第159回国会 予算委員会 第16号(平成16年2月24日(火曜日)) 抜粋 案件: 政府参考人出頭要求に関する件 平成十六年度一般会計予算 平成十六年度特別会計予算 平成十六年度政府関係機関予算
○阿部委員 社民党・市民連合の阿部知子です。
本日の集中審議、経済、金融等ということでございますが、実は、経済も金融も命あってこそと私も考えておりますし、もちろん、きょう主に質疑をさせていただきます坂口厚生労働大臣もその思いが強うございますと思いますが、事は、いわゆる労災病院、労働災害にかかわる病院が、ある日突然廃止という宣言、死刑宣言を受けまして、地域住民の方たちも寝耳に水であったということで、極めて深刻な事態が発生している事例を質疑させていただきたいと思います。
きょう、大臣のお手元に、この統廃合の対象になりました栃木県の珪肺病院、いわゆる日光とか鬼怒川とか川治という温泉地域にございます珪肺病院で、昔は足尾銅山の採掘、あるいは、その近辺一帯、鉱業の盛んなところでございましたから、そこで生じた珪肺病院が廃止されると去年の十二月伝えられたということで、きょう、地域の約十一万人の方の中から五万五千三百六十三名でございましたか、大臣にあててこのような要望書が出されてございますが、大臣はきょう一日この審議でございましたので、まだお目通しではないでしょうか。坂口厚生労働大臣、一問目をお願いいたします。
栃木県の珪肺病院を廃止するに当たって、地域の住民五万五千三百六十三人から出された要望書でございます。あて名は大臣になってございますが、御存じでありましょうか。
○坂口国務大臣 残念ながら、まだ拝見いたしておりません。
総論だけを申し上げさせていただきますと、労災病院、三十七でございますか、ございますし、あるいはまた、社会保険庁には社会保険病院、年金関係は年金病院、そして今までは国立病院というふうにたくさんの公的病院を抱えておりますが、これらにつきましては、できる限り統廃合、そして整理するところは整理をさせていただいて、民間あるいは地域の病院にぜひお願いをしたいという総枠のことでございまして、その中の一つにこの病院も入っているんだろうというふうに思っております。
○阿部委員 いずれの場合も、病院の統廃合と申しますのは、その病院におかかりの方にとっては、御自身の居住区に病院がなくなるということで極めて深刻でございますが、この栃木県の足利地域にもかかわりますが、ちょうど足利銀行が破綻いたしまして、今、一応国の管理下に置かれるということと相まって、この地域、非常に条件が悪うございます。
特に、鬼怒川温泉と言われるあたりは、温泉客が減少したり、あるいは、これまでのいろいろな運用方法ではうまくいかなくなったということで、昨年十月に地域再生本部というのが閣議決定されてつくられました折に、谷垣前大臣のお顔が見えて、これから言わせていただきますが、産業再生機構と手に手をとり合って、この鬼怒川地域、川治地域、あるいは日光地域の再生をもう一度図ろうという途上にある。その意味では、今、国を挙げて何とかこの栃木県、このあたりを再生させないと、足利銀行は破綻しているし、温泉はうまくいかないし、これでは本当に地域住民がつら過ぎるという中での廃止の浮上でございます。
こういう時期に当たって、この廃止が輪をかけるということにあって、坂口大臣はどのような御印象、あるいは困ったなときっと思っておられると思いますが、一般的にいつ廃止でも困るのですが、やはり非常にバッドタイミング、もう絶妙の悪いタイミングにあると思うんです。
一方では、その地域再生本部も頑張って、何とか頑張りたい。こっちでも、産業再生機構もこれを取り上げて、頑張りたい。でも、大臣も恐らく御存じかと思いますが、温泉場にある病院というのは、これは確かに労災病院なのですが、実に年間千人以上の救急患者が温泉客の中からここを受診しておるということで、その病院が消えてしまうと、温泉の利用もやはりなかなか安心できないということでございまして、やはりこの時期、この病院、労災病院であって、労災病院の統廃合ということのプランの中でここに至ったのだけれども、やはりその地域全般を考えたときにどのようにこの事態を受けとめるかということで、二問目、また申しわけありませんが、坂口大臣にお願いします。
○坂口国務大臣 この病院は、珪肺労災病院という名前がついておりますから、ここは銅山がございましたので、その銅山を中心にした皆さん方の病院として最初つくられたんだろうというふうに思っております。しかし、時代の変遷とともに、その銅山ももうなくなったと言った方がいいんだろうというふうに思いますが、背景も変わってまいりました。
今後、それでは、この地域、そうした温泉等との影響もあるし、どうしていくのかという話になるんだろうというふうに思いますが、労災病院としてやっていくという歴史的役割は終わったというふうに思っているわけでございますが、地域にとりましての医療機関としての必要性というものを私たちも排除しているわけでは決してございませんで、そこはやはり考えていかなければならないというふうに思っております。
今後、その地域の市町村あるいは県ともよく御相談を申し上げて、今後どういうふうな形で、いわゆる医療機関をここに存続させるかといったようなことも含めて、議論をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
○阿部委員 坂口厚生労働大臣は非常に見識も情もおありの方ですので、いろいろな形の存続はあると思いますが、必ずや存続という方向に陣頭指揮をとってくださるものと心から私も期待しております。
実は、病院を本当に存続させようというには強い思いが必要でございます。つぶすは簡単なのですが、これを存続させて命の拠点にしようと思うには、非常に深い思いが必要であると思います。
そこで、大臣にあともう一つ申し上げれば、今大臣のお言葉にありましたが、足尾銅山で働いた方々、既に七十代、八十代となっておられますが、決してそこにもういないわけではございません。そして、そういう労災病院の機能をどこか専門的、集中的に、例えば北海道の美唄の方に持っていこうと思っても、患者さんはそこに持っていくわけにはいきません。足尾の山奥から美唄まで運ぶわけにも送るわけにもいかない。そこでやはり一生を終えていきたい、終えるものだと思いますので、その意味では、ぜひ、どんな形であれ存続をしていただきたいとお願い申し上げる次第です。
そこで、もし大臣のお手元に配付した資料がございましたら、ちょっと御一緒にお目通しいただきたいのですが、今回、労災病院の廃止に至ります中で、三十七病院のうち五つの病院が廃止されます。上から挙げますと、岩手労災病院、それから私がきょう取り上げました珪肺病院、そしてぐんと下がりまして筑豊病院、大牟田病院、まあ名前を聞くだけでもそこにどういう歴史があったか出てまいりますが、そして最後が霧島温泉病院でございます。
この一枚目にはベッド数が書いてございますが、いずれも、二百二十一、百九十九、二百五十、百、五十ということで、比較的中小規模の病院でございます。今の国の再編方針でいきますと、労災病院も多機能にいろいろなことをやれないと存続が認められないよという形で、じん肺の診療をいかにしっかりやっていても、あるいは研修をそこで受けていても、やはり正直言ってがたいの大きいところにはかなわない。大きなことはいいことだという時代のあおりをもろに受けて、こういう地域中核病院が、おまけに労災の患者さんも診ている病院が廃止されるのではないか。
そこで、大臣にお伺いいたしますが、大臣もお医者様でいらして、この規模の病院がいかに運営がしづらいか。特にこの間の診療報酬の改定などで、やはり百五十から二百ベッドというと、もしも自分が院長になったとしてもとても難しいと思うのですが、この規模の病院を、例えば大臣がおっしゃった地域の自治体にお願いして、やれるものとお考えであるのか否か。この点をお願い申し上げます。
○坂口国務大臣 統廃合いたします、あるいはまた廃止をする病院の何をもって基準とするかということはいろいろあるわけでございますが、今までの経営状況等もその一つになったことは事実でございます。したがいまして、ここにございます比較的ベッド数の少ないところは、そうした背景も確かにあるというふうに私も思っております。
今後どうしていくかということにつきましては、これはよく相談をさせていただきたいということを先ほど申し上げたわけでございますが、必ずしもベッド数によって経営がいい悪いというわけでもない、やはりそれぞれの時代に即応した内容になっていかないといけないのであろうというふうに思っております。
したがいまして、これからのこの地域における医療というのは何が一番求められているのかということを中心にしてやはり考えていく必要があると思います。
珪肺の患者さんも、もちろんまだおみえでございましょう。その人たちのことも考えていかなければならないというふうに思いますし、そうしたことも含めて地元とよく御相談をさせていただきたいと思います。
○阿部委員 今、前向きにお返事をいただいたのですが、さらに、確認のために次のページの「労災病院の収支について」というところをおめくりいただきますと、ここには、私が申しました、今の二百ベッド内外の、岩手、それから福島はちょっと大きい病院で例外ですが、珪肺病院、そして大牟田病院、霧島病院というのが全部軒並み赤字、黒がついてございます。
何度も申しますが、例えば今の、非常に地域が疲弊し、自治体が多くの問題を抱えた中で、これだけ真っ黒けの病院を自治体で頑張れと言われても、実はさまざまな工夫がないと、自治体の側も、これは言われてもねということになると思うんです。
それで、既に、去年にさかのぼりますが、十二月の十日ですね、栃木県の知事がお越しになりまして、要請書を持たれて、例えば国立病院の独法化、独立行政法人ではやれないのかという要望書も持っていらっしゃいました。これはもう私も厚生省に何回も聞いたんだけれども、だめだとおっしゃるので、となると、今度自治体にお任せするか、しかし自治体と言われても、ここは二市二町一村で、例えばこの病院のある藤原町は一万ちょっとの人口でございます。その人口規模でこれだけの赤を抱えろと言われたら、もう首長はやめざるを得ないかと思うような本当に苦しい状況だと私は思います。
きょうは、大変恐縮ですが、麻生大臣にもお越しいただきましたが、総務省といたしまして、こういう自治体での自治体立病院の現在の運営の厳しさや、あるいは個別、このケースに限っても結構ですが、何かお声が届いているか否かをちょっとお答え、お願いします。
○麻生国務大臣 今、小児科の先生方の対話を感心して聞いていたんですけれども、両方とも小児科だったので、はあと思って、元病院の経営者といたしまして言わせていただければ、これは基本的には、二百床というのは中途半端なサイズであることはもうはっきりしていると思いますね。したがいまして、これを栃木県なり、この地図を見ていると、近くに日光市民病院というのがあります。これも二百床ぐらい。この程度の、いっても三百床。これじゃなかなか、三つ四つ一緒にしてもちょっと難しいかなという感じが、正直な感じはいたしますけれども。
いずれにいたしましても、これは地方の行政体の判断によるところでして、これはなかなか、総務省でこれを買えと言うような種類の話でもありませんし、預かります立場として、さらにこれは赤字を抱え込むことになりかねぬというようなものに対して、総務省として、さらにこれを何とかというのは、ちょっと言える話ではないかなという感じが率直なところで、やはり引き受けるのが、私立の病院もないわけじゃないんでしょうけれども、このサイズはちょっと難しいかなというのが、ぱっと伺って、きょう初めて伺いましたので、正直な実感です。
○阿部委員 正直な実感を言っていただいて、ありがとうございます。私も、それゆえ、非常に案じております。
それに、ここ、たかだか十一万弱のところで、五万五千以上の署名が、去年の十二月に廃止が言い渡されて、今日の二月までのこの短期間で集まること一つ見ても、やはりいかに地域の人たちが不安に思っているか。やはりなかなかやれないなという実感があるので、ここは坂口大臣の本当に御厚情にすがるしかないわけですが、ここに至るまでの経過で、例えば平成十四年の十月十六日に、これは総務省の自治財政局地域企業経営企画室長と厚生労働省労働基準局労災補償部労災管理課長の間で交わされた確認書の中でも、「地域医療の確保、救急医療の確保に配慮し、関係地方公共団体と十分な調整を行うこと。」という覚書が、これまでの労災病院の運営の変更に当たって、新たに、これは独立行政法人労働者健康福祉機構法案の審議のときに、こうやって宙に浮いちゃ困るから、地域に任すなら地域と十分協議して決断してほしいという確約書が出ております。
これは実務サイドでも結構ですが、この覚書に従ってこうした作業がとられたのでしょうか。私が実際に現地に出向いて町長にお目にかかったら、十二月の三日の夕方四時ごろぽっと来られて廃止を言い渡されたと。寝耳に水、本当にびっくり、これはどうしたというので、もう地域を挙げて非常に深刻に悩んでおるということですが、厚生労働省高橋さんでも結構ですし、おいでじゃなければ担当部局、ちゃんと自治体の、総務省自治財政局地域企業経営企画室長との間でその地域の状況とか詰められたかどうか、お願いできますか。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
労災病院の再編に当たりましては、先ほど大臣からの御答弁がございましたとおり、私ども、十三年の十二月に閣議決定をされた特殊法人等整理合理化計画、これに基づきましてるる検討を進めてまいってきたわけでございます。その中で、当然、それぞれの労災病院、それぞれ地域地域の中で大変重要な地域医療の役割を担っている、こういう実態も当然踏まえながら、ただ、やはりこの労災病院が担うべき勤労者医療の中核的役割、これを効率的、効果的に果たしていくためにどういう体制が望ましいのかという観点で検討してきたわけでございます。
この再編に当たりましては、御指摘のとおり、地域に与える影響も大きいということを踏まえて、地域の関係者と十分協議をしていくということは私どもも当然のことと考えておるところでございまして、昨年の十二月にお話をさせていただいたというのが、地元との話し合い、協議のスタートということでもあろうかというふうに受けとめております。
○阿部委員 私は、もう廃止という方針が決定されてスタートを切るというふうな国と地方の関係というのはおかしいと思うのです。特に、十分な合意とどのような見通しがあるかという中で打ち出されないと、例えばこの病院が廃止されるといううわさが流れただけで次年度の看護婦の募集はゼロです。そうなれば、既に引き渡されるまでの間に十分病院は衰退し、機能も低下し、やはり本来的にそこを守っていくということができなくなってしまいます。
そこで、私は、これは命の拠点であると同時に、例えばその労災病院で働く人の雇用の問題でもあり、あるいは先ほど申しました、鬼怒川という温泉地域の本当に守り、後ろ盾となるようなところで、そこで今回厚生労働省がとられた、まず廃止ありき、そしてある夕方突然言った、それで自治体の首長たちが全員こぞってきょう署名を持ってこられたと。やはり手順が逆だし、地域を本当に大事にする行政が行われていないと私は思いますが、坂口大臣、お聞きになっていかがでございましょう。
○坂口国務大臣 地方、その地域の皆さん方が大変御心配になる心境もよくわかりますし、また、市長さんや町長さん初め、皆さん方が御努力をしていただいていることにも大変敬意を表する次第でございます。
いずれにいたしましても、皆さん方に最終的合意をしていただかなければこれは次のステップには進めないわけでございますので、よく御相談をさせていただきたいというふうに思っております。
これは、厚生委員会でもよくお話がございましたとおり、労災病院でありましても、あるいは社会保険病院でありましても、いわゆる保険料をつぎ込んで経営するということは、今後もうこれはやるべきではないし、それは廃止をしなきゃならないというふうに思っております。
そういうふうになりますと、赤字がたくさん出れば、どこでこれを賄っていくかということにもなってくるわけでございまして、そこはひとつ御理解をいただきながら、今後の地域における医療はどういう規模でどういうふうにしたらいいのかということも含めてお話をさせていただきたい、そして、地域の医療活動におこたえがどうしたらできるかということも含めてお話をさせていただきたいと思っております。
○阿部委員 重ねて、必ずや存続の方向でお骨折りをいただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○笹川委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。
次回は、明二十五日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
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