第154回国会 財務金融委員会
第14号(2002/04/24) 抜粋○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
お昼の時間も迫ってまいりました折から、四人の参考人の皆様には大変御苦労さまです。
本日は、先ほどの遠藤委員のお話、あるいはただいまの吉井委員のお話、銀行の社会的使命とは何かということをこの場で論議するために参考人として来ていただきましたものと思っておりますが、はたまたそうした観点からいたしますと、一つは不良債権問題、そして二つ目はいわゆる銀行の今後の収益力の問題、そして三つ目は顧客サービスという点において、現在、日本の銀行業界の置かれた位置と申しますものは必ずしも国民の信頼を得ていない、あるいは世界の金融市場からも評価されていないのではないかと私は言わざるを得ないと思います。
きょう一連の論議を伺いましても、例えば郵貯の民営化等々のお話も参考人の中の御意見で出ましたが、それはそれとして選択の一つとしてあり得ると思いますが、ただし、今の銀行体制では、国民の大事なお金はどこに行ってしまうかわからない。むしろ、そうした民営化を話す前に、まず銀行みずからがおのれの経営基盤なり社会的信頼ということにもっと自覚を持っていただきたいなと思った次第であります。
そういう私の見地から、本当は各行の皆様にお伺いしたいですが、許された時間がございませんのであえて指名をさせていただきながらお伺いを申し上げます。
最初に、西川参考人にお願いいたします。
今回の金融庁の特別検査を受けとめる各金融機関のさまざまなコメントがございます中に、三井住友銀行の奥専務のお話の中に、金融庁検査に背中を押された面はあるというふうに表現されておられます。
私は今回、冒頭、柳澤金融大臣が金融庁検査の結果をお述べになりまして、今後、常駐体制に近い検査体制をしく等々の文面を読みますと、ああ、何だかこれは民間銀行の、ある種国によるチェック、監視がさらに強まっていかなくちゃいけないほど銀行の、逆に言うとおのれの経営、おのれの財務状況、おのれの不良債権処理、そのことがまだまだ不確かなんだなと思いましたが、そのこととあわせて、この背中を押されたという表現について、どのようなお考えでおっしゃられたのか、一点お願いいたします。
○西川参考人 お答えいたします。
私、奥専務のコメントの前後を、どういう話があったのかよく聞いておりません。どういう意味で背中を押されたというふうにコメントをしたのかやや不確かな面はありますが、これはやはり今度の特別検査におきまして、検査官、監査法人、そして銀行、この三者協議の中で、市場のシグナルを的確に自己査定に反映していく、そしてそれに応じた適切な償却、引き当てを確保していく、こういう作業の中で、こういったいわば新しい視点という点について述べたものであろうと思います。決して、これまでの我々の自己査定が甘かったというふうに考えて申したわけではないと思います。
○阿部委員 そうであればよろしゅうございますが、先ほど申しましたように、今後も常駐体制に近い検査体制をしくということは、必ずしも、これまでの銀行のなされていた自己査定そのものがいま一歩評価が甘いのではないかという認識にも立つということではないかと思うのです。
そして、この不良債権処理問題については、過去にもさかのぼることですので、その点についてきょうも幾多の論議がございましたので、むしろ先ほど遠藤委員もおっしゃいました、前向きの、今後の収益力をどう上げるかという点に移らせていただきます。
収益力を上げる、特に先ほど四銀行の皆様から、中小企業金融について各社のお取り組みのシステム面のお話がございましたが、私は、そのことに関する人材的教育面において、各銀行がこれから本当に国際競争に打ちかって人材育成をしていく場合に、どのようなお取り組みをなされているのか。各行、恐縮ですが、短目におのおのお願いいたします。
○前田参考人 お答え申し上げます。
新入社員には、社会人、銀行員としての基礎をしっかりと身につけさせることをねらいに、一年間の教育プログラムを実施いたしております。
具体的には、持ち株会社傘下の各社共通の研修といたしまして、四月入社時に、法令遵守、行動規範など、社会人、企業人としての基本を徹底的に教育いたしております。その後で、みずほ銀行、みずほコーポレート銀行では、数カ月ごとに、預金、為替、融資、外為、営業などの基本業務について、集合研修や通信教育、そして上司、先輩による実地教育を繰り返し行い、銀行員としての基礎を身につけさせております。
なお、二年目以降につきましても、企業取引の基礎や企業を見る目、債権管理の教育等を実施いたしております。
教育研修そのものは、最後までずっとやり続ける種類のものでございます。
○三木参考人 人材教育のために、最初に、銀行実務とお客様第一の精神、これをしっかりと植えつけるべく、私どもは、二年間、基礎的な新人教育を行っております。
最初に集合合宿教育がございまして、その後、各支店でOJT、オン・ジョブ・トレーニング、これは担当者をつけていたしますが、そのほかに、二年間に大体十回、五十日に及ぶ集合研修をいたしております。
以上です。
○寺西参考人 お答えいたします。
ただいまお二方が新入行員の教育について申し上げましたので、私から、ちょっと視点を変えて、どういう人間を育てているかというお話をさせていただければと思います。
ある意味で、銀行にとって、これは我々の反省でもございますが、やはり企業を見る目を育てていくということが一つの基本かというふうに考えておるところでございます。財務面だけではなく非財務面も含めましてお取引先を正しく知る、こういうことのために、ある意味でOJTを中心にしまして、さまざまな研修だとか教育、こういったプログラムをやってまいっております。
例えて申しますと、業種だとか業界、そういったものの分析、マーケティングをやる、事業力の分析なども学ばせておりますし、また、企業を見る目の基礎となる、お客様に関するあらゆる情報をデータベース化して、与信判断のところにそういったデータベースを生かしていく、こういった試みにも取り組んでおるところでございます。
以上でございます。
○西川参考人 お答えします。
私どもも、基礎教育期間と申しますのは一年半から二年程度全員に、これは入行時の約一カ月の集合研修を含めてあるわけでございますけれども、その他、また各部門別に研修も行います。
しかし、そこで基礎知識を取得いたしまして、それをいかに現場で生かしていくか、そして自分のものにしていくかということが最も重要なことでございます。
そういう意味で、私どもの場合は、各店に融資オフィサーという者を置きまして、これは別に教育ばかりやるわけじゃございませんけれども、専門家ということで若手の教育も行うということでございます。その中で、いろいろなケースに遭遇をいたしまして、いろいろな問題の解決策を考えていく、そういうことを繰り返すことによって成長を確保していくという考え方で臨んでおります。
以上でございます。
○阿部委員 銀行業界と限らず、日本において若い人の教育ということを語るときに私がいつも思いますのは、かなり抽象的な理念なり非常に標準的なプログラムだけで、実践編なり、実際にそれでは企業との関係をどのように築いていくかの日常トレーニングが非常に欠けていると思うのです。先ほど中小企業金融の貸し出しのお話の中で寺西参考人がおっしゃった、例えば成長企業支援室とかそういうシステムをとることによって、その中で企業と銀行の行員がお互いを了解し合いながら目きき力をつけていく等々、私は、極めて現実的に重要なことだと思うのです。
それから、システム障害の発生にあっても、かなり理念でわかっていることと現実にやってみた場合が違うということが今回わかったわけですから、ぜひとも、民間銀行の皆さんにあっては、実際の実践編を担える人材をつくることにもう少しトップの方がそれこそ心血を注いでいただきたいとこの場でお願い申し上げます。
そして、そのこととも関連いたしますが、私は、例えば、先ほどの前田参考人の吉井委員への御答弁の中でも少し気になりましたが、その当時自分の部局でなかったか否かということでおのれの責任なりおのれの役割を論ずるというようなやり方は、やはり非常に、ここに官僚の皆さんがたくさんおられるので恐縮ですが官僚的社会になってしまって、人間の本当の意味の伸びていく力なりその人の、逆に言うと自分が一つ一つリスクを負いながら成長していくということを阻害するように思います。そして、銀行業界というのが、とりわけその行員の教育においてヒエラルキーが非常にタイトであるということも日本の特徴と思いますので、本来は、時間があれば各行にそのあたりの銀行の人事のあり方を私は伺ってみたいと思うのですが、それはちょっと私からのコメントだけにさせていただいて、次の点に移らせていただきます。
最後に、私は先ほど、一点目が不良債権処理の仕組み、それから二点目が銀行の、銀行自身の収益力を上げていくための取り組みについて伺いましたが、もう一点、今国民から見ました場合に銀行の非常な問題点は、顧客サービスのあり方、顧客に向けられた視線のあり方のように思います。その顧客とは、もちろん企業でもあるし、ある場合は個人の預貯金者でもあるのですが、四方に伺います。
おのおのの銀行が出しておられるディスクロージャー誌というのがございますが、そのディスクロージャー誌にこれからつけ加えていきたい点、あるいは御自身たちでどう評価されているかについてお伺いいたします。みずほのあれはまだ私拝見しておりませんので、統合がなされた後のものは。ほかの三方のは拝見いたしましたが、みずほはまだ拝見しておりませんが、よろしくお願いします。
○前田参考人 お答え申し上げます。
ディスクロージャーは私どもの一番重視している部分でございます。これは、ディスクローズする場合に、どの方に向けてどういう情報を開示するかというのを分別していろいろなものをつくっております。その中で、自主開示項目につきましても、できる限りのものを開示するように努めております。
みずほグループになりましてから既に何度かディスクロージャー誌をつくっておりますが、今阿部先生が言われたように、みずほ銀行とみずほコーポレート銀行というのはこれからでございますので、今までは、みずほホールディングと下に三つの銀行、富士銀行、第一勧業銀行、日本興業銀行が、それぞれのディスクロージャー誌を一緒に合わせた形で公開をいたしております。
いずれにいたしましても、ここは、お客様もしくはいろいろな関係者の方に正確に開示をしていくという一番重要な部分だと思います。私どもは、海外の銀行のディスクロージャー誌等も含めて、目いっぱいわかりやすい表現にさせていただきたいと思っております。
○三木参考人 お答えいたします。
私どもも、年に二回ディスクロージャー誌を発行しております。そのほかに、私どもは、ニューヨーク市場に上場しております関係で、アメリカのSEC基準のディスクロージャーもアメリカで発行しております。あと、ホームページ、こちらにいろいろな情報を載せるようにやっております。
これからどういうものを充実していくかという先生の御質問でございますけれども、やはり、そのときそのときに一番合った、現在ですとペイオフにちなんだ問題等を今後ディスクロージャー誌に載せてまいりたいと思っております。
以上でございます。
○寺西参考人 お答えをいたします。
ディスクロージャー誌の発行は年に二回でございまして、それにつけ加えまして、ことしから三カ月ごとの四半期情報開示といったものを開始する予定にいたしております。タイムリーな財務情報を示すことができるように努力をしてまいりたいと思っております。
私どもの持ち株会社でございますUFJホールディングスのホームページ上では、重要情報をプレスリリースというような形で公開しておりますほか、新しい試みといたしまして、昨年の夏からでございますけれども、ホームページを通じて投資家などから寄せられました質問につきまして、よくある質問、こういうような形で、図表を使って解説、回答も始めたところでございます。
いずれにせよ、私どものグループ全体の姿をよく御理解いただくために、わかりやすい情報開示に今後とも努めてまいりたい、このように考えております。
以上でございます。
○西川参考人 お答えいたします。
私どもも、年二回のディスクロージャー誌に加えまして、ホームページその他、IR説明会等でもいろいろなディスクロージャーをいたしておりますが、どちらかといえばそれらは金融の専門家向けということでございまして、個人のお客様にはかなりわかりにくいものではないかというふうに感じております。
今までも個人のお客様向けのミニディスクロ誌というものを発行しておるわけでございますが、この四月のペイオフ凍結の解除を受けまして、主として個人のお客様により当行の経営状況をわかっていただく、多くの方にわかっていただくために、別途わかりやすいディスクロージャーをしていきたい、そういう小冊子を四半期ごとに作成いたしまして全国の各支店に常備をして、いつでもごらんになっていただけるように、あるいはまたお持ち帰りもいただけるようにというふうにいたしたいと思っております。
わかりやすくするということがまず最も重要なことだというふうに考えております。
○阿部委員 私も最後の西川参考人がおっしゃったように、各社のホームページを拝見いたしましても個人である私には非常にわかりにくうございます。
それからもう一つ、普通ホームページといいますとこちらからメールアクセスができるようなメールアドレスがあるのですが、各社を私が見た限り、気がつきませんでした。もしかしたらないのかなと思いました。
先ほどどの銀行の方も郵貯の民営化のお話をなさいましたが、その場合はもっともっと、個々人が金融ということ、銀行に対してアクセスしやすい体制がどの程度とられているかという当たり前の前提が欠けております。これからの社会というのは、どんな小さな個人からも信頼されるような金融の仕組みがないと結局のところやはり足をすくわれると私は思いますので、各社、そのような方面に御尽力いただきたいと思います。
終わらせていただきます。
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