第169回国会 厚生労働委員会 第13号(平成20年5月14日(水曜日)) 抜粋

案件:

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案(内閣提出第五三号)

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〔前略〕

茂木委員長 次に、阿部知子さん。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 本日の一日の長い審議を伺いながら、外も寒かったけれども、やはり、今、この日本の中で医療を取り囲む環境というのは極めて貧しく寒いなと思いながら、私はきょうの御答弁等々を聞いておりました。
 大臣は、今夕にも、医療のサービスの質と量の向上、もっと夢をというふうにおっしゃいますが、そうした夢を抱くためには、こんなにせせこましく独立行政法人化等々といって、人件費も削減するわ、あるいは一般会計からの補てんもどうなるかわからないわみたいな、医療現場には不安と、そして先行き不透明感を与えるような法律を通すべきではないなと、まず冒頭強く思います。
 中身を言わないで結論だけ言ったのでは申しわけないので、具体的なことでお伺いを申し上げます。
 まず、大臣には、四月八日でしたか、私ども社民党の党首の福島みずほが参議院で御質疑をさせていただきましたが、国立の長野病院が、八月からお医者様がいなくなるということで、大臣もその隣の飯田等々を御視察くださって、国立の長野病院については、閉鎖というか、人がいなくなる時期までにやはり何らかの手当てを絶対にしなければならないというふうなお考えだということを御答弁で、私は頼もしくも読みました。
 大臣も、そのときの御答弁で、御存じのように、この地域、長野県の東になりますが、約二千件の分娩があって、そのうち、国立長野というところは、ハイリスクを中心に四百七十件を年間扱う、いわゆる地域の周産期母子医療センターであります。そこから八月になると一挙に四人お医者様がいなくなる。周辺二千のお産を三つの医療施設で扱う、一人のお医者様が三百件のお産を取り上げなきゃいけない、そんなことは実際不可能だし、やはり何とかせねばならぬということなんだと思います。
 さて、この国立長野病院の産科医の後任人事について、どこまで、何がどのように進んだのか、まず担当部署からお願いいたします。

外口政府参考人 国立病院機構長野病院の産科医確保でございますけれども、これは当初は二十年三月末に引き揚げという状況でありましたが、これを、派遣元大学との協議により、まず、七月末まで派遣を継続することといたしまして、引き続き今協議を続けているところでございます。
 実際に、現在も産婦人科医の派遣元である大学あるいは近隣大学への働きかけを行っているところでございまして、これはもちろん病院はもとよりですが、国立病院機構の本部も含め、もちろん私どもも応援しておりますけれども、そういったことで、今あらゆる方面から働きかけをしているところでございます。

阿部(知)委員 大臣が、それにさかのぼるところ、各地の特に産科、小児科の閉鎖状況等を調べてごらんなさいとおっしゃってくださって、ここにこの問題が浮かび上がり、浮かび上がったからには、これは大臣にどうかお願い申し上げます。
 地域は不安でならないということであります。まして、国立病院は、かつて平成十六年に独法化されるときに、衆議院と参議院でおのおの決議が上がってございます。その決議の内容とは、医師の人事については、独立行政法人本部において責任を持って行うことという決議でございます。何でこんな決議が上がったかというと、平成十六年の独法化当時も、やはり将来の医師の確保、このことが大変になるのではないかと懸念されましたので、衆議院では十四年の十一月二十七日、また参議院では十二月十二日、おのおの同じ決議が上がっております。
 大臣に再度確認いたしますが、こうしたことも踏まえて、大臣としては、この件は責任を持って解決をしていただけると思ってよろしいでしょうか。

舛添国務大臣 今委員が引用なさった平成十四年の衆参の附帯決議、このとおりに国立病院機構本体がきちんと人事をやる。それでも非常に難しゅうございまして、今、私は、例えば文部科学大臣にも、総務大臣にも、それで防衛医官もありますから防衛大臣にも御協力をお願いして、何としても産科医不足による分娩施設の閉鎖ということは避けたいというふうに考えております。目の前の大変困った状況、全力を挙げてそういう事態が起こらないようにしたいと思います。
 それとともに、長期的に構造的な改革をやっていって、産科医不足、例えば小児科も外科も同様の問題がございますけれども、これにもきちんと対応してまいる決意でございます。

    〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕

阿部(知)委員 大臣は、これから私が申し上げるようなデータを御存じかどうか、ちょっと予告してございませんので、御答弁いただきたいですが、実は、平成十六年の四月一日、いわゆる国立病院が独法化されて以降、二十年の四月一日までの間に、救急や小児科を扱う一般の国立病院の方で、約五十六病院中、産科、婦人科が分娩を中止した病院が十一、そして小児科を廃止、休診した病院が七、おまけに麻酔科を廃止、休診した病院が三ございます。平成十六年といえば、わずか四年前でございます。
 私が今挙げたデータ、私もきのう伺って改めてびっくりいたしました。あれだけ約束して、衆参で決議を上げて、もちろんそのときは大臣は現在の立場ではございませんが、しかし、これまで、あの決議にもかかわらず、産婦人科は十一病院なくなる、小児科は七病院なくなる、麻酔科も三病院なくなる、これでは政策医療の云々もないものだと、本当に医療現場からすれば思います。
 大臣は、そもそも国立病院の独法化自身を、この時点で、この数値も含めてどう総括しておられましょうか。今回、ナショナルセンターの独法化ですが、やはり現状、医療提供体制が崩壊の危機でございます。後期高齢者医療制度のような医療保険制度も、非常に私はこの制度は皆保険を逆に崩壊させると思っておりますが、その件についてはきょうは触れません。提供体制のみについても、特に国が、平成十一年度でしたか、政策医療を十九に絞り込んで、これを行わせるために平成十六年度に独法化し、そして政策ネットワークをつくってやるんだというところからぼろぼろぼろぼろ抜け落ちていく病院がこれだけある。一体、独法化は何をもたらしたんだろうと。
 私はまたその次、私なりに考えるところを言いますが、大臣はどうでしょう。

舛添国務大臣 これは、その因果関係が、阿部委員、独法化したから、今言った、たしか十一、七、三という数字になったのか、なぜ産科の問題がこれまで大きくなったか、それは訴訟リスクの問題から始まって、女性医師の比率が高くなった、さまざまな理由についてはずっと列挙をしてきました。
 しかし、国立病院機構、これが独法化したことがその引き金になったかどうか、これについては少し検証をしてみる必要はあると思っていますが、もし今委員が推論なさったように、独法化がそれの引き金となったならば、ではどこが悪かったのか、どうすればそれを改善できるのか、それはきちんと検証してみるに値をすると思いますが、ほとんどの場合、もうお医者さんが退職した、国立だったらいるけれども独法になったから私は退職したという理由なのかどうなのか、ちょっとこれは精査をしてみたいと思います。

阿部(知)委員 大臣が精査する必要があるとおっしゃってくださっただけでも私は前進だと思います。なぜなら、日本の医療の今日の危機的状況は、もちろん背景には医療費抑制策という諸外国に恥ずかしいような政策が続き、そして、かけてあわせて、やはり医師教育を長期の展望に立って計画してこなかった国のツケがここに至っておると私は思いますが、個別、独立行政法人化については、私もこの長野病院に行ってみて驚いたのですが、非常に立派な建物が、鉄筋コンクリートといいますか、ちょっと遠目で恐縮ですが、遠くから見ていただくと、外側は非常に立派な病院が、これは平成九年完成ですからまだ十年そこそこの病院が建っております。
 そして、中を案内していただきましたが、二階の一フロアが
、まるで病棟を閉じておりました。なぜですかと伺ったところが、先ほどの、五年間で五%の定員削減がかかっていて、人を減らしていかざるを得なかったと。  大臣もよく御存じのように、医療は、やはり医者がいて、看護師がいて、そのことで提供して初めて栄えるものなのです。医療の中で人をどんどん減らしていけば、これはもう本当に目に見えて基盤が揺らぎ、やがてつぶれていきます。
 実は、南横浜病院というのも独法化してから初めて閉院になります。感染症、結核や、あるいは今度インフルエンザがはやったらどうなるんだろうと思いますが、そうしたことを提供していく病院も閉鎖されていく。私は、身をちぎられるように正直言ってつらいです。私はもともと医者ですから、一生懸命診療して何がしのものかなのに、その規模を縮小することを求められていくわけです。そうすれば、階段はもう落ちていくしかないのです。規模を縮小して栄えたところなど見たことがございません。私は、この五%削減が平成十六年度独法化された以降のいろいろな病院に及ぼす影響、これをぜひ大臣は見直してみていただきたいと思います。
 これまで、例えば、大臣は大学の独法化の問題をおっしゃいました。私もいい面ももちろんあると思います。ところが、医療現場のように人が人を支える現場で人を削っていけということは、すなわち収益も減りますし、やれる仕事も、本当に一人減ると、それは五人のうち一人減ったから五分の四になるんじゃないんです。本当に減るんです。ここはもう現場の感覚です。そこをぜひ大臣には、きょう私が申しましたことを覚えていていただいて、そういう面の見直しをお願いしたいと思います。これは先ほどの御答弁で結構です。
 引き続いて、そういうことの中で、今度ナショナルセンターが同じように独法化されるということであります。そこで、例えばがんセンター、これは多くの日本国じゅうの患者さんが、やはりあそこで治療してほしい、あそこで手術してほしい、一番治るための最新の治療を受けたいと思って全国から押し寄せる病院でありますが、大臣、御存じでしょうか、ここで、ことしの三月まで十人いた麻酔科のお医者様が、一たんは五人に減って、そして一人は採用がかなうようですが、十人が六人と非常に減ってまいります。麻酔科医が減るということは手術ができないということです。
 一般の病院、市中病院で小児科や産科や麻酔科がいなくなる、これは予兆。いよいよ本丸のセンター病院ですら麻酔科医が空席になってくる、そういう時代と認識せねばならないと思いますが、大臣はこの件についてはどうお考えか、またどのように対処されるのか、お願いします。

舛添国務大臣 産科、外科含めて、オペをやるときにはどうしても麻酔科の先生方が必要で、一気に五人もおやめになるというのは大変深刻だと思います。理由を調べると、それは給料の問題、処遇の問題に尽きるわけでございますので、五月五日、担当の課長の名前で人事院に対してこの処遇の見直しを要請したところであります。
 こういう問題も含めて、私は月末から来月の初めに大きな長期的な医療ビジョンを国民に問いたいと思います。それをもとにして、必要な数字の裏づけをやるときには財源の問題も考えないといけない。そして、きょう出てきたようなさまざまな問題についても、これはきちんと議論をして、この国権の最高機関で新しい法律をつくるということであれば、それが新しい政策になるわけですから、そういうことの一つのアイデアを提起したいというふうに思っております。

阿部(知)委員 大臣は思いがあるとは思います。しかし、現場はもっと早く崩壊しているんだと思います。ナショナルセンターにおける麻酔医不足というのは、日本の国の代表部で医師がいないということであります。
 大臣のお手元の資料の二を見ていただきたいと思います。一枚目は先ほどの国立長野病院の案件でしたが、二枚目は各国立高度専門医療センターの手術件数、麻酔医の立ち会い件数の総数です。
 平成十五年から統計をいただきまして、平成十九年まで、一番上段が国立がんセンターでございますが、四千五百九件余りあった平成十五年度に比べて、平成十九年度では五千百四十四件。ちなみに、数だけ申しますと、平成十五年度は麻酔科医は六人でございました。この五千台をいっているところは十人の医師がおられました。今また五人ないし六人ですから、ペースからいってもやはり厳しくはなってまいります。
 と同時に、大臣はもう重々御承知でしょうか、今、医療はどんどん高度化して、麻酔というものも緊張する非常に高度なものになってきて、そもそも、これまでも、給与の面だけじゃなくて、本当に十人でこの五千件近くをきちんとやりながら、例えば、ナショナルセンターですから、研究もおやりなさい、若手も教育しなさい、いろいろなことが要求されるわけです。そこで、いろいろな意味で、自分が医師としてそうした能力を発揮するのに果たして十分な環境であったかどうか。この面をきちんとお聞き取りいただきたいんです。
 医師不足というと、お金の問題ばかりが取り上げやすいから取り上げられます。もちろん、だれだって年俸一千万より三千万、五千万の方がいいに決まっています。でも、そうした側面だけで医師が行動するわけではありません。積もり積もった蓄積疲労や、本当にその病院の中でやっていても、自分がもっともっと他のいろいろな研究もやりたいと思ったときにやれない状況もそこにあったのではないかと思うわけです。大臣は、直接いろいろなところをヒアリングもなさることと思いますから、どうか表向きではない本音のところを聞いていただきたいです。
 ちなみに、私個人のことを申し上げますと、私は今から二十五年ほど前、国立成育医療センターなる、昔は小児病院と言いましたが、やはり厚生省管轄の病院にレジデントとして月収十三万で勤務をしておりました。呼吸器の間に寝るような、要するに、その場を離れたら患者さんが急変するから、呼吸器と呼吸器のついた患者さんの真ん中に毛布を敷いて寝るような仕事をしてまいりました。
 私は、せんだって担当部署に、こういう各センター病院の常勤、非常勤、ちなみにレジデントはそういう意味では非正規に入りますから、人数の分布を見せていただきましたが、見るところ、今でも常勤の数はほとんどふえず、レジデントが非常に多くなってきている。レジデントはワーキングプアで重労働。しかし、自分たちが勉強したいからいるわけです。しかし、私は自分がやってきて思いますが、日本の病院のゆとりのなさ、本当にこれでいいんだろうかと。そして、いよいよそれが二十数年経て、今の若い人たちが、もうこれじゃやれないと。私の時代よりもっと医療が高度化し、もっと大変になったと思います。
 ですから、金曜日には参考人もお呼びいたしますが、本当にこの陣容は、きちんと医療を支え、研究をし、若手を育てるのに十分なのか。大臣には私は検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 今委員おっしゃったように、処遇という中に、ただ単に給与面だけではないというのはまさにそのとおりでありまして、十人で五千件のオペをやるというのは一人で五百件ですから、休み時間を入れると一日に二回近くやらないといけないというので、労働条件自体は非常に過剰だと思います。
 今、二十八万人のニーズがあるところで二十六万人しかお医者さんの数がおりません。そのギャップはやはり埋めるべきであるというふうに私は思っています。即効性はありませんよ、きょう、あした、すぐふやせるわけじゃありませんから。しかし、十年の長期的な計画の中には医師の数をふやすということを当然入れていきたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 そういうときに当たって、診療スタッフの待遇や、あるいは診療していることによってもっている病院の機能を、今度は診療を従属的にして研究を主にするということが本当に今ナショナルセンターに求められるべきかどうかもお考えいただきたいと思います。
 時間がないので、申しわけありませんが、もう一点お願いいたします。
 これは、先回、インフルエンザのパンデミックのことで御質疑を申し上げましたときに、子供の治験、医師主導型治験というものが行われておりますが、そこにおける同意のとり方が、十分なインフォームドではなくてミスリーディングなんじゃないかと私は思いまして、きょうはこれを取り上げます。
 なぜかというと、今度、国立センターがもっと治験が多くなり、医師主導型治験も多くなるときに、その原点には、患者さんにどんなことをインフォームドしたか、正しかったかどうか、ちゃんと伝えたか、ここがなければ、すべて屋上屋を重ねても、私は治験そのものが成り立たないと。
 ごらんになっていただきますと、左側が患者さんのお母さんにもともと配られた要旨の中の書きぶりです。一言で言えば、「新型インフルエンザワクチンの健康小児を対象とした臨床試験」というふうにうたわれておりますが、大臣もよく御承知のように、今あるワクチンは新型インフルエンザワクチンではありません。これを新型インフルエンザワクチンの健康小児を対象とした臨床試験であると銘打って、全部の文章が書かれています。
 私は、担当部署にお願いして右のような訂正を全部していただきました。これはプレパンデミックワクチンであり、抗体の上がりぐあいがどうであるかを見るためのものであって、新型インフルエンザそのものを予防するかどうかはわからない、ここまで言って、それでも親御さんが協力しましょうといった場合に初めて成り立つのだと思います。
 済みません、時間の関係で次のページをお願いします。
 では、こんな言い方は子供の親に対してだけなされたのかと思ったら、その前の医師主導型治験でも全く同じでした。大人に対しても。この大きな字の中ほどですが、「しかし、新型インフルエンザウイルスは、全く新しいウイルスであるため、現在接種されているインフルエンザワクチンでは効果が期待できません。」そのとおりです。そこで、新型インフルエンザウイルス出現に備えて、新型インフルエンザに対するワクチンの開発を行うことになりました、そして、治験の御協力をとなるわけです。
 これでは、協力したワクチンは新型インフルエンザのワクチンだと患者さんが思って当然ではないですか。何でこんなものが倫理委員会を通り、また治験として承認されたのか。おかしいと私は思います。
 どう改善すればいいか、時間の関係で、大臣に、明確にお願いします。

舛添国務大臣 例えばインフォームド・コンセントというような概念がもう一般的になっているように、要するに、きちんと情報を伝えるということは最低限必要な前提でありますから、こういうことに対して、研究者のレベルで認識がまだそこまでいっていなかったのかなと、非常に残念に思います。  したがって、こういう問題についても、正しい情報をきちんと伝えるように、早速改善をしてまいりたいと思います。

阿部(知)委員 問題は多岐にわたると思います。同意書は、治験をする医師自身が作成して患者さんに提示します。それがミスリーディングであっても、どこにもチェックされずに治験のお墨つきがついてしまうわけです。
 検証すべき点は多岐にわたりますので、きょうは時間の制約で、今の大臣の御答弁で、また追って、どのように改善されたかを伺いたいと思います。
 ありがとうございます。

田村(憲)委員長代理 次回は、来る十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四分散会


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