第159回国会 環境委員会 第7号(平成16年4月13日(火曜日)) 抜粋

案件:  政府参考人出頭要求に関する件  大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二〇号)  環境保全の基本施策に関する件

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、ただいま、イラクでは発見されなかった大量破壊兵器問題で、逆に我が国において、かつての大戦中に製造され使用されたと思われる化学兵器によって生じた被害についてお尋ね申し上げます。

 この間、環境省は、とりわけ、昭和四十八年に行われました日本軍の旧軍の毒ガス兵器のフォローアップ調査といたしまして、昨年十二月、非常に分厚い資料を作成でございます。その労苦を多といたしますとともに、逆にまだまだ、この実態調査が進めば進むほど、実際の現実の被害救済も含めて、今後に残された課題が多いであろうと思う観点からお伺いを申し上げたいと思います。

 その第一が、平塚市、私は実は神奈川県の選出でもありますが、まず、私の選挙区にございます寒川というところで毒ガスが発見され、それに引き続いて隣の平塚というところでも出てまいりまして、ここは旧相模海軍工廠と言われる兵器工場があったところであったということも関係して、非常に多くの、当時製造されたと思われる毒ガスがいろいろな形で出てきております。

 特にきょうは、冒頭、平塚の問題をお伺いしたいと思いますが、平塚市も、当然、旧相模海軍工廠跡地ということにかかわる部分が、そこから出てまいったのですが、ことし三月三十日段階で、いわゆる平塚市の市庁舎内予定地といいますか、公共の建物をつくる予定地のところで発見された毒ガスについて、毒ガス兵器の残存物について一応安全宣言というものが出されて、その出てまいりましたところをアスファルトで埋め立てて、安全を当面宣言するということがなされているところかと思います。

 この当面の安全化措置ということにつきまして、これは国土交通省がかかわられて措置をなさいましたので、当面の安全措置とはどんな意味なのかということと、当面の安全措置をしても、例えば、埋め立てても、アスファルトで覆っても、実は今後、掘削を深くいたしますと、またほかにも出てくる可能性があると思いますが、今後の危険性ということについてどのようなお考えをお持ちかの二点、お願いいたします。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の件は、昨年の四月三日に、私どもで実施しております平塚第二地方合同庁舎の工事現場におきまして、山どめぐいの工事の掘削中に球状のガラス瓶三個が発見され、担当の作業員が体調の不調を訴えたものでございます。

 国土交通省といたしましては、不審瓶が発見された直後から、周辺の安全を確保するために工事現場への立入禁止を行って、二十四時間体制で現場の安全管理を実施してきております。

 その上で、敷地内の危険物に関する調査及び対応方針の検討を行うために、化学、環境、廃棄物、医学など、幅広い分野の有識者から成る有識者委員会を設置いたしまして、調査方法あるいは危険物の処理方法について御検討いただき、措置等を進めてきたところでございます。

 不審瓶発見以降、まず不審瓶の埋設箇所を特定するという必要がございますので、敷地全体のボーリング調査、それから不審瓶発見箇所の試掘を行いました。その結果、不審瓶が投棄されている可能性が高い場所は、コンクリートあるいは陶片を埋設した瓦れきの層がありまして、この瓦れきの層の中にあるということが判明いたしましたので、その箇所についてはすべて掘削を行って、不審瓶を除去いたしました。

 除去した不審瓶の内容物につきましては、分析を行った後に無害化処理を行うとともに、掘削土につきましては、中和及び浸透防止措置等の措置を行った上で埋め戻して、御指摘のありましたように、敷地全面にアスファルト舗装を行って、また敷地周囲にはフェンスを設けております。

 これらの安全化措置の終了後、有識者から、土地の改変をしない限り、周辺の方々に全く支障のない安全な状態であるということを確認いただいております。

 以上でございます。

阿部委員 今の御答弁ですが、問題が二つありまして、瓦れきが捨てられた、ここが一番汚染濃度が濃いだろうというところは掘削されましたが、他の部分は深く掘削されずにアスファルトで埋められてしまっていると。そうすると、当面は安全でも、土地の改変をしない限りと言いますが、いろいろな、土地をめぐる、例えば地震でもございますかもしれませんし、今後、逆に言うと、ここはもともと合同市庁舎がつくられるところで、本来であれば、深いボーリングをして、その地域の安全性を確認した上に合同市庁舎がつくられる考えもあったところが、ただアスファルトで埋め立てられてしまって、当面という形で、恒久的な安全性については不問に付されてしまったということが、非常にまた地域住民の不安も抱かせているところかと思います。

 そしてもう一つ、ここから出てきた瓶は、先ほど、当初は三つとおっしゃいましたが、計三百八十五本、四百本以上出てまいりましたか、分析が済んだのが三百八十五本だということで、うち百一本から青酸ということでございますが、そのほかに例えばどんな物質が出てまいりましたのか、これについてもお答えいただきたいと思います。

奥田政府参考人 今お話のございました、現地から発見された不審瓶、これは合計四百七十六本でございます。このうち百五本から青酸が検出されております。不審瓶からは青酸以外の化学剤関連物質は検出されておりません。検出された青酸につきましては、速やかにアルカリ溶液に浸して無害化処理を行いました。

 御指摘の敷地内の土壌の方ですけれども、ここからは微量のマスタード及びその関連化合物、微量のくしゃみ剤の関連化合物の疑いがある物質、微量の催涙剤の関連化合物の疑いがある物質、弗素、砒素、テトラクロロエチレンが検出されております。この土壌中から検出されましたマスタード及びその関連化合物については無害化処理を行い、その他の土壌中の物質についても、有識者にさまざまな観点から御意見をいただいて、安全化措置を行っております。

阿部委員 今御紹介があっただけでも、まず青酸、弗素、砒素あるいはマスタード、マスタードというのはびらん系の化学兵器に使われるものですが、多様な化学兵器の痕跡と思われるものがそこで発見されているわけで、特にまたこの間、平塚市内の周辺の井戸調査からは、神栖でも問題になっておりますが、ジフェニルアルシン酸という砒素関連のものも出ているということで、当座ここだけ埋め立てておれば地域への汚染の広がりやあるいは過去の実態が明らかになるというものでもないと思います。

 この点、何度も繰り返しますが、当面安全ということと、今度またその周辺で何か出てくる可能性が否定されないということが、今後の問題を残しておりますので、本来であれば、安全宣言をするためには、きちんとした、その地域の深いボーリングを含めて、ありとあらゆる可能性を検索していただかないと、今、神栖町でもそうですが、ある種、降ってわいたようなという健康被害が起き、しかし、それが実は降ってわいたのではなくて、もともと旧軍の使った毒ガス兵器の処理や実情がきちんと解明されていないということから発するところである、そして、たまたま発掘というか、道路をつくったりする、あるいは庁舎をつくったりするための国土交通省がやったいろいろな作業の中で見つかってきていて、国土交通省が責任官庁になっておりますが、実は事態はより広く、やはり旧軍の使用し、製造しあるいは放棄した、捨てた毒ガスの問題でありますから、一つ一つ、やはりその場しのぎの対応に終わらない根本対策をぜひお願いしたい。

 そして、この件では、平塚市からも、やはり本来合同庁舎をつくる地域として、きちんとした環境調査をしていただきたかった、アスファルトで埋めただけでは当座の安全策しかないということが指摘されておりますので、そのことも申し添えて、今後きっちりした対策へと結びつけていただきたいと思います。

 あわせて、実際に起きてしまった被害、特に、神栖の問題もそうですし、寒川の問題あるいは平塚の問題でもそうですが、起きた個々の健康被害は、旧軍の遺棄した毒ガスの化学兵器によるものという認識をきちんと総体としてお持ちであるのか否か、これは内閣官房の方にお願いいたします。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 寒川、平塚の事案につきましては、毒ガス弾というものが実際に出てまいりましたので、それへの対応というのは国の責任というふうに十分理解しております。

 それから、神栖につきましては、いわゆる毒ガス起因の化学物質というのが疑われる物質が検出されましたので、その可能性はあると考えておりますけれども、いずれにせよ、いわゆる未然防止対策というものについては、実際、国の方で実施しているところでございます。

阿部委員 今おっしゃられたような、あると認識しておるが点々みたいなあいまいさが、実際に、例えば神栖の被害に遭われた人たちの受け取る印象として、これはなぜ自分たちにこんな健康被害が起きたんだろう、それは、国は毒ガスが疑わしいと言いながら、でも本当に断定はしていないと。では、本当に自分たちの健康被害について、今は当座、療養費とか医療費が支給されておるが、これがもし国の遺棄したものであるならば、国の責任において、健康被害も、それから今後の生活のためのさまざまな補償もされていかないと、当座、調査のために今医療的に協力をしてもらったり情報収集しているという形で言われてしまったのでは非常に心外であるという気持ちも広がっていると思います。

 この件については、既に三月二日の当委員会でも問題にされておりますので、また、小池環境大臣の、極めてこれは日本軍のかつての負の遺産であるというふうに認識しておるという答弁もございますので、特に健康被害を実際に受けた方々に接する政治の姿勢として、あいまいさを残さずにきっちりこれもやっていただきたいと思います。

 そうした観点から、実は寒川の場合には、これは、現場で工事にかかっていた方の十一人の作業員が被災されましたが、うち九人は労災で対応されましたが、二名は事業主だということで、実際の労災も適用がされておりません。そういたしますと、この二名の方の救済、健康被害は一体どうなるのか。これまで八十件以上のいろいろな実際の被害が起き、その都度いろいろな、その時々の、これは労災である、あるいはこれは、今度の神栖のように、健康調査のためのスキームであるというような言い方で、きちんとした総合対策が組まれておりません。特に、例えば寒川で労災に当たらなかった人たちの救済はどうなるのか。これも内閣の方でお願いいたします。

森本政府参考人 お答えいたします。

 寒川の個別の事案につきましては、国土交通省の方で対応されていますので、詳細は承知しておりませんが、そもそも、いわゆる健康被害、毒ガスに起因する健康被害というものについては、迅速的確な対応が肝要であるというふうに考えております。

 実際の国内における毒ガス弾による被害というものは、被害の発生の状況や被害者の対応がさまざまだということもありまして、個々の事案に応じて迅速な対応を図る、そういう観点から、労働災害補償保険法に基づく措置などによって対応してきたということでございます。

 また、原因が必ずしも特定されていない場合、神栖のような事例でございますが、これにつきましても、閣議了解に基づく措置を講じて、国として被害への迅速な対応というのを図ってきたということでございます。

 将来、さらに毒ガス弾による被害が発生した場合には、また個々の事案の状況に応じて検討する必要はございますけれども、被害の状況、被害内容を把握した上で、事案に即して国として迅速に対応していきたいというふうに考えております。

阿部委員 今おっしゃられたような、個々の事案は承知していないと。これは、きのう質問通告したときに、内閣として一括してお答えになるということでしたので了解いたしましたが、実は人間はみんな個々でございます。その個々の個人が救済されなければ、それは救済とは言いません。

 場当たりの、その場、その時々、これから起きたらまたそれを対応しますという形では、この毒ガス問題がなぜ生じたか、そこの原点が踏まえられていないから、例えば神栖町の人たちも、さっき言いました医療調査のために万全を期してやっていますと言われても、では、原因は何だったの、自分たちはなぜそうなったのというところで、大きな食い違いが生じております。そこはやはり、私は政治がきちんと責任を持つべき事案で、化学兵器等々はそうしたことであると思いますので、今、個別の事案、寒川のことはお答えいただけませんでしたが、そのような漏れがあるんだという認識をきっちりと持っていただきたいと思います。

 時間との関係で、最後に、小池大臣に一問お伺いしたいと思います。

 実は、この毒ガス問題は日本の国内だけではなくて、中国の黒竜江省というところでも、昨年八月、日本軍が遺棄した毒ガスで住民四十三人が負傷し、一名が死亡で、日本の方から協力金ということで三億円が中国に支払われた。そして、この三億円の使途について日本側と中国側とどのような詰めがなされたのかということも、かなり一致しておらないように思いますが、きょうはそこを聞く時間がございませんので、また改めさせていただきたく思いますが、小池大臣には、この間、日本の国内でこういう毒ガス兵器による健康被害、環境汚染の実態、さまざまに、ちょうど我が国が経験して、省庁としても資料をまとめられて、いわゆるデータも持っておられることと思います。

 今後、中国でも、中国でも同じですが、黒竜江省で発見され、またこの次どこかで発見されるということも決して否定できない。そういたしますと、環境調査も含めて、再発予防ということのための認識を各省庁間連絡会議でまずは表明というか、御意見を述べていただきたいということと、この外国の事例についても、明らかに日本の旧軍の使用した毒ガスによる実際の被災と、それから、今後の被災防止のために環境省としての提言なり発言をしていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

小池国務大臣 御指摘のありました関係省庁連絡会議ですが、正確には、国内における旧軍毒ガス弾等に関する関係省庁連絡会議と長いものになっておりますが、このタイトルどおり、国内における毒ガスなどによる被害の未然防止を目的としておりまして、基本的には今の中国遺棄化学兵器処理の関連については議題とはしておりません。

 ただ、今御質問の中にもありましたけれども、環境省として、昭和四十八年に行いました調査のフォローアップ調査ということの関連情報など、内閣府、そして外務省等の関係省庁にも広く提供もしてきております。

 それから、もっと関係省庁それぞれ情報で連携をとったらどうだという、そういう意味で御質問があったと思いますけれども、今後も、環境省の毒ガス情報センターを設けておりますが、そこで収集いたしました情報であるとか、それから、これまでの環境調査で得られました知見などを、有用と思われるものはそれぞれ関係省庁の方に提供して、政府全体としての情報を共有するように努力していきたい、こういうふうに思っております。

阿部委員 今、大臣の御答弁にもございましたが、省庁間連絡会議が主に国内を目途としてつくられたものであるということからさらに一歩進めて、例えばSARSとか鳥インフルエンザでもそうですが、国際的な広がりを今は何でも持っており、特にこの旧軍の毒ガス兵器も不幸なことに国際的な広がりを持っておりますので、大臣の見識で、ぜひとも中国においても安全性がさらに中国の国民にも保障されますような御尽力をお願いしたいと思います。

 終わらせていただきます。

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