第169回国会 議員運営委員会 第10号(平成20年3月11日(火曜日)) 抜粋 案件:
参考人出頭要求に関する件
日本銀行総裁及び同副総裁任命につき同意を求めるの件
議事録全文(衆議院のサイト)
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〔前略〕
○笹川委員長 次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。
先ほどの武藤さんのお話の中にも、実は今の佐々木憲昭さんの御質問で初めて出てまいりましたけれども、社会保障関連のことですね。お話の中では、高齢社会という、これは日本が世界にもう本当に先駆けて進行している状況ですから、そこについて余りコメントがなかったので、私といたしましては、これから日本が外需主導よりも内需拡大といった場合に、今、国民的関心事かつ不安事は、おっしゃった年金問題や医療や介護や、そこがどうしても安定していかないと、やはり国民の生活の安定、心の安定もないような時代になっているんだと思います。
そういう中で、例えば日銀がお出しになるいろいろな物価の指標も、逆に、きょうの日経新聞でも、スパゲッティ等々のめん類も上がっているし、国民には物価は安定しているんだよと言われても、年金は減るわ、主食類は上がるわ、お金を預けても金利はないわ、どう考えても国民実感とは遠い指標で物が動かされている。仙谷さんがお聞きになった、金利が低金利に抑えられたことによる三百四兆の家計資産の喪失というのもその一端かとは思います。
そこで、武藤さんが総裁になられるのであれば、ぜひお伺いしたいのは、物価と生活という、一見無機質に見えて、しかし、生活という非常にホットな、温かなものですから、そこにはどんなお考えをお持ちなのか、もう一度お願いします。
続けて、それでは時間があるので、三つ投げさせていただきます。
あともう一つは、洞爺湖サミットを控えて、G7に恐らく総裁となられる方はお出になることになると思うんですが、この環境要因というのも、これまでの私どもの社会が向き合ってこなかったとは言いませんが、今非常に大きなリスクファクターになって、環境が変動するゆえに、水の問題、飢饉の問題、食料、もうもろにかぶってくるわけです。
総裁としてというと、いや、それはちょっとと言われるかもしれませんが、しかし、国際舞台に出ねばならないとして、この環境問題と金融政策ということはどうお考えか。
それから三つ目は、日銀は各地に支店を置かれているわけです。私は武藤さんが前にお書きになったものの中で、地方の格差は、逆に言うと、いい方向に向かっている、是正に向かっているというふうな趣旨のものを、二〇〇六年でしたか、お書きであって、私どもから見れば、今地方は疲弊して、非常に状況はきついのではないかと思うわけです。もしもそれだけの認識のずれがあると、もちろん、中央銀行ですから中央で金融政策をしていくわけですが、しかし、日本全国のことということがどうインプットされているのか、ちょっと懸念を抱きましたので、この点、お願いいたします。
三点です。
○武藤参考人 まず、物価のコアCPIは、御承知のとおり、安定しておる、しかし、生活実感としての物価は非常に高騰しているんじゃないかという御指摘でございます。確かにそういう面があろうかと思います。
今、コアCPIは、この一月が〇・八%のプラスでございました。その〇・八%のプラスのうちの、プラスのほとんどは食料品とそれからエネルギー、原油でございます。その他のものはゼロ%以下の状態であります。
ところが、例えば、生活に密接に関係しているような商品、加工食品といったようなものは随分値上げが報告されておりまして、恐らく家庭の主婦の皮膚感覚としての物価というのは上がっている、インフレだというような気持ちがおありかと思います。
私どもは、決してそのコアCPIだけを見て物価を判定しているわけではありません。物価というものをとらえるのは非常に難しい問題がありまして、いろいろな面で物価を見なければいけません。例えば、企業物価というのはかなり上がって、三%以上も上がっているわけでございます。それから、GDPデフレーターといったようなものも見る必要があるかもしれません。それから、今おっしゃったように、もうちょっと違う、皮膚感覚としての物価、例えば電気製品が、テレビが値下がりするといっても、数年に一度買うような商品、それと毎日買うような食品の、同じ物価の変動というのは、恐らく感覚としては違うだろうというようなこともあろうかと思います。そういうことを全部入れながら判断をしていくべきであるし、判断しているというふうに考えております。
それから、もう一つは、環境要因が金融政策とどういうふうな関係があるかということでございますが、これは、一番端的に考えられるのは、環境問題そのものが直接金融政策ということは比較的少ないかもしれませんけれども、環境制約からくる諸物価の上昇、例えばエネルギーの、環境へ配慮したバイオエネルギーにするためにトウモロコシ価格が上昇する、砂糖が上昇する、そういう形によって物価が上昇するということは明らかにありますので、この環境問題というものに対して無関心になってはいけないというふうに思います。大いに関心を持って、しかし、環境問題という独立した重要性というものを認識しながら、金融政策との関連を考えていきたいというふうに思います。
それから、地方経済につきまして、ちょっと御指摘がございました。
実は、二〇〇六年ぐらいまでは、少なくとも支店レベルで聞く地方の経済というのは、少しずつ快方に向かっているということでございました。もちろん格差はございます。格差はありますけれども、方向としてはいい方向に向かっていた。もちろん、一部は、本当に公共事業に依存していたような地域は、公共事業削減によってマイナスの影響を強く受けていたということはあるのでございますけれども、そういう状況でありました。
ところが、ごく最近は、いろいろな形で地方はまたちょっと調子が悪くなっているという話を伺っております。これは、日本銀行の支店長から支店長会議という形で定期的に話を聞いて、政策決定会合に生かしておりますし、政策委員九人が毎月のように地方に出かけて講演すると同時に、地方の実情を視察しております。そういう形で地方の状況を日本の金融政策に反映させていくという心構えは非常に重要だというふうに思っております。
○笹川委員長 次に、伊藤参考人の所信に対する質疑を行います。
伊藤参考人の所信に対する質疑は、各委員がお手を挙げていただきまして、私の方から指名させていただきますが、時間がだんだん詰まっておりますので、なるべく公平にしたいというふうに考えております。
○阿部(知)委員 お話を伺わせていただいて、お触れにならなかったところでちょっとお願いをしたいのですが、私は、もともと医者で、今の我が国を見ると、もう一九八〇年代以来、内需の拡大ということを言いながら、人々が安心してお金を使える状況にはない。先生の御持論がインフレターゲティングであることはちょっとおかせていただいて、これから日銀の指標の中に、例えばずっとゼロ金利に近く抑えて、一九九一年から二〇〇四年までで、簡単な計算をすれば約三百四兆円の金利の損失が見られる等々のことから見ると、私は、一体日銀の中に例えば社会保障関連のいろいろな指標はどのように組み込まれていっているんだろうかと。簡単に言えば、窓口負担が上がったり、金利がなくなってお金がなくなれば、とても消費マインドは冷えるわけですよね。それはどういうふうに組み込まれているのかというのを一点。
それから、先生の「インフレ・ターゲティング」を読んだ中で、私の少ない知識で理解が間違っているのかなと思う部分があったので教えていただきたいのですが、日銀が多少の額の株式評価損をこうむったとしても、これは損失を一般会計から補てんすることが適切ですと、先生の御本の七十六ページにあったんですけれども、私は、目が点になって、日銀が株の評価損をこうむって、一般会計から補てんしたら、これはちょっと財政と金融の分離ということに抵触するんじゃないかと。ここ一文だけとって恐縮ですが、私の理解能力でちょっとわからなかったので、これは単純に質問です。
お願いします。
○伊藤参考人 どうもありがとうございます。
社会保障関連の指標はどのように組み込まれているのかということですが、日銀が見ております指標は、生鮮食品を除くCPI、消費者物価指数の上昇率ということで、そこのCPIの中に、物価指数の中にどう社会保障関連は含まれているのかという質問に置きかえることができるかと思います。
これは、つくっているのは総務省でありまして、総務省がその家計調査等をもとに、代表的家計が支出している項目の割合を一万分の幾つという形で表現しておりますので、その中で社会保障関連がどれくらい入っているかということは、結局、典型的な家計の中で社会保障あるいは医療にどれくらいお金を使っているかということなわけですね。したがって、そういう意味では、代表的な家計の中に占めるそういった支出がどれくらいかということで、家計単位で見ている。
したがって、阿部先生御心配の、もともと社会保障の支出が低いからそこのウエートも低くなるではないかという御質問であれば、確かにそのとおりで、もともとその支出額が少なければウエートも少なくなっているので、そこが幾ら上がっても消費者物価指数に反映する部分は少ないということになるかと思います。
それで、社会保障あるいは教育というのは一番価格が上昇している。特にアメリカではそういったことが起きて、日本でもいずれそうなるというふうに思いますが、それが全体の物価指数の中でどのように反映されてくるのかということについては、技術的な面でいえば、総務省の物価統計を考える必要がある。もう少し日本銀行もそれを考えるべきということであれば、家計の中に入っていって、どういったところが一番物価指数が上がっているのか、下がっているのかといったところを見ていく必要があるかと思います。完全にお答えになったかどうかわかりませんけれども。
インフレ目標の方は、これはデフレが一番ひどかったときにどうしたらいいだろうかという、デフレスパイラルをいかにしてとめるかというときに、日銀が、これは流動性を供給しなくてはいけないわけですから、何を買うかという問題であったわけです。
したがって、そういうときには、必ずしも国債だけではなくて、多少リスクの伴うものを購入してもいいのではないかという議論がありまして、その状況を少し御理解いただきたいのですけれども、ひょっとしたらこれはデフレスパイラルになるかもしれないというような状況の中では、もう少しリスクのある資産を中央銀行が購入してもいいのではないか、そういう文脈の中で読んでいただきたい。
実際に日銀は購入したんですね。市中銀行の株式を購入した、これは金融政策としてではないんですが。それは、今、評価益が出ております。
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