第159回国会 厚生労働委員会 第15号(平成16年4月22日(木曜日)) 抜粋 案件: 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号) 年金積立金管理運用独立行政法人法案(内閣提出第三一号) 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号) 高齢期等において国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するための公的年金制度の抜本的改革を推進する法律案(古川元久君外五名提出、衆法第二七号)
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
まず冒頭、四人の参考人の、本当に今回の年金審議の中で骨格のあるお話をいただきまして、ありがとうございます。
私は、冒頭、山崎参考人にお尋ねを申し上げたいと思います。
まず、イエスかノーかのすごく簡単な質問なんですが、山崎参考人は、社会保障審議会の委員であるということで、一九七七年に社会保障制度審議会がお出しになった建議、こればかり問題にしているんですが、建議というのを御存じでありましょうか。
○山崎参考人 当時の社会保障制度審議会の基本年金構想という建議であります。よく知っております。すべて財源を所得型付加価値税で賄うというものでした。
○阿部委員 そのときの基本認識が、無年金者が膨大に多くなり、そしてまた高齢社会も差し迫ってくるだろうという認識の中で、非常に骨格のある建議という形で出ております。付加価値税、今で言う消費税もその当時から論議されておりましたが、その具体的な解決策以前に、山崎参考人は先ほど、年金改革がそろそろ収れんしてきた、要するに、ある程度先が見えてきたというお話だったと思うんです。私は、冒頭、その話を聞いたときに、うんとちょっと思ったんですけれども、でも、逆に言うと、ある意味で、年金問題についての国民的な関心や問題の所在のありかや、そしてこの間、民主党も対案を出す、我が党も小さいながら対案的なものを出す、そして政府・与党案もこれありということで、逆に言うと、一九七七年に建議が出たような段階と同じ、そして、社会保障審議会としては、骨太な建議に当たるものを、問題点を整理して、これからはこの点をこういうふうに論ずべきではないかというようなものをお出しになる時期に当たっておる。
昨日、実は厚生労働大臣に、大臣のリーダーシップでそのような建議をつくり、あるいは超党派の年金のプロジェクトをつくっていただきたいというお願いをしたのですが、長年、年金の論議に携わってこられた山崎参考人としてはどのようにお考えでしょうか。
○山崎参考人 かつての社会保障制度審議会は、内閣総理大臣の直属の諮問機関でございました。それが省庁再編等に伴う法律改正に伴って廃止されて、現在、その機能を引き継いでいるのは厚生労働省所管の社会保障審議会でありまして、年金については年金部会があるということでございます。
それで、私自身、審議に参加しておりまして、これは宮島部会長が再三おっしゃったことですが、かつての諮問答申型の審議会ではない、できるだけオープンに議論をして、無理な調整はしない、各委員の意見を整理し、国民にわかりやすい形で提供し、最終的な判断は政府の方に求める、こういう性格だということでございますから、既に、議論をオープンにして、論点を整理するということは、今回の意見書でかなり行われているはずでございます。
○阿部委員 私は、今の参考人のお話にもあったように、かつて内閣総理大臣の直属のものであったものが、今、厚生労働大臣のもとに移り、しかしそのことによって、政府全体としての、政治全体としての年金問題にかかわるリーダーシップということがあいまい化されてきているように思います。
そこで、高山参考人に御質疑いたします。
参考人は、最後にまとめられて、今こそ政治の見識、先ほど来のお話のように、たくさんの若年の、本当に働きたくても職がない、あるいは五年先も設計できない若者がたくさん生まれてきた時代に、私は、小さな渦の中の論議でこれを終わらせないで、本当に国民的論議にしていくための政治のリーダーシップが必要だと強く思う次第ですが、この審議のあり方ということについて高山参考人のお考えをお聞かせください。
○高山参考人 政府にはいろいろな審議会がございますけれども、大体、私の理解によりますと、利害関係代表者がほとんど入っておりまして、学識経験者と称する人たちも参加しておりますが、最近のいろいろな議論というのは対立含みのものが圧倒的に多いんですね。利害代表者が全部入っちゃいますと、結果的にうまくまとめられない。各論併記だとか両論併記だとか、そういう形で答申が終わってしまうケースが多いわけです。
むしろそれだけではどうにもならなくて、結果的に政府の責任において、年金の場合であれば、厚生労働省がそれを引き取った上で厚生労働省がよいと思う法案を提示し、与党の先生方と相談して政府提案の法案になったという経緯だと思うんです。そこで重要な役割を果たしているのは厚生労働省、政府の一部機関なんですが、一部局なんですね。政治家が本来期待されているような結論がそういうところへ出てくるかどうかということだと思うんです。
私は、もう少し天下国家を広くとらえ、個別の利害から超越した形で将来に対して責任を持つような、そういう物事の決め方をするのは、行政の一部局ではなくて、やはり政治家ではないかというふうに思っております。我々はそのために政治家を選んでいるんだというふうに私自身は理解しております。
そういう意味で、政治家の皆さん方が、そういう自覚のもとに将来の長期的な方向、グランドデザインを徹底的に議論なさった上で、いろいろ利害が錯綜していますから難しい問題は幾つかあります。ただし、最後はお互いに譲り合っていただいて、できるだけ超党派の形で将来の方向を示していただく、これがプロセスとしては大事じゃないか。そういうプロセスを国民は見ていると、ああ、これが我々の将来なんだということがもう少しわかりやすくなってくると思うんです。
厚生労働省が何だかよくわからない形で法案の骨格を決めました。与党との調整も何だかよくわからない、数字の調整だけやっているような感じで、結果論として出てきました。中身を読んでみると、素人にはほとんどわかりませんね、私が理解するのも結構な期間がかかりましたから。
要するに、説明が足りないんですよ。今回の法案が通った場合に一体どういうことになるのか、これは実際はわからないんですよ、ほとんどの人が。それで物事を決めちゃっていいんですかということなんですね。もう少しみんながわかっていて、実はこれをやるとこうなるんだよとみんながわかった段階で、それで、じゃ、これしかないですねといって決める方がいいんじゃないかというふうに私は、これはスウェーデンでやったことですけれども。
以上でございます。
○阿部委員 スウェーデンの年金論議をコンセンサスポリティックスという言い方をしたり、あるいは、イギリスではブレア首相みずからグリーンレターを各関連の労働団体や企業者に出し、そしてわかりやすい形で論議を進めていった。
私は、今回の日本の年金論議の一番の不幸は、あるとき小泉首相が一元化と言った、その言葉の一元化ということで、いや、一元化か、今のが抜本改悪案かという、全くすれ違いの論議を重ねながら、本来政治が、あるいは各政党が、国民に説明責任を持って示して成り立つべきだれにもかかわる年金問題が、もしかして近く強行採決とやらも聞こえてくる中で、そんなことで決めたらだれも納得できない、まただまされた、嫌だ、もう納めないという逆の影響がこの年金論議のさなかでも起きると私は思っております。
そこで、きょう参考人にお越しいただいて初めて、ある意味では、私はきょうは山崎参考人のお話もすごくおもしろいと思って聞きましたし、参考にさせていただきたいことがございます。
話を移して恐縮ですが、私は、今回のこれが抜本か百年かと言われれば、さっき山崎参考人もおっしゃったように、与党だからと。与党だからということは、与党が百年続くということは通常はないと思いますと、とりあえず政権政党としての責任で今をしのぐものだというふうに考えてお話しになったんだろうなと。これは私の言い切りですから、違ったらごめんなさいですが。
そうした観点に立ったとしても、きょう山崎参考人のお話にあった中で、私は、今一番深刻なのは年金の保険料率のアップがどんどん非正規雇用をふやし続けていく危険、これは昨日も数値をもってお示ししましたが、そこを一番危機的に感じておるのであります。山崎参考人がお話しになった、例えば女性の年金分割、離婚時じゃ事がぐちゃぐちゃになるから、入り口から、出口じゃなくて入り口から二分二乗、私もこれは大賛成。それから、例えば子育て中の女性への年金の納付を減免したりするのも当たり前、社会的に子供を育てているのですから。もう一つ、あ、いいなと思って、聞きたいなと思ったのが、やはりパートであれ正規であれ、総人件費に企業が保険料を掛けていくというたがを今はめていただかないと、私はもう五年たったら非正規雇用がごろごろの時代が来ると本当に深刻に思っております。
そこで、山崎参考人に二つの御質疑ですが、先ほど古屋委員の御質疑の中でほんの一瞬述べていただきました、総人件費に保険料率を掛けてはどうかということと、もう一つ、やはり企業の資本規模に応じて保険料率だって変えていいと私は思うんです。
現実に今、中小企業者は本当に保険料の重みに泣いております。なぜなら、景気が悪い、全体の利潤も少ない。だけれども人を雇い続けたいというときに、非情な、情けのない中小企業者は、じゃ、あなたは国民保険ねとやって、あなたが入ろうが入るまいがいいよと言えるけれども、普通はやはり情の厚いものです。それから、みんな一生懸命やりくりしている。
日本は中小企業が多く支えてくれている。であるならば、大企業で特に輸出中心、景気のいいところと、それから苦しい中小企業者は、もし総人件費に何%か掛けていくというのであれば、比率配分も変えていけると思うのです。そのあたり、御専門ではないとさっきちょっと言われましたが、もし参考人の御見識を御紹介いただければお願いいたします。
○山崎参考人 総人件費を課税ベースにして事業主負担を求めるというのは、今の社会保険の考え方をかなり超えるものでございまして、大変なことだと思うのですが、その場合には、企業の社会的責任、そして今の御意見を踏まえますと、かつ企業の体力に応じてということだと思うんですが、雇用の空洞化を防ぐ上でもぜひやっていただきたいと思います。
実は、労災保険は、学生アルバイトも含めて、不法就労者も含めて完全に適用でございます。ですから、厚生労働省になったわけですが、労働サイドでいえば既に労災保険を通して賃金の支払い総額はつかんでいるわけでございます。ですから、実現可能だというふうに思っております。
○阿部委員 大変力強く、高山参考人もお話しになりましたように、私は団塊で、もうすぐ、逃げ切り世代と言われていますが、年金制度は、実は、私たちの世代じゃなくて、今二十代、三十代、これから私たちを支えてくれる世代のために信頼性と、そしてその人たちの現実に見合ったものでないと、砂上の楼閣となると思いますので、今の山崎参考人のような御発言を、例えば超党派のプロジェクトチームに来ていただいて、私たちが意見を受けて、政党はどう考えるかということでやれば、もっともっと国民の年金への信頼、若者へ、本当に、正直あなたが掛けて損はないよ、無年金にならないよと言えるような制度ができるように私は思います。なお山崎参考人には御活躍いただきたいと思います。
それでは、積立金運用に関しまして米澤参考人にお伺いいたします。
実は今度積立金運用が独法化されまして、果たしてどのようなチェックが働くか。何せお金の規模も兆の単位で、現在で百四十七兆、そしてすぐ三百三十兆とか、非常に大きなお金が、もしかしたらブラックボックスになるかもしれない。ブラックボックスとは言わなくても、先ほど古川委員の御質疑にありましたように、株式の運用というのは、これは受動的であれ能動的であれ、いろいろな株価の操作に使っちゃうかもしれないし、逆に魅力のない株式になるかもしれないという、非常に微妙なところです。私は、そうした運用に、果たして国会への報告や国会のチェックがどう働くかというところが欠落しているように思うのです。
情報公開のこの折から、例えば、運用の報告書を出しましょうとか、あるいはチェック機関を設けましょうとありますが、あくまでも独立行政法人で、これまでのような国会の機能の中で、逐次、これはおかしいんじゃないか、あるいはどうであるかというフィードバックができないのが今度の独法化の一番の問題かと思いますが、そのあたりについての御意見をお願いいたします。
○米澤参考人 私も、冒頭、独立行政法人になって大分期待が持てるんじゃないだろうかとお話ししたのは、確かに今までチェックもしておりましたが、ただし、その場合にはポートフォリオを作成する人たちが同時にチェックもするという、本来はおかしな話なのかもしれませんが、そういう意味ではチェックも一応していましたが、そういう仕組みになっていました。
これが独立行政法人化になりますと、つくる主体、それは独立行政法人の方になりますが、監督官庁の中に評価委員会ができます。そこで、これは少なくとも完全に作成する人とチェックする人は独立になりますので、本来あり得べきチェックができるんじゃないかと思っております。
それからもう一つは、チェックといいますが、実は、運用の評価に関してはこれほどはっきりあらわれるものはないわけです。その意味もありまして、皆さん方、いろいろな数字を持ってこられて、これだけ損しているとか、いや、直近はこれだけ得しているとかという話ができているんだろうと思いますが、このぐらい透明性があって評価が明らかなものはないと思いますので、そもそもチェックになじみやすい体質にあると思います。ただ、今は必ずしも問題なしとしませんでしたので、次回からはそのチェックのところが独立したところになりますので、私は随分期待が持てるんじゃないかと思います。
ただ、それが詳細に関しては、まだ私も聞いておりませんし、まだ煮詰まっていないんじゃないかと思いますが、それをどううまく利用していくかが一つのポイントになるんじゃないかなと思っております。
○阿部委員 この問題、積立金に関しましては、恐らく一九九八年ごろ、我が党の保坂展人が積立金のグリーンピアへの巨額の投入問題を、もう彼はそういうことを細かにやる人でしたから、追いかけて追いかけて、やり出して初めて明らかになってきた。私は、質問の趣旨は、国会への報告、やはり国民はこういうことを知る、もちろん情報公開でアクセスすればいいんだという考え方もありますが、やはり国会という場に明らかにされないとなかなかビジュアルにわからないということもあります。国会への報告をどうするかということは、この法案には触れられておりません。これは独立行政法人ですから仕組みの中にはないわけですが、私は課題と思っておりますので、今参考人にお聞きいたしました。
今度、公文参考人に同じ積立金問題でお伺いいたします。
積立金は、かつては財政投融資の中にぼこんと投げられて、焦げついちゃってもわからないかもしれない、あるいは、今後どんどんどんどん積んでいって、果たしてどんな運用をされるのか。今、米澤参考人は、オープンに報告もされるからというお話でございましたが、逆に、今度の年金改革の中で百年の計と言っているのは、この積立金を百年かけて取り崩すことを言って政府案は百年の計と言っているだけかなと思うくらい、この積立金問題というのは、本当にそんなに積み立ててやっていく必要があるのか、ブラックボックスになりはしないか、その懸念も含めて、運用も、国債と株式と証券と組み合わせてと言いますが、さまざまに、こんな巨額な積立金を持っている国はない、これから持ち続けようとする国もないわけです。
もちろん参考人の御専門の分野ではないと思いますが、逆に、私も素人で、こんなお金、どうしてそこで勝手に運用されちゃうのと思うところの、その疑問も含めての御見解をちょっとお願いいたします。
○公文参考人 一つは、おっしゃるとおり、年金積立金、郵便貯金、それから簡保を含めて、それこそ五十年間、一九五三年以来ですから、一貫して相当むちゃくちゃなお金の使い方をしてきたということは、もう今さら言うまでもないと思うんです。
したがって、今御指摘になったように、私自身も、そういうことに対する全く反省もなしに、これから百年間も継続していくということですから、安心どころか、百年間、お金が、今までどおりあるいは今まで以上の巨額な積立金を使ったさまざまな運用が行われていくということで、やはり、これはもうできるだけ早い機会に、少なくともヨーロッパ並みに切りかえるべきだ。
御承知のとおり、厚生年金と国民年金だけの積立金でも、先ほどお話がありました三千万人の年金総支給額、大体五年分から六年分とずうっと言われ続けてきていますけれども、御指摘になられましたように、そういう莫大な積立金を保有している国というのはほとんどないわけであって、例えば日本よりもはるかに進んだ年金制度を保有しているドイツ、フランスの場合で積立金はわずかに一カ月分、それからイギリスの場合で二カ月分しかないわけですから、その程度の積立金あるいは危険準備金があれば、公的な年金経営に全く支障がないということが国際的な常識として立証されていると思うんです。したがって、そういうやり方しさえしなければ、つまらないことに金を使わなくて済むし、当然、年金財政を基本に置いた年金の財政運営ができる、これがまず一つ大きなポイントだろうと思います。
それからもう一点。これはぜひ議論していただく必要があるんじゃないかなと思うのは、法案に絡んでのことなんですが、これからの年金積立金の運営について、新しい基金が、つまり独立行政法人ができますが、その中で、その金の使い方、公明正大さを確保するための運用委員会の中身が僕は問題だと思っています。
つまり、国民の代表をきちっと入れた民主的な運営とチェックができるような機関にするんだということをやはり法律上明記していただかないと、今までと同じように、何をやったって、どうも国会の場にも明らかにされないという形でうやむやにされるという心配があります。その点だけはひとつ強調しておきたいと思います。
○阿部委員 あと、一、二分で恐縮ですが、高山参考人にお願いいたします。
今回の保険料率のアップは二〇一七年度までノーチェックで上がり続ける、こんな空手形というのは、国民は、私は少なくとも嫌だと思っているのですが、二〇一七年度まで組み込まれた保険料率アップと、それから給付の、大体、料率と給付を両方約束するなんて普通できないんじゃないかと思いますが、このノーチェック、二〇一七年までの問題について最後に締めで一言お願いします。
○高山参考人 政府の与党の先生方も、改革疲れだったということだと思う。こういう話は二度と繰り返したくない、少し休ませてくれという思いだと思います。
ただ、そういう皆さんの思いとは別に、国民はそれでいいのかということを考えているわけです。これは、当然厳しい目で政治家を国民が見ているということになることを、私はぜひ胸の奥にしまっておいていただきたいというふうに思います。
以上でございます。
○阿部委員 ありがとうございました。
【中略】
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
参考人の皆様初め各委員の皆様、大変に遅い時間まで御苦労さまです。やや座席に空席が目立つということで、参考人の皆様にはかえって申しわけございませんが、なるべくもうしばらくのおつき合いをよろしくお願い申し上げます。
冒頭、矢野参考人にお伺いいたします。
本日の午後の論議を聞いておりまして、今回の政府の改正案に賛成か反対かを問われれば、とりあえずは賛成であるという御意見をちょうだいしたのですが、よくよく聞いていると、二〇一七年度までとにかくずっとこのまま保険料を上げていく、そしてその間国会審議はないという法案でありまして、先ほどの矢野参考人のお話だと、保険料一五%くらいがやはり何だかんだでも実際、上限じゃないか、私は非常にリアルな、リアリティーのある声だと思うんですね。
そのほかの社会保険全般で、介護保険とか医療保険とかのネットで社会保険料総体を見ていくということで、何とかこのたび納得をされたのかもしれませんが、しかし、今回の法案は、何度も申しますが、二〇一七年度までノンストップ列車ということになっております。そのあたり、逆に、いわゆる雇用側として不安はないのか。私は、先ほど来矢野参考人の御発言を聞いておりますと、やはり古きよき日本の雇用慣行といいますか、つらいときでも何とか企業にいる人間を支えて人を育てて企業を育てていこうという向きも強く感じますし、そうなりますと、やはりノンストップバスには乗れないと。
一八%までいってしまうこと、五年ごとの年金国会というのがあったわけですが、今度はないことになるのが今回のお約束事のように私どもは受け取っておりまして、現在、ただでも企業が法人税負担よりも社会保険料負担の方が重いんだという事実も前にしたところで、今回あえてこの法案に賛成なさるメリットとは何であるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○矢野参考人 今、社会保障制度全体が大変危機的状況にあるということが、私どもの物を考える原点でございます。何にも決めないでおくわけにはいかないだろう、そして、その時期というのはいつまでも延ばすわけにはいかないというのが二番目の前提でございます。
そうだとするならば、ある一定の、この時点での判断をして、しかし当然そこに付随する諸問題というのがありますから、それを解決するための仕組みをつくっておくということになるのではないだろうかと思っているわけでございます。
検討の期間、三年以内というふうに申し上げましたけれども、その中でいろいろなことが可能になってくるんじゃないか。法律については、先生方が御専門でございますので、私がいろいろ実務の世界におる者として申し上げたものを具体化するにはどうしたらいいのか、その点についてはお知恵をおかりしなくちゃならぬと思いますし、お決めいただきたいと切に願うものでございます。法律にはよく附則がついておりますし、あるいは附帯決議がなされることもありますし、いろいろな形での応用動作が可能な仕組みづくりというのはあるんじゃないかと思うんですね。そういうことをお考えいただいて答えを出していただくということが大事なんじゃないだろうかと思います。
社会保障制度全体として考えるという視点は、ある意味では近来、今までなかったことでございますので、大きなインパクトになると思いますので、その中に多くの人の意見が入ってくれば、それが、これからちょっとの間続くかもしれない仕組みを変えるもとにもなるんじゃないだろうかということでございます。
○阿部委員 極めて良識ある御発言だと敬服いたします。
と申しますのは、例えば、何度も申しますが、今回の政府案が百年の計のものであるというふうな提案のされ方をいたしますと、やはり幾つもの不安があり、特に私を含めて野党側の不安は、この雇用情勢、特にパート、非正規、アルバイト、きょう鴨さんにもおいでいただきましたが、膨大な数、著しいスピードでふえ続けておる。そして、これが例えば二〇一七年度までノンストップでいった場合に、日本の社会は非常にもう崩壊に近くなるだろうという危機感を抱いておりますし、だがしかし、今矢野参考人の御指摘の、年金制度改革の次には介護保険、そして医療保険の改正が控えておりますから、そのあたりまでを展望してという形の提案であれば、私もある程度また論議の仕方も違うのだと思うのです。
何だか、国会議員外の方に附帯決議の提案までいただきまして、大変に恐縮いたしますが、現実的に、現在審議していることのいろいろな現実性を持った可能性というものを強く国会議員が認識しないと、私は社会的に無責任になるのではないかと思います。
そういう観点で、今度は、堀参考人のきょうの陳述について幾つか伺いたいのですが、堀参考人が賛成なさる最初の部分では、五年ごとに年金制度の危機と改正の必要を訴えたのでは年金の不安はとれないから、これが、五年ごとの見直しが必要がなくなるからよいのだという形での評価も、この文面から読み取れてしまうようにも思うのです。
私は、そういう見方もあるのやもしれませんが、やはり不安定要因が余りにも強くて、特に、例えばこの間の財政再計算で、いつも御紹介しますが、平成十一年度の財政再計算と平成十六年度の再計算で、国民年金の加入者数と厚生年金の加入者数がおのおのプラスマイナス四百万ずれてしまいました。厚生年金は四百万減り、国民年金は四百万ふえと、そういうことから見ると、やはり見直しは五年だって遅かった、今大きな変動期にあると思うわけです。
先生が幾つか指摘されている前向きな点も私もあるとは思いますが、やはりこのノンストップバスには乗れないなと思うところの一番大きな理由は、雇用労働情勢の変化でございます。先生がこの中で、しかし以下の点は今後ぜひとも実現する必要があるという御提言のある中で、短時間労働者への厚生年金の適用拡大ということをお書きいただいていますので、これは私の問題意識ともぴったりする部分ですので、では、具体的に、どのようにしていくか。
私は、このとまらないバスに乗るなら、今からやっておかなくちゃ間に合わないと思っているのですが、このあたりの先生のお考えをお聞かせください。
○堀参考人 社会経済の変化がある中で、年金制度をある程度の期間固定をするということで大丈夫か、こういうお伺いだったと思うんですが、基本的にこの法案というのは、保険料については一八・三%まで上げる、それから給付水準は五〇%程度に下がるまで引き下げていく、こういう案だと思うんですが、これは、長期的にはこれが維持できなくともそういう状態にまで持っていくということですから、これが国会で合意が得られればそこまで進む、それは少子高齢化とか経済の全体が変わってもそういった形で進む、こういう法案ではないかと思います。
ただ、これは、一度法案を通しても、また必要があれば改正するということは国会の任務であるということで、また、私どもとしては、従来から必要な保険料の引き上げを怠ってきた、あるいは必要な給付水準の引き下げを怠ってきた、そういう事態を避けるために、自動的に引き上げていく、こういう案に賛成しているわけです。
それから、御質問の、短期労働者への厚生年金の適用拡大ですが、これは先ほど陳述のときに申し上げましたように、世界的に非正規労働者化というのは進んでいるわけですね。諸外国でもその問題は大変悩んでおりまして、基本的には非正規労働者に対しても年金制度を適用していく、それで支え手になってもらい、かつ短時間労働者に対してもある程度年金を支給する、そういう方向に向かっております。これは、今回、政府案には盛り込まれておりませんけれども、厚生労働省案には盛り込まれておりました。
私としては、厚生労働省案の作成に年金部会の委員として議論に加わった、そういう立場からして、厚生労働省案に賛成したい。厚生労働省案では、これは従来の短時間労働者適用基準である四分の三時間要件というのがありますね、それを二分の一に下げる、そういった形で適用拡大をしていく。それよりも短時間の人は、なかなかその把握が難しいとか、あるいは所得が低い、そういった問題もありますので、とりあえずはそういった形で適用拡大を図っていく必要があるというふうに考えております。
○阿部委員 今先生に御指摘をいただいたとおりなのですが、それが理想であるのですが、現実には、人件費比率の高い分野、特にスーパーのパック詰めとか、とにかく人手をたくさん使う分野で、短時間にお人をたくさん使っているところではどうしても負担が重くなるのでという形で、半分は見送られ、あと半分は働く側の、先ほど鴨さんのおっしゃった、そもそも賃金が低いところに保険料負担は重過ぎるということがあったと思うのです。
逆に言えば、私は、双方に解決策というのはあると思うのですが、例えば、矢野参考人がお話しになった企業の社会的責任ということにおいては、例えば労災保険などは、パートの人でも、学生でも、常用雇用でも、みんな保険料を払うという形で、とにかくお人を使っていたらその分の、いわゆる労働に対しての安全弁を企業に負担していただくというのが一つの考え方です。
あとは、やはり女性の賃金ないしはパート、あるいはこれから働く御高齢者もそうだと思うんですが、賃金格差がどんどん同一労働について開いておりますから、そのあたりを縮小していく努力というのが非常に重要になってくると思いますが、この辺で、また堀参考人が何か御助言がございましたらお教えいただきたい。特に日本は、正規の女性の賃金の六割がパートの女性の賃金で、男性の四割という、すごい格差を持っていると思うんです。このあたりで、何とか同一価値労働同一賃金にしていく何らかのよい御助言があったら、ひとつお願いします。
○堀参考人 私は社会保障が専門で、労働問題については余り詳しくないんですが、現在の労働の現状を見ると、やはり、特に男性の労働時間が多いために、女性、妻が家庭で育児、家事、介護をやらざるを得ない。要するに、男性労働者が基幹労働者で、ちょっと失礼な言葉ですけれども、女性が縁辺労働者というんですか、そういう補助的な労働をせざるを得ない。そういう構造があると、なかなか女性の労働も評価されないんではないか。
やはり、男性の労働時間を短縮して、先ほどワークシェアリングという言葉がありましたけれども、男性も女性もそうなんですが、労働時間を減らして、ワークシェアリングをして失業率を低めるとか、あるいは女性も正規労働につく、そういったことが考えられるんではないか、そういうふうに私は思っております。
○阿部委員 女性たちも、もちろん正規労働につきたいと思ってもつけない現状もありますし、ワークシェアも、理念としては提案されながら、なかなか日本の中で進んでいないわけです。
きょうは、鴨参考人にお聞きしたい点ですが、冒頭お話しになりました、現状で、パートで働いていらっしゃる、「認めて!私の働き方」というタイトルになっていますが、その方たちにもよくよくお聞きすると、厚生年金の加入ということは、もしもこれが年収六十五万円以上、あるいは二十時間適用だったら、入りたいという方が集計上は非常に多いということでもありました。
今の堀参考人のお話、女性も正規の職員になる道を探るのも一つと思いますし、また逆に、オランダモデルのようないろいろな働き方があるということで、女性たちも男性たちも選べる時代をつくるというのも一つと思いますが、現実にパートの労働にかかわるたくさんの方たち、実は女性だけじゃなくて御高齢者も、それから女性の中でも、昔、失礼な言い方でパートのおばちゃんと言ったけれども、今はパートのお姉ちゃんもパートのおばあちゃんもいる時代、パートのおじいちゃんもお兄ちゃんもみんないる時代になって、逆に言うと、このパートという働き方を社会的により快適なものにしていくための御提言、御提案、年金問題も含めてあれば、繰り返しかもしれませんが、お願いいたします。
○鴨参考人 今、パートの働き方をより快適なものにということがありましたけれども、私も、今、いわゆるパート労働者がこれからどういうふうにしていきたいのかということをいろいろな方とお話をする機会があるわけなんですけれども、そういった中で、パートの方たちは、今の正規労働者の働き方を見ているわけです。正規労働者の方たちが、例えば週六十時間以上、もう過労死寸前のような働き方を、特に三十代、四十代の若い方たちがしているわけですね。そういった現状を見ている中で、ああいった働き方はしたくないよというのがある意味ではパート労働者の気持ちです。
では、パート労働者はどういう働き方をしたいのですかといったら、賃金、それから、今の例えばパートだからということで労働条件が正社員の半分でもいい、そういったことに対しては不満はあります。だけれども、パート労働者は、自分たちの今の働き方、例えば正社員と比べて多少でも、自分が子供を抱えている方でいえば、子供と仕事を両立させる働き方、そして自分が人間らしい、趣味とか余暇とかを生かせる働き方、そういった働き方としてパートという働き方自体が悪い働き方ではないということも、彼女たちはしっかりと言うわけです。
そういった中で、私は、これからそういったパート労働者が本当にきちんと自信を持って、パートだからというだけで半人前扱いされるのではなくて、仕事も一人前としてやっているわけですから、気持ちの上でも自信を持ってやっていくということでいえば、今の賃金体系のあり方というのは、今の賃金がいわゆる仕事を基準とした賃金ではないという中で、やはりきちんと職務給という概念を入れて、同一価値労働同一賃金、そして先ほども言っていましたように均等待遇ということを実現していくことも、これからのパート労働者、女性労働者、そして正社員の男性も一緒に家庭も仕事もやろうよというような働き方に変えていくキーワードではないかというふうに思っています。
○阿部委員 時代は確かに大きく変わりつつあるんだと思います、女性の働き方も男性の働き方も。
そこで、最後に笹森会長にお伺いいたしますが、働く者の仲間の代表としてずっと労働運動の現場でやってこられて、今、会長というお立場で、私もせんだって会長が出られたNHKの、たまたまぱちっとつけたら出ていらしたので、その中で、非正規雇用がフィフティー・フィフティーになっちゃうかもしれないというところも拝聴していました。
私は、みずからが選んで、その働き方の中で、それがパートであれアルバイトであれいいのですが、今のようにそうせざるを得ない状況に雇用労働情勢から追い込まれたりすること、あるいは何の社会保障もない、病気になっても業を失っても、あるいは将来は無年金というのでは、これはやはり違おうかと思うのです。
今、連合としてお取り組みの、特に同一労働同一賃金、あるいは均等待遇についてのお取り組みと、それからもう一つ最後に、やはり私は笹森会長も今回この案に反対のお立場だと思いますから、まとめて最後の締めの反対論をお願いします。
○笹森参考人 働き方の問題としては、今御指摘のとおりなんですが、今、いろいろな年齢の層、それから男性、女性あります。日本の社会にとっては、何としても、働き方をどう変えるか、暮らし方をどう変えるかというルールとシステムのつくりかえをしなきゃいかぬ、これはもう最大の問題ですね。
これについては、日本経団連と連合は共同歩調で総理に直接御要請したときがあります。ここは、それをお互いに目指そうよという一つの確認になっているんですが、そこの具体的な論議に入っていったときに、いつも入り口でだめになるのが、均等待遇をここで取り上げるか取り上げないか、そのことを実現するかしないか。私は、何としても日本社会にそのことをつくり上げなきゃいけない、それが最大のベースになってくるだろうというふうに思っていますので、これは連合の使命として実現に向けてというふうに思っています。
それから、やや誘導的な御質問もあるんですが、私は、今の連合の立場からいうと、冒頭も申し上げたように、税制と社会保障すべてを一体的に見て抜本改革をどうするかというのを今やらないと、日本社会が本当におかしくなってしまうということなんです。今までやってこられたのは、パッチワーク的に、これが財源足りない、これもどうしようかというところの中で、負担と給付はそれぞれが受給する側にとって不利益になるような、そういう制度だったんですね。
今度、そこの中で出されているものは、私は、ちょうど連合の案が中央に位置するねという御評価もいただいているようでありますので、願わくば、抜本改革のない負担増と給付の削減については、これは反対だ。だから、この国会の中で何としても抜本改革をなし遂げて、税と社会保障をトータルの問題としてやれよと。その場合に、では、その負担の問題と給付の問題を暫定的にどう取り扱うのかというのが当然出てきます。だから、それをぜひ国会の中で皆さん方で結論を早く出していただければというふうに思っております。
○阿部委員 押しつけがましい質問をしましたことをおわびして、しかし、いい御答弁をいただきましたことに、御意見をいただきましたことに感謝して、終わらせていただきます。
○衛藤委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
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