第160回国会 厚生労働委員会 第1号(平成16年8月4日(水曜日)) 抜粋 案件: 国政調査承認要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案(岡田克也君外十名提出、衆法第一号)議事録全文(衆議院のサイト)
ビデオ1 2(衆議院のサイト)○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
さきの国会での年金審議を通じまして、私自身、そして私の党といたしましても、やはり現実をしっかりと見た上で、新しい時代に見合う年金のプログラムをつくるべきだということを主張してまいりました。この現実をしっかり見てというところが一切捨象されたまま、与党の強硬な国会運営、そして、その結果さまざまにこの参議院選挙で国民から上げられた、この年金の改革法決して認められないという声にのっとって、きょうの審議が始まっております。
私は、冒頭、きょうの委員会に、この間、七月段階で厚生省が出された二つの資料を皆さんに提示させていただきまして、何が私どもの審議の中で見落とされ、何が間違った結論を導いたのかということについて、坂口大臣と政治のレベルでお話をしたいと思います。
まず、皆さんのお手元に配らせていただいた資料の一枚目、これは、七月に社会保険庁がお出しになりました、国民年金の加入、納付状況ということをめぐる資料でございます。
発表自体は、いわゆる納付率を八割に改善するためにどのような進捗状況にあるかということを、特に六三・四%とやや収納率がよくなったということを言いたいがための資料ではありますが、しかしながら、よくよく読んでみると、一番この間の審議で深刻であった国民年金の空洞化、あわせて厚生年金の空洞化、いわゆる空洞化問題の実態が浮かび上がってまいります。
私は、そもそも年金問題、例えば、一・二九ショックと言われて少子化問題の方にフォーカスが当てられます。小児科の医師ですから十分深刻に受けとめておりますが、この間の審議でむしろ足りなかったのは、少子高齢社会は既に七〇年代の半ばから始まっており、そのことに見合う政策の転換がないまま、今、働き方自身が大きな崩壊現象を起こしているという、働き方に見合った改革がないということだと思います。
この一枚目の紙、ここには、第一号被保険者、従来であれば自営業者等と言われた方たちの実態、私が繰り返しさきの審議の折に指摘させていただきましたが、このことをめぐってさらに新たな事実がわかってくることがありますので、これを取り上げさせていただきます。
まず、加入者数ですが、二千二百四十万人と、前年度に比べて三万人増加、これはこの間一貫した風潮でございます。厚生年金加入者は減り、国民年金加入者はふえてくる、二千二百四十万人となっております。
そして、この二千二百四十万人のうち、例えば全額、半額、あるいは学生ゆえの免除者を除きますと、いわゆる保険料を負担しなければいけないところの方の数は、一番下のグラフにもございますが、一千八百一万人となっております。二千二百四十万人中一千八百一万人、逆に言うと、四百四十万人余りは、一号被保険者でありながら、保険料の納付の主体にはそもそもなっておらない。そして、この一千八百一万人のうちの納付率が六三・四%ということでございます。
一千八百一万人の六三・四%が納付いたしますと約五一%にしかならない。どういうことかというと、一千八百一万人に〇・六三四、納付率を掛けますと一千百四十二万人にしかならない。二千二百四十万人のうち、逆にフルに納めたと換算した場合には、半数、五一%しか満額を納めていないという状況が国民年金であると言いかえることもできると思います。
まず、大臣に、国民年金の被保険者がこのような実態になっている空洞化は、幾ら社会保険庁が徴収方法で努力されても、もともとこういう実態に対する処方せんになっておらないと何度も指摘してまいりました。やはり事態は極めて深刻で、逆に、一千万人以上の方が保険料を納められないか納めていないかという状態に近いということだと思います。それゆえに、保険料方式でやることがかなわないであろうという認識を持たないと、この空洞化問題が解決してこないと思いますが、冒頭に大臣のお考えを伺います。
○坂口国務大臣 確かに、御指摘をいただきましたとおり、この免除者でありますとか学生納付特例者が増加していることは事実でございます。こうした事実があります反面、反面と申しますか、これが今回の一つの大きな上昇要因になっておりますが、そのほかにも、転職者等の納付状況が改善したこともあるわけでございます。
そうしたことがありますけれども、しかし、今お話がございましたように、免除者だとか学生納付特例者が多いことも事実でございまして、これらの問題を今後どう改善をしていくかということは、ただ年金制度の中だけでこれは改善できない側面があるというふうに思っております。これは経済全体でしっかり支えていかなきゃならない側面も実はあるわけでございます。
また、この免除制度だとか学生納付特例制度を設けて、ここの中に今入っていただいておりますけれども、この人たちが常に免除制度の中におみえになるかといえば、そうではなくて、納付者に変わっていただくケースも非常に多いわけでございますから、この問題につきましては、そうした納付者に変わっていただけるような全体の体制をどう確立をしていくかということとセットの話ではないかというふうに私は思います。
阿部先生が計算をしていただきましたこの数字は、この計算式を用います限りこのとおりの計算になるんだろうというふうに思います。
○阿部委員 私が指摘したいのは、二千二百四十万人中、実質半数しかきちんと納められないという実態を見て、さらにさらに深刻な実態がもう一枚の図にあると思います。
これは、第一号被保険者の年齢構成の推移でございます。私も、さきの審議中こういうデータが出ていたのかもしれませんが、気がつきませんで、専ら一号被保険者の中で自営業者が多いか無職が多いかあるいは五人以下の事業所などの方が多いかなどで私はデータを出していただいておりましたが、ここで明らかになったものは、一号被保険者のうち、二十歳代、三十歳代の方が何と五〇%になってしまっている。若い世代ほど国民年金の一号になっているという、国にとって、未来にとって極めて深刻なデータが二枚目の図でございます。
二十歳代は、例えば、学生を強制加入にいたしましてからふえておりますが、その年次とて既に平成三年あるいは平成七年、そのときに手帳を送るという形でふやしましたので、昨今のふえはそのときのものではございません。二〇〇〇年に入りましてから、平成の十一、十二、十三、十四、十五と、どんどんどんどん四十歳以下の方が国民年金の加入者の半数を占めてきているという実態は、先ほど大臣がおっしゃいました、これからの経済の状況等を全体的に改善していかなければならないんだということも一方では事実でございますが、しかし、この年金制度を考えるに当たって、就労しておれば本来は厚生年金に入る可能性、入りたい気持ちの強い若者たちが、小泉さんのように、人生いろいろ会社もいろいろ社員もいろいろといっても、入れてもらえない。この若い世代、二十代、三十代で半分になってしまった。これは、私は極めて深刻と思いますが、この実態、大臣はどのようにお考えでしょう。
○坂口国務大臣 この表を拝見いたしますと、これで、二十代と三十代、二十代はそんなにふえているということはないんですね、若干減りぎみでございますが、三十代のところがふえている。御指摘をいただくところとしては、この三十代がふえているというのが、これが自営業者が非常にふえるとか、そういう意味でふえてきているのならば、私は一つの傾向だというふうに思いますけれども、現在のところ、自営業者というのが総数としてはどんどん減ってきているという中でありますから、そうした中にあって、この三十代のところが非常にふえてきているということは、やはりこれは社会経済動向というものを反映しているというふうに私は思わざるを得ません。したがいまして、こうしたことの要因というものをやはり分析をしていかなければいけませんが、私は、直観的に感じますのは、現在の経済動向というものが反映されているというふうに思わざるを得ないのであります。
○阿部委員 もともと、年金審議の柱の一つに多様な働き方ということがあり、そして、持続可能性ということが年金の改革の中で挙げられたテーマでございました。
多様な働き方というのは、聞こえはよろしゅうございますが、しかし、その方たちが全部国民年金にいっているような働き方である。私は、今回の年金改革は、実はパートの加入問題こそ真っ先に手当てされねばならない。これでもう一千万人近くでございます。二十歳代、三十歳代の国民年金加入者、一番下にございます七百十九万と四百四十六万、単純計算いたしましても一千二百万人。これだけの若者が一号被保険者になっている。本当に深刻ですし、これに手当てがしていないような法案は、空洞化の現実を、あるいは社会に進んでいる今の四十歳以下の若者の現実を全く私は勘案していない法案だと思います。その意味でも、一回廃止して、ぜひきちんと現状を見詰めた論議をしていただきたいと私は思います。
そして、大臣にはお願いがございます。
先ほど、いわゆる三党合意ということにも関連いたしますが、官房長官が社会保障制度審議会を開催されておる、これは行政の、行政府のやり方としてよろしゅうございましょう。しかし、立法府がやるべきことは、こうした変化、社会の変化、働き方の変化にどういう哲学と考え方を持って年金の改革をするかでございます。私の所属します政党は三党には入っておりませんが、しかし、そのためには、私は国会こそ、直接に利害に関係がない立場から、未来像を、理念を語り、哲学を語ることが今一番大事な時期になっております。
例えば連合という労働者の代表、あるいは経団連という一つの企業家の代表、そういう方たちの意見も一方でもちろん聞く必要があると思いますが、例えばオレンジレターを初めとする改革の中でスウェーデンがやったことは、立法府が、直接利害関係がなく、しかし未来像をきっちり語ろうと、それは非常に重要な、政治の意思でございます。
先ほどから、政治と献金、業界団体の動き、いろいろなことが論議されておりますが、私どもは一度はそういうものからフリーになり、実態を見て、そして未来の見識を示す場こそ国会だと思いますが、大臣のお考え、最後にお願いいたします。
○坂口国務大臣 今述べられましたところは、まさしくそのとおりと私も思います。御指摘になったとおりだと思います。
前回の国会におきましても、いわゆる三党合意のときにも述べられておりますけれども、衆議院、参議院におきますこの委員会に小委員会をつくって、そして、その中で各党に入っていただいて議論をするというような場をつくってはどうかという御提案もその中にはあるわけでございます。
ぜひ社民党の皆さん方もお入りをいただいて御意見をいただくような場ができればと、私はそう思っている次第でございます。
全体の、総論的なことをおっしゃいましたことにつきましては、私も同感でございます。
○阿部委員 現実を見てしっかりした審議をこそ、国会が国民が望む姿になる一歩だと思います。
質問を終わらせていただきます。
○衛藤委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
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○衛藤委員長 この際、本案について、国会法第五十七条の三の規程により、内閣の意見を聴取いたします。坂口厚生労働大臣。
○坂口国務大臣 衆議院議員岡田克也君外十名提出の国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案につきましては、政府としては反対でございます。
―――――――――――――
<中略>
○衛藤委員長 次に、阿部知子君。
○阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、岡田克也さん外が提案している国民年金法等の一部を改正する法律を廃止する等の法律案に対する賛成の立場から討論を行います。
第百五十九国会に政府から提案され、与党による衆参両院での審議打ち切り、強行採決によって無理やり成立させられた年金改正法は、今後十四年間ひたすら負担増と給付減を繰り返すもので、国民の働く場や暮らしを破壊するもの以外の何物でもありません。また、例えば、厚生年金受給額は現役世代の平均収入の五〇%確保とか、国民年金保険料は一万六千九百円での頭打ちとかいう当初の説明が全くのまやかしであることも審議の中で明らかになりました。
年金積立金も株式運用の六兆円にも及ぶ損失、グリーンピアの放漫経営、社会保険庁による保険料流用問題の責任にほっかぶりしてきたことは、まじめに保険料を納めてきた国民への背信行為であると言わざるを得ません。
二十一世紀にふさわしい公的年金制度を構築するためには、まず年金改革法を廃止することからスタートする以外ありません。
数多いほころびをごまかすために国会で強行採決した後に二〇〇三年の合計特殊出生率を発表するというような、厚生労働省のこそくな対応に見られるようなデータ隠しや後出しをやめ、すべてのデータをまずきちんと公開し、今こそ国民的な議論をつくるべきと考えます。
国民の年金に対する不信感、怒りは今や頂点に達しています。もし年金改革法をこのまま実行していくならば、さらに怒りが高まるだけでなく、同法が著しく楽観的な予測の上に成り立っているために数年を経ずして破綻し、既に進行している空洞化がさらに一層深刻になることは、火を見るより明らかです。
年金制度に対する信頼回復を図る第一歩を踏み出すためにも、当委員会で年金改革法を廃止する法案を可決すべきであることを最後に申し述べて、私の賛成討論を終わりたいと思います。(拍手)
○衛藤委員長 以上で討論は終局いたしました。
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