第159回国会 武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第14号(平成16年5月12日(水曜日)) 抜粋

案件:  政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案(内閣提出第九八号) 武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案(内閣提出第九九号) 武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案(内閣提出第一〇〇号) 国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案(内閣提出第一〇一号) 武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案(内閣提出第一〇二号) 武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案(内閣提出第一〇三号) 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇四号) 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号) 千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書I)の締結について承認を求めるの件(条約第一一号) 千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書II)の締結について承認を求めるの件(条約第一二号)

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 通常、当委員会には我が党の東門美津子が所属し、特に基地被害に悩む沖縄の現状という点から、果たして、国民保護という新たな法制をつくるに当たって、現実に、現状ですら国民は十分保護をされているだろうかということを御提起してきたかと思います。

 私は、沖縄に次ぐ第二の基地県の神奈川の選出でありまして、きょうは、時間をいただきまして、私の選挙区でもあります神奈川の現状と、そして、そのことがこの間の国民保護法制やあるいはジュネーブの追加議定書の調印と相まってどのように改善されていくだろうか、願わくば少しでも改善されればと思いますので、そうした観点から御質疑をさせていただきます。

 特に、今の赤嶺委員の御質疑の中にもありましたが、武力攻撃事態におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴う我が国の自衛隊や自治体との関連ということに専ら中心が置かれますが、その他の点についてもお尋ね申したいと思います。

 私どもの神奈川では、九・一一以降も、横須賀というところに米海軍の母港がございまして、そこにキティーホークが常時おり、また、厚木というところにある基地で訓練をいたしました艦載機がその空母キティーホークに載ってアフガンへ、イラクへと、攻撃する側にもあるわけでございます。

 この厚木基地で訓練されます米軍機並びに自衛隊機の艦載機が記録される件数というのは、一年間で、米軍機だけでも約三万回、そして自衛隊機も二万六千回ということで、非常に多い飛行機がそこで実際に訓練し、また、出撃のために空母に移動していくという地域でもございます。

 もともと、アメリカの本国であれば、人口密集地に基地を置くなどということは、当然、住民感情も許しませんし、なされないことでありますが、この厚木基地近辺には百万人の住民が住むという非常に人口密集地で、この点は、沖縄の東門議員が問題にされた普天間等々と似た状況があるかと思います。

 この厚木基地に、昨年十一月からF18スーパーホーネットという非常に大きなエンジンを搭載した戦闘機が配属されることになりまして、実はこの地域は従来からでも非常に基地騒音に悩んでおり、住民の訴訟も第三次まで起きているという中で、さらにその騒音の著しく増強されるようなF18スーパーホーネットの配属には住民も反対しておりましたが、これもアメリカの一片の通告で現実には配置されております。

 そこで、政府としても、恐らく二十年ぶりとなるような基地被害の騒音の見直しということに取りかかるというふうに、昨年十一月、私がこのF18の実際の配属に伴う折にお尋ね申し上げましたときに防衛施設庁の方からもお返事をいただきましたが、その進捗状況について、冒頭お伺いいたします。

戸田政府参考人 お答え申し上げます。

 厚木飛行場の航空機騒音問題でございますけれども、周辺住民の皆様方に多大の御迷惑をおかけしておりまして、同飛行場周辺の騒音軽減は当庁の重要な課題の一つであると認識しているところでございます。

 先生、今お尋ねの、厚木飛行場に係ります住宅防音工事の対象区域、第一種区域、七十五Wの区域でございますけれども、ここにつきましては、昭和六十一年九月の最終指定告示以降、既に十八年が経過しておりますが、その間、航空機の騒音状況に変化が見られるところでございます。

 また、私ども、一昨年七月に、飛行場周辺における環境整備の在り方に関する懇談会の報告をちょうだいしておりまして、ここでは、改めて計画的に全国の飛行場施設の騒音度を調査し、区域の見直しを図ることが適切な時期が到来している旨の提言をちょうだいしたところでございます。

 当庁といたしましては、このような状況を受けまして、厚木飛行場におきましては、平成十五年度に、同飛行場における騒音状況を把握するため、騒音度調査を実施したところでございます。その際、新たに配備されましたスーパーホーネットの騒音状況についてもあわせ調査したところでございます。

 先生、騒音コンター作成の進捗状況についてのお尋ねでございましたけれども、現在、終了しました調査のデータ整理を行っているところでございます。できるだけ早期にまとめたいと考えてございますけれども、この調査結果を踏まえまして所要の措置を講じてまいりたいと思っておるところでございます。

阿部委員 所要の措置が例えば防音の工事とかそういうことに限定されるのであれば、住民としてもこれは極めて不本意なのですね。

 そこで、川口大臣にお伺いいたしますが、同じようにF18スーパーホーネットの配属を百二十機行おうとしたアメリカのノースカロライナで、これは環境団体と自治体が余りにも環境破壊、騒音がひどくなるのでということで訴訟を起こしまして、実際に仮処分で工事が中断されるということが起きておりますが、大臣は御存じでしょうか。大臣が御存じか、お願いいたします。

海老原政府参考人 私から事実関係をお話し申し上げまして、その後、大臣に御答弁いただきたいと思います。

 これは、米海軍が十個飛行隊以上の部隊を米本土の東海岸に配備する計画の一環といたしまして、ノースカロライナ州プリマス郊外におきまして訓練場の飛行場を建設する計画というものを有しておりまして、これに対しまして、本年四月に、ノースカロライナ州の連邦地裁において暫定的な差しとめ判決が出たということでございます。この判決は、当面の計画の進行を差しとめるという暫定的なものでございまして、本件計画に関する最終的な法的結論を下すものではございません。

 また、我々の承知しておりますところでは、計画地の近くの野生動物保護区に水鳥が約十万羽越冬するということなどが特に自然環境に与える影響という観点から問題となっているというふうに承知をいたしております。

阿部委員 水鳥以上に人間は問題なのですね。もちろん水鳥も問題です、環境破壊ですから。沖縄のジュゴンでもそうですが。しかし、その下で現実に暮らす人間は、例えば電話機をとっても、上をホーネットが飛ぶと聞こえません。窓もビリビリビリビリという物すごい騒音です。ぜひ、外務省の現状認識が水鳥に及ぶのであれば、人間にも及んでいただきたいと思います。

 済みません。今度は川口大臣にお願いいたします。大臣は、このようなスーパーホーネットの配属が一方的な通告で行われているような日米の現状ということは御存じでしょうか。

川口国務大臣 スーパーホーネットの騒音ということが深刻なものであるということについては、私どもも十分に認識をいたしております。

 今回の、昨年のですけれども、配備の決定、これにつきましては、米国側に対しまして、周辺住民にできるだけの配慮をする、そして、厚木の飛行場においての騒音の規制の措置を遵守するように改めて申し入れております。

 これに関しまして、米国側からは、改めてできる限り周辺の住民に配慮をするということを言っていまして、住民に配慮をし、厚木飛行場の騒音規制措置については引き続きこれを守っていくという答えを得ております。

阿部委員 引き続き守られた現状が今のようであれば、申しわけないけれども、それはもう……。

 石破長官にお願いがあるのですが、ここは自衛隊と米軍が両方使用しているところなのですね。これまで防衛庁長官はどなたも現地に出向いてくださっていないわけです。沖縄の普天間の基地にはせんだってラムズフェルドがお訪ねになって、こういう人口密集地に基地があるのか、ひどいということもおっしゃったやに聞いておりますが、ぜひ石破長官に私どもの厚木にお越しいただきまして音を聞いていただきたい。たまたま長官が来られたら静かかもしれませんが、それでも、そうしたら毎回来ていただければいいのですから、ぜひ一度お運びいただきたいですが。住民挙げてお待ちしておりますが。

石破国務大臣 それは、御党の今川議員から平成十四年十月に同じような御質問をいただきました。そのときに、参るということを申しましたが、参れませんで、今こちらにもいらっしゃいますが、当時の副長官でありました赤城議員に行っていただいたという経緯がございます。

 これは、私、以前、大臣になる前ですが、嘉手納に行ったことがあります。国会議員が来ると飛行機が飛ばないとかいうような話でございまして、行ったって結局わからないということがございます。結局、私も何度かチャレンジはしてみたのですが、行く日とナイト・ランディング・プラクティスが重なりませんと、これはわからない。あるいは、スーパーホーネットが飛ぶということになりませんと、これはいかぬと思っております。

 いずれにしても、私も以前、今川議員にもお約束をしたことでもございますし、何とか国会の御審議のスケジュール等々を勘案しながら、これはやはり一度、体感と言うと言い方がおかしいのかもしれませんが、政府の責任者の一人として現地の住民の方々のそういうようなお気持ちにこたえる責務はあろうと思っております。

阿部委員 実は、この訴訟、第三次訴訟も国は控訴なさいまして、高裁で争われております。やはり国民保護ということをうたう限りは、現状で国民がどのような状況に置かれているかということをきっちり政府の側が体感していただきたい。

 そしてあわせて、川口外務大臣にお尋ねですが、実は、ここはさっき申しましたように自衛隊と米軍が両方使っておりまして、例えば今回のような有事が想定されました場合に、当然、逆に攻撃の対象ということにもなりかねない。もちろん想定でもありますが。

 そこで、先回、四月二十二日、私どもの東門美津子がお尋ねしたのですが、今般協定されるジュネーブの議定書1の五十八条の項目の中に、これは通告していませんでごめんなさい、ちょっと読みますが、「攻撃の影響に対する予防措置」という一項がございまして、予防措置ということからいえば、こんな百万人が住むところのど真ん中に基地を置いておくということはいかにも無防備というふうに考えられるわけです。

 逢沢副大臣は、この五十八条の(a)と(b)に該当しないからと、(a)と(b)を読むと長くなりますのでちょっと抜かせていただいて、という御答弁でしたが、例えば(c)の項目に、「個々の文民及び民用物を軍事行動から生ずる危険から保護するため、その他の必要な予防措置を」講ずるとございます。この際、ジュネーブの議定書1に加入して、その中にある、当然ながらそこに基地があり、百万人がいたら、とてもとても避難計画もままなりません。

 この議定書の締結とあわせて、こういう人口密集地に基地を置くということについて、川口大臣としてのお考えをお教えいただきたいし、できれば前向きに、基地はやはりないのが一番ですけれども、それでも暫定的にというのであれば、もう少し現実に密集地でないところに移していただくような、これは防衛庁長官にも関係するのですが、まず、ジュネーブの議定書との関係で川口大臣にお伺いします。

川口国務大臣 この五十八条について、前に東門議員とお話をさせていただいたことを覚えておりますけれども、この五十八条は、まさに、「紛争当事者は、」ということを書いておりまして、平時にということではなくて有事にということで、有事でなければ紛争当事者になりません。「紛争当事者は、」ということでございます。そして、その次に書いてございますのが、「実行可能な最大限度まで、」要するに、できる限り。

 紛争が武力攻撃事態になった後、できる限り次のことを行ってくださいということが書いてございまして、その一つが、おっしゃった(c)ですけれども、「軍事行動から生ずる危険から保護するため、その他の必要な予防措置をとること。」ということでございまして、これは、ジュネーブ議定書との関係から申しますと、今の時点で基地をできるだけどこかに移してくださいということではないということを申し上げさせていただきたいと思います。

阿部委員 まあ、そういう答弁もあり得るでしょうね。しかし、それではやはり国民は保護されないわけです。急に紛争になるわけです。そして、そのときに、そこに基地があって、百万人いるわけです。

 では、井上大臣にお伺いいたしますが、自治体の方と百万人の避難計画について緻密に話し合われたことがあるでしょうか。私は、百万人も瞬時に逃すのは無理だと思います。いかがでしょうか。ごめんなさい。これは予告していないので、何のことを聞かれたか……。

井上国務大臣 具体的に避難をする場合にどうするかという御質問だと思うのでありますけれども、それぞれの具体的な状況に応じまして、これは都道府県知事が判断をいたしまして避難を指示するわけでございますので、私、厚木の場合はよくわかりませんが、そういう状況の中で最善と思われる避難を指示するんだろう、こんなふうに思います。

阿部委員 これもまた全く国民は安心できないわけです。もう既にそこに基地があるのは既定の事実で、わかっていて、百万人、本当に住んでいます。辺野古も普天間もそうですが、人口密集地であれば、どのような態度をとるのか、日ごろからそれなりの計画があってしかるべきだと思います。

 川口大臣にもう一つお願いいたします。

 実は、厚木で基地があると同時に、横須賀にはアメリカの空母が寄港しております。現在、キティーホークがおりますが、これが二〇〇八年に退役する後、アメリカからの空母について原子力空母ではなくしてほしい、原子力空母の寄港は住民として望まないという要求が沢田市長から上がっていると思います。

 川口大臣として、この原子力空母、実はアメリカは今、十三隻、空母を持っておりますが、ほとんどが原子力空母でございまして、原子力以外のものは、キティーホークを入れて三隻しかございません。日本としてどういう態度をアメリカ側に申し入れるのか、この件についてもお願いいたします。

川口国務大臣 沢田市長からの御要望は承っております。

 キティーホークの退役後でございますけれども、これについて米国政府といたしまして何かの決定を行ったということはまだ承知をしていないわけでございます。

 いずれにいたしましても、今後の米艦船の我が国への展開、これに関する米国政府のいかなる決定につきましても、我が国政府との緊密な協力のもとで行われることになっているというふうに、米側との間でこれは確認をされております。

阿部委員 最後の質問になりますが、何でも後々では遅いのです。言われてからやるのでは遅いのです。日本側の姿勢もきっちり示すべきですし、例えば、現在、原子力空母の寄港については二十四時間前に地方自治体に通知がなされる。これは原子力潜水艦もそうですし、あるいは生じた事故についてもそうです。

 今回でき上がる有事法制の、国民保護法制の枠の中で、この二十四時間通知問題はどのように規定されておりますでしょうか。これが最後の質問です。

海老原政府参考人 このいわゆる二十四時間前の事前通報でございますけれども、これは、昭和三十九年八月二十四日、外国の港における合衆国原子力軍艦の運航に関する合衆国政府の声明におきまして、「合衆国海軍は、通常、受入国政府の当局に対し、少なくとも二十四時間前に、その原子力軍艦の到着予定時刻及びてい泊又は投錨の予定位置につき通報する。」とされております。

 したがいまして、米側は、米国原子力軍艦の本邦寄港に際しましては、武力攻撃事態等におきましてもこの声明に従って行動する政策をとっているというふうに理解をいたしております。

自見委員長 阿部君、申し合わせの質疑時間が終わりました。簡潔にお願いいたします。

阿部委員 今の御答弁、「通常」ということを使われましたけれども、有事というのは「通常」ということで判断できるのかどうかということも残ると思います。現実に、国民が真に保護される体系に向けてさらなる審議をお願いして、質問を終わらせていただきます。

自見委員長 次回は、明十三日木曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

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