第159回国会 厚生労働委員会 第18号 平成16年5月7日(金曜日) 抜粋 案件: 政府参考人出頭要求に関する件 厚生労働関係の基本施策に関する件
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
せんだっての四月二十八日、私ども野党の退席した中での与党、自民党、公明党の皆さんによるまず年金法案の採決、そしてその後、どこの場で合意されたか判然としない三党合意なるものが出てまいりまして、一体、国民にとって一番最大の関心事である年金改革の問題で、今、国、政治の側は国民に対して何を語ろうとしているのか、私は極めて危機的な状態にあると思います。与野党の双方に年金の未納問題が存在し、そのことだけをとったとしても国民は非常に失望をしておる。そのさなかに、またその国会の中で与党、野党、三党合意のもとにこういう案を出しましたと言われても、今、きっちりと国民に対して政治が説明すべき責任を果たしていないのではないか、私は一点、冒頭思うわけです。
先ほどの山口委員の御質疑の中にもありましたが、国会議員の中に年金の未納問題が発生するということは、制度のわかりづらさ、乱立する制度、そして、先ほど大臣もおっしゃられました、都度例えば自分から申請し、受給の際にも自分で申請していかなきゃいけない、さまざまに本当にわかりづらい制度でございます。しかし、この制度を一番わかってもらわなきゃいけない国民に対して、逆に今は、本当にわかり合った上で次の時代の年金を一緒に考えられる、逆の意味で、いい、絶好のチャンスにもなりました。これは、私ども議員が年金の未納問題を起こし、そのことは国民に恥ずべきことではありますが、しかしながら、そのことを本当に次の時代のいわば改革のもととしていくために、私は、今こそここで安易な採決をせずに、ぜひとも公聴会、国民に開かれた公聴会を持って、国民の中にどんな声があるか、このことをまず採決の前段でなすべきである、それこそが政治が国民に真正面から向かい合う姿勢と思います。
冒頭、坂口大臣に、なぜこの段階で、公聴会もせずに、私は今こそチャンスだと思います、なぜ、あえて採決され、そして、大臣が採決したわけではありませんが、そのような向きになり、また、三党合意という、極めて国民からは見えづらいところで、年金の一番大もとは信頼です、それを根こそぎ刈り取ってしまうような形で事を進めようとするのか。この点について、大臣としてのお考えを伺いたいと思います。
○坂口国務大臣 政党間でお決めをいただいたことは、それなりに私たちは尊重をしなきゃいけないというふうに思っております。
年金制度そのものにつきまして、いろいろ議論のあるところはよく承知をいたしておりますし、いろいろ御議論をいただかなければならないわけでございます。先日も阿部議員は最後までお残りをいただいて、御質問いただけるかなと思って御期待を申し上げておりましたけれども、お声を聞くことができずに大変残念でございました。しかし、阿部議員からは何回も御議論をいただき、そして、大変いい指摘もしていただいているところでございまして、我々も今後参考にしていかなきゃならない点も多いというふうに思っているところでございます。
三党合意について御批判があるようでございますが、これは政党と政党の間の合意でございますから、いろいろの形で生まれ得るというふうに私は思っております。それは、政党人であります阿部議員も御理解をいただけるのではないかというふうに思います。
政府といたしましては、そうして与野党で合意をしていただいたことに対しましては、謙虚にそこに対応をしていくというのが筋ではないかというふうに思っている次第でございます。
○阿部委員 私は政治家と言われる者になって年月が短うございますが、その中で一番感じますことは、いわゆる政治不信と言われる、政治家のやることがどうしても信頼できないと言われるような不幸な政治の状況。そして、この間、一番その政治不信にさらに輪をかけたのが、今回の年金問題の事のてんまつのように思います。
そこで、今の大臣の私の質問へのお答え、特に、なぜ公聴会をやっていただけないか。今なら国民は多くの声を上げると思います。それは、きっかけというか、冒頭はもちろん未納の議員に対する批判かもしれません。しかし、その中で、例えば、低年金で暮らせない実際に本当に困った人たちの声や、わかりづらくて、本当にこれはどうなって、自分たちの年金制度と言えるんだろうかというような声など、やはり真摯に耳を傾けてこそ、政治も年金も信なくば立たずです。この信なくば立たずで、二十一世紀の大改革を絶対にやり切れない。
そして、私は逆に、いつもここで質問させていただくときは、これは坂口大臣であるから骨太な議論ができる。この二十一世紀の冒頭のかじ取りというのは、時代が極めて困難な時代に突入しているがゆえに、だれも負担はいや、給付だけはと言うことはできないわけです。負担し合ってでも社会の中で連帯の芽を育てていくための、本当に大事な二十一世紀の、政治にとっても最大のチャンスであったはずです。その時期がこうやって持たれたこと、私は非常に心外に思いますし、同じことをもう一度聞いても大臣もお答えがしづろうございましょうから私の指摘にとどめさせていただきますが、各委員にもぜひお考えいただきたい。
例えば、二十八日からの連休の期間、街頭で宣伝いたしましても、やはり国民の声、多く聞こえてまいります。そして、その一つ一つを丹念に拾ってこそ国会の審議は初めて実のあるものになると思いますので、各自、来週、本会議採決というようなことまで予定されているようですが、だれに向けて何を決めるのか、ようようお考えいただきたいと思います。
もう一点、この年金問題で国会議員の未納問題が発覚いたしましてから、現実に非常に混んだ窓口がございます。社会保険庁の職員たちも今、夜を日に継ぐ仕事量に追われていて、逆に、相談に行かれた、自分がどういう加入状況にあるのかということを聞きに行かれた方も、六時間待ち、七時間待ちという状況にあると思います。
そして、こうした社会保険庁の業務は、この年金法案が成立しようがしまいが、ぜひここで大臣に方向性を出していただきたいことでございますので、きょうは、この点について質疑をさせていただきます。
皆さんのお手元の資料の資料一というところを見ていただきたいですが、ここには、いわゆる社会保険庁の職員と国税の職員が、おのおの国民年金と国税の徴収に対しまして職員一人当たりが働くことによって幾ら徴収できるか。例えば、職員一人当たりの徴収額、国税であれば九億、国民年金であれば三億。そして、事務費一円をかけることで幾らを徴収できるか。国税であれば七十三・一円、国民年金であれば十二・三円。
これは何を意味しているかというと、現在の社会保険庁の国民年金の徴収にかかわる事務費が非常にコスト高になっておるということの一つのデータでございます。私は、このことをもって、別に、社会保険庁の職員が働いておらぬとかそういうことを言いたいのでは決してありません。今度の年金の改正案でも、半額免除あるいは四分の三免除、四分の一免除、いろいろなグレードの免除をつくりました。そのことによって、さらにまた事務職員は仕事量がふえてまいります。
この委員会でも一つ指摘があった点は、従来のように、地方自治体で国民健康保険と一緒に徴収してはどうかという意見も出されました。大臣はそれに対して、せっかく社会保険庁に移したのだから、しばらくこのままやらせていただきたいというふうな御答弁でございました。しかし、私は、今の年金の窓口相談業務だけでも六時間も七時間も人を待たせて、そしてその混乱の中で、実は一番理解していただきたい一人一人の国民に満足が得られるかというと、現在の陣容ではとてもとても、どんなに社会保険庁の職員が頑張って働いても、やはり本当にわかりづらい制度の中で過重労働にもなってまいります。
そこで、大臣にきょうお伺いしたいのは、例えば、今後、この国民年金の保険料の徴収は国税と一体化する、そして社会保険庁の主な仕事は、年金について最大限の情報提供や相談業務や、本当に知りたいと思う人に懇切丁寧に、いわば医療ではメディカルソーシャルワーカーという仕事がありますが、その方に合った、例えば介護の受け方、医療の受け方をアドバイスできるような、特殊な分野として社会保険庁の職員をさらにグレードアップしていただきたい。
年金の徴収も行い、相談も行い、そしてあげくにコストはすごくかかっているという中で、これは政治の先見性において、社会保険庁の業務をどのように考えていくかということにかかわりますので、坂口大臣に御答弁をお願いいたします。
○坂口国務大臣 国税と、それからいわゆる社会保険庁の職員を統合してはどうかという意見は前々から実はあるわけです。これは、しかし、社会保険庁の方は医療保険と年金と両方やっておりますので、それを両方取るというのもなかなか難しい話でございます。
この社会保険庁の方でやっております国民年金の方の仕事は、いわゆる税を集める人に比べますと物すごく数も多いわけですね、社会保険というのはほとんどの人が全部納めているわけでありますから。国民年金なら国民年金に入っている皆さん方の中で、税を納めている人というのはその中の一部でありますし、保険料を集めているのは非常に多くの人を対象にしているといったこともあるわけです。
そうした違いもございますし、それから、現在のところは、税のように強引に徴収をするということではなくて、説得をして説得をしていく、そういう姿勢をとっているわけでありまして、税の集め方とそれから保険料の集め方と、同じようにやっていくという意見もありますけれども、私は少し違うんではないか、社会保障で出していただく、保険料を出していただくのは、それなりにそれぞれやり方があるのではないかという気がいたしております。しかし、ここを丁寧にやればやるほど効率は悪くなるわけでありますから、そこは、費用対効果ということも十分考えていかなければいけないというふうに私も思っております。
そうした中でございますので、この徴収の仕方というものにつきましては、これは十分私たちもこれから考えていきたいというふうに思います。全くこの両方を一つにしてしまうという考え方もあれば、そうではなくて一部を共同してやっていくというやり方もあるでしょうし、いろいろのやり方はあるというふうに思います。ここのところは十分検討したいというふうに思っております。
○阿部委員 私の質問の本来の趣旨は、より対人サービス、特に説明、その方の年金の状況の説明に社会保険庁の能力を生かしていただきたい。そのために、仕事量をどこかで軽減しないと、やはり現状のマンパワーで本当に国民が多く知りたいと思ったときを賄えないということでもございますので、よろしく御検討をお願いいたします。
あと、最後になります。一点お願いいたします。
四月三十日に厚生省が出されたというデータで、いわゆる現役の五〇%の給付をお約束された坂口厚生労働大臣の従来の御意見は、実は給付が始まってから一から十二年しかもたないのではないかというデータを厚生労働省の方でお出しであるというふうに新聞報道がございます。
この法案の骨格にかかわる部分ですので、給付が五〇%を割ったら、そもそも法案の二条のお約束事がずれてまいりますので、この点について大臣は御存じであるかどうか。もう時間がございませんので、この一点だけお願いいたします。四月三十日の厚生労働省の発表でございます。
○坂口国務大臣 私も新聞を拝見して初めて知ったわけでございますが、新聞の方の御要請にこたえて出したそうでございます。
これは少し私たちが言っておりましたのとは違うわけでありまして、我々が五〇%を維持するというふうに言っておりましたのは、それは、年金を受ける人の、若いときにその人が受け取った平均の手取りの五〇%、こういうことを言っているわけでありまして、あのデータは、そのときそのときの、その時代の働く人たちのモデル平均を言っているわけでありますから、そこのいわゆるとり方が違うというふうに思います。そうした点が違いますので、御理解をいただければと思います。
○阿部委員 そうした点の周知も不徹底だと思います。私は、きっちりそうしたことを論議の俎上に上せて、もう一度きちんとやり直していただきたいと思います。
ありがとうございます。
○衛藤委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長勢甚遠君。
【中略】
○衛藤委員長 阿部知子君。○阿部委員 先ほどのちょうだいいたしました時間に引き続いて、残り二十分を質疑させていただきます。
私は、先ほど質問が中途半端に終わりましたので、まず、坂口厚生労働大臣にちょうだいいたしました御答弁、先ほどからずうっと考えていて、ますます納得できなくなってまいりましたので、一体、今回の提出の法案は国民に何を約束したものであるのか、小泉総理と坂口大臣にお聞きいたします。
大臣は、先ほど、いわゆる保険料は年々上げていき一八・三%を上限とするが、しかし、給付は五〇%、この五〇%は、現役世代の五〇%ではなくて現役時代の五〇%であるというふうに御答弁されたかと思いますが、もう一度伺います。この法案は、どのような約束を国民とするのでしょうか。保険料は毎年上がっていく、しかし、給付は何の五〇%をお約束なさいますのでしょうか。
○坂口国務大臣 先ほどお答えをいたしましたとおり、保険料の方は一八・三〇、これはもうおわかりいただいたと思います、段階的に引き上げていく。それで、いわゆる給付の方につきましては、それぞれの人がそれぞれの世代、お勤めになっている間に受けられた額の平均的な手取り、その五〇%というふうに申し上げてきたわけでありまして、そういうことで申し上げたわけでございます。
モデルというのは、確かに一定の条件を設けたモデルでありますから、すべての人がそれに当てはまるわけではありません。例えば、所得の多い人であればパーセントは下がりますし、所得が低い人であればパーセントは上がる、そういう違いはあるわけでございます。しかし、我々がつくりましたモデル、その前提にしましたモデルのもとにしましたものにつきましては五〇・二%というふうに申し上げているわけであります。
○阿部委員 同じ質問を小泉総理に伺います。
この法案は、現役の世代の五〇%を、そのとき六十五歳で給付を受けられる方の現役世代に対しての五〇%を保障するものであるのかどうかです。
○小泉内閣総理大臣 一定のモデルのもとでの平均的な賃金、それが五〇%であります。
○阿部委員 その御説明も極めてわかりづらいし、そうであれば、法律の解釈がばらばらだと思うのです。坂口大臣は、一生のその方のお受けになった賃金の平均だとおっしゃいました。そのとおりでよろしゅうございますか。そして、大臣がそうであれば、総理はもう一度、何の五〇%でしょうか、はっきり、これは国民への約束ですから、何の五〇%、例えば退職のときの五〇%という考え方もあります。しかし、坂口大臣は、終生の、今までの平均だとおっしゃいました。これは違います、明らかに。おのおの、申しわけありませんが、もう一度明確に、国民にどう御説明なさるか、お答えください。
○坂口国務大臣 法案をちょっと読ませていただきますが、「国民年金法による年金たる給付及び厚生年金保険法による年金たる保険給付については、老齢基礎年金の額に二を乗じて得た額と平均的な男子の賃金を平均標準報酬額として計算した老齢厚生年金の額との合算額の男子被保険者の平均的な賃金に対する比率が百分の五十を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するものとする」、こういうふうに書いてあるわけであります。
○阿部委員 それを、そういうふうに私も法案をさっきからずうっと読み返してみたんですが、わからないんですよね、何を言っているのか。簡単に言えば、現役世代の若い人たちの平均賃金の、若い世代だって二十代から定年間際までの方、いろいろおられます、その方の平均賃金の、手取り賃金の五〇%という意味ですか。それとも、大臣が当初お答えになったのは、逆に、その年金を受け取る人がずうっと働いてきた平均賃金だとおっしゃいました。これはどっちですか。まず、坂口大臣、お願いします。
○吉武政府参考人 モデル年金は、今お話にございましたように、現役の男子被保険者の平均賃金、この方が四十年、その平均賃金で保険料を納付したとした場合の給付額、これは、老齢基礎年金と報酬比例年金を足しまして、その平均賃金に対して五割ということでございます。
先生御案内のとおり、実際の厚生年金の給付を決定する方式は、仮に例えば今五十の方が三十年前に新入社員になられたとき、そのときの初任給というのがございまして、これが当時の標準報酬額でございます。これを全部積み上げを行います。個人別のヒストリーに従ってどういう賃金をもらったかというのを積み上げまして、しかし、その三十年前の初任給の価値は例えば五万とか六万という価値ですから、それをそのまま積み上げたのでは現在の価値がないので、現在の初任給に相当するところで、賃金の再評価という形で現在の賃金水準に上げまして、これで支給をするというのがそれです。
ですから、大臣がおっしゃいましたのは、現実にお一人お一人受けられる年金の額というのは、御自分の給与に対して保険料を払っていただいているわけですから、その給与の支払い実績に対してきちんと積算をしてお支払いをする。ただ、モデルにつきましては、平均賃金でとっていますから、それは今の平均賃金でありますが、それを考えていただければ、若い方から五十歳、六十歳の方までおられますから、そういう意味では、ずっとライフヒストリーで平均的な賃金を受けた方は大体これに匹敵するということで、そういうモデルを設定してお示しをしているということでございます。ですから、どちらも真実ということでございます。
○阿部委員 そういうのを言い逃れというんです。どちらも真実で、その数値は違うことだってあるじゃないですか。現役のときに受け取っていた賃金をずっと物価上昇率とかいろいろなものを掛け合わせて、その個人ヒストリーを凝縮したものと、その時々、現在の世代のいろいろな人たちの賃金を平均したものと、これだけだって国民にはわかりづらいし、ずれができるし、この法律は一体どっちを約束しているんですか。モデルをつくったこのモデルとは違うものを法律にしているのですか。
それを今みたいにぐちゃぐちゃ言われたら国民はわからないのですから、申しわけありませんが、総理、総理はこの法案によって国民に何を約束されますか、わかりやすく教えてください。
○小泉内閣総理大臣 私がわかりやすく言うのは、この年金制度、持続可能なものにしよう、給付と負担をしっかり数字で示していこうと。年金の、収入も、額も、全部個人違うんです。一々、それぞれによって年金の給付額が違ってくる。難しい問題です。
ですから、一つのモデルの対象をつくって、これについてはこうですよとできるだけわかりやすく説明するのが政治としては理解を得やすい方法ではないかなと。今言ったように、局長が説明してもわかりにくいでしょう、実際に。年金を一々やったら、その人によって全部違ってくるんですから。しかも、四十年間払う。四十年前のときの初任給と、いざもらったときの初任給、額にしたら違ってきますよ、それは。
そういう点も含めて、数学者の数理計算というのは、私のような頭の悪いのはわからぬ。そういうのを全部専門家はやって計算していくんですから、実に難しいことは事実ですけれども、これは、持続可能な制度にしていかなきゃならぬ、給付と負担というのはこの程度ですよ、税金はこの程度導入しますよ、お互い維持をしていきましょうと。これはやはりわかりやすく説明していかなきゃならぬと思っています。
○阿部委員 わかりやすくするためにモデルをつくったわけですよ。しかし、そのモデルで用いた今の人たちの賃金の平均の半分というのと、今局長がお話しになったように、そして坂口大臣が御理解のように、その人の個人歴の中での賃金の平均というのは違うんですよ。こんな違うものを出されたら混乱する、そのことを私が伺っているんです。
きょう、初めて私は坂口大臣の御理解を理解したんですよ。今までいろいろなものを読んでいて、現役世代の五〇%と随所でおっしゃっているんです。だから私は、いわゆるモデルで出された今の現役の人たちを全部平均して、この人たちは現役だからその半分くらいでいいだろうねというモデル像をお出しでしたから。しかし、今、大臣の御理解で、法案のもととなっているのはそうじゃない、個人歴をずっと平均したものだというわけです。
これだけでも、この二つがあるだけでも国民にはわかりづらいと思いませんか、総理。
○吉武政府参考人 モデルでお示しをしておりますのは、保険料率を一八・三%、そのことによって給付を、どの程度現役に負担をしていただいて、年金受給者の方を設定するということをやっています。したがいまして、現役世代の男子の賃金との対比で、新規裁定のときに五〇%を下限とするということにいたしておる。
私が御説明申し上げましたのは、それじゃ、お一人お一人の年金額はどうなるかということを申し上げたわけでございまして、年金額の計算方式そのものは、二十のときの月給、それから二十一のときの月給、ずっと積み上げまして、その積み上げたものに対しまして何%の給付をするという形で決まっておるという形です。ですから、お一人お一人の受給をされる年金額は、それぞれの方の若いときからの給与に対する保険料の納付実績に応じて給付されるということでございます。
○阿部委員 今の局長の御答弁は当たり前で、自分が納めた保険料に応じて受けるんですから、そんなことは当たり前なんです。しかし、この法律が国民に示したものは何なのかということを私は伺っているのです。
そこで、大臣の御説明は、この法律が示したものではないわけです。この法律が示したものは、現役の、今の人たちの半分を保障する、そうなっていなければ、これは、この法律自身を見直しますよという法律ではないんですか。
大臣、もう一度伺います。この法律で約束した五〇%は何の五〇%ですか。
○坂口国務大臣 法律に書いてあるのは、その人がもらう段階の、そのときの平均賃金のことを書いてあるわけですけれども、だけれども、それぞれの個々の人がもらう年金額は、その人が若いときからもらってきた賃金の、いわゆる平均賃金手取りと申しますか、その五〇%ということを申し上げたわけであります。
○阿部委員 総理、今のを、国民に向けてです、総理はすごくワンフレーズポリティックスの名手ですから、国民に安心だ、信頼だと、この安心、信頼というのはあるようでないんですよ、今政治不信なんですから。そうすると、総理は何を約束されますか。安心、信頼じゃだめです。その言葉はもう聞かない。となると、実際に国民に何をお約束してくれますか、この法律を通過させることで。私たちは通過させるべきでないと思っていますが、総理が国民にじかに語るとしたら、何をもってこの法律はどういうふうにいいんだよと、具体的に、教えてください。
○小泉内閣総理大臣 これはやはり、年金というのは生活を支える大きな基本的な部分ですから、これを持続可能なものにしていかなきゃならない。
同時に、今大体、厚生年金を例にとりますと、二十万円ぐらい、平均的な、今まで払ってきた方が受けております。そうすると、三十代、四十代の人が自分の親に月二十万円を仕送りするのはなかなか難しいでしょうね、ごく一部。しかし、保険料を毎月二万、三万払っていただくことによって、親の世代は二十万円年金をいただいている。こういう制度はなくするわけにいかぬ。
かつて年金制度がなかったときは、子供が仕送りをしていたんです、自分の給与から。今、月二十万を親に仕送りするという方はもうごく少数、できる方は。だから、毎月の保険料二万か三万程度で自分の親の世代は二十万程度もらっている、こういう制度をお互い考えていこうじゃないかという点を私は国民の皆さんに説明しているんですけれども。
こういう年金の制度というのは、今一人一人で親に仕送りできないですから、同じ世代全体が親の世代を支えていこう、こういう社会的な意義があるのではないかと私は思っております。
○阿部委員 少なくなった子供の数で、一人が二万、三万出して親の世代に二十万、三十万送れたら、こんなパラダイスはありません。しかし、そうじゃないからこそ、今きちんとした論議をしなければ年金制度がもたないといって、これが始まっているんです。
総理に、先ほどの山口委員とのやりとりを聞きながら、私はぜひともお示ししたいものがあると思います。私が用意した資料の、恐縮ですが、四枚目を見てくださいますでしょうか。先ほど総理は、今の若い人たちは好んで多様な働き方をしているんだ、いいじゃないか、いろいろな生き方があって。私もそう思いたい。しかし、それを保障するための社会保障制度が追っつかないから、今論議をしているわけです。
資料の六をごらんいただけますでしょうか。四枚目の上の段です。これは「パートタイム労働者として入職する学歴別新規学卒者入職者割合」です。例えば高卒の女子は、平成十四年度は何と三八・六%がパートです。これがついちょっと前においては、昭和六十二年でも結構です、六・六%でした。高校卒業したての女性たちが、今は四割近く全部パートです。
そして、その下の図、総理にしっかりと見ていただきたいですが、これは短時間雇用者の比率で、明らかに、例えば、平成十五年千二百五十九万人のうち八百六十一万人が女性。女性たちはパートや短期の雇用に圧倒的に今行かざるを得ない。
その人たちが果たして総理の言うように十分な賃金を得ているかどうかを見ていただくために、恐縮ですが、今度は一枚戻っていただきたいと思います。今この人たちは、無年金か、全く年金に加入しないか、国民年金に加入しておられます。企業がきちんとした厚生年金をつけている場合は残念ながら大変に少ないです、総理も御存じのように。
そこで、この資料を、今度は五になりますが、上から、「自営業主」「常用雇用」「臨時・パート」「無職」と書いて、これはせんだって坂口大臣に大変お褒めいただいたものですが、一体幾ら収入があるんだろうと。ここで臨時とかパートとなった人たちの収入は年収で二百万円以下が四〇%を占めます。となると、総理、果たしてこの人たちが本当に保険料負担に耐えられるのか。
今こういう深刻な事態があるからこそ、年金制度は見直さなくちゃいけない。高卒の女の子たちの四割がパートで入り、一千二百万人以上の短時間労働者の八割が女性で、その人たち、パートとか臨時とか言われて、その人たちの賃金を寄せてみると、圧倒的に低賃金である。この現実に対して政治がどうこたえていくか、総理に明確に御答弁いただきたいです。
○小泉内閣総理大臣 私が先ほど言ったのは、時代が変わるにつれて就業形態も違ってくる、中にはと言ったんですよ、中には、正規でなくてパートなり短時間を望んでいる人もいる。多くは、やはり正規な状態がそれは多いでしょう。しかし、今の雇用体制を考えれば、やはり現実に雇用体制を考えると、短時間でも労働できるような状況もあっていいのではないか。同時に、フリーターの皆さんにはできるだけ正規の職業につけるような訓練も必要であろう。いろいろな形があっていいのではないか。常に終身雇用、常用形態だけではおさまらない時代に来ているんです。
そういう点も考えて、多面的な雇用対策を考える必要がある。今のフリーターに関する、あるいは女性のパートタイマーに対する年金に対する考え方も、企業においても、またパートタイマーとして働いている方の考えによってもいろいろです。そういう点をよく考えながら、今後、年金問題も雇用体系も、時代に合った、また働きやすい形態をよく考えなきゃいかぬということを私は申しているわけでございます。
○阿部委員 今回の法案は、例えば総理と大臣の間でも理解のずれがあったり、あるいはモデルと法律の間にもずれがあったり、あるいは、最後に総理が簡単におっしゃった、二、三万を保険料で納めて親の世代に二十万、三十万、そんなことありゃしない。ないことだらけを全部国民に提示して、これではうそつき大魔王になってしまいますので、やはりこの年金審議はきっちりと現状を見て、私は、若い人たちのために今きっちりした制度をつくらないと、事が動くのは実際は二十年後だったりするわけです。
圧倒的に多くの女性たちがパートに高卒でなる、若い人たちも、男子も同じような状態です。このことを、しかし選んでその労働形態だと言えるような社会保障制度をきっちり論議していくために、まず、この法案の成立には反対ですし、十一日の採決というようなことはゆめゆめ行われませんように申し上げて、私の質問を終わります。
○衛藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
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