第169回国会 厚生労働委員会 第2号(平成20年3月26日(水曜日)) 抜粋

案件:

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件

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〔前略〕

茂木委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 本日は、舛添厚生労働大臣に所信に対する質疑ということで、実は三月も末でございまして、幾多お伺いしたいことはございますが、喫緊というか、火急の件のみ、きょうはお尋ねを申し上げたいと思います。
 まず一点は、分娩にまつわる、いわゆる産科の、出産のできるような病院や診療所数の減少ということに関して、昨日、毎日新聞にも報道、そして厚生労働省の方からも発表資料をいただきましたが、七十七施設が休止ないし制限というデータでございました。この件は他にも委員がお取り上げでございますが、私は、こうしたデータを厚労省がみずから発表なさるということは、ある意味で大変意味がある、わからないでおいておけば、そのまま消えてなくなって、お産がどこでもできないということが、次々とここのところ拡大しておりますから、しかし、二つの点において、きょうはちょっと大臣にお考えをいただきたいと思います。  この七十七施設は特に病院や診療所をお調べでありました。私は、これまでもこの委員会の中で、いわゆる助産師さんがやっておられる助産所の、これもまた周産期ネットワークの中に位置づけて、きちんとこれからのお産を支えていただくマンパワーとしても活用すべきだということを申し上げてまいりました。既に平成十八年、柳澤厚生労働大臣のときにも質疑いたしまして、そういう地域ネットワークの中に助産所を位置づけるという御答弁もいただきました。
 さて、大臣、本当に残念なのですが、なぜ厚生労働省がお調べになるここには助産所という目がないのでしょうか。
 そして、時間の制約で、二点目を伺います。
 助産所もまた大事な資源であるということで、小池晃参議院議員が質問主意書をお出しいただきまして、その中で、現状二百八十四ある助産所のうち約一割が提携医療機関や医師との提携ができないために存続が危ぶまれているというふうな主意書の御答弁がありました。私はこれを拝見して、厚生労働省に伺いまして、どうなっているんだ、地域医療ネットワークに組み入れると言ったじゃないか、もし助産師さんのところがどこにも連携機関がないとしたら、これは行政がきちんと対応すべきことじゃないかと。
 大臣もいつぞや私におっしゃいました、お医者さんの前で、もし患者さんになったりしていろいろ言うのは大変なことだと。これは医師と助産師の間でも実は同じような関係がございます。助産師さんが頼み込んで、お医者様に個人的に連携をしてほしい、あるいは病院に個人的にお頼みしてというのはなかなかやはり労苦の多いものであります。
 大臣には、一点目、今後はこうしたネットワーク形成に助産所もきちんと調査する、そして、もし新たな開業や存続が本当に危ぶまれる場合は行政みずから努力する、この二点を明確に御答弁いただきたいと思います。

舛添国務大臣 助産所が大切でないなんということは全く思っていなくて、先般も助産師の代表をお招きして、私の医療改革ビジョンに来ていただきました。今回、実は一月に長野県の市立の飯田病院を視察して、それですぐ、とにかく病院や診療所で閉鎖されるところはないか大至急調査をしろということをやりましたので、その結果が今度出たわけですけれども、きちんと今後、また助産師についても助産所についても対応してまいりたいというふうに思います。
 それから、医療法の十九条の問題がありまして、助産所の運営その他でいろいろな問題が指摘されていることもよくわかっておりますので、これは弾力的に嘱託医については運用するようにということで指示をしておりますので、今委員の御指摘の二点についてはきちんとやってまいります。

阿部(知)委員 もう出産ができる場は一つでも減ってはならないと同時に、やはり自然なお産を求める、人生の大事なスタート、どうこの世に生まれ出るかということは、赤ちゃんにとっても、お母さん、お父さんにとっても大事なことですので、必ずこうした調査のときには助産所を入れていただく、そして連携を組んでいただくようお願い申し上げます。
 あともう一点は、私はこの記事からとらせていただきますが、実は、比較的人口集中地にある長野県と静岡県と群馬県の三病院が、この七十七の施設のうちで、次の手だてが立っていない。この三病院を合わせると約一千八百件のお産ができなくなるという状況で、手当てのついた病院もあるけれども、お医者さんが二十年の六月でおやめになるとか八月でおやめになるとかがわかっていて、その施設は分娩数が六百とか八百ある、もうこれは非常に深刻なことであります。
 厚生労働省としても、特に大臣を筆頭に鋭意御尽力いただいていることと思いますが、実は、大臣お気づきになりましたでしょうか、この中に、藤枝の市民病院というのが挙げられております。きょう私が取り上げさせていただくのは、これも大臣の御記憶にあればですが、実は、この藤枝の市民病院は、昨年、平成十九年の十月に、インプラントという歯の治療に関係しまして、保険医療機関の取り消しを一カ月間ですが処分されるという立場に立ちました。その後、現在に至るまでも歯科は再開されておりませんし、また、今般の産婦人科の手当てがつかないということと直接は関連しないとは思いますが、やはり病院にとって保険指定機関の停止を受けるということは、私は現場におりましたから、はっきり言って死刑宣告のようにも思います。
 この藤枝市民病院が、歯科の先生がインプラントという技術を用いて患者さんにやってさしあげたときに、それを保険適用するしないの判断はもちろんできないものですけれども、それ以外に幾つか関連して、不正請求であるというふうな言い方で、病院自身が処分されました。しかし、市民レベルから見れば、確かにインプラントに保険を適用したのは誤っていただろう、でも、それとても患者さんの負担を考えたという側面もないわけではない、これはぜひ大臣に知っていただきたいのですけれども。
 そしてその結果、一番被害を受けたのは市民で、安心して身近にかかれる病院がなくなって、たとえ一カ月にしろ、いろいろな応急、緊急避難的な処置はやっていただいたと思いますが、やはり市民は、なぜこれが取り消し処分になったんだろうということは、今もって疑問があるということを私は聞きました。
 そこで、大臣に、きょうの資料の見開きを見ていただきたいと思いますが、見開きの一枚目には、いわゆる医療の監査。医療機関は、それが適正に医療が行われているかどうか、保険診療請求の適正さはあるか等々において監査というものをみんな受けております。定例的な監査もございますけれども、中段以下の「事前通告」「監査」と書いてございます部分は、何らかの問題が指摘されて監査に入るということでございます。
 この監査を受けますと、その後、調書のような調査書がつくられまして、それを地方の社会保険医療協議会というのにかけて、処分が相当であるということが受け入れられて、それがさらに弁明のようなものですね、病院に聴聞という形でされて、最終的に処分が下されるというプロセスなのですが、実は、この監査内容あるいは社会保険医療協議会での協議内容が、市民からはなかなか見えません。いわば、今、法廷は可視化と言われています。全部を見せるように、情報公開の時代です。しかし、監査内容や協議会でなぜ取り消しまで至らなきゃいけないのか、そんなに作為的なのか、犯罪的なのか、問題なのかと。これが市民サイドからは見えません。
 私は大臣に、以前に明細書の発行ということをお願いしました。私は、これから医療はすべて可視化すること、納得すること、見える化すること、これによって、やはり本当の意味での医療費の削減も、それから必要な医療の定着も行われると思います。
 さて、これは原局でも結構です。私はけさも伺いました。ここの監査内容を、もう既に終わったものですし、藤枝市民病院のケースです、医療協議会、地域医療協議会の内容もお示しくださいと言いました。これは住民が情報公開法を用いれば手に入るものです。すなわち、公開できるものです。しかし、当局はお示しくださいませんでした。住民が情報公開法を用いて出せるものを、なぜ私ども議員には、そして、私は次にも伺いますが、非常に医療機関にとっては深刻な保険の取り消し問題がかかわっているときにお示しいただけないのか、明確にお答えください。
 そして、大臣にはお願いがありますが、既に処分が下った案件で、私は知る権利があると思いますから、これは出していただきたい。出されなければ、もちろん私も市民の一人として情報公開法を用いますが、私は、行政が今行っていることを立法府がチェックしたいからこそお聞きしたので、これは余りにこの間の省庁対応は不適切と思いますから、二点おのおのにお願いします。

舛添国務大臣 政府参考人の登録がないそうなので、私の方からお答えします。
 その前に、藤枝の市立病院の件は私がかかわってやりました。
 それで、まず一つは、やはりルールに基づいてきちんとこれは処置をしないといけないということで、ルールの厳格な適用ということは御理解いただけると思います。
 しかし、藤枝市の中核になっているこういう病院について、市民の皆さん方に御迷惑をかけないという観点から、現実に診療に来られた方に、例えばそこで全額払うということではなくて、今までどおり三割の負担でいいようにして、後で市と病院と健康保険組合との間でのやりとりをやるという形で、直接市民に御迷惑はかからない。いや、一万円かかった、三千円で済むはずなのに一万円出さないといけないのか、これはないようにいたしました。
 そして、今後どう立て直すかということについてきちんと書類を出していただいて、極めて迅速に、つまり一月のうちに再開をさせていただいた、そういう努力をいたしたことは御理解いただければと思います。
 その上で、この監査なんですけれども、私も委員の問題意識はよくわかりますけれども、監査をするときに、では診療報酬の不正があったんじゃないか云々ということで、これはレセプトを見るとか診療のカルテを見るとかいうようなことがあると、一つは個人情報保護法の観点からどうするかということで、そこで極めてビジビリティー、可視化ということをおっしゃいましたけれども、そことこの個人情報の保護というのをどう両立させるかということであります。
 それと、監査に入って、そして問題があれば処分する。しかし、いろいろなことで監査に入ったけれども、いや、この病院はきちんと適正にやっているということになれば、これは問題ないわけですけれども、監査に入ったということだけで風評被害のようなことがあってもいけないなという配慮もございます。そういうことで、監査中は少し今のような配慮をしないといけない。
 そして、今もう一つおっしゃったのは、処分を下した後、これは私は説明責任があると思いますから、かくかくしかる理由で、どういう法律に違反しているからどうだ、これはきちんと説明するべきだと思います。

阿部(知)委員 私が今お願いしたのは、もう藤枝市民病院は処分が下った後ですから、それの監査内容と地方医療協議会の内容をお示しくださいと言ったのが来ないという問題であります。
 そして、私は、大臣が非常に医療のことは関心をお持ちだからあえてこんな複雑なことを伺うのですが、やはり、藤枝市民病院の場合ですら、迅速に行ったというところですら、本当にこの取り消し処分が適当かどうか、そこは疑義があると私は思っております。
 引き続いて、なぜそう思うかというところを言わせていただきますが、お手元に大きな地図がございます。これは市立宇和島病院の地域別利用者状況という、今度、処分がメディア上はうわさに上がっております宇和島市の市立病院と徳洲会病院、私はきょうは市立病院に焦点を絞って伺わせていただきたいと思うのですが、ここでは病気腎移植ということをきっかけにやはり同じように監査に入り、病気腎移植以外にもいろいろな不当請求があったからということでございました。
 まず、この立地を見ていただきますと、これは四国の、愛媛県の本当に突端部分で南予と言われる部分のセンター病院で、愛媛を三つに分けますと、大学病院の愛媛大学医学部附属病院、そしてこの市立宇和島病院、さらには県立新居浜病院という三拠点で三次救急を回しているわけでございます。大臣にはぜひ認識していただきたいですが、運営基盤も弱い市立病院が三次救急までおやりになるということは、非常に頑張っておられる、本当に百年の歴史のある病院であります。こうやって頑張っておられる。
 そして外来患者数は、例えば右側を見ていただきますと、地域別で非常に広範な、高知からもいらしておりますし、入院の患者さんは大体年間で一万五千人。これは延べではございません、実数です。外来患者さんも十五万人。延べではございません、実数でございます。この地域で本当にここが基幹であるというところでございます。
 では、そんな大きな病院で、そんな歴史のある病院で、そんな立派な病院で、立派といっても、行っていただければわかりますが、建物は百年継ぎ足し継ぎ足して、本当によく頑張っている。今度新築されるそうですが、そういう病院です。そこでの保険請求の問題がなぜこんなことになるんだろうということを考えるために、大臣のお手元にもう一枚資料がございます。ここには、「病院事業の経営主体別業務の委託状況」、何を言っているかというと、病院が、例えば県立、市立、町立、いろいろございますが、その業務をどのように外部委託化しているかです。アウトソーシングです。
 大臣も御承知のように、この間、公立病院では採算を強く言われ、また、医療費の削減の中で、とにかくアウトソーシングしないと運営上も厳しい状態に置かれる中で、病院が多くアウトソーシングしたのが、医事請求、保険請求にかかわる部分でした。ここを見ていただきますと、県立病院などは何と九七・六%管理会社に、有名なところですとニチイとかNICとかございます。そこが問題があったとか言っているわけではございませんが、そういうところに全部外部委託しているわけです。ほとんどの公立病院がそうやっております。
 厚生労働省が監査に入られたときに、これが問題、あれが問題といっぱい指摘をされます。しかし、私も医療機関で短いが病院長をやらせていただきましたが、なかなか医療請求の細かな事務まで病院の管理運営者が携わってはおらず、そして、細かな部分は外部委託されております。私は、数多い、例えば宇和島の市立病院でも百以上のとか、二百とか三百の違反があると言われますが、それはもしかして、おのおの委託している業者も十分に内容を理解されずに請求しているようなものも実は多いと思います。
 私は、一例ありますが、もう時間の制約で言いません。大臣には、処分とかそういうことをお考えになる前に、ぜひこういう自治体の構造を見ていただきたいんです。
 そして、病院の管理運営者、病院長以外に市から職員が来て医事に入られます。でも、この方は医事の専門ではございません。専門の人を育成できるほど公立病院には余力がございません。私は、もしかしてどこの病院でも市立病院は問題があって、極端ですが、監査に入れば全部取り消しができると思います。そういう構造下に置かれているんです。
 医療基盤を一つでもなくさないという観点から、大臣、総務省と早急に御連絡をとられて、どうやって外部委託の質の担保に努めるか、まずこの点を厚労省みずから努力していただきたいですが、いかがでしょう。

舛添国務大臣 まず、宇和島には私も何度も行っております。それから、愛媛の知事さん、国会議員の皆さん方からもいろいろな御要望をいただいております。
 不正な請求を含めて違反は許さないという立場と、しかしながら地域医療の確保、これを念頭に置いて対処する、これはしっかりやりたいと思います。
 そして、今委員が御指摘になった外注、アウトソーシングの構造、こういうものも含めて、特にこれを見ますと、公立、特に都道府県立なんて九七%で多いわけですから、私はこういうことこそまさに長期的な視点に立った医療改革をやる一つのターゲットになると思いますので、これはまた、委員の御指摘を受けまして、総務省ともしかるべき協議をして、どのような手が打てるか、今後とも課題として取り組んでまいりたいと思います。

阿部(知)委員 地方にとっても、地域にとっても、病院にとっても処分は死刑宣告です。よくお考えの上、大臣らしい御結論をお願いいたします。
 ありがとうございました。

茂木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十一分散会


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