第159回国会 厚生労働委員会 第5号(平成16年3月17日(水曜日)) 抜粋

案件:  政府参考人出頭要求に関する件  児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)  平成十六年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案(内閣提出第二八号)  平成十六年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例等に関する法律案(城島正光君外四名提出、衆法第一〇号)

議事録全文(衆議院のサイト)
ビデオ(衆議院のサイト)

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 ただいまの山口委員の御質疑で、私がちょっと理解が悪いのかどうか、確認をしたいことがございまして、坂口厚生労働大臣にお願い申し上げます。

 この間、保育の財政をいわば補助金という使途が明確に限定されたものから所得譲与税ということも含めての一般財源化する中で、果たして実際に子供たちの保育の質を落とさないかどうか、あるいは今でも非常に問題が山積している保育のあり方について何らかの前向きの方向が出るものであるか否かについて、ずっと御質疑がなされてきたと思います。

 そして、私も部屋でいろいろな関係省庁からお話を伺いました中では、人口案分で各自治体に配付されますこの所得譲与税について、例えば高齢化率、逆に、子供が何人いるかという、子供の占めるパーセンテージ等々も、特に若い世代が多く子供が多い地域にあっては、この所得譲与税の配分についても勘案されるというふうに私は部屋で質問取りしたときに伺っておったのですが、今、山口委員と大臣の御質疑を承りながら、いわば人口で単純に割っていく方式であるのか、あるいは厚生労働省側から、このことについて何がしかの希望なり、このようにしていただければ子供のことが重々勘案されるというような御意見がどこかに出されているのかについて、一点、お伺いいたします。

伍藤政府参考人 特に私どもからこの譲与税のあり方とか交付税のあり方について希望を申し述べたということはございませんで、これは総務省でこういう形でお組みになったということであります。特に、全体として四千二百四十九億円の税源を移譲する、こういうことで、それをどういうふうに配分するかということでございますから、今回の一般財源化の措置は、保育だけではなくて、いろいろな、各省庁にわたる広範な内容が盛り込まれているわけでありますから、そういった事務を地方に移譲するに当たって、どういう基準で税源を移譲することがわかりやすくて公平かという観点から、こういった仕組みを導入されたんではないかというふうに考えております。

阿部委員 こういった仕組みというのは、単純に人口で割るということでしょうか。もしそうであるならば、先ほど山口委員がおっしゃいました、明らかに地域差、そこでの子供の数が違っておりますので、非常に子供の多いところが逆に薄くなるということで、この間、国の進めてまいりましたさまざまな少子化対策にも逆行するものと思います。まして、子供たちの保育に関するナショナルミニマムの、いわば国の責任ということも、こういう形で安易に解体されたのでは、私は地方が担って主になるというのは一概に悪いことと思っておりませんが、しかし、やはり何をおいてもお金が要りますから、その点についてこれまでやってこられた厚生労働省側から何ら見解や御意見がないということについて、極めて遺憾に思いますが、大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 今局長が述べましたとおり、所得譲与税というのは保育だけの問題ではございません。ほかの問題もあるわけでございますから、ただ我々の立場からだけでこれを案分をしてほしいということにはなかなかなりにくい。しかし、総務省の方も、この公的な保育所がその中に入るということを前提にした上で、そこは十分考慮をして配分をするということは言ってくれているわけでございますので、私は、それは考慮されているというふうに理解をいたしております。

 ただ、それだけではなくて、先ほどから議論になっておりますように、不交付団体でありますとかないとかといったようなこともこれは影響しているのではないかというふうに思いますが、そこは私もちょっと、調べておりませんので何とも申し上げることはできません。

阿部委員 実際に子供自身は声を上げることができないわけで、このことにかかわる保育もそうですし、児童虐待防止もそうですが、結局、大人の社会が政治の責任で子供たちの保育なり養育を考えていくということにあって、主に責任行政を担う厚生省として、ぜひとも目配りを細やかにして、子供たちのための予算配分ということができるように、なお大臣には継続して御尽力をいただきたいと思います。

 そして、そうした観点から、私の本日用意いたしました質問に入らせていただきますが、この間、いわゆる待機児童ゼロ作戦と小泉首相が平成十四年度から旗を振っておられます中で、一応、表向きの待機児童は、減りはしないけれども現状維持程度、平成十五年でも二万何千人という数で、五万人解消してもまだ二万何千人ということで、決して保育への要求は低下することはないのでありますが、実は、この二万六千何人という数も、現在、他の企業内保育所とか認可外保育所で既に保育されていて保育申請を出していないという方については待機にカウントされない。従来の集計方式でカウントすると、実に平成十五年度も待機児童数が四万三千人になるというその隠れた部分、倍加してしまう、隠れた部分の子供たちのことでお伺いしたいと思います。

 この四月から国立病院の独立行政法人化が予定されておりまして、国立病院に附属する保育所にいる子供たちの問題で、私もこれまで何回か質疑をさせていただきました。国立病院の保育所、百四十病院のうち百二十病院の保育所の運営を、これまでの大臣との質疑の中では、とにかく継続してほしい、保育がそこにある状態をきっちり行っていただきたい、そのことについては大臣の前向きな御答弁をいただきましたが、この間、この保育所をどういうふうに維持運営するかということで、うち百十五カ所についてピジョンという株式会社の運営する保育に委託、いわば公設民営という形で委託されることになったと伺っています。この経緯について、そして、なぜピジョンという、一つの株式会社でありますが、が選ばれたかということについての選定基準についてお願いいたします。

冨岡政府参考人 国立病院・療養所につきましては、勤務する職員のお子様の保育を行うという趣旨で病院内保育所を設置、運営しておりますが、その運営は共済組合が実施いたしているものでございます。

 現在は、共済組合が実施主体でありますが、この運営につきましては、病院が非常勤でございます賃金職員を派遣するという雇用形態と、個々の病院ごとの運営審議会が雇用する職員で運営されるという実態がございます。

 四月からの独立行政法人への移行に当たりましては、こういった二元的な雇用形態を一元的にして、保育所の運営につきまして適切なサービスを全国の病院につきまして提供する、そういった趣旨で民間事業者に一括して委託するという方針を厚生労働省第二共済組合として決定いたしたところでございます。

 この決定を受けまして、具体的にどこに委託するかにつきましては、企画競争を実施いたしました。そして、企画競争には五社からの応募がございました。

 その中で、私どもは、保育に対します基本的な考え方とか保育サービスの内容、それから、その応募する企業の財務状況、これは安定的な運営ができるかどうかという観点からでございますが、財務状況、それから、実際の運営につきましての苦情処理体制といったものができているか、こういったことを幅広く検討いたしました結果、応募五社の中でピジョンが相対的にすぐれていると判断いたしまして、ピジョンに四月から委託するというふうに決定したところでございます。

阿部委員 恐縮ですが、私の時間は二十分しかないので、御答弁は要点を得てお願いいたします。

 でも、しかし、結局、なぜピジョンが選ばれたかはやはりはっきりしないのであります。

 私は、こういうことの中で、特にどのような保育の質が保証されるかということにおいて、株式会社運営、一概に否とするものではありませんが、特に、このピジョンの選定過程というのが国立病院部の中で一方的に行われて、各保育所の運営委員会等々には事後承諾の形式、こうなったよということになって伝えられたりした経緯もあり、やはり相互不信が高まっておるというので、病院部として、ピジョンを選ばれたなら、ピジョンはこういう前向きな保育をすることになっていて、そのことがきっとよい方向になるだろうというような、きっちり明確にわかる御説明をいただきたいと思います。

 そして、私は、こうした企業運営の、いわば株式会社による保育所を選ばれた経緯というのは、先ほどおっしゃいましたが、百十五カ所とか一括でお願いするのならば、全国展開、チェーン展開のあるところしか選ばれないという、当然のある種の帰結もあると思うのです。個別に、その地域ごとに、その地域での保育のいろいろなあり方も含めての存続の道もあったかと思いますが、とりあえずそのような決定になったということも踏まえまして、今後、この保育の運営に当たって、私は、預けている親御さんや働いている保母さんや、あるいは良質な職員の確保のために、病院で働く職員の皆さんのいわゆる権利を代弁する組合などとのやはりオープンな運営、参加型運営ということが欠かせないと思いますが、この点に関して大臣の御所見を伺います。

冨岡政府参考人 運営につきましては共済組合が実施主体として実施するものでございますが、実際の保育のサービス内容等につきまして、親御さんの方から御意見とか御指摘、こういったものは出てこようかと思います。そういう点につきまして意見を聞いて、それを反映させる、そういったシステムをつくりたい、そのように考えております。

阿部委員 何度も申しますが、この間の経緯で、一方的な選定で、そして本来はみんな手づくりで、国立病院の保育所というのは手づくりで発祥しております。私自身も国立病院に勤めて、保育所があるということでそこに勤務先を定めた経緯もあります。一生懸命、親が参加してやっていた保育ということで、今の私の質問に対する事務方の御答弁は、やはりとても表面的で、なおかつ、この間の、なぜ一方的に選定され、事後通告になったかということを踏まえない御答弁だと思います。そして、何度聞いても私の時間が浪費されますので、申しわけありませんが大臣にお伺いいたしました。

 私は、参加型の、親御さんたちの意見をくみ上げる仕組みをこれから、株式会社であれどんな運営主体であれ、極めて重要で、例えばそれは今までのこの保育でも不十分だった点もあるかと思いますから、大臣が今後国立病院の保育所を民間に、公設民営になったその中で、どのような形で、利用者、職員、そして病院で働く職員の意見をそこにくみ上げながら参加型保育をつくっていくかということにおいてのお考えをお願いします。

坂口国務大臣 共済組合でお決めをいただくことではございますけれども、そこにお子さんを預けられる、女性ばかりではなくて男性もおみえかもしれませんけれども、その御家族の皆さん方の御意見が十分反映されるように運営をしていくように、私たちも臨んでいきたいと思います。

阿部委員 そして、この国立病院の例以外でも、例えば今多くの自治体が、民間の、保育業者というと失礼ですが、保育をつかさどる方たちに、株式会社のような、大手のピジョンやベネッセも含めて、あるいはもう少し規模の小さい民間の保育団体というものにも保育を委託する、あるいは先ほどの公設民営パターンをとるということがふえてございます。

 しかしながら、この間、いわゆる認可保育園以外の保育園、あるいは認可ではあるが公立ではない保育園においては、保母さんたちの労働実態というものが、なべて常勤の方の数が少なく、パートの比率が高い、そして、それはこの五年間をとっても、常勤職員は減じていき、パートの方々がふえているというデータを、これも当局からいただきました。

 私は、副大臣にこれはお尋ねいたしますが、谷畑副大臣が長いこと労働分野でも御見識をお持ちですので、その観点から、子供にかかわる保母さんの労働時間が寸断、分断、例えば、朝二時間はAという保母さん、そして午前中三時間はBさん、午後四時間はDさん、夕方の七時から九時はFさんとかいう形に子供の保育が分断されますと、極めて子供は情緒が不安定になります。自分の要求を出すということもしなくなり、泣かなくもなるというように、極めて微妙に反応いたします。

 そこで、今回、いわゆる規制緩和において、民間団体あるいは株式会社方式による保育が始まりましたことを契機に、この株式会社や民間団体による保育園の保母さんの勤務実態、一つは、常用雇用であるかあるいはパートであるか、あるいは契約社員であるか保育の継続性、一年たったらまた自分は首になるかもしれないという不安定身分、あるいはずうっとこうやってやっている保育の方たちの資格問題なども含めて、株式会社運営、民間運営のもののきちんとしたデータを集積していくお考えについて、御答弁をお願いいたします。

谷畑副大臣 御指名をいただきまして、ありがとうございました。

 従来は、保育所というのは福祉法人が運営をしておって、それ以外のところは無認可というか、そういう状況であったわけでありますけれども、基本的には、規制緩和をされてきまして、株式会社でも、あるいはNPOでも運営ができるということであります。

 しかし、先生も御存じのように、保育所の任務というのは、共働きに対する、少子化問題を含めて、それを支援していくということもありますけれども、やはり就学前教育というのか、命を預かるわけですから、子供たちがしっかりとその中で人格的にも発達していく、そういうことをしっかりと教えていくという教育の場でもあろうと思いますので、いかなる主体であっても、やはり質を落とすわけにもいきませんし、私ども厚生労働省としましては、そういうことでやはり最低基準をしっかりと遵守していただかなければいけませんし、また、保育所保育指針に則した保育の実施だとか、あるいは各クラスにおける常勤の保育士の一名以上の配置ということが非常に大事になってくるんじゃないかと思います。

 今先生のおっしゃいましたように、最近、早朝であったり、あるいは時間外の延長保育とか、そういうことが大事なニーズになってきています。そういうことで、本来なら一人の保育士でずっと子供を見ていくということが一番理想的でありますけれども、その保育士の皆さんもまた子育てで帰らなきゃならないという、お互いにやはりそういう状況がありますから、できましたら、そういうクラスの常勤というものをしっかりと配置して、その基準の中でやっていくことが大事じゃないか、こういうふうに思っております。質を落とさないように私どもも努力してまいりたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

阿部委員 私のお願いは、勤務、労働実態の現状をぜひとも把握していただきたい。ベネッセなどは、継続勤務年数一年で平均年齢二十八歳と若くて、次の継続がない場合もございますので、ぜひとも安定雇用という点で、ベネッセだけを批判するつもりではなくて、一例データがあったものですから使わせていただきましたが、よろしくお願い申し上げます。


【中略】

阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、政府が提案している児童福祉法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。

 本法案に示されている公立保育所運営費一千六百六十一億円の一般財源化は、小泉総理大臣から国庫補助負担金一兆円削減という指示を受け、各省庁の攻防の中で生じてきたものと思われます。これに伴って、所得税の本格的な移譲までの措置として、所得譲与税を創設し、人口で配分されるとしています。地方がこれまでどおり公立保育所運営費として予算づけするようにすると説明されていますが、地方自治体の中には保育サービスの基盤整備が十分進んでいない現状があり、また、厳しい財政を理由に保育施設の優先順位を下げざるを得ないという事態も生じ得ることは十分予想されます。なぜあえてこうした政策をとったのか、理解することができません。

 政府は、昨年、次世代育成支援対策推進法を成立させました。この法律は、少子化が進む中で、育児を支援するシステムを社会の中にきちんと位置づけていこうとするものでした。保育所がその大きな役割を担っているということは言うまでもありません。しかしながら、いまだに待機児童が政府統計でも二万六千三百八十三人もいるというだけでなく、保育所における保育の内容もまだまだ十分とは言えないのが現状です。すなわち、現状を維持するだけでなく、保育の質的向上を図ることこそ、今求められる施策だと思います。

 例えば、近年、保育士のパートタイマーが増加しています。パートタイマーが一概に悪いとは言いませんが、しかし、パートの保育士がふえると細切れ保育になり、責任の所在もあいまいになる、まして何よりも子供が不安定になります。保育所内の雇用のあり方は、保育の質と密接不可分です。保育所も株式会社が運営できるようになり、保育所の経営は病院と同じで、圧倒的に人件費にかかわる部分です。利益を出そうとすれば人件費を削る以外になく、そのために、必然的に労働者側をパートタイマー、細切れ雇いにせざるを得ないという策をとることも十分予想されるのです。

 きちんとした保育の質を確保し、さらに質的な向上を図るためには、少なくともこれまで国が積極的に施策してきた補助金は必要と思われます。

 確かに、児童福祉法第二十四条は市町村の保育の実施責任を定めており、同法第二条の国、地方公共団体の責任には変わるものはありませんが、また次世代育成支援対策推進法では、自治体が役割を果たすよう行動計画を策定するようにも求めています。しかし、一般財源化されても市町村の責任や役割は変わるものではありません。こうしたことを担保するものが何もないことこそ問題ではないでしょうか。今保育行政に求められているのは、補助金を一般財源化することではなく、まず保育の質を高めるための政策を行うことです。公立保育所運営負担金の一般財源化にはあくまで反対であることを申し述べて、私の反対討論を終わります。(拍手)

第159回国会 国会活動コーナーに戻る   阿部知子のホームページに戻る