第159回国会 厚生労働委員会 第17号(平成16年4月28日(水曜日)) 抜粋 案件: 政府参考人出頭要求に関する件 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号) 年金積立金管理運用独立行政法人法案(内閣提出第三一号) 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号) 高齢期等において国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するための公的年金制度の抜本的改革を推進する法律案(古川元久君外五名提出、衆法第二七号)
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
私は本日の質問の冒頭に、まず坂口大臣に、先ほど、年金問題の考え方は百人百色だ、省庁間によっても差があるかもしれない、例えば経済産業省が、もしも保険料が上がった場合に百万人近い人の失業が起こるかもしれないという見解を述べることや、あるいは塩川前財務大臣が、税制ともうちょっときっちり連動していないと、この先行きというものが保証されないのではないかという御意見を出されることに対しても、坂口大臣は百人百色だという御意見でありました。
では、国会で審議していくために最低限統一しておくべき認識とは何かという原点に立ち返って、一問目を伺いたいと思います。
非常に簡単なことです。坂口大臣は、いわゆる国民皆年金、だれもが自分がこの国で老いたりあるいは障害を持ったりしたときにきちんと保障されるという意味での国民皆年金ということを共通認識に持たれる、百人百色ではなくて、百人のおのおのがそれを共通認識にしてやっていくというお考えは、まず冒頭、お持ちでしょうか。
○坂口国務大臣 全員が年金制度の中に入って、そして、自分たちが年金制度を支えていく、そういう思いにみんながなっていただけるという案が一番望ましいわけでありまして、そういう意味では、私は全員が参加のできる年金でなければならない、そういうふうに思っております。
○阿部委員 そこで、この間、不払い問題が発覚した三閣僚問題。
例えば中川昭一経済産業大臣は、御自身の国民年金未納は、一方で議員年金等々がおありであることと錯覚されたか、あとは、麻生大臣は、もともと麻生セメントの経営者であり、厚生年金をお持ちであったりした時期があって、そのことも御自身の意識の中におありであった、あるいは石破防衛庁長官は、共済年金に医療保険などと一緒で加入するのではないかと思われたと。
実はこれは、一方では勘違い、あるいは十分に熟知していなかった、そして、そのまま提案者になったという、大臣の資質を問うものであると同時に、逆に、制度が乱立しているゆえに逃げ道、抜け道、そうしたことがあるという現実として考えてみるべきではないかと思いますが、大臣はいかがですか。
○坂口国務大臣 そういう意味で、乱立をしていると申しますか、いろいろの年金制度があったことは事実でございまして、かなり集約されてきたことも事実でございます。
あと、先ほども議論に出ましたけれども、共済年金をどう早く厚生年金と一元化していくか。今回、財政的な面におきましてこれは一元化の方向に動き出しましたけれども、しかし、それだけではなくて、本格的に一元化をしていかなければならない。私立学校の問題もございます。こうした問題を一つにしていく。それとあわせて、国民年金との関係をどうするか。ここは、先ほどから議論になっておりますし、意見の分かれるところでございますが、私は、自営業者の皆さん方の生き方というものと、そして、サラリーマンの生き方というものとの間にはいろいろの点で違いがある。それを、制度さえ一つにすればそれは済むであろうか。そこはよくよく考えていかないと自営業者の皆さん方に大変な負担をかけることになってしまうのではないかということを、私は私の意見を申し上げたわけであります。
そうした問題はございますけれども、いわゆる被用者保険につきましては、一元化の方向に進んでまいりましたし、これからも進めていかなければならない、そういうふうに思っております。
○阿部委員 今三野党がほぼそろって提案しておりますのは、国民年金加入者も含めて一元化という方向をとってはいかがかという案でございます。それは、本当にこのたび明らかになりましたが、議員年金のような恵まれた年金があれば、国民年金未加入状態も全く意識しないで二十数年、二十年近く中川大臣がおられたということにもあらわれているかと思います。
しかし、私がきょうこの場で指摘したいのは、実はそのこと以上に深刻な現実ということがあると思います。私は、この不払い三兄弟閣僚問題は、本当に国民から見れば唖然としますし、国会でこんなことが論議されているということを恐らく多くの国民は嘆いて、本当にまた政治不信が拡大した、年金不信が拡大したと思いますが、実はそれ以上に、本当に今絶対に論じておかなきゃいけない問題があるように思います。
というのは、冒頭に大臣にお伺いした、国民皆年金を維持するおつもりがおありですかどうですかという一問にかかわってまいりますが、実は、今、所得のそれなりに裕福な方は、国民年金というものに掛金を納めず、私的年金の方が、もう自分はそれでやっていけるからいいやという潮流が一方で生じております。それと同時に、私がこの間一貫して質問してまいりました国民年金における未加入状態あるいは未納状態は、こうした恵まれた、各大臣のような、経済力もあり地位もあり、そうして、忘れていましたと言えるような人たちの問題ではなくて、もっと深刻な実態が、今、日本の社会に広がっている。
そのことに対して、このたび厚生省が出された改正案が、あるいは今回の提案が、例えば徴収を強化するとか、これから四段階に、おのおのの納められないと言っている方たちの収入を区分けして細やかに徴収していく、実はこの二つくらいしかおっしゃっておられないのです。私は、それで解決するような事態なのかどうかということを、この際、きょうはしっかりとやらせていただきたいと思います。
きょうの委員会では、冒頭藤田委員の方から、いわゆる保険料の申請免除において、半額免除それから全額免除という二段階免除がございましたときに、半額免除を導入したのですが実際には未納者がふえてしまった問題について、年金局長に質疑がございました。繰り返しになりますからその御答弁は私の方から紹介させていただきますが、ちょうど徴収制度が市町村から社会保険庁に移って、なかなか徴収がうまく連動しなかったんだということも挙げられておりました。果たして、それだけであるのか否かということも私はきょう問題にしたい。考え方が違うんじゃないかと言いたいのです。
そこで、資料の一枚目、これはいわゆる平成十四年度に実施された半額免除制度の導入の結果でございます。
上にまとめてございますが、半額免除制度の導入によって申請の全額免除だった方、二百七十七万人が確かに全額免除者は百四十四万人に減りましたと。ではその人たちが納入してくれたのというと、おっとどっこい未納者になってしまったというのがこの図でございます。いわゆる全額免除、半額免除、二段階、細やかにとやった結果未納者をふやしたというのが確認点でございます。
次に、今度の四段階免除の図がございます。一ページあけていただきたいと思います。
ここには、四分の三免除、半額免除、四分の一免除、免除なしと、四段階に今度は区分けいたしましょうという厚生省案がございます。では、こうした提案をなさるからには、おのおのどのくらいの人数の方がここに当てはまるのか。果たしてこれで、未納者は、あるいは未加入者はなくなるのかということについて、実際にどんな見通しと数値をお持ちなのか。まず、年金局長にお願いいたします。
○吉武政府参考人 この先生のきょうの資料でございますが、四段階免除、多段階免除を導入しようということでございます。
それで、現状で申し上げますと、全額免除の対象の方、御夫婦で子供さんがお二人の世帯、所得で申し上げますと百六十四万でございます。これは、サラリーマンと比較していただくために、給与所得控除をこれに乗せますと二百六十万でございます。それから、半額免除の対象の方は、所得で二百八十五万、給与所得ベース、サラリーマンの収入と比較しますと四百二十四万でございます。
そういう意味で、実は、この免除対象基準というのは非常に厳しいわけではございませんで、全額免除の対象になる方が大体二割弱だというふうに見ています、所得で申し上げますと。それから、半額免除の方が一割。したがいまして、三割ぐらいの方はこの対象になり得るということになります。ただ、現実に、全額免除の所得の幅におられても、免除を申請されずに、自分は保険料を納めるという方が四割おられます。それから、半額免除の方で申し上げますと、半額免除が導入されてまだ時間が余りたっておりませんので、半額免除を活用している方はまだ少ないという状況でございます。
私どもは、ここにございますように、四段階免除を導入します一番基本的な考え方は、その下をごらんいただきますと、国庫負担の二分の一が実現をいたしますと、今まで全額免除の方は、給付は基礎年金の三分の一でございましたが、これがまず二分の一になってまいります。それから、半額免除の方で申し上げますと、四分の三になってまいります。それから、四分の一免除の方は八分の七という形になってまいります。しかも、その免除制度というのは、十年間追納が可能だということでございますので、自営業の方で所得に非常に変動がありましたときに、後追加して保険料を納めていただければ満額の基礎年金という可能性がございます。
現実の実態で申し上げましても、免除期間が五年以上の方は、今の年金受給者の中では五%でございます。したがいまして、非常に免除の状態が多いというわけではございませんで、私どもはむしろ、四段階免除を導入したいというふうに思っておりますのは、自営業の方の事業なり家計の収入が非常に変動がある中で、その中で選択をしていただいて、できるだけ満額の年金に結びつくという形で考えております。
具体的にはこれは政令で定めてまいりますが、今申し上げました、大体二割、一割ということを基本にいたしまして、四分の三免除というのは今の半額免除の中でございますので、基本的にはその三割の内数というふうになってまいります。四分の一の免除は、その三割から、今のところさらにふえるという状態でございますが、これは先ほど申し上げました、相当の利点もございますので、所得の関係で、具体的には法律に基づきまして政令で定めたいというふうに考えております。
○阿部委員 そのような御答弁でしたらば、次のページをあけていただきたいと思います。
これは第一号被保険者における就業状況別世帯所得の状況という図でございます。これも今回社会保険庁にお願いして初めて出していただきました。
このような表を出しますのは、私と大臣が論議するときに、一号被保険者は自営業をモデルとしていると大臣がいつもおっしゃいますので、私は、その比率は、現在、自営業御本人一八%、家族で一〇%で、二八%内外で、実はここに書いてあるような常用雇用だけれども第一号被保険者にいる、臨時、パートで第一号被保険者にいる、無職で第一号被保険者にいる、そういう人の方がマジョリティーなんだということを一つは示したいのと、その人たちの所得把握をどのようにしているかという図でございます。
ここにお示しいたしました大体二百万円未満、これは先ほどの局長の御答弁だと半額免除になる方たちと見ていただいていいと思いますが、ここだけでも、半額免除の方だけでも大体この図の三分の一、全体の三分の一が半額免除、そして、さっきの四分の三免除まで含めれば半分くらいになるんだと思います。
では、国民年金というのは、一律一万三千三百円の定額で、その方の所得に関係なく、たとえ逆進性があろうとも所得に関係なく取る、もともとそういう考え方ではなかったのでしょうか、坂口大臣にお願いします。
○坂口国務大臣 この表は、前回でございましたか、私も初めて拝見したわけでございます。阿部議員のところには届いておりますけれども、私のところには届いておりませんで、初めて私は見たわけでございますが、決して嫌みを言っておるわけではございません。
こういう内容、さまざまな方が中におみえになるということは、この表を拝見しますとよくわかります。
御指摘のように、国民年金というのは、現在で一万三千三百円という値で一律にしてあって、そしてそこに、不可能な皆さん方につきましては、先ほどから出ておりますように、半額とか、あるいはまた四分の一、四分の三というようなのを今回は導入をしようということになっているわけでございます。
いわゆる所得の高い人から見ると、この国民年金制度というのは非常に年金の額が低いということになると思いますし、今度はまた、所得の少ない人から見れば、一万三千三百円を払うのがなかなかつらいということになるんだろうというふうに思います。
そこはいろいろ立場によって違いますけれども、そこを一定の一万三千三百円という、現在でいいますと、そこに線を設けて、そして一律にお願いをしている。額としてはそんなに高い額ではないというふうに私は思いますけれども、しかし、低所得者の皆さん方からしますと、これは高いということもあり得る、これは率直に私も認めるところでございます。
○阿部委員 大臣に前回お示しした図とまたこれは違うんです。また保険庁にお願いして、新たなんです。実は、こういう所得分布が出るのは初めてなんだと思うんです。
私がきょう言いたいのは、所得に比例した年金方式でいいのなら、今私どもも含めて野党が言っている所得比例を考えてくれまいかというのが一つ。それから、基礎年金部分、皆年金にするのであれば、現在のように制度が乱立していてわかりづらいということも含めて、逆にどのくらいの額あれば暮らしが成り立つかという最低ラインをちゃんと国は明示して、今回の改正案で一番私が懸念いたしますのは、現状の基礎年金部分も一五%下がってしまうということです。これはぎりぎり、かつかつの人も窮地に追い込むという意味で、強く――企業負担の問題も私はこれまで随分取り上げてまいりました。ただ、時間等の制約で、せめて国民年金の問題だけでも明らかにしようとした場合に、何度も言いますが、この図を見ていただければわかるように、左側三分の一が半額免除、そして四分の三免除までいけば半分、だったら所得比例じゃないの。所得比例で考えて、その逆進性を高めない考え方をとらないと、もう第一号の国民の年金と言われる部分が成り立たなくなっているんだよということを言いたいわけです。大臣はこの点はいかがでしょうか。もちろん減免はいいこととある意味思います。しかし、それは実態を見て、そうせざるを得ないのであれば、制度の骨格から立て直さないといけないのではないか、いかがでしょうか。
ごめんなさい、私はこれで最後の質問なので、もし私の事実認識が誤りであれば申しわけありませんが、そうでなければ大臣にお願いします。
○坂口国務大臣 社民党の方で今おつくりになっております案が、基礎年金部分というのを、いわゆる最低保障年金でしょうか、基礎年金に当たるんでしょうか、ちょっとよくわかりませんけれども、そこにどのぐらいな額をおとりになっているのか、私はお聞きしたことございませんので、よくわかりません。
いずれにいたしましても、現在の基礎年金の額のところ、これは確かにこれで十分ではございませんけれども、いわゆる一号被保険者に入っておみえになる高齢者の皆さん方の老後の消費生活を拝見いたしましても、決して年金の額におさまっているということはないわけでありまして、それ以外にもかなり御用意をいただいているということがその中からうかがえるわけでございます。
したがって、私は、いわゆる自営業や、それからここに挙げられておりますような御家族の中に、可能な人と可能でない人とはあると思いますけれども、可能な皆さん方はそれなりに老後の御用意をなすっているというふうに思います。もし、この中で、そういうことができ得ない皆さん方に対しましては、これは福祉の世界の中でどうしていくかということを考えるということだろうというふうに考えております。
○阿部委員 この表からわかることは、大臣がおっしゃる可能でない人が一千万人規模で生じてしまうということです。年収二百万、もちろんこれは控除後ですが、そういう方たちは将来半額免除で、先ほど局長はもう五年くらいで抜けるんだとおっしゃいましたが、繰り返しいろいろな方がこの層に入ってきたときに、一千万人規模の生活保護が生じてしまいます、その考えでいくと。そのことをどうしても阻止しなければ我が国のいろいろな福祉政策も社会保障政策も成り立たないという認識で、本当にこれからの基礎年金部分、所得比例部分の論議をさらに進めていきたいと思いますので、くれぐれも強行採決などないようにお願い申し上げて、私の質問を終わります。
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