第154回国会 財務金融委員会 第22号(2002/06/28) 抜粋

議事録全文(衆議院のサイト)

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 きょうは、先ほど来、柳澤金融大臣、おかげんを崩されているところで、私の質問であとお時間をいただいて大変恐縮ですが、大半、大臣に対してですので、よろしくお願いいたします。

 先ほど塩川財務大臣の景気判断のお話も少し披瀝されておりましたが、この間、株価が一万円割れをする、あるいはアメリカの経済の低迷などなどが報じられる中で、辛うじてと申しますか、アメリカ経済が少し立ち直り、アジア向けの輸出も進んで、日本の景気も少し浮上してきたまだやさきで、これからのアメリカの逆に言うと景気の影響、それから円高ということも要素として出てまいります可能性もある中で、これは本来、所轄の、担当ではないことは存じた上で、柳澤金融大臣は、この間の景気判断、特に五月の月例経済報告が底入れ宣言ということにはなってございますが、まだまだ株安、円高、不安要因もございますと思いますが、こうしたことについてグローバルな見通しはどのようにお持ちでございましょうか。一点目です。

柳澤国務大臣 かねて申しますように、私どもはマクロ経済の分析をする係、担当を事務局に持ち合わせていないわけでございます。したがって、阿部委員からそうお尋ねになられても、内閣府の報告を聞いているものをお話しするということでございまして、それだったらもっとふさわしい方がいらっしゃるんじゃないかと思うんでございます。

 いかがいたしましょうか。何かしゃべらないといけないんでしょうか。失礼しました。

阿部委員 そういうお答えも予測しておりましたので結構です。

 それでは、例えばですが、株価が一万円を割れてきたような場合に、今問題になっております不良債権処理問題でもやはり影響が多大に出てくるようにも思いますが、そういうことについての柳澤金融大臣のお考えはいかがでしょうか。

柳澤国務大臣 株価は――かなりこのところピッチが早く保有株の縮減に取り組んでいるようでございますけれども、なお絶対の水準というか残高というのはかなりのウエートを占めているわけでございます。

 今、時価会計でございますのでこれらはすべて時価に直すということで、一つは減損会計を使う必要がある部分もあるし、一つはそれは使わないでただ資産の中での評価損ということを計上しなければならないということでございますが、いずれにせよ、これは、一方は収益を直撃しますし、それがない場合でも自己資本を侵食するという作用を持ちますので、株価については、私ども、単に市場の思惑で下落するというようなことはできるだけないようにしてほしいな、そういう期待を持っているわけでございます。

阿部委員 逆に、期待感の一方で、このラインを割ると危ないというような、こういう考え方、されるのかどうかわかりませんが、デッドラインというふうなお考えはお持ちでいらっしゃいますか。

柳澤国務大臣 この点については、シミュレーションをすることは可能でございますが、その場合でもかなり前提を置かないとそのシミュレーションもできません。

 私の昨今の感じでいいますと、銀行のビヘービアというのは非常にいろいろでございまして、単純に株価がこれになったら自己資本比率がこうだというふうにならない、そういうふうに強く感じていまして、そういう意味では、シミュレーションをするについても、これはいわば一元方程式じゃなくて、多元方程式でやらないと間尺に合っていかないなという感じを持っておりまして、そういう意味では、余り株価と自己資本比率を対比させるような、そういう考え方というのはちょっと有効でないというふうに思い始めています。

阿部委員 本当にそうであれば、この株価の問題は銀行にとっても負担が軽くなってまいりますでしょうが、やはりまだまだ株式への依存度も高いと思いますので、先ほどの全体の政府の判断もあわせて、今、我が国が諸外国からも金融不安ということで評価を落としている点も多々あり、柳澤金融大臣が見識を持って臨んでおられる点は承知していながら、しかしながら解決されていない点もあると思いますので、今後よろしくお願いをしたいというのがまず一点です。

 まず、次の問題もほかの委員もお聞きになりましたのでなるべく重複がないようにまいりたいと思いますが、いわゆるペイオフ問題でございます。

 ペイオフ問題は私はこの委員会でよく取り上げさせていただいて、柳澤金融大臣の断固たる決意もよくよく存じておりますが、きょうの御答弁を聞きますと、断固たる決意はありながら状況も判断しつつという、多少揺らぎも見えるのかなというふうに拝聴いたしましたが、実は二十五日付の、先ほどの自由党の中塚委員もお取り上げですが、朝日新聞に出ておりましたペイオフ特例の問題。先ほど金融大臣もお答えになりましたけれども、そして、韓国でもこのような現状追認的な特例、ある合併した直後の特例期間というようなものもあるようだというお答えでもありました。

 私が以前お伺いしたときに、たしか、大手銀行については四月のペイオフについては何ら心配もなく、信金、信組については、これは問題があってはいけないので厳しい査定で臨んでおるというお答えで、今度、地域金融機関の再編ということが絡んでまいります場合に、地銀というものの現在のそうした面の金融機関としての安定度の評価は、柳澤金融大臣はどうお考えでしょうか。

柳澤国務大臣 今阿部委員がおっしゃられた地銀ということの中に第二地銀まで含んでのお話かとも思いますけれども、何と申しますか、私ども、まず、この四月一日を迎えるに当たって自己資本比率の状況等で問題のあるところはありませんということを申し上げたわけですが、そのことはその後も変わっていないというふうに思っております。

 預金の動向はどうかといいますと、預金の動向は、大手銀行でもやはり定期性預金が減って、それから流動性預金がふえているということでございまして、そのことは、むしろどこも大体同じようなことでございます。

 業態というか、今の銀行のカテゴリーで見た場合もどうかといえば、信金、信組、それから第二地銀、地銀というように、そういうようなところが月によって対前年同月比でマイナスが立っている月もありますけれども、それらについてもそんなに何か深刻にとらえなきゃならぬようなそういう幅にはなっていないという認識を持っているわけでございます。

阿部委員 これも先ほどの御答弁の再確認をさせていただきたい点ですが、現状追認的に、例えば預貯金の一千万円を超えた保護を統合銀行について、第二地銀や地銀も含めて行うことはあっても、地域金融機関の再編のために積極的に今のペイオフ問題の例外をつくることはない、積極的に統合のために一つの手段としてペイオフの特例期間を置くことはないという御所見でございますか。

柳澤国務大臣 基本的に、私どもは最初に、信組が検査が一回も入っていないので、これを度外視してペイオフをやってしまうということはちょっと控えるべきだといったときに、じゃ、信組だけペイオフを延期して他はペイオフをやるということが可能なんだろうかと、全く頭の体操ですが考えたことはあるのですが、そういうことはやはり不可能なんですね。そんなところへいったら、その業態に預金がどばっと入ってしまうということは容易に考えられるわけでございまして、やはりある業態ごとに、この業態はペイオフ待ってやりましょう、あとはペイオフしましょう、これはちょっと考えにくいことだということで御答弁になるかと思います。

阿部委員 そういたしますと、最初の一点目に戻ってまいりますが、来年四月からのペイオフは既存の、既定の方針どおり行っていかれるというお考えであろうかと思いますが、その件について、各方面からやはり懸念が表明されていると思います。特に日本商工会議所や全信協という方々の御意見もこれあり、なぜこの金融情勢、なかなか、安定したとはいえども不安定要素も高い中で、あえて来年四月全面解禁に踏み込むのかということの御答弁が一つ。

 それから、何度も確認いたしますが、先ほどおっしゃいましたが、もしも業態によってペイオフを部分的に残しながらやらなきゃいけないようなことがあるのであれば、むしろその場合は、私は、ペイオフ解禁を延期すべきだ、業態別にそういう例外をつくるんであれば延期すべきだと思いますが、その点についてはいかがでしょう。

柳澤国務大臣 要は、私は、ペイオフというのは構造改革のための施策で、これは非常にある意味できくと思っているわけです。これはもう本当に、金融機関にとっては最大の緊張、今までに比べれば最大の緊張をしなければならない。自分が預金者の信頼を得られないというようなことになったら、たちどころにこれは立ち行かないことになるわけでございますから、したがって、私は、かなり強烈な構造改革を強いる道具というか動機になっているんだろう、こう思います。

 ですから、そういうことで、私どもとしては、当該のそれぞれの金融機関の構造改革の努力と同時に、政府もその努力を支援するというかその努力に協力してやる、そういう局面として何があるかということを考えてやらなくてはならない、こういうように思っているわけでございまして、それが基本の考え方でございます。

 なお、業態別の云々ということは、初めからこれは具体論としても考えにくいことでございまして、それはもうちょっと、これからも阿部委員がお考えになるときに、できれば除いて考えていただいた方が能率的じゃないかというように思っております。

阿部委員 別に私が考えたわけではなくて、報道紙上あるいは金融大臣の記者会見などをホームページで拝見して伺ったことですので、私の理解が及ばなかった点があればそれは私の方で至らなかったこととおわびいたしますが、そのように受けとめられる御発言もあるやに思いますので、もう一度、大臣の方も記者会見のところをホームページでごらんいただければ幸いであります。

 あわせて、今のさまざまな金融機関の問題、特に中小企業の皆さんへの貸し出しの問題とあわせて、構造改革を行うにも極めて微妙な問題があるという認識も恐らく共有はしてくださっていることと思いますが、それに関連いたしまして、二十四日付の日経新聞にも本日の朝日新聞にも出てございましたが、整理回収機構の不良債権買い取りのことについてお伺いを申し上げます。

 不良債権の買い取りということで、これまでは、破綻懸念先という形での買い取りというのは、実質破綻先というものはあったとしても、破綻懸念先あるいはそれ以下のものについて、特に全国信用保証協会連合会の保証がついたものについては、実際に整理回収機構でお引き受けになるということは、これまではなかったやに報道されております。

 その件とも関連して、いわゆる回収機構、RCCの中に企業再生本部というのが発足されたのが昨年十一月と思いますが、そして、そのとき、金融再生法の改正で、これからは企業再建ということも念頭に置きながらRCCの業務を行うというお話でもありましたが、実際の数値についてお伺いいたします。

 この企業再生本部を発足されて以降、手がけられた企業再建の件数、それと、RCCが発足してから、昨年十月、この改正以前に手がけられた件数について、おのおのお答えくださいますか。実務方で結構でございます。

村田副大臣 企業再生本部設置前の数字でございますが、約四十件について企業再生に関与している、こういうことです。それから、RCCの企業再生本部が昨年十一月に設置されましたわけですけれども、本年六月までに十四件につきまして企業再生手続を実施してきた、それ以外に、現在約百三十件の債務者企業について再生の可能性を検討しているところ、こういうことでございまして、RCCも、経済合理性を考えまして、債務者企業の実態に応じました企業再生に取り組んでいる、こういうことを御報告申し上げたいと思います。

阿部委員 単純に年平均いたしますと、今のデータから逆算いたしまして、発足以前が十六件、再生本部が発足してからは年平均十七・五件で、そして昨日いただきましたデータでも、企業再生本部の真の意味の活躍というのでしょうか、それはちょっとまだ地についていないのかなという気がいたします。

 そこで、この企業再生本部の人員ですが、どのような陣容で臨んでおられ、人員の充実ということはどのようになっておりますでしょうか。これは直に質問通告していなくてごめんなさい。

村田副大臣 企業再生本部でございますが、役員四名、それから職員が六十名、こういうことでございまして、それぞれ、東京特別回収部から東京・東日本地区、大阪特別回収部、大阪・西日本地区と、地方の組織もありまして、一生懸命、企業再生に取り組んでいる、こういうことでございます。

阿部委員 では、最後に、柳澤金融大臣にお伺い申し上げます。

 銀行サイドからこのRCCに移るに当たって、中小企業、特に先ほど申しました信用保証協会のついたような中小企業の業態、経営の場合に、やはりRCCに移って以降はちょっと不安が強い。もう企業再生を今六十名の陣容で行っておられるとおっしゃいましたが、そのRCCにおける企業再生の実績と、今後の運用、活用のされ方について、これは担当大臣の柳澤金融大臣からも一言、覚悟のほどと、それからまた、信用保証協会とRCCとの協議を見守っておるという、これもホームページで拝見いたしましたが、そのあたりについても、一言お願いします。

柳澤国務大臣 先ほどどなたの御質問でしたか、長妻先生の御質問でしたか、我々、スケジュールを決めて不良債権のオフバランス化をすると。それについては、やはりその受け皿というものがなければそういうことはなかなか実現が難しいわけでして、私どもとしてもRCCを、どうしてもというときには受け皿にしてくださいということとセットにしてオフバランス化を進めるということになっております。

 したがって、これから、オフバランス化のためにも、RCCの活用の程度というのは増加していくわけでございますが、その場合にRCCは、従来やってきた回収に加えて企業再生というものに取り組むということが、これは小泉内閣になっての強い方針として打ち出されておりまして、RCC側もそれを十分受けとめて、その体制等について整備を図り、また、これはRCCの言葉でございますけれども、再生マインド、今までは回収マインドが強かったわけですが、再生マインドというものをRCCとして持たなきゃいけない。こういうようなことで、その姿勢を積極的にしていただいておる、このように考えておりまして、ぜひその方向で進んでもらいたいと私としても思っております。

 なお、そのプロセスの中で、信用保証協会の保証がついたものについてどう取り扱うかということでございますが、実はある銀行が、大変たくさん、金額が多額の債権をRCCに売りたいというオファーをしながら、途中でちょっとそれが急にしぼんじゃったことがありまして、これは一体何でこんなにしぼんだんだと言ったら、いや、保証協会の方からちょっといろいろな意見があってというようなことで、しぼんでしまったというようなことがございました。

 私、やはりそこには一定のルールが必要なんじゃないかというように考えておりまして、当事者の皆さんも、同様の考え方から、今、そのルール、どういうものだったらRCCにやることはやむを得ないと考えてもらえるのかということをきちっとしないと、片一方でやっているオフバランス化がそれでうまくいかなくなっちゃうというのは、私としては非常に困るわけでございまして、やはりそこはできるだけ日本の不良債権問題の処理ということを尊重しつつ、また、かつ、企業再生、中小企業の存続というものをできるだけ図っていく、そのぎりぎりのところを探っていく一つの基準をつくらなきゃいけない、非常に難しい作業かと思うんですが、そういう両方の要請の衝突が起こっているということでございますが、早く解決をいたしたいと考えております。

阿部委員 一方で今、金融大臣のおっしゃられたルールの明示化という問題と同時に、銀行そのものにも、やはりきちんとした銀行としての能力発揮もまた期待するものでございます。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。

坂本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

第154回国会 国会活動コーナーに戻る   阿部知子のホームページに戻る