第159回国会 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会 第15号(平成16年6月18日(金曜日)) 抜粋

案件:  政府参考人出頭要求に関する件
 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件(イラクの主権回復後の自衛隊の人道復興支援活動等)

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 委員長初め各出席の大臣、そして委員の皆さんも、閉会中にもかかわらず、大変に御苦労さまと思います。

 しかしながら、国民的に、本当に今、自衛隊の、継続的に多国籍軍にいわば流用、転用してよいのかどうか、あるいは、派遣されている自衛隊員自身の不安、家族の不安いかばかりかと、いろいろなことを考えますと、きょうのこの審議の中で御答弁いただいた数々は、やはり物事の深刻さ、先ほど赤嶺委員がおっしゃった憲法問題もそうですし、人の命が大きくかかわったことに対しての政治の場での論議としては極めて底が浅いし、不十分であると私は思います。

 まず、冒頭、川口大臣にお伺いいたします。

 私は、きょう外務省がお出しになった資料を読んで、一瞬、我が目を疑いました。どういうことかと申しますと、きょういただきました資料の中に、外務省がお出しになった「イラクの治安情勢」の2の(3)、総理がイラクのヤーウェル大統領と立ち話を行う機会があり云々というくだりがございます。そして、この立ち話の内容が、今度は閣議決定と思われる文書の二の中に堂々と述べられております。

 先ほど来、口約束外交あるいは立ち話外交、私は、こういうことで日本の外交が、あるいは自衛隊員のこれからの駐留の問題が解決されるということは極めて外交の本質からして問題だと思います。

 ここに、わざわざ立ち話ということをお書きになっている。しかし、この立ち話も、当然、メモをとられたんでしょう。いかがですか、大臣。

川口国務大臣 確かに、立ち話という言葉は、普通の日本人が理解するときには、どこか廊下で呼びとめてという感じがしてしまうという意味で、言葉の使い方、若干不注意であったかなという気がいたしますけれども、外交をやりながら立ち話ということをいう場合には、これは、正式な会談というのは部屋に入って座ってお互いにじっくり話をするということを会談というわけで、それ以外にいろいろな場で、例えばコーヒーを飲みながらとか、時間が双方とれないときに立ち話ということが多いわけでございまして、恐らく、この紙をまとめたときに、そういうニュアンスを持って、意味を持って使ったんだと思いますけれども、普通の我々日本人が立ち話というと非常にその場限りのという印象を与えるかもしれないという意味では、若干不注意だったかなという気もいたします。

阿部委員 やはり、その意味では不注意外交の連続です。なぜ、先ほど来、赤嶺委員がおっしゃいました、文書を残さなかったのか。これはアメリカとであります。文書のあるなしによって、将来、例えば自衛隊員がイラクで戦闘行為に巻き込まれ、イラクの人をあやめるかもしれない、あるいは自分たちが傷つくかもしれない、そうしたことがあったときに、大もとになるのは締結された文書であるはずです。それが、何度も言いますが、立ち話や口約束でいいと思ってしまう日本の政治の姿勢が、私は、余りにも今行っていらっしゃる自衛隊員にも非礼であろうし、そして国民の当たり前の感覚から、立ち話なんて使われたら本当にびっくりしてしまいます。その国民の感覚との遠さ。

 小泉さんは、その場限りでブッシュ大統領に参加ということを言い、帰ってきて、いやいや、それは参加ではなくて云々かんぬんとなり、私どもの国民はそんな危うい橋を渡らされるのか、憲法ということも含めて。

 こういう外交ということは、外務大臣、お預かりになっている外交の姿勢として大きく問題と思いますし、先ほど来、資料提出のございましたメモ書き、せめてメモ書き、本来は文書で締結すべきことだと思います。非常に重要です。その文書のメモ書きを委員会としてお出しくださることをお約束いただきましたので、また追ってその折には論議に私も加わらせていただきたいと思います。

 もう一つ、非常に語学が堪能な大臣に、これは本当に心から言っているのですが、質問がございます。

 先ほど来、ユニファイドコマンドという、統合された指揮と申しますか、そういう文章をめぐっての質疑がございました。大臣は国連決議一五四六をしかとお読みと思いますが、このユニファイドコマンドの前に、いわゆる多国籍軍に当たる英訳がございます。大臣、多国籍軍は英語で何と言うでしょう。

川口国務大臣 外務省の事務方はもっと英語に精通をいたしておりますので、英語の質問でございましたら参考人にお声をおかけいただいておくと私よりもより正確な答えができるかというふうに思いますけれども、MNF、マルチナショナル・フォースというふうに書いてあると思います。

阿部委員 これは極めて政治的なことでございますので、大臣に伺いました。

 ここでマルチナショナル・フォースという、いわばフォーシズじゃなくてフォースという単数形を用いているということに大きな意味があります。これは一固まりという意味です、マルチナショナル・フォースという。そしてそれが、ユニファイドコマンド、統一された指揮のもとという後に係ってくる言葉があります。すなわち、我が国がどう勝手に字句解釈しようと、現実は、統合された指令部、一体のものとして、この国連決議の中に繰り返し繰り返し繰り返し出てまいります。

 このことも、では、語学に堪能な外務省の皆さんがきっちりと検証されて、なぜ単数形で使われているのか。これは、石破防衛庁長官も軍を預かる方として、自衛隊をお預かりの方としておわかりだろうと思いますが、指揮命令系統が一つで、それは一体としたものであるということであります。

 そして、私は、時間の関係で、せっかくお戻りいただきました細田官房長官にお伺いいたします。果たして、我が国のイラクへの貢献は、この多国籍軍に参加すること以外の選択肢はなかったでしょうか。

細田国務大臣 今現在、イラクにおいて人道復興支援活動を自衛隊の皆さんがやっておられる。これは本当にイラクから高い評価を受けていますし、これは継続してこそ貢献になるわけです。はい、どうも事情が変わったようでございます、さよならということが本当の貢献なのかといえば、これは、我が国の国民の皆様方がおわかりいただきますように、今、最大の貢献をしております。しかも、もちろんいろいろな方々がNGO等を通じて貢献しておられますけれども、やはり今の形の貢献というものを継続することが大切であり、かつ、最大の意味があると思っております。

阿部委員 私の質問への正しいお答えではないので、これ以外にないのかと伺いました。今のは、継続する、これは国連多国籍軍に加わるということで、以外がないかどうかは御答弁がなかったです。

 そこで、恐縮です、せっかくおいでくださっているので、石破防衛庁長官に最後に伺います。

 パウエル氏の書簡の中に、従来の国連決議にのっとる人道支援ということも担保されてございます。なぜ、あえて多国籍軍に我が国は参加あるいは協力していかなければならないのか。先ほど来、石破長官のお話を伺っておりますと、従来と変わることはないと。なぜ、改めて多国籍軍に入るのですか。そして、多国籍軍は、先ほど来言われておりますように、やはり治安とか戦闘に対してどうするかということを主眼としてつくられたものであります。他に選択肢はないのか、この点についてお願いします。

石破国務大臣 一つは、主権政府というものができる、主権イラク国家というものができる、従来の占領軍ではなくて、主権国家イラクをどのようにして復興支援していくかという、多国籍軍の意味合いが変わってくるということが一つございます。

 それで、では、ほかの選択肢はなかったのかというふうな御下問でございますが、ぎりぎりとやりましたときに、官房長官も何度かお答えになっていらっしゃいますが、日本だけが別に法的地位を得るために地位協定を結ぶというようなことが理論的に全く不可能であるかといえば、それはそうではないかもしれない。

 しかし、今回の場合には、全会一致で、イラクの首相からの書簡に対して国連安保理が、全会一致でやろう、世界みんなで一緒にやろうということが決まりました。そして、イラクは今、主権移譲を控えて極めていろいろな多事多難の中で非常に苦しい環境にある。その中で、日本が憲法に全く沿った形で特措法で行うときに、理論的には可能なのかもしれませんが、それが現実的にあり得る選択肢なのだろうか、それがまた我が国としてやるべきことなのだろうか。

 私どもは、人道支援を中心に安全確保支援も行いながら、本当にイラクの復興をどうやって早かるべく努力をするかということであって、ほかになかったのかといえば、理論的に全くないとは申し上げません。しかし、現実的には極めて困難なことかと存じます。

阿部委員 極めていい御答弁だと思います。

 私は、今回の選択肢は、目は米英の方に向き、イラクの主権にはやはり向いていないと思います。なぜなら、先ほど来の御答弁で、イラクの今回の暫定政府は、あるところでは完全な主権という言葉が繰り返し出てきながら、不安定要素を持っている、あるいは相手への負担が強いという言葉でその道を閉ざしてしまいました。

 完全な主権がある国に対して我が国が行うべき選択肢は幾つもあると私は思います。そのことをきっちり国民は論議してほしいと思っていると思いますし、安易な多国籍軍へのすりかえは私どもも国民も望まないところです。

 終わらせていただきます。

斉藤委員長 本日は、これにて散会いたします。

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