第159回国会 厚生労働委員会 第22号(平成16年6月11日(金曜日)) 抜粋

案件:  政府参考人出頭要求に関する件
 独立行政法人医薬基盤研究所法案(内閣提出第九五号)(参議院送付)
 結核予防法の一部を改正する法律案(内閣提出第九六号)(参議院送付)
 薬剤師法の一部を改正する法律案(内閣提出第九七号)(参議院送付)

議事録全文(衆議院のサイト)
ビデオ(衆議院のサイト)

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 この国会は、特に厚生労働委員会は、年金を中心に論議されてまいりまして、強行採決も含んで今日に至っております。

 私は、冒頭、こうした年金問題を論ずるに当たって、いわゆる基礎となる実態あるいはそのことをあらわす数値ということについて、国会の論議の場にそういう実際の数値がきっちりと出されてこなかったということが、国民から見ても、また審議を深めるにおいても極めて大きなマイナスであったと思います。

 きょう問題になっております一・二九問題も、坂口大臣に特にお尋ね申し上げたいのですが、大臣は、厚生労働省の方がこのデータを、委員会あるいは国会審議の場にではなく、先にメディアに報告をしたということを、極めて心外に思うというお話でありましたが、私もそこは同感です。

 この一・二九という数値は、私は実は小児科医で、子供の生まれることをこうやって数値であらわしていく風土というのを大変に忌み嫌いますけれども、しかし、この間の年金のさまざまな試算が、出生率と賃金上昇率、そして物価、この三つを指標として、それに基づいて行った限りにおいては、やはり現時点での修正をきっちりと出しておく必要があると思うのです。

 一・二九というのは、大臣は瞬間風速というふうにもとらえられるかもしれないというニュアンスのことをおっしゃいましたが、大臣は疫学も学んでいらっしゃいますが、この予測の中で二〇〇七年に一・三〇になるという予測推計に基づいて立てたものが一・二九であった場合に、たった一ポイントでも、その一ポイントの開きが大きい場合には、それは統計数理学的にも修正をしなければいけない、有意差が大き過ぎるデータだと私は思います。

 その有意差が大き過ぎる、推計と余りにも離れてしまったこの現実は、実は低位推計を用いた推計を一年先取りしています。低位推計では、次は一・二七に減少していきます。一・二九という数値が出て、そのことも踏まえての推計の修正なり、推計ですから可能性も含まれますけれども、その修正について幾つかの可能性があるということも含めて、この国会中に必ず数値で出していただきたいと思います。これは国会への責任であると思います。

 もう来週には会期が終わります。百年安心の年金プランと言われたこのプランの足元が揺らいでしまっては、国民的不幸であります。大臣のその権限で、厚生省の統計情報部に、例えばこれがひのえうま等々の、特に子供を産むことが抑制されやすい年であれば一・二九も、カーブの減少が少なくても、私はあり得ると思いますが、そうした条件がない中で破格に落ちております。こうして落ちたことの意味と、そういう修正カーブをつくった上で年金論議をやり直すべきだと思いますので、少なくとも、厚生労働省としてきっちりと論議に足るデータを会期中にお出しいただくように大臣から関係方面に働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 阿部議員は、よくもうすべてを御存じの上での御発言でございますが、統計的にどういう傾向になっていくかということを、やはりこれは一年だけの数字で、これでどうこうと言うわけにはいかないというふうに思います。これは少し傾向を見て、変えなきゃならないということならばそれは変えていかなきゃいけないというふうに思っております。

 今回出ました数字が下がりました要因としましては、二〇〇〇年あるいは二〇〇一年にかなり結婚される方が多かった、いわゆる世紀の転換期ということがございまして、そこに合わせて結婚する人が多かった、二〇〇二年には結婚する方の数が減ったということが大きな要因として挙げられております。

 したがいまして、そうしたときでもございますので、御指摘される御趣旨は私もよく理解をいたしますけれども、私は、一年だけでもうその方向を変えるというのではなくて、やはりそこは傾向性というものを見定めて議論をしなければいけないというふうに思っておる次第でございまして、もう少しここは拝見をさせていただきたいというふうに思います。

阿部委員 では、大臣に伺います。来年も低下した場合、例えば一・二七であった場合に、見直しに入られますか。

坂口国務大臣 来年のお話までなかなかできないわけでございますが、そうした傾向がずっと続いていくということであれば、それはやはり見直しというものが必要になるでしょうし、そういうふうにならないためにどういう政策を打つべきかということもやらなければならないし、両方あるだろうというふうに思っております。

阿部委員 私は、今回の年金論議のもとデータにこれを使っていなければ、今大臣がおっしゃったような御答弁もそうだと思うのです。でも、今回の年金試算はすべて、さっき申しました三つの指標で始まっております。もしも来年その数値が一・二七であれば、低位推計の数値どおりを一年早めて進んでいるわけです。これは、私はこの手法が間違っておると思っておりますが、この手法を用いた限り、この手法で論議してきた限りは、やはり見直しに入るべきだと思います。

 大臣、再度で恐縮です。これは国民的関心事です。もしも来年、集計して下がったら低位推計どおりの数値になりますが、五〇%を割りますが、そのときには今の法律はストップしますか。

坂口国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、ここは少し傾向を見ないとわからないというふうに私は思います。その傾向を拝見した上で考えるということになるというふうに思っております。

阿部委員 大臣らしからぬ御答弁ですが、これは、傾向を見るということがいつまで続くのかということを今私は答弁していただきたいわけです。これは、私の気持ちだけではなくて、国民のみんながこのプランが本当に安心であるかどうかを注目しているからであります。

 大臣にこれ以上お聞きしてもいい御答弁が出ないのであれば、私は、来年度の数値が、本来はこの一点でも先ほど言いましたように開きが大き過ぎる、二〇〇七年の一・三〇を今も割っているわけです。そして、割るに当然の背景が私はあると思います。しかし、今のような御答弁であれば、もう一点。

 この間、新新エンゼルプランで、子供たちが生まれて以降の保育問題やさまざまな子供サポートの体制が整っておりますが、今なぜ出生率が下がるのかというところは手をつけられておりません。女性たちの働き方がますます非正規雇用や派遣社員等々の不安定雇用に移る中で、そうしたパート、アルバイト、非正規雇用の方々の二十歳代後半の結婚される率がいわゆる正規社員より低いという研究データが既に出ております。私は、この審議中でも、今回の法案の保険料率のアップがますます企業に非正規雇用をふやす方向にインセンティブを働かせるだろうということを懸念して、もともとの根幹を制度設計した方がよいという提案をいたしましたが、大臣へのお願いは、今、正規雇用と非正規雇用という形で働いている若い女性たちの出産にかかわるデータ、例えば、結婚されているか、子供さんを幾つで産まれるか、それから収入もそうです、これをきちんと国として集計していただく、このお約束をいただけますか。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

坂口国務大臣 そこはどうしてもやらなきゃならない基礎的なデータだというふうに思いますから、整理をさせていただきたい、やらせていただきたいと思います。

阿部委員 ありがとうございます。

 引き続いて、本日の法案に関してですが、独立行政法人医薬基盤研究所、これは実は大臣の御尽力で、このたび、研究機関とそれから一方での規制、いろいろな安全面の規制をかける機関を別々にして、より研究機関は研究機関としての独自性を高めていこうという、御采配ででき上がったものと思います。その意味で基本的には賛成をいたしておりますが、一つ、大変に懸念されることがあります。

 大臣は、二〇〇一年の十一月に、中絶した胎児からとられたヒト細胞が競売にかかり一億六千万で競り落とされた事件、覚えておいでだと思います。私は、この間のさまざまな厚生労働省の審議会の中でも、中絶胎児について、いわば解禁といいますか、その利用も含めて進めるという答申の向きにも傾くという報道も出ております中、ヒトの体に由来するものについて、今後ますます、研究としても、あるいは商品開発としても、その分野というのはある意味での大きなシェアとなってくると思われますが、しかし、そうしたことが進んでいく一方で、そのことにかかわる倫理規範というものが国民との間にわかりやすい形で示されていない。

 例えばフランスでは、人間からとられた生体について、いわゆる生命倫理法的に、それは胎児から骨の一片に至るまで、そのことを用いることへの国民的合意と規範と処罰というものが体系化されております。研究所の内々で内向きにやれば、例えばこの体細胞あるいは卵子は自分のもので、自分に属すると思う研究者が持ち出し、競売にかけるというようなことも生じてまいります。

 大臣がぜひとも内閣の中でリーダーシップをとって、このヒト由来のさまざまな細胞について国としての大きな規範づくり、いわゆる生命倫理法と私は言っておりますが、省庁を超えて、文科や内閣や厚生労働管轄だと言っていないで、大枠の、ヒトの体の利用に関するきちんとした倫理的な規範がかかるような取り組みをしていただきたいですが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 そこは非常に大事なところだというふうに私も思います。

 一つは、ヒト由来のものを使いますときに、その提供していただいた方との間のこれはお話し合いと申しますか、説明、理解を得るということが一つは大変大事なこと。今度は、もう一つ、それを利用いたしますときに、それが生命倫理上正しい研究のあり方であるかどうかということがもう一つの大きな問題点というふうに思っております。

 今もお話がございましたように、その後半の、生命倫理としてそれが正しい扱い方であるかどうかということにつきましては、これは省庁を超えて、それこそ全体で決定をしていかなければならないことでございますから、御指摘の点を十分に踏まえてやっていきたいというふうに思います。

阿部委員 ありがとうございます。

 最後に一点、お願いいたします。

 先ほどの中根委員の御質疑にもありましたが、いわゆる日赤の組織改革の件でございます。

 これは、この間、六千四百本にも及ぶ汚染血液がきちんと遡及調査をされずに、日赤の業務として、安全性に極めて問題が多いというところから、血液事業を、ある種、日赤の部門の中で独立させ、独立ではないですね、一つの事業本部を設けてやろうという組織改革が進んでおるやに伺っております。

 そして、この血液ということについては、当然、血友病の患者さんを初めとして、安全性について非常に疑義があり、今回の日赤の組織改編についても、自分たちの見えないところで、あるいは、もちろん組織的には関与できませんが、情報を開示されないところで日赤の組織改編が進み、特に都道府県の血液センターは従来の日赤の直轄、先生がおられた三重のセンターもそうですが、そういう関係でここに血液事業本部ができた場合に、果たして責任体制がどうなるのか。

 そして、六月十五日に、いわゆる血液事業部会というのが開かれて、そこの中でも、患者代表にこの日赤の組織改編をぜひとも説明していただきたいという声が上がっております。恐縮ですが、この二点だけお願いいたします。

坂口国務大臣 中根議員にもお答えを申し上げましたとおり、赤十字全体の中でこの血液事業を行っていかなければならない。その赤十字の中におきますウエートは、今までよりも高くなってきている。赤十字として、質、量ともにすぐれた血液をそこに提供する。保存血液であれ、血液製剤であれ、そうしたものの財源を賄えるような体制をどうつくり上げていくかという大きな命題を持っているというふうに思っております。

 赤十字の方からまだ具体的なことを聞いておりませんけれども、この血液事業の機能強化を行いたいというお話でございまして、その機能強化に見合った体制をつくりたいということでございますから、その意味ではいいことだというふうに私は思っておりますが、御指摘のように、赤十字が血液事業から逃げるというようなことがみじんもあってはならないというふうに思っております。

 赤十字挙げて、やはりこの血液事業には今後とも取り組んでいかなければなりませんし、その体制の中で充実をさせてもらいたいというふうに私は熱望しているところでございます。

阿部委員 ありがとうございます。

 私のお願いしたのは、患者さんへの情報公開という点も含めてですので、よろしくお願い申し上げます。終わります。

第159回国会 国会活動コーナーに戻る   阿部知子のホームページに戻る