第169回国会 厚生労働委員会 第19号(平成20年6月4日(水曜日)) 抜粋

案件:

 政府参考人出頭要求に関する件

 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六九号)

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の一部を改正する法律案(河村建夫君外五名提出、第百六十八回国会衆法第一九号)の撤回許可に関する件
 
 厚生労働関係の基本施策に関する件

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の一部を改正する法律案起草の件

議事録全文(衆議院のサイト)
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〔前略〕

吉野委員長代理 次に、阿部知子さん。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 本日は、冒頭、舛添大臣に心からお礼を申し上げたい件がございます。
 実は、大臣初め関係の皆様の御尽力で、国立の長野病院に産科の医師の継続派遣が決まりまして、そのおかげさまをもちまして、そのすぐ近くの上田市で、これも、そちらの国立長野がなくなってしまうと患者さんの送り先がなくなってしまう上田市の助産院が、そっちも頑張ってくれるんだから自分たちも頑張ろうという形で、助産院の新装、新しく改築して長野病院の近くに開設されるという二つの幸運な報告が寄せられました
。  医療の拠点というのは、つぶすのは簡単ですが、本当にあらゆる努力をして何とか保持しようとすることは容易ではない中で、大臣に御尽力いただきましたこと、また昭和大学の方からも派遣を継続していただいたということですので、この場所で本当にお礼申し上げたいし、日本各地でそういう、産科医いない、病院つぶれちゃう、子供生まれられない、そういうところがたくさんありますので、ぜひ、大臣にも引き続き御尽力をお願い申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 引き続いて、きょう、この審議が終了した後、被爆者問題、特に在外被爆者問題で、これも各党派のこぞっての賛成で、在外被爆者について、今まで在外から、すなわち、例えば韓国から、ブラジルから、アメリカから手帳の申請ということができませんでしたけれども、被爆者の皆さんも御高齢になり、わざわざ日本に来てくださらなくても何とかこれが可能になるようにという、これは与野党のいろいろなお取り組みの中で、この法案も委員長が提案してくださることになっております。
 これも大変にありがたいことでありますが、私は、それに関連して、きょうは舛添大臣に二点、主な点ですが、ちょっとお伺いをさせていただきたいです。
 実は、これは昨年の十一月に、いわゆる三菱の徴用工裁判というのがございまして、強制連行されてこられて三菱で働いておられて被爆して、その後韓国に帰られて、しかし、この間の、被爆者手帳を持っていても国内にいないと使えないという四〇二号通達によって被害を受けたから、国はその四十人の方に、お一人当たり百二十万円の賠償金を支払えという最高裁判決でございました。
 このことに関しまして、当委員会でも、たしかこの直後、細川委員の方から御質疑で、今回は四十人の原告であったけれども、同じような方がまだまだおられるだろう、そういう方については今後どのように取り組まれるのかということを大臣にお聞きして、そのような検討をしていただくというお話でありましたが、どのように進んでおりますか。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

舛添国務大臣 この問題は、昨年の十一月一日の最高裁判決を受けての対応なんですが、問題は、国家賠償にかかわるものですから、どうしても今の法制上、司法の判断をいただかないといけない。
 ですから、個々個別のケースについて司法の方で判断していただければ、例えば直ちにそれを和解して迅速にお支払いする、賠償をお支払いするという形ができます。ですから、これを周知徹底して、ぜひそのアクションをとっていただきたい。そのことによって、私どもの方も、国としても迅速に対応したい、そういう方針でいきたいと思っております。

阿部(知)委員 今、大臣は大変にいい答弁をしてくださいまして、実は、例えばこの三菱の徴用工の問題では、当初四十六人で始めた裁判が、十二年間の経過の中で、亡くなられて十五人の方の賠償にしかならなかったというか、現実には生きて賠償を受けられた方はなかったということで、今大臣がおっしゃった、提訴を起こしてくれたら速やかに和解、この速やかに和解というところに二重、三重の意味がございますので、今も大臣は明確に御答弁でありましたので、そこはお尋ねいたしませんとして、よろしいですよね。はい。
 そして、ちょうど同じように薬害のヤコブ病という問題が起きましたときに、当時、坂口大臣でありましたが、同じように提訴問題が問題になって、未提訴者、まだ提訴していない方についても、提訴後は未和解原告らと同様とする、とにかく、あくまでも提訴して早期和解という以上に、裁判で認めていただいてすぐ和解する、それは大事なことなんですが、しかし、もう一歩踏み込んで何らかの早期な全面的な解決を目指そうとする姿勢、坂口大臣に当時お示しいただきましたが、こういう点については、舛添大臣はいかがこの問題をお考えでしょうか。

舛添国務大臣 昨年来の、例えばC型肝炎の問題ですと、これは訴訟がずっと続いていました。今の原爆症もそうです。ただ、今お話しになっている問題は、最高裁の判決が確定しておりますから、これをもとにすべて判断できるということで、いろいろな立法措置、それはまた時間がかかります。財務省との間の調整とか、政府部内の調整も必要です。
 そういうことを考えますと、先ほど申し上げましたように、最高裁は最終審ですから、もうこの判決が確定していますから、これを最大限活用する、それが一番皆さん方の御意向を酌んだ形で御支援申し上げる道だ、そういうふうに確信しております。

阿部(知)委員 大変前向きな御答弁、ありがとうございます。
 もう一つ、今回、在外からの被爆者手帳の申請が可能になるとして、一番問題が残るのは、朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮と総称されております、俗称と申しますか、と言われております地域にお暮らしの在外被爆者であろうかと思います。
 普通、在外被爆者でこの手帳を申請しようとするとき、在外公館に行って、そこから日本に来るわけですが、残念ながら北朝鮮には、我が国の在外公館という形では、国交がないゆえに何ら窓口が置かれておりません。しかし、被爆したという事実は一つでございます。
 実は、二〇〇一年に、恐らく外務省と厚生労働省の調査団が北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国にも出向かれて、在外被爆者、特に北朝鮮にお暮らしの方の実態も把握はしておられる。少なからぬ数、二千人近くかと思います、おられるわけです。その方たちにも、今回この衆議院で後々、すぐ後、委員長が御提案いただきます海外からの申請可能に道を開いたということが、同じように波及できるような道は何かないものか。
 ぜひここは、舛添大臣に外務省ともお話をしていただきまして、私は、事は人道ですから、本当に一刻も早くその方の被爆という状況に報いる道が立つべきと思いますが、大臣はどのようにお考えでしょう。

舛添国務大臣 私は、在外被爆者の方、韓国の方も、ブラジルにおられる方も、アメリカにおられる方ともお会いできました。しかし、残念ながら北朝鮮におられる方々にお会いすることはできません。それは、もう御承知のように、今の日朝の関係がこういう関係であるからでありまして、外交関係の樹立を含め、これは外交全体にわたる大きな問題だというふうに思います。
 そのような中で、何とか今委員がおっしゃったようなことが実現できないか。人道的だということをおっしゃいましたが、実を言うと、平成十三年のこの調査、これは北朝鮮側の調査ですけれども、朝鮮被爆者協会の調査で、千三百五十三名中生存者九百二十八名。ところが、ことしの四月だと、もう三百八十二人に生存者が減っています。それだけお亡くなりになったということですから、そういう意味でも、これはぜひ、北朝鮮の政府も人道的な立場に立たれて、しかるべき手を打っていただければと私も思いますが、これは外務当局とも相談の上、何ができるかを検討してみたいと思います。

阿部(知)委員 今大臣が細かな数値で御紹介いただきましたのは、御指摘の平成十三年の外務省と厚生労働省合同の調査になってございますが、その一年前年に、日弁連、日本弁護士連合会がやはり同じように実態調査をされて、この数値が一千九百五十三名ということになっております。
 確かに昔のことで、実態がどのくらいなのかという把握も難しいという、今大臣もお述べいただいた、またこれからもどんどん亡くなっていくという中ですので、ぜひ重ねてこの点は大臣にも御尽力をいただけたらと思います。これもよろしくお願い申し上げます。
 さて、本日の審議の法案に入らせていただきますが、私は今回、今週金曜日にも恐らく審議がございますことと思いまして、本日は、そもそも論というか、そもそも障害者雇用ということをどう考えて我が国が臨むべきかということで幾つかの御質問をさせていただこうと思います。
 実は、大臣も御承知おきかもしれませんが、昨年の十一月、我が国が、ILOの百五十九号条約にのっとって、百五十九号条約というのは障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する条約でございますが、この条約を我が国は一九九二年に批准しておりますが、批准したにもかかわらず、障害者の雇用率、法定雇用率にまだ遠く及ばない、もっと言えば、法定雇用率が義務化されてから三十年余にわたって達成をされておらないということをもって、このILO百五十九号条約に違反しているのではないかということで提訴をいたしまして、今厚生労働省の方でもこれに報告を出すような段取りにはなっているさなかとは思いますが、大臣の率直な御感想で、三十年間、一応法定雇用率ですから、目標としたところが達成されずに今日まで来たことの最も大きな理由は何だとお考えでしょうか。一問、お願いします。

舛添国務大臣 何が最も大きな理由かということですが、それは企業の側の努力も足りないだろうと思いますし、それから、国民全体、同じ働く仲間の理解も進んでいない面もあると思いますし、それから、障害者に対するさまざまな施策がおくれた面があると思います。
 私はやはり、大臣になって見ていて、労働関係の法律、これは派遣の問題にしてもそうですが、グッドウィルのきのうの逮捕事件もありましたが、遵守しないでいいような雰囲気があるんじゃないか。しかし、国会で決めた法律ですから、労働関係の法律もやはりきちんと遵守して、働く人たちの人権を守っていく、そして障害者の社会参画を果たしていく、それがノーマライゼーションであり、それが理想の社会である、そういう思いでありますから、こういうことについては今後さらなる努力が必要だというふうに思っていますし、反省すべきはやはりきちんと反省しないといけないと思いますので、国民全体の課題だというふうに思っております。

阿部(知)委員 既に大臣も御存じのように、障害者の権利条約が、我が国も批准し、そして批准国がある有効数に達したということで発効する段取りになっておる中で、もし我が国がこの百五十九号条約にのっとっていないというか、到達していないということで勧告等々を受けるようになることは、決して前向きではないと思いますので、そのためにもきょうの審議があることと思います。この点は、大臣がおっしゃった企業側の努力ということも一つあろうかと思いますが、私は、またもう一つ、もうちょっとここの、この段、三十年間達成されなかった障害者の法定雇用率に内包される問題で、幾つかちょっと大臣と論議をさせていただこうと思います。
 きょう私は、珍しく資料は一枚なのですが、お手元に一般民間企業における雇用率設定基準、いわゆる障害者雇用率の設定基準の数式がございます。分母に常用労働者数と失業者数、そして、特殊な業務で、例えば警察等々で障害者をなかなか入れるといってもいかないわけの除外率相当労働者数が引かれたのが分母に置かれて、分子では、身体障害者及び知的障害者であって常用雇用の方と、プラス失業している身体障害者並びに知的障害者ということになっています。
 私はここには二つ問題があると思うのですけれども、まずその一つ目からいかせていただきますが、下段には、いわゆるハローワークで把握されている障害者の求人、そこに行って仕事を求めていますというグラフがございます。下の段が新規求職申し込み件数。今でいうと、十万人余りが求職をなさっている。当然、仕事につかなければ失業なのですが、しかし、これは年々累積していって、上のグラフは、全体で、去年も求職したけれどもまだことしもなっていない、とにかく職にはついていないという有効求職者数です。
 ここを見ていただくと、まだまだ、四万の差とは言いませんが、やはりかなり多くの差が厳然として存在します。
 この問題一つとってみても、やはりある一部の方たちは求職しても求職してもなかなか就労できない実態が一方にあろうかと思います。
 と同時に、大臣は御存じでしたでしょうか。実は、ハローワークで失業者として数にカウントする中には、福祉的就労の方で自分は就職したいんだけれどもという人はカウントされないのであります。日本は二系列で、こちらに労働法制、こちらには福祉の行政というのがあって、福祉的就労の人はこのグラフにも出てこない。恐らく、沈殿と申してはなんですが、ここに、なかなかうまくいかない方たちも、いろいろな条件でなかなかうまく運ばないという二重の問題がこのグラフの中には内包しております。
 さて、大臣にお願いがありますが、これからは実は福祉的就労という方もなるべく働けるように政策をやっていかねばならないということが、平成二十五年目標で、例えば政府の成長力底上げ戦略では、平成二十五年には障害者雇用を六十四万人で、また、なお福祉的就労の方も九千人ここに入れ込もうという目標が立てられています。しかし、残念ながら、ハローワークという労働の窓口にはその求める人の数すら上がってこないという、私はこれは制度的問題なんだと思います。  なぜハローワークには福祉的就労の方の求職は、仕事をしたいのに、数にカウントされないんでしょうか。

岡崎政府参考人 ハローワークの求職受け付けにつきましては、福祉施設の利用者の方も求職受け付けをしております。
 近年、福祉から雇用へという政策、厚生労働省全体でとり出しましたので、その方の統計も昨年度からとり出しております。
 ちなみに、障害者の方、新規求職申込者十万七千九百人のうち、福祉施設利用者につきましては五千四百十六人、昨年度の状況ではそういう数字になっております。

阿部(知)委員 おっしゃったことは、やっと昨年度になって、福祉的就労の人が就労したいよといったときに、しかし、残念ながら、こういうグラフ上は出てこない範囲内で処理されているということなんだと思うんです。
 憲法二十七条には、労働は権利であり義務であるとございます。働きたいという意思のある人の意思を集約するのが私はハローワークの仕事なんだと思います。  大臣、今後は、去年一年、一点だけとったというんじゃなくて、福祉的就労の方の中でも働きたいんだよという人は、ここの働く意思、仕事を求めてきたということで、ハローワークでもきちんと集計をしていただけたらと思いますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 障害者の社会的参画、そして、先ほど申し上げましたように、むしろタックスペイヤーの方になるんだ、こういう心意気からしても、この数はきちんとハローワークで統計上に載せるべきだと思いますので、そういう指導をしてまいります。

阿部(知)委員 これも大変ありがとうございます。
 もう一つ、例えば日本では、重度、医学的な判定で症状が重いから労働能力がないというふうにみなされがちです。それが、先ほど郡委員も御質疑の、重度の障害者をダブルカウントしてみたりという、私はちょっと違うんだと思うんです。その方の労働能力は実は医学的な障害の程度によらないんだと思うんです。その医学的な障害の程度でいつもいつも、重度だ、軽度だ、さて働けるんだというふうに判定している限り、我が国の障害者の雇用政策は大きな前進をしないのではないかと思うのです。
 この点もぜひ、これまでは、例えばその方の障害度認定で、そもそも働けるのか、働けないのかとかやってきましたが、そういう見方でない見方で、もう一度、障害者就労を考えてみていただきたいと思います。ちょっと抽象的で申しわけないですが、私は逆に医者として自分がやってきて、医学認定とその方の就労能力は違うと思うんです。車いすでもいろいろなことができますし、もっと言えば、全身が全然動かなくても、目が動くだけでも、働きたい意思のある人が働ける場があるんだと思うのです。
 そういう意味で、大きく考え方を変えてみていただけまいかと思いますが、これは大臣でも担当部局でも結構です。お願いします。

舛添国務大臣 二つのことを申し上げたいと思います。
 障害者認定について、医学的な観点からだけでなくて、認定基準をどう見直すか、これはひとつ検討してみたいと思います。
 それでまた、お医者さんである阿部委員に言ったらしかられるかもしれませんが、もう一つは、しかしながら、医学認定自身も精度を上げるなり、新しいやり方を考えてほしいというのは、先ほど来、私、発達障害の問題を申し上げていました。発達障害、いろいろ新しい知見や研究が進んでおります。非常に能力を持った障害者に対して、古い医学的基準だと重い障害になってしまいます。むしろ、そういう能力を引き出せる、天才的な能力を持った発達障害の子がいます、そういう子供たちの能力を引き上げるために、医学的な認定の仕方もやはり検討すべき課題だということを、お釈迦さんに向かって説法するようで恐縮でございますが、私の感想を述べさせていただきます。

阿部(知)委員 まことにさようでございまして、その医学的認定というものがその人の労働能力、社会参加のところにきちんとフィットしていないということは、多々指摘されるところでございます。
 今後ますますそういう連携の中で、ぜひすべて、障害者、働きたいという意思を持っている方を働けるようにする政策、この次、金曜日、具体的にまた質疑させていただきます。ありがとうございました。


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