第169回国会 厚生労働委員会 第12号(平成20年5月9日(金曜日)) 抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案(内閣提出第五三号)
臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案(金田誠一君外二名提出、第百六十八回国会衆法第一八号)
〔前略〕
○茂木委員長 次に、第百六十八回国会、金田誠一君外二名提出、臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。阿部知子さん。
○阿部(知)委員 ただいま議題となりました臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
一九九〇年に開始されたいわゆる脳死臨調を経て、一九九四年に議員立法により提出された臓器移植法案、いわゆる中山案は、脳死を一律に人の死と規定し、遺族の承諾によって移植を認めるとするものでした。衆議院は原案どおりこれを可決いたしましたが、これを不安視する国民の声を受けて参議院において修正が加えられ、一九九七年に、臓器移植をする場合に限り脳死は人の死と扱う現行法が成立いたしました。施行後十年を経た現在、脳死下での臓器移植事例は六十七例を数えます。
臓器及び組織の移植は、提供を受ける者のためとはいえ、提供者の死を前提とした、あるいは提供者の生体を害する可能性のある先端医療であり、とりわけ脳死をもって人の死とすることについては、その科学的根拠も含め、いまだ国民的合意には至っておりません。
この十年間の臓器移植事例に対し、提供者の脳死状態の定義、脳死判定基準、検査方法などについてさまざまに疑義が持たれ、移植医療に対する社会の信頼が揺らいだにもかかわらず、移植用臓器の不足及び臓器の提供を受ける側に専ら関心が寄せられてきた事実があります。
中でも、子供の臓器移植を可能とするための議論は、近年明らかとなった脳死状態での長期生存例も含めて、子供の脳死判定が医学的にも極めて困難であることを解決するものとはなっておりません。また、生体移植にあっては、我が国における家族間の実質的、精神的共同関係の強さゆえに、家族内でドナーとなることを拒否しがたく、臓器提供者の自由意思を確保することは容易ではありません。十分な説明による同意はここでも担保される必要があります。
本案は、臓器移植医療についてより厳正な手続を定め、透明性を高めることによって医学、医療の進歩に貢献するとともに、臓器等の提供者とその家族、並びに提供を受ける者とその家族等、臓器等の移植にかかわるすべての人々の人間の尊厳を保持し、人権を保障することを法律において明確化しようとするものです。
次に、本法案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、脳死の定義を、脳幹を含む脳全体のすべての機能が不可逆的に喪失することに改めるとともに、脳死判定を開始することができる要件を法律に明記することとしております。
第二に、死体からの組織の移植等について、本人が提供意思を書面により表示している場合で、遺族が組織の摘出を拒まないとき等の場合に認めることとしております。
第三に、生体移植について、配偶者または二親等以内の血族である親族が、肺等の特定臓器を提供する意思を書面により提示している場合で、所要の基準を満たした病院等の承認があった場合に認めることとしております。
第四に、国は、臓器等の移植に関し、臓器等を提供する意思表示の有効性、脳死判定の適正性の調査分析を通じて、適正な移植医療の確保を図るための検証を行うものとしております。
第五に、子供についての臓器等の移植に関する制度については、脳死の判定基準の妥当性、虐待を受けた子供からの臓器等の摘出を防止するための有効な仕組みのあり方、子供の自己決定権や親権の及ぶ範囲等について、広く国民の意見を求めつつ検討が加えられ、必要があると認められるときは、第二次脳死臨調の設置等、所要の措置が講じられるものとすることとしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ御賛同いただきますよう、お願い申し上げます。
○茂木委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時八分散会
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