第159回国会 厚生労働委員会 第2号(平成16年2月27日(金曜日)) 抜粋

案件:  政府参考人出頭要求に関する件  厚生労働関係の基本施策に関する件

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 委員長初め各委員の皆さんも、長時間の御審議、大変御苦労さまです。わけても、坂口厚生労働大臣は、今国会、年金国会ともまた相なりましょう、この非常に重い国会の中で、連日の各所での御答弁、そして集中した皆さんの質疑への応答も含めまして、大変に御苦労さまと思います。

 そして、その分、坂口厚生労働大臣に寄せられた期待が重いということで、私もまた、きょうも大臣にぜひともいい答弁をもらおうと思ってやらせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 きょうの私のテーマは、坂口厚生労働大臣の所信表明に目を通しまして、全般にわたり非常にお心配りあるものと思いますが、一方で、今、本当に地域の中で、暮らしを支える年金と命を支える医療の問題で、特に地域医療の衰退と申しますか、非常に医者がいないという現状が各所で取り上げられております。これは、私も先般、予算委員会で労災病院の廃止問題などもお伺いいたしましたが、今、日本の医療提供体制は非常に揺れておる、新たな取り組みをしないとその命綱が絶たれていくという認識に立って、まず、これは関係当局にお伺いいたします。

 北海道での二〇〇二年八月の医師の名義貸し問題が発覚いたしましてから、名義貸しだけじゃなくて、医者がアルバイトを非常に多くしていた、あるいは医師を派遣した教授がお金をもらっていたなどなど、医療の、医師の配置をめぐる問題は極めて深刻と思います。また、自治体病院、各調査においては、特に大学病院の医師の研修の義務化、非常にいいことですが、この大きな制度の変更があることに伴って、自治体病院からも医師の引き揚げを経験したという声が多く上がっております。

 こうした地域医療の実態について、まず、関係当局として、この間のお取り組みを伺います。

岩尾政府参考人 先生御指摘のようなさまざまな医療提供体制、特に医師にかかわる問題が出てまいりました。医師の偏在ということですが、大変大きな問題で、私どもも重要な課題と認識しております。

 昨年の十一月に厚生労働省、文部科学省及び総務省で設置いたしました関係省庁連絡会議におきまして、医師確保が困難な地域における医療提供体制の確保方策につき協議を進め、昨日、当面の取り組み及び今後の検討課題ということで整理いたしまして、取りまとめさせていただきました。

阿部委員 もう少し取りまとめの内容にも言及していただいてよろしゅうございましたが、私の質問時間が短いことを御考慮いただきました御答弁かと思いまして、次に大臣にお伺い申します。

 地域の医療対策協議会というものを、大学病院と、自治体と関連の大学というか大学病院ではなくて大学自身、地域自治体の病院、自治体関係者並びに地域の医師会などで協議会を設けるということで、応急処置的には、足りないところ、どこに足りなさがあって、どういうやりくりをしていくかということではよろしいと思いますが、先ほども申しましたように、医師の研修の義務化がことしの四月から始まりまして、これに伴う大学への医師の引き揚げも含めて、根本的にやはり今医療提供体制が見直されるという認識をお持ちと思いますが、その骨格的な認識と方向性について、大臣の御所見を伺います。

坂口国務大臣 初めに、優しい言葉をかけていただきまして、まことにありがとうございます。社交辞令であるとは思いながら、大変光栄に思っております。

 さて、医師の問題でございますが、これはいろいろの要因が重なっているというふうに私は理解をいたしております。特に、北海道の場合などは、やはりあの広い地域に多くの皆さんがお住まいでございますから、いわゆる人口割りにしますと、北海道というのは平均値に近いわけでございます。医師数は平均に近い。しかし、ああいう広い地域でございますから、他の地域と人口割りで見るだけでいいのかということもあるだろうと思う。恐らく、北海道の皆さん方は、そうしたことを念頭に置きながら、御苦労をなすっているんではないかというふうに思っております。

 そういう地域でございますから、やはり病院のベッド数も大変多いということもございまして、さらにその医師不足というものに拍車をかけているということがある、そこを今後どうしていくかという地域的な問題がございます。

 さらに、それだけではなくて、こちら側、我々の側の対応も今後検討していかなければいけないわけでありますが、地域における医師数あるいは看護師数といった人の配置の基準、あるいはまたその他の基準も含めてでございますけれども、いかなる場所であっても同じ基準に今なっているわけで、それはどこでも同じ基準でいいかどうかといったことにつきましても、議論を少し進めていかなければならないというふうに思っている次第でございます。

 言い足りない部分もあるかもしれませんけれども、そうしたことを総合的に考えていかなければなりませんし、今回の研修制度は、単なる一時的な問題だけではない、もう少し根の深いものを含んでいるというふうに考えている次第でございます。

阿部委員 そうした多面的な原因の所在を把握するためにも、私といたしましては、やはり、地域医療の実態調査というものをぜひ厚生労働省でお取り組みいただきたい。

 実は、これは二月十五日の朝日新聞ですが、千六十六の自治体病院の調査で、アンケート調査でございますが、自治体病院のみならず、その地域の基幹病院で、一体どのような診療科で、どのように医師が不足しておるか、あるいは、診療の質が下がっておるか。よく言われますのは、私のやっておりました小児科、あるいは産婦人科、あるいは麻酔科などの医師が足りないという声は上がってまいりますが、いずれも断片的でございます。

 これは新聞社のアンケート調査でございますが、やはりこれは、主管する厚生労働省が医療提供体制に責任を持つためにも、私が名づけます地域医療白書、私は何でも白書が好きでございますから、というのは、実態を把握しないとやはりいい処方せんができないということで、昨日行われました会議でも、例えば、私がきょういただきましたファクスでは、地域医療計画の見直しや、医師の配置や、医師の養成システムのことや、医師確保のシステムや、提供体制のあり方やと、いろいろな論点は挙げられておりますが、まず事実を把握する、その取り組みに、これは昭和三十年代に次ぐ厚生省の大仕事だと私は思いますので、地域医療の実態調査を省として行っていただくお考えは、大臣はいかがでしょうか。

森副大臣 一回ぐらい答えさせていただきたいと思いまして、出てまいりました。

 まさに委員御指摘のとおり、僻地等の地域における医師確保の問題を含め、医療提供体制のあり方を検討していく上で、その現状、実態についてできる限り正確に、また広く把握することは、まことに重要なことであると思います。

 くしくも、昨日、関係省庁連絡会議において、当面の取り組みとして、地域における医療対策協議会の開催を推進していくことといたしましたが、その協議会においても、地域ごとの実態把握や分析をお願いしたいと考えております。

 また、こうした地域の取り組みだけではなく、厚生労働省としても、医療計画の見直し、医師の養成、就業の実態、地域や診療科による偏在等を総合的に勘案した医師需給見通しの見直しなどに取り組んでいきたいと考えております。

 こうした取り組みを進める中で、制度等の見直しに必要となる実態の把握や、関連データの収集等を幅広く行ってまいりたいと思います。

 ただ、大変恐縮でございますけれども、今後とも、例えば厚生労働白書の中で、他の分野とあわせて必要な情報提供等を行っていきたいと考えておりますので、地域医療白書といったものまで作成することは考えておりません。

阿部委員 森副大臣も半分前向きと評価いたしまして、しかし、今御答弁いただきましたように、実態というものをきちんと把握する、それが厚生白書でも結構であります、しかし、そこの部分を手厚くしていただきますことに全力を傾注していただきたいと思います。

 と申しますのも、私は今回、国会で二期目の仕事をさせていただいておりますが、最初にこの国会というところにやってまいりまして、厚生省にいろいろお尋ね申し上げても、ああ、何でこんな地域の実態を知らないんだろう、どうして私たちがこうやって苦労して苦労してやってきた実態を何にも行政当局が知らないんだろうということで非常に残念な思いをいたした、その思いから、やはり事実を知らずして次の手は打てないということで、お願い申し上げました。

 森副大臣の御活躍も心から期待しております。よろしくお願いいたします。

 三点目の質問に行かせていただきますが、そうした時局下にありまして、実は、医師や看護婦の派遣労働の解禁ということがここにひたひたとやってまいっております。規制改革会議で、ことしのもう三月一日からになると思いますが、医師や看護婦も、派遣労働者として六カ月間お試し雇用をして、よければその後雇いなさい、だめならまたその次のということになっておりますが、私は、屋台骨がぐらぐらぐらと揺らいでいるときに、この派遣労働という問題は、極めてやはり問題が多いと思います。

 実は、若い医師たちと私が話しましても、彼らは非常に今不安に揺れております。新しいシステム、研修の義務化が始まり、一方で医局というものがその役割を終えたと言われる時代に、自分たちが、ではそういう派遣元に登録して、あっちこっちウ匠に操られるウのように行くのか、これは悪くとった方です。それから、よくとれば、ああ自由だ、自分の望む賃金のところで、望む労働条件で、本当にパラダイスで働けるんだろうかという、この二極に揺れながら、しかし、やはりこの間の医師の偏在、特に都会で情報量も多くあるところに行きたい気持ち、これはある意味で当然、今の社会の反映ですから。

 しかし、そのようになってしまえば、逆に、一言で言うと市場の原理だというのだと思いますが、何ぼの賃金でどこにどういうふうに派遣されていってという形になった場合に、今でも屋台骨が揺らいでいる地域医療はどうなってしまうのだろうということであります。

 この時期、いろいろな規制改革会議のプログラムの中に組み込まれたとはいえ、派遣労働が解禁されることと、現状で地域の医師を、きっちりと計画立って、医療計画を含めて補てんしていかなきゃいけないという難局に、厚生労働大臣はどのような見識を持ってお臨みになりますでしょうか。

坂口国務大臣 派遣というのは、一時的なつなぎにはそれはなるんだろうというふうに思いますが、医師や看護師のように非常に数が足りない、そういう職種において派遣業で募集をしても、だれも私は来ないのではないかというふうに思います。制度としてはできますけれども、現実問題としてはなかなかそれは難しい職種ではないかというふうに思っております。

 ただ、医師だとか看護師だとかというのが一時的に、例えば病気をされる、そして二カ月なり三カ月休まれるといったようなことになりましたときに、その穴埋めをするのに派遣制度というのがあって、それは二カ月でも三カ月でも行くよと言っていただく方があるというふうになれば、それはそれなりの役割を果たすことができるのではないかというふうに思っておりますが、しかし、現実問題として、派遣業のところに登録をされる医師や看護師がそんなにおみえになるとは私は思っておりません。

 制度としてはつくりますけれども、そんなに機能するものではないのではないかというのが私の現在の認識でございます。

阿部委員 ある種の希望的観測をすればそうかもしれませんし、しかし一方で、医師不足に本当に悩む、自治体病院を含めて地域病院があります。そうなりますと、逆に、先ほど申しました、きちんとした医療提供体制がしかれる以前に派遣という不安定な形で医師たちがそこの穴埋めになるということも、これは考えられない未来像ではないと私は思います。

 そうした場合にどんなことが一番懸念されるかというと、いわゆる医療事故の問題でございます。

 現在でも、例えば研修医の医療ミス、非常に問題ですが、これが、派遣労働として行かれた医師がそこでミスを起こした場合に、果たしてだれに責任があるか。三つの責任の所在が考えられます。派遣元の派遣業者である場合、あるいは当人の医師である場合、そして派遣先の病院である場合。雇用関係は派遣元にございますから、当然、いろいろなケースをシミュレーションすれば、派遣元にある場合もあるでしょう。あるいは医師の素質で御本人、そして派遣先。

 派遣先の場合は、大体の病院は、医賠責といって、医療事故に対する賠責保険に入ってございます。しかし、残る二者、個人の医師、そして派遣元の派遣業を営む方たちは、医賠責に入っておられないケースが、これから始まるわけですが、十分に想定されます。そういたしますと、結局は、補償されない被害のそのツケは患者に回ってまいります。

 いろいろな事態が、医療被害の数多い分析をしてみますとあり得ると私は思いますが、そうしたことへのお考えはいかがでしょうか。

青木政府参考人 一般的には、民法七百十五条の解釈といたしまして、派遣労働者の業務遂行に伴い第三者に損害を与えた場合には、派遣元労働者と派遣先との間においては、派遣労働者に対して実際に指揮命令を行う派遣先が使用者責任に基づく損害賠償責任を負うものと解されます。

 こういったことは、今後、関係者に十分に周知をしてまいりたいというふうに思います。

阿部委員 そうしたケースだけでないので伺ったのです。例えば、その方がお酒に酔ってなさった場合だってあると思います、お医者さんで。実際、医療ミスの数多い分析をするといろいろなことがございますから、そうした構えでこの派遣労働を取り入れるのであれば、ツケは必ず患者に行くと思いますから、これは担当部局としてきちんとシミュレーションをしていただきますように。

 それから、最後の質問ですが、そうした医療被害が起きたときに、これは派遣労働と限りません、このたび、医療機能評価機構という第三者機関に各病院で起きた医療ミスを調査、報告するような仕組みをつくられました。しかし、医療機能評価機構というのは、その病院の機能を評価する一方の役割を持っておりますから、例えば、ある病院にとって、自分のところで起きたミスを、そこの第三者機関、同じ評価機関に上げるかどうかという問題も生じてきます。

 この上げられた医療情報のミスの情報は、果たして医療機能評価に生かされるのかどうか、この点について最後の御質問をいたします。

岩尾政府参考人 先生御指摘のように、この医療事故に関する第三者機関、医療機能評価機構を予定しております。これは、この機構が、医療機関の医療提供システム全般を客観的に評価するという知見を有しておりまして、国民あるいは医療機関から信頼される中立的な第三者機関としてふさわしいと考えたことによります。

 収集した情報の秘密保持に関しましては、この評価機構の内部で、事故事例を収集する部署を完全に独立した体制とすると聞いております。厚生労働省としても、事故情報等の漏えいが起こらないような十分な配慮を求めているところでございます。

阿部委員 質問が違うんですけれども。あちらに寄せられた情報であちらで評価するときに、こちらの情報があちらに行くのかと聞いているんです。ちゃんと質問を聞いてください、ただでも少ない時間なんだから。それも、予告もしてあるじゃないですか。ここが報告しなければ評価が変わってくるでしょう。

 あなたが言ったのは、報告されない仕組みだと言ったんです。それでは困るという質問をしたのですけれども、まあ、皆さんも遅いですし、次の回に、また同じ質問をさせていただきます。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

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