第159回国会 環境委員会 第13号(平成16年5月21日(金曜日)) 抜粋

案件:  特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律案(内閣提出第一二五号)(参議院送付)

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 まず、岩槻参考人にお伺いいたします。

 岩槻参考人が園長を務めておられた東大の植物園というのは、実は私はそこの医学部を卒業したのですが、私どもにとりましては、そこに行けばちょっと日常からほっとできる、非常にオアシスのようなところでもありました。そして、日本のそういう学術体系の中で、植物系の研究に時間を割けるだけの国としての位置づけをされたところとして、今般、独立行政法人化のいろいろな波が押し寄せたときに、やはり学問というか、そういう長いタームで考えなければいけないものの位置というものを日本がどう考えていくのかなという思いを持ちながら、先ほどから参考人の御意見を聞いておりました。

 今回提案されております法律体系の中で、いわゆる一人の市民として考えますと、経済効率が非常に時代的に前面に出てきた場合に、それ以外に本当に科学的なところ、学問的なところで何かを判定してほしいという思いが逆に強まっているのもまた事実だと思うのです。しかし、なかなか、学問は白黒を時間軸で百年とか考えなきゃいけないという矛盾に立たされた中で、今回つくられようとしております法案の中で、いわゆる専門検討委員会的な、それは学問的なものも含めての貢献ということですが、そういうものが、ここには、法律自身には策定されておらないわけですが、しかし、専門家として、こういう法律ができるときに、どういう形であればより長期的に見てよいかということで御意見を賜りたいと思います。

岩槻参考人 ちょっと御質問が包括的過ぎてお答えするのが難しいところがありますけれども、何度かもう既に申し上げたことを反復することになるかもしれませんが、基本的には、現在わかっています知見、先ほど申しましたように、まだ生物多様性に関する知見は乏しいということを言いながら、やはり大量の情報を持っているわけですから、そういう大量の情報をいかに有効に活用して今問題になっているところを整理できるかということだと思うんです。

 ですから、この法律が成立しますと、いずれ、特定外来生物の審査といいますか、認定というようなことが必要になってくるかと思いますけれども、そういうときには、現在我々が持っています情報というのはできるだけ活用させていただいて、より正確な判定ができるような努力をさせていただきたいと思います。

 ただ、何度も言いますように、情報量がまだ一〇〇%あるわけじゃないですから、ひょっとしたら科学が間違う、私がというよりは科学が間違うということがあるかもしれませんけれども、それは、そういう試行錯誤を繰り返しながら、よりよいものにしていくというスタンスしか、こういうことではあり得ないんじゃないかというふうに思います。

阿部委員 恐らく、市民側から要求されているものは、やはりそういう科学的な判定委員会というものをきっちり形にしてほしいということ。それは、その当座はわからないところがあったとしても、そういうところで判定して一つ一つ確認していく作業が必要なのではないかという意味で、学者に要求されるものも高いのかと思います。

 そして、もう一つ先生にお伺いしたいのですが、同じような島国という成り立ち、海に囲まれた国として先ほど来ニュージーランドの例が挙がっておりますが、そのニュージーランドにおけるさまざまな生物多様性の保存と我が国とを比較した場合、これまであるいはこれからどのような課題がありましょうか。

岩槻参考人 ニュージーランドとの対比は、私も非常に重要なことだと思って、いろいろな意味で申し上げたい部分があるんですけれども、一番典型的なのは、ニュージーランドは日本の四分の三ぐらいの面積ですけれども、人口が横浜市民の数ぐらいなんですね。ニュージーランドで日本人に出会いますとしばしば言うんですけれども、日本列島から横浜市民以外の人が皆さん撤退していただくと、日本もニュージーランド的なことがいろいろやれるようになるんじゃないか。

 先ほどから話題になっています普及活動ということでもまさにそうだと思うんですけれども、ニュージーランドで人々がいろいろなことを認識されるというのと日本で一億二千万の人が認識をしていただくというのは、随分違うと思うんですね。しかし、それにもかかわらず、例えばこの外来生物に関する認識も日々進んでいるということは、私は肌で感じ取っているといいますか、理解しているんです。

 例えば、つい二年前ですか、一年半ほど前ですか、新生物多様性国家戦略の案ができたときにパブリックコメントを求めたときに、今正確な数字は覚えていませんけれども、千数百ぐらい、ブラックバスに関する批判的なコメントがあったんですよね。ところが、今度この法律をつくる前提となりました中環審の答申の案をパブリックコメントに出したときには、見るべき数がなかったんですね。

 それはやはり、最初はいろいろな意味で問題意識を持たれる方も、議論を繰り返していくうちに、だんだんその問題意識を改めていただいている部分もあるんじゃないかというふうに理解しているんです。それは、こういうことを繰り返すことによって、一億二千万の人にどんどん知っていただける輪を広げていけば、ニュージーランドと比肩できるようなさまざまな対応もできるようになるんじゃないかというふうに考えております。

阿部委員 ニュージーランドのこととも関係して、引き続いて関参考人に二つお伺いしたいのですが、確かに、もし私どもの国に非常に経済優先の論理がはびこらなければ、もう少し問題を本質的に掘り下げられると思うのですが、さっき参考人がおっしゃいましたように、ワシントン条約でも分類の2と3に当たるようなものも含めて、平成十四年に四億八千九百万頭の動物が日本には一挙に輸入されておる。アライグマのラスカルがメディアで人気になれば、アライグマがどっと入ってくるというような現状があるわけです。

 その中で、果たして今回のこの法案で、特に二十万円以下のものは特に制限もなく入ってくるという我が国の状況を見たときに、どのような形でワシントン条約における種の保存と今回でき上がった法案の溝を埋められるとお考えでしょうか。抽象的だったらちょっと言い直しますけれども。

関参考人 私の意見の中にワシントン条約の件は今回含めていなかったと思いますから、私の発言に対してということではなかったんじゃないかなと、今お聞きしながら思ったところですけれども。

 ですから、ワシントン条約の、絶滅に瀕する種を貿易しないというカテゴリーの中での立場と、移入種の問題での何を比較してお話しすればいいのか、ちょっと申しわけありません、私、理解できませんでした。済みません。

阿部委員 さっき、どなたかの発言だったと思います。申しわけありません。それは間違えたかもしれません。

 では、同じくこれは関参考人で、先ほどのニュージーランドの例で、これはちょっとお触れになりましたし、いただきました資料の中でも読みましたが、いわゆる生物の安全保障ということについて、極めて国としての取り組みを挙げてしているところと思いますが、そのことと比較して今後の我が国の課題ということでお願いいたします。

関参考人 生物の安全保障ということでしょうか。生物の安全保障というのは、済みません、具体的にどのような内容でお話ししたらよろしいでしょうか。

阿部委員 ごめんなさい。先生からいただきましたこの「エコシステム」という中で触れられております生物安全保障ということ、特に輸入検疫のことで今ワシントン条約も問題にしたのですが、生物多様性の国家戦略という形で述べられておりましたので参考になればと思いましたが、済みません、私の質問がちょっと先生の御発言の意を酌んでなければ結構でございます。

 さっき先生は、WTOとのあつれきが生じる場合に、あえて言えば、そのことも踏み越えて、予防原則にのっとっていくべきではないかというふうにお話しでしたので、そこから演繹したことでございますが、そういうふうにお答えいただければと思います。

関参考人 自由貿易の経済との比較であれば物差しが幾つかあって、WTOの方向では、当然貿易障害を減らしていくという方向で推し進めています。

 ただし、その中でも、環境の保全に対するところはどのくらい、農業関係でよく言われているグリーンボックスのようなものがあるわけですけれども、そういった部分をどこまで高めるかといったときに、今回のこの法律の運用に当たっても、今までの傾向を見ますと、比較的、政令で決められたものというものに関しましては、割と経済的なものに引っ張られて、例えば種の保存法に関しても指定がなかなか思うようにいかない。これは吉田さんの方からも話がありましたが、法律はできても運用の方で十分な運用ができていかないというようなこともあります。

 そういったことに関しましては、今回、参議院の中での答弁で、小池大臣または小野寺局長からも大変力強い言葉としまして、生物多様性の保全というのを、今回の法律では原則として種の指定のところでは強めていきたいというような言葉をいただいておりますので、基本方針、またこれからつくられます主務省令なんかでは、ぜひ、そういったことを明記していただきたいということを私は述べさせていただいております。

阿部委員 済みません。さっきのワシントン条約は、たしか吉田先生のお話だったかもしれません。お許しください。

 最後に、吉田先生にお伺いいたしますが、先生のレジュメの中で、いわゆる重要管理区域の指定、日本は国という区切りで考えれば日本列島ですが、小笠原諸島、それから琉球列島、おのおのその生い立ちが違う地政学的な中に成り立っていて、今回のくくりの中では、特に外来種という国の単位での問題が主に論じられていますが、小笠原諸島とか琉球諸島の地域的な重要区域指定ということもまた重要であろうという御指摘でしたが、この点について再度、今後、この法案を土台にしていくとすれば、どのような形が考えられましょうか。

吉田参考人 御質問ありがとうございます。

 重要管理区域に関しましては、この法律の中では残念ながら設定されておりません。ただ、琉球諸島にしても小笠原諸島にしても非常に重要な地域ですので、今後の課題として、そういった地域は、国境とは違って、生物から見れば国境があるわけですね。そういったところへの他地域からの持ち込みを考えるということは、まだ課題としては残っているということだと思います。

 環境省の方からは、参議院の質疑の中で、既存の法律を使ってという答弁がありましたけれども、自然公園法の中で、特別地域などにおいて植物とか昆虫とかをとっていくことは禁じられておりますが、そこに放すことは禁じられていないわけですので、私も、そういう少し変えればできるところからまずやっていくということが必要なんではないかなと思っております。

阿部委員 生物の種の多様性ということで今回のような法律の論じる枠組みができて、そしてさらに、より一歩国会としても進めていくために、きょうの参考人の御意見を参考にしながら取り組んでいきたいと思います。

 ありがとうございました。

小沢委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

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