとおりでございます。

 日本銀行は、今後とも金融市場の安定確保と緩和効果の浸透に全力を挙げていく方針であります。同時に、こうした金融緩和が力強い効果を発揮するためには、金融システムの強化や経済、産業面での構造改革を進めていって、民間需要を活性化させていくことが不可欠であるというふうに思っております。

阿部委員 先ほどの中塚委員の御質問の繰り返しになりますが、そうであれば、そのような御意見を積極的に関連の政府の会議でもお述べいただきたいと思います。

 やはり国民全体、この困難な時代をどうやって切り抜けていこうかというところで、お互いに、あなたが悪い、こっちが悪いとやっていてもいい案は出ませんし、経済も浮かびませんので、量的緩和がこれ以上の効果を生まないのであれば、他の施策を率先して提言して、あるいは御自身の役割としてもお考えいただきたいと思います。

 最後に、長い間お待たせいたしましたが、塩川財務大臣にお伺いいたします。

 今週末のG7、まず何をメッセージされますおつもりでしょうか。そして、先ほどの国債の格付、心外であるという御見解でもありましたが、そのことについても何らかのコメントをなさいますでしょうか、お願いいたします。

塩川国務大臣 今回のG7は比較的重い会議にはならないと思っております。といいますのは、六月にサミットがございまして、それに対する準備的な会議になろうと思っております。

 とはいえ、この会議を四月二十日に開くわけでございますから、主たる議題としては、テロ資金の扱い方の問題があるということ、それから各国の経済状況の報告があるということでございます。それともう一つは、国際開発基金の扱いをめぐります議論があろうと思っております。

 それぞれ私の方も、今黒田財務官を中心にいたしまして、関係国と協議をして、私の方の発言の要綱等をまとめておるところであります。

阿部委員 六月のサミットの準備ということの主な目的であるというお話でもございましたが、とりわけて、今塩川財務大臣のお答えのテロ資金の扱い、あるいは国際開発基金ということは、世界平和に向けて、我が国が一定程度の経済力を持ち、なおかつ何ができるかという大きな政治の流れの中での会議かとも思います。

 この間、有事法制化の問題も論議に上っておりますが、ぜひとも、我が国としてどのような平和的な貢献ができるか、この財力を持った我が国が、ある意味でその財力ゆえに、塩川財務大臣もおっしゃるように、国債の格付は我が国の実態を見ておらぬなということにもなるのだと思いますから、明確なやはり世界平和へのメッセージを行っていただきたいと思います。

 あと、あわせてもう一点お伺いいたします。

 先ほどから税制の問題で、増税か減税か、いろいろなめり張りをつけた政策、施策が必要になると思いますが、私がきょうここでお伺いしたいのは、数日前、新聞を読んでの質問で恐縮ですが、御高齢者で比較的裕福な方につきましては、年金をお受け取りにならないかわりに相続税とかのところで優遇をしてはどうかと財務大臣がおっしゃったように出ておりましたが、一方の年金問題は社会保障政策で、一方の相続税は税制の問題でございます。確かに名案、妙案かもしれませんが、やはり社会保障政策としてきちんと論議すべき場と税制として論議すべき場が、今はおのおの別になってございます。

 塩川大臣がそのような御見解をお持ちであるとしたら、これからどのようにその論議を、どこの場でプロセス立てて進めていかれるのか。その一点できょうの質問を終わりますので、よろしくお願いします。

塩川国務大臣 これは全く私の、一つの長い間考えておった考えをまとめて発表したようなことでございますが、今、御存じのように高額所得者の年金は半額支払い停止されておりますね。それから、中等程度の所得者に対しましては四分の一を支払い停止されておる。そういう法律があるのを、阿部さん、これは御存じでございますね。

 そうすると、この事実に基づいて私は調査いたしましたら、年収二千万円以上の方が相当、何万とおられます。この方々で年金を取っておられる方が二七%、約三分の一おられます。この方の年金が、半額控除になっておるんですけれども、その方々の年金が、指定銀行に積み立てられたまま、つまり振り込まれたまま、全然手をつけていないのが随分あるんです。そうであるとするならば、こういう方々は活発な経済活動をお年寄りでもやっておられるのでございますから、年金をむしろ辞退してもらって、そして年金の若い人の負担を軽減するということも考えられるのではないかと思うんです。

 ただし、年金は契約でございますから、若いときに掛けておいた年金が年いってもらえないということは、これは不公平な、また保険の精神に反しますから、したがって、当然受けるべき権利のある年金の受給額を、これを削られた場合、排除された場合、その分を積み立てておいて、その方が亡くなって相続財産の移譲をするときに、その財産額から引いてあげればいいのではないか、こういう考えを私は持っておるんです。そうしますと、年金を掛けてきた人も、高額所得者であった人も、それだけの権利はどこかで生かされてくるではないかということを思っておるんです。

 これはいろいろと社会政策的な、あるいは福祉、あるいは税の理論、いろいろな点から問題はありましょうけれども、一応私が考えたことで、幼稚なことでございますけれども、よかったら御意見を言っていただいたら結構だと思います。

阿部委員 どこの場で論議をなさるような組み立てをお考えかということで、きょう第一弾を伺いましたので、時間の関係で、追って後日また見解を述べさせていただきます。ありがとうございました。

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