第169回国会 厚生労働委員会 第7号(平成20年4月16日(水曜日)) 抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出第六七号)
介護労働者の人材確保に関する特別措置法案(三井辨雄君外四名提出、第百六十八回国会衆法第二四号)
〔前略〕
○茂木委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
本日は、四人の参考人の皆さんから貴重な御意見をありがとうございます。
御発言の順に沿って私から質問をさせていただきます。
まず、遠藤先生ですが、介護事業運営の適正化に関する有識者会議のおまとめを行われたということで、この会議が、とりわけコムスン問題に始まりコムスン問題に終わるのか、さらに深刻な介護現場の状況を一歩でもよくするものとして今回の先生方のおまとめのことが成るのかは、実はこの審議にもかかっておりますし、何よりも、介護現場そのものがもう瓦解、崩壊、いわゆる人から崩壊、中から崩壊しているときですので、この処分関連のことをおまとめいただいたとしても、焼け野原になっているところでは、どんな屋上屋を重ねても物が建つまいとすら思うくらい、私はこの介護問題を危機感を持って受けとめております。
そして、そういう中で、先ほど先生と他の委員との御質疑を承りながら、例えば介護問題、営利企業の参入を可とするという仕組みで介護保険は始まっておりますが、そのことを一概に否定するものではないと。私もそうだと思うんです。しかし、さはさりながら、では、他の分野では、例えば医療ではほとんどが非営利でございますし、それにのっとって公定価格の診療報酬で行われるわけですが、介護の分野はそうではなくしたわけです。
例えば二〇〇〇年から二〇〇六年の介護事業者の取り消し処分を見ますと、四百八十二件中三百二十九件が営利の皆さん、約六割でございます。それから、二〇〇六年だけに限れば七十三件の取り消し事業者の中で六十九件が営利の事業者であるということで、やはり、極端に悪い言葉を使えば営利を食い物にするというか、水増し請求したり不正請求したりということは、あり得べきことなんだと思います。
それに対して、逆に言うと、では、どんなことでどうやってこれを、住民監視のもとに、国民監視のもとに本当によいものに育てていくかというところで、先生にぜひ御尽力いただきたい点がございます。
私は、このたび県を越える事業所の本部立ち入りを厚生労働省が行う等々、これについても、コムスン問題もそうですが、なぜサービス提供責任者が置けなかったのかというのは、もちろんコムスンを買収したグッドウィルの営利性はありますが、もっと深刻な問題があるとは思っておりますが、そうしたこと以前に、そもそも監査そのものも、例えば訪問介護事業所だと、実地指導というものは二〇%にも満たない数です。すなわち、回り切れない、見切れない、どうしようもないところにあります。
それに対して、では人員も、もちろん充実も必要です。これをまず第一にやらなきゃいけない。あるいは、第三者機関による評価を高めようというのもございます。もう一つ一番大事なのは、実は情報公開、見える化ということでございまして、この点に関して他の委員からも御質疑がありましたが、例えばその介護事業者が、福利厚生でどのように職員を遇しておるのか、人件費比率はどうであるのか、そういうことをやはりもっと積極的に情報公開していただくための仕組み、あるいは資金援助でもいいと思うんです。今事業者は自分でお金を出して情報公開もしておるんですが、私は、いいものを育てていくためにはその支援が必要だと思いますし、特に、この間問題になります、もし介護報酬を上げてもそれが事業者にばかり行ってしまって人件費比率もよくならない、福利厚生もよくならないのでは、樋口さんがおっしゃったように、いいサービスは出てこないのです。
ぜひ、先生たちのお考えの延長上に情報公開のあり方、特に事業者の人件費比率や福利厚生を明らかにさせること、私は、その中であれば良貨が悪貨を駆逐していくことも十分あると思うのですが、お考えはいかがでしょうか。
○遠藤参考人 私自身も神奈川県下で福祉サービスに関する第三者評価の委員の委員長をずっとやってまいりました。ということで、いろいろと調査票などをつくったりとかとやってまいりましたので、御指摘のことはよくわかります。
したがいまして、情報公開というのは大変重要になってきております。その中で、利用者だけではなくて、あるいはそこで働こうと考えている人たちにとっても非常に重要な指標を公表の対象にするというような御指摘は、私もそのとおりだなというふうに思いますので、私は、そのような御指摘を受けまして、今後、ぜひそういう方向で私自身考えていきたいと思いますし、また、関係者とそういう話をすることがあれば、そのようなことをお話ししたいと思います。
ありがとうございます。
○阿部(知)委員 ぜひ実現していただきたいと思います。これは見える化ということを抜きに全部を取り締まっていくなんということはできないと私は思います。
本当はここで、順番にと言ったんですけれども、今の先生のお答えに従って恐縮ですが、三番目の村川先生にちょっと先に振らせていただきます。ごめんなさい。
今、神奈川県下のことをお取り上げいただいたんですが、実は私も選出は神奈川も含めた南関東という部分です。今、その神奈川県下でも特に神奈川県では福祉人材が、もう本当に求人が応募を大幅に上回る、せんだっての樋口さんたちの集会でも御紹介させていただいたんですが、老人介護分野では有効求人倍率六倍、他の障害者分野でも三倍、そして児童、子供の分野では〇・九九倍。これら福祉分野みんなを平均すると、有効求人倍率が三倍以上となっております。これは果たして喜んでいいのか、先生のように長くこういう福祉人材の育成にかかわってきた方から見れば。しかし私は、この国の若い人が福祉分野に向かうことに大変ためらいと、そして、いや、やめた方がいいなというところまで来てしまっているような気がします。
先ほどの先生のお話を伺いながら、例えば今回のコムスンの問題でも、サービス提供責任者という十人の中の一人としてサービス提供の質を管理していく方は、この役職をとったとて、その役職が役として認められておりません。すなわち、その役ゆえの固定的な介護報酬評価はありません。医療の世界でもソーシャルワーカーがそのようになっています。そうした固定的な評価がなされない職種というのは、逆に言うと、せっかく頑張っても非常に不安定であるし、また、評価が定まらないということになってきますが、個別伺いたいと思います。
サービス提供責任者は、やはりきちんと、他の方の上がりから給与をもらうんじゃなくて、介護報酬上位置づけていく、資格を持ってきちんとやっていただく、評価もしていくということは介護人材の面からも極めて重要と思いますが、いかがでしょうか。
○村川参考人 今お尋ねのありましたサービス提供責任者は、訪問介護サービスの中核的な役割を果たすスタッフでございますので、お話のとおり、やはりそれなりの社会的評価、介護報酬的な側面での検討ということも大事な課題ではないかというふうに思っております。
その際、先ほど私も申し上げましたが、現行の訪問介護の報酬単価の中で、身体介護のサービス、生活援助のサービス等ございますけれども、その中に織り込んでいって人件費比率として示して、担当者レベルと責任者レベルということになっていくのか、あるいは独自の加算的な制度を考えるべきか、そういったあたりの技術的な事柄は今後の一つの検討課題であるかと思いますが、私は、介護サービスの質向上ということをかねがね考えている立場の人間の一人としましては、やはりこのサービス提供責任者については、確かに、配慮ある方式ということは工夫が加えられてよいのかな、そんなふうに思ってございます。
○阿部(知)委員 先ほど来のお話で、では、そういう介護報酬を上げたら、保険料を上げなきゃいけないかどうかというお話ですが、既にお気づきのように、介護保険の保険料というのは非常に逆進性が高いです。すなわち、累進度がないものですから、少ない収入の方に高い介護保険料になっております。
私は、これからの高齢社会、もちろん御高齢な中に負担能力のある高齢者もそれはおられますでしょう。そうした格差ですね、本当に格差を是正していくような、年齢内格差そして若い世代との格差を是正していくような保険料の組み方というのはあり得ると思いますので、さっき先生がおっしゃったように、四千円が五千円にすぐなっちゃうとかと言われますと、国民は、そんな、びっくり、これで医療保険の保険料も取られ介護保険が五千円なんてと思ってしまいますから、そこはやはり有識者の知恵で、本当にみんなが安心できる保険料設定あるいは税の投入ということを改めてぜひまたお考えいただきたいと思います。
さて、お待たせいたしました、樋口先生にお伺いいたします。
樋口先生や昨日の沖藤さん等々のパワーある女性先輩を見ておりますと、本当にこういう方々によって介護保険がこの社会に生まれたんだと思い、感動もいたします。しかし、これがちょっと迷走をして、二度の介護報酬改定等々で十分育っていけなくなっておる、つまずいておるというところがあると思います。
私はもう一つつまずいた点があると思うんですが、実は、それまでは各地で有償ボランティアという形でも介護にかかわってくださる方もいらしたけれども、これもまた少し立ち行かない。そして、本来は、若い人たちにきちんとした職として、仕事として、キャリアとして認めてあげる方も成り立たない。どっち立たずになっているような気もするんです。
ここは大変複雑な質問で恐縮ですが、しかし、介護がエリアで、面で維持されねばならないさまざまな問題を抱えているので、このあたりはどう考えてこの先を打開していったらいいか、私はぜひ樋口先生のいいアイデアを伺いたいんです。お願いします。
○樋口参考人 これは、いいアイデアとおっしゃられましても、国会議員もお困りになるんですから、私どももやはりそううまい考えはございません。
いろいろな考え方がございますから、例えば、私が今ここで申し上げることも、今の世ですからやみ討ちにも遭いませんけれども、ある派の方からは、とんでもないことを樋口が参考人に呼ばれて口走って帰ってきたといって非難の的になるのではないかと思っております。
でございますから、私どものこの要望書をごらんいただけばわかるわけですけれども、私どもは、あくまでも三万円法でございましたけれども、これはやはり緊急的な措置として、むしろ五年の時限でいい。五年と書いてなかったですか。なかったとすれば、もう本当に五年ぐらいの時限のつもりで、その間に、五年かければ、みんなの知恵を集めれば、まだ介護というものの専門性の、ある意味で標準化もされておりません。そして、その介護というものが、では、他の職種、医師、特に看護師たちとどういう違いがあり、どういう別な専門性を持つか、こういうこともさんざん言われていながら、まだ経験の蓄積が、やっと九年でございますから、まだ十分されていない。
そういう経験をきちんと蓄積した上で分析し、介護という専門職に対する評価をきちんとした上で、例えば看護師さんの時給の、私は一〇〇%とはいかないと思うんですけれども、これはまた一〇〇%であるべしという御意見もございます。私は、看護職に比べて何十%でよろしいと思っておりますけれども。そして、教育年限をどうするかこうするか。介護福祉士のあり方検討委員会とかそういうところもございますけれども、五年の間に介護福祉士の専門性をきちんと固めて、そこに評価した給与を支払っていく、これが第一段階です。
〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕
その第二段階では、介護に携わる人は全部、介護福祉士ないしそれに準ずる資格を持った人でなければならないか。
ここで意見は二つに大きく分かれます。養成校の方や介護福祉士を育てていらっしゃる学校の学者、研究者の方々などは、むしろそれだけでいいのだ、厚労省も、割にそれだけでいいのだというお考えだったというふうに私は見ております。ただ、それでは介護に携わる人は足りない、これは私の実感でございます。
介護というのは、もっともっと国民が広く参加して、一時、有償ボランティアという言葉が使われましたけれども、これが、先ほど私が申し上げました、日本はまことに情けない国で、これはもうぜひ変えていこうと今、別な方面でも努力いたしておりますけれども、妊娠した女性の何と七割が出産までに職場をやめざるを得ない国でございます。こんな国は先進国の中で一カ国もございません。大体、妊娠、出産と仕事とが両立しております。
ただ、日本は、少なくとも現状までは妊娠、出産と仕事の両立ができないで、それが少子化の原因にもなっているわけでございますけれども、とにかくそこでやめていく女性の人材がごまんといる。このごまんといる優秀な人材が介護の世界に入ってくる、あるいは保育のサポートに入ってくる、これは私はすばらしいことだと思っております。やめるのはすばらしくないことだけれども、せめて次善の策として再チャレンジで介護の世界に入ってきてほしい。
ただ、家庭の主婦となった方に二年間の二千時間近い教育を一気に受けろと言う。ですから、ぜひ先生方にお願いいたします。こうした中高年の主婦を中心とする人の再チャレンジのために、ぜひ奨学金制度をつくっていただきたい。国立の医科大学はあります。国立看護学校はございます。国費で介護福祉士を養成する学校が、村川先生のところがそうかといえばそうかもしれませんけれども、もうちょっと高度の仕事をなさる方の養成のようでございます。本当にぜひ国費で介護職を養成してほしい。
そのときに、この二千時間近い養成時間を経なくてはいけないかどうかというと、今、現場経験とそれから国家試験によって資格を得ることができます。それから、今までは、三級は廃止されましたけれども、現に訪問系で働いている人のかなりの方は二級ヘルパーでございまして、一級ヘルパーもおられます。
こういう方々は、資格はそう高くないかもしれないけれども、実にいい仕事もしておりますし、看護や医療とちょっと違うと思うのは、介護というのは非常に日常性というのがやはり高いということ。その日常性のベテランとしてこういう方々を大いに活用していただきたいし、そうなった場合に、全く同じ賃金を払えと言うべきかどうかということ、私は若干の疑問を持っております。にもかかわらず、そういう方々もスーパーのレジ打ちよりは若干高い時給を払っていただきたいし。
ですから、私自身は、こんなことを言うと、樋口はいつから軍国主義になったかと言われそうですけれども、私は軍国主義では絶対ありません。軍国おじさんというのは別な方で、私は平和おばさんでございます。でも、軍隊組織が、言ってみれば、幹部の隊員がいる、一方で、何かあったときに、志願兵というのかボランティア、ボランティアのもとの意味は志願兵でございますから、そこにたくさんいて、しかし一定の訓練を受けて、そして国の守りを行っていく。
私は、現在、日本における国の安全と防衛というのは、いわゆる安全保障の意味もさることながら、人生百年に拡大したこの人生の中で、人間が老いて尊厳を持って生涯を終わっていく、これも立派な人間の安全保障だと思っております。そして、この人間の安全保障の部分が大変拡大していくのがこれからの約三十年でございます。この時期におきましては、私はやはり、志願兵的と言ったらちょっと言葉が悪いのですけれども、中途からいろいろな人を訓練して、しかし、そのとき職務分担をどうするか。そういう人たちも健康管理とかあるいは年金につながるとか、そういうことはきちんとした上で、介護の中をもう少し二段階ぐらいに分けてもいいのではないかと思っております。
これで帰りは袋だたきです。確実です。
〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕
○阿部(知)委員 済みません、苦しいことを言わせて。
私も、中核を担う人材は日本はもっと遇するべきで、それは給与もそうですし、身分もそうです。実は、清水さんにその点を伺おうといたしましたが、先ほどのお話の中で、福祉職の俸給表の話を出されました。これは、国家公務員の俸給表に準じてというのが指針にも出ておりますので、国会議員としては、ぜひ立法化に、何とか与野党の合意でしていきたいと思います。そして、それらがあってもなお、やはり介護というのは日常だから、足りない部分を広くもっとみんなで担えるアイデアをぜひこれからも求めていきたいと思います。
ありがとうございます。
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