第154回国会 財務金融委員会
 第19号(2002/05/29) 抜粋

議事録全文(衆議院のサイト)

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 先回の委員会で我が党の植田至紀委員が内閣提出の法案についてはかなり綿密に質疑をいたしましたので、今回は、本日提案されております民主党からの提案についてまず冒頭御質問をいたします。

 提案趣旨理由の中にもございますが、中ほど後段、連結納税制度の導入によって果たして税が減収するか増収するかについて、政府側の見通しと民主党各位の見通しの中には、場合によっては隔たり、現状認識の差があるやもしれないと思いますので、まず一点、その点をお伺いいたしますが、ここに書いてございますことは、連結納税制度を導入する企業が付加税等々で余り多くなければ、課税ベースに、三二%にしたことによって、むしろ税収が上がっていくこともあり得るというふうに民主党案では述べられておりますが、果たして試算等々はおやりになっておられますでしょうか、その点を一点民主党にお願いいたします。

古川委員 お答えいたします。

 ただいまの試算しているかどうかという話でございますけれども、なかなかこれを試算するのは難しいわけでございます。

 委員も御承知かと思いますが、経団連などの協力のもとで大和総研などが行ったアンケート調査や、あるいは読売新聞などが行った調査を見ておりますと、ほとんど、連結納税を採用するという企業が極めて少ない。本来であれば真っ先にこの制度の適用を行ってもおかしくないようなトヨタ自動車のような会社でさえも、この適用には消極的になっているということを考えますと、政府の試算をした、連結納税を適用してそれによって減収幅が起きるというそういう試算は、これは実際に適用する企業がこれだけ少ない、また適用を検討している企業もこれは極めて少ないという状況を見てみますと、やはり、これはかなり過度に減収額を見積もっていると言わざるを得ないのではないか、私どもはそう認識をしているわけであります。

 そういう観点から考えますと、他の増収措置と相まって、法人税収全体で見ますと、むしろ減収よりも増収の方が大きくなる、そういった意味で増税の効果というものを持つのではないか、私どもはそう考えております。

阿部委員 もし増税の効果の方が高ければ塩川財務大臣も少し安心はされるかと思いますが、実は、増であるか減であるかの予測は、実際には確かに立ちがたいところで論じているわけでございまして、むしろ、根本的にはこの連結納税制度そのものにかかわる趣旨、そして民主党案では付加税制度があるゆえに趣旨が損なわれるというふうな御意見を賜っておりますが、そこにとどめてよいのかどうかということで、二点目の質問をさせていただきます。

 今の御答弁の方も例示されました大和総研の資料から、私も同じ資料を引用させていただきますが、この大和総研における調査では、九十三社の回答がございまして、一応、連結付加税ということが問題であるとした企業は九十三社のうち確かに六十一社ございますのですけれども、しかしながら、逆に、この六十一社の中で、連結付加税が撤廃されれば今度は連結納税を適用しますかと聞きますと、イエスと答えたのは七社しかございませんのです。

 確かに、第一段階を見れば、連結納税の中で付加税があるゆえに導入しませんよというのが六十一ですが、ただ、その六十一の中で、さらに、撤廃してあなた導入しますかと言うと、今度は七社しかイエスと答えられない。ということは、この連結納税制度をめぐって、必ずしも付加税の問題のみに論を狭めていくということはいかがなものかとこのデータからは思うのですが、この点についての御所見をお聞かせください。

塩川国務大臣 私は、この調査を見まして、これはどういう趣旨でやったのか、読売新聞社の方並びに大和総研の方に十分勉強させてもらいたいと思っておりますが、大体、これ、会社を見ましたら、もうかっている会社ばかりですね。ですから連結納税しなくても子会社は立派に立っていくし、そしてまた、子会社が赤字を出しておったら親会社からでかい怒られて社長が務まりませんわな。

 ですから、そういうようなところを対象にばかりしたら、それは賛成だ、適用すると言うのは少ないかもしれないと思いますけれども、そうではなくして、これから私は異業種間における連結納税というのが非常に適用されていくんじゃないかと思うんですよ。そういう意味において、私は、独禁法改正に伴って連結納税制度というのは必要になってきたという趣旨はそういうところにもあったと思っております。

 ですから、企業が、真剣にこの制度をどう適用するかというのはまだ考えている段階だと思いまして、その意味において、この一つの資料で、今さっきのアンケートの資料は資料として拝見いたしますけれども、これによって我々は何を学ぶかということは、これからの問題だと思っております。

阿部委員 ありがとうございます。

 後でコメントさせていただきまして、同じ質問を民主党の方にもお願いいたします。

古川委員 確かに、委員御指摘のように、連結付加税が廃止されたからといって適用すると答えている会社は少ないわけでございますけれども、そもそもこの連結納税制度を導入する、これは、急激な社会経済環境への変化に対応して我が国企業の国際競争力強化に資するのが連結納税制度である、そういう制度を導入する、そういう趣旨から考えますと、なるたけ企業がこうした制度を活用して、特にこれは、この連結納税を採用するというのは節税効果を目指すというものが中心でありますので、そうした節税効果があるような形で企業がこの連結納税制度を利用していくような、そういう形にしていかなきゃいけない。

 そのやはり一番最初の、もちろん、今結果で、この連結付加税だけがすべての阻害をしている要因ではないけれども、まず最初に挙げられておりますのがこの連結付加税。連結付加税というものがかかっておりますと、その次にそもそも思考がいっていない。ですから、このアンケート調査の結果などから考えますと、この連結付加税があることによって、なかなか次の、もう少し正確に、この連結納税を導入することが本当にその企業にとってプラスなのかマイナスなのか、この付加税があることによってかなりこれは増税になる、連結納税を採用すると増税になってしまうような、そういう企業も出てきてしまうわけです。

 ですから、そこで、その連結付加税の有無によって増税という形に判断されてしまうと、それ以上ほかの、今回の法案に含まれているほかの問題にまでなかなか思いは及ばないわけでありまして、そういう意味では、まず一番入り口の段階で障害になっております連結付加税を、私ども修正案で提案させていただいておりますように撤廃をするということが、この連結納税についてより企業の関心を高め、そしてその採用を促進するために必要不可欠である、そういう観点から私どもこの連結付加税についての撤回というものを修正案で出させていただきました。

阿部委員 もちろん企業ですから、節税効果というのを願わない企業はないわけで、そこが入り口と考えるか、むしろ私は、税制の論議ですから、やっぱりこの税制が、日本の企業の、先ほど主税局の方もおっしゃいましたが、組織再編、持ち株会社化あるいは分社化という現在の形態にとっていかなる意味を持つのかというところから、この付加税制度があるとやはり本体をゆがめますので、その意味では取り外した方がよいとは思いますが、はたまた先ほど財務大臣もおっしゃいましたが、まだまだ私は企業の方の現状の調査と申しますか、それは吉井委員も御指摘の中小企業も含めまして、なかなか実態を法律をつくる側が把握し切れていない状況があると思います。

 そして、私は、国際競争力、グローバル化した経済の中で、もちろん日本が他の国に劣らない競争力をつけていくという意味で、特に、大企業中心にこういう制度がとられるということは、一つの選択方式であると思いますが、我が国のやはり産業の実態、多くの中小企業に支えられ、それから生産力というよりもむしろ技術力で生きていく日本のこれからを考えました場合に、この税制が中小企業も含めてどんな意味を持つのかということにおいて、いましばし論議が必要であろうとするのが我が党のスタンスでもあります。

 提案者の方にはありがとう存じます。引き続いて、次の質問に移らせていただきます。

 柳澤金融大臣にお伺いいたしますが、私がいつも三月危機ということでお伺いを申し上げておりましたが、先日発表されました大手十三行の不良債権残高は、一年前に比べまして四七%増の二十七兆円となってございまして、この中で破綻懸念先債権以下では十五・四兆円とこれも一年前に比べて三二%増になってございます。

 これは、日ごろ柳澤大臣がおっしゃる特別検査等によっても、新規発生がことしは六・六兆でしたか、例年より多い。昨年は三・〇であったと思いますが、多い不良債権になっておるというのは勘案した上で、しかしながら昨年八月金融庁が明らかにされました金融再生シナリオというものの中では、一応不良債権残高はこのような高い数値には予測されておらなかったように拝見いたします。

 この点につきまして、例えば二〇〇〇年度末の不良債権残高十八兆円が二〇〇一年度末、すなわちことしの末では漸減するとお見立てであったと私は読み取っておりますが、逆に二十七兆円という形で十八兆円から九兆円増になってございます。そうなりますと、昨年八月の金融再生シナリオそのものを、大臣としてお考え直しになるのか否や、その点一点お願いいたします。

柳澤国務大臣 今度の平成十三年度末の不良債権は、今阿部委員御指摘のように、増嵩をいたしました。我々の見通しにおきましては、漸減という言葉で全体を表現させていただいたんですが、オリジナル版で皆さんに御批判をいただいたのは多分横ばいという漢字だったと思うんですね、最初は。ところが、もうそこに物すごくまた批判をされまして、最後の年がちょっと下がっているものですから、では漸減ということでお願いしようかといって改めたような記憶もございます。

 しかし、そのときに私どもが考えていたのは、十三年度末はこれはちょっとふえるのではないか、こういう見通しでした。それはどうしてかというと、要管理債権についての基準を、明確化と申しますか厳しくする、見方によってはそういう表現をされた人もいるんですけれども、そういうようなことが反映する結果、要管理債権というのはかなりふえるであろう、こういうように当初から見通しておりました。

 もちろんそれからも、加えまして、破綻懸念先以下の増嵩については、今委員も御指摘のように、八月よりも後の、あれは十月段階でございますか、ある大手の小売の破綻というようなことで特別検査というものを導入いたしまして、リアルタイムでの評価をしようというふうに検査の態度を例外として改めさせていただきましたので、こういうようなことになったというふうに考えております。

 したがって、プロジェクションについてどう考えるかということですが、プロジェクションの計算は改めるということは当然でございますけれども、ただ、そのプロジェクションが目標としたところの、集中調整期間終了後において不良債権のメルクマールで見たときに問題の正常化をするというこの目標については、私ども改めないという方針で臨んでいるところでございます。

阿部委員 専門用語でプロジェクションの見直しと言われると何となくわからないかなと。でも、とにかく見立てはちょっと見誤ったかなということなのかなと拝聴いたしました。

 それでは、今後の見立て、ことし九月の中間期決算、あるいは来年三月の決算の不良債権残高はどのようにお考えか。そして、一言申し添えさせていただければ、私どもの政党といたしまして、この不良債権処理をとにかく急げというよりは、何せ経済そのものが活況を失っている中ですので、これは即々、例えば最終処理までしなさいという意味で問うているのではなくて、やはり見通し、それからどのような手順でやっていくかということについてのお考えを伺いたいということです。

柳澤国務大臣 九月期の見通し、それから来年三月期の見通しいかんということでございますけれども、これはもう少し数字の分析をさせていただく時間をいただかないと、いろいろな分析に基づいての見通しということになりますので、私どもの作業としてはちょっともうしばらく時間がかかるというところでございます。内部的な作業としてもそうだということを申させていただきます。

 ただ、そうでございますけれども、何と申しますか、四月の十二日に各主要行の決算発表がありまして、それを集計した数字を私どもの方で発表させていただきましたが、それと同時に、私ども新しい施策を三点打ち出させていただきました。そのうちの一点でございますが、不良債権のオフバランス化というものをさらにきっちりした形で進めるということを申させていただいておりまして、これは従来新規発生の分については三年ということでございますけれども、それをさらに一年度目に五割程度、それから二年度目には大宗をオフバランス化するということを申させていただいております。

 それからまた、特別検査で発生した破綻懸念先以下のものについては、これは即この年度で処理をするということでございます。そうしたことを実現するための最後のよりどころとしてRCCの強化ということもうたわせていただいておりまして、この点、阿部委員の党の方針とは少し違うかもしれませんが、そういうことで私どもとしては不良債権問題の正常化を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

阿部委員 時間の関係で、私、ちょっと質問という形にはできませんのですが、実はこの不良債権問題が銀行の貸し出し態度に相変わらず影響しているという点を非常に強く、本来の金融の役割を果たしていないという点で懸念しております。特に、この間、中小企業の貸出金利を上げようという銀行サイドの姿勢があり、なおかつ、いわゆる大手企業においてはさまざまな資本投入がなされながら、なおかつ貸し出しについては銀行側もさほど強いことを言わない。

 きょう問題になりました中小企業と大手企業の関連で申しませば、やはり余りに不公平な銀行のあり方あるいは税制のあり方というのは、我が国の活力をゆがめるであろうということで私の見解を一言申し添えさせていただいて、あと、塩川大臣には、申しわけございません、時間がなくて御意見を承ることができずに失礼いたしました。ありがとうございます。

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