予算委員会 第2号(平成20年1月28日(月曜日)) 抜粋

案件:
 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十九年度一般会計補正予算(第1号)

 平成十九年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)

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〔前略〕

逢沢委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。
 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 冒頭、通告外のことですが、総理がダボスからお帰りでありましたし、私は、けさ、部屋に、総理がダボスで御発言になったことのあらあらを拝読いたしまして、その上でお伺いをいたします。
 まず、恐縮ですが、総理にお伺いしたいので、それも複雑なことではございませんので、ぜひ総理にお願いいたします。
 まず、総理は、アメリカの元副大統領で、大統領候補でもあったアル・ゴアという方のつくられた「不都合な真実」という映画をごらんになったことがあるかどうか。そして、私はぜひ、実は、ダボスの場では、そのアル・ゴアが提唱しております排出権の取引、すなわち排出権というものを、ある市場にして、取引をしていくことで経済の中に組み込んで、排出削減をすれば経済的にもメリットが出てくるということを提唱していると思いました。
 総理は、この点についてはどんなお考えでありましょう。

福田内閣総理大臣 映画は見ました。
 排出権について申し上げれば、排出権に対する評価、これはまだ確定はしていないと思います。それは、いいところもあると思います。しかし、排出権をマーケットに出して、そして市場価格で決めるとかいうようなことについて、果たしてそれでいいのかどうか。これもよく考えなければいけない問題があると思います。環境対策として、排出権が決め手であるというわけでもないんだろうと思います。また、さまざまな努力をした中で、排出権という問題を取り上げて考えるべきものだというように今は考えておるところでございます。

阿部(知)委員 この点は、総理とも、これから洞爺湖サミットに向けて、日本が環境でどんな発信をしていくかということとも絡んで、大変重要だと思います。
 私は、せんだっても申しましたが、環境問題にかかわることが経済的にデメリット、損なんだという考えをどこかで転換していかないと、この時代の大きな環境問題には対処していけないと思いますので、ぜひ総理にはこれからもお考えをいただきたいと思います。
 では、引き続いて、先ほど高橋さんが渾身のお訴えをなさった後期高齢者医療制度、私も、これを四月から開始していただいてはどうしても困ると思う立場から質疑をさせていただきます。
 まず、高橋さんは、国民の多くが怒っている、本当にこれはひどい制度だというお話をしてくださいましたが、しかし一方で、私は、この制度がどんなものであるかを知った人は怒りがわいてくる、だけれども、果たして、御高齢者のどのくらいの人が、当事者である七十五歳以上のどのくらいの人が、あなたがこの四月からこの制度に変わるんですということを御存じであるだろうかということをすごく疑問に思います。
 福田総理、申しわけありませんが、想像で結構です、七十五歳以上の方、制度が変わるんだ、保険証も変わるんだ、そして受けられる医療も別枠なんだということを果たしてどの程度御存じだと思われますでしょう。

福田内閣総理大臣 なかなか難しい質問でございますけれども、七十五歳以上の、私もそんなに遠くないところでありますので、自分のこととして考えた場合に、さあ、余りよく知られていないかもしれないというような感じがいたしますので、もしそうであるならば、これをよく周知徹底するような努力をしなければいけないと思っております。当然のことでございます。

阿部(知)委員 総理は、非常に正直なお答えであったと思います。
 私は、この制度が二年近く前に強行採決で決まりましてから、折あれば地域で老人会に行ったり、あるいはミニ集会を持ったりして、そういう御高齢者の皆さんにお話をしています。でも、二年近くたちましたが、もちろん、私が自分の地元を回り切れないという時間制約もあるかもしれませんが、三十人くらい、例えば、わかやぎ会という御高齢者の会に呼んでいただいてお話しする場を得ても、ほとんどお一人か二人、多くて三人、一割ではないかなと思います。それも、名前を知っているというくらいで、ああ、聞いたことあるというくらいで、ほとんど御存じありません。
 実は、私は、きょう高橋さんがこの場でお取り上げくださったことはとても感謝していて、もしかして、ここの予算委員会のメンバーだって、この制度についてまだまだ御存じないのではないかと、失礼ながら思ってしまいます。というのは、私や高橋さんは厚生労働委員会に所属して、この審議は本当にもう熱心に何度も何度も取り上げて、絶対これは高齢者にとっていい制度じゃないからと訴えました。当時、小泉総理大臣でした。そして、強行採決がなされて、準備期間二年近くで、いざスタートしようとする段になっても、やはり私は皆さんが御存じないのではないかと思ってしまいます。
 そこで、きょうはおさらいになるかもしれませんが、皆さんに少し、私がつくったパネルなどを利用して御説明をさせていただきます。
 まず、総
理にこれもお伺いしたいですが、この制度の発足に当たって、社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会というところで、後期高齢者の心身の特性、後期高齢者とはどんなものであるか、心と体の特性ということが挙げられました。どんな特性であるというふうに定義づけられたか、御存じでしょうか。お願いします。総理にお願いします。プリントがありますので、読んでいただいても結構です。

    〔委員長退席、田野瀬委員長代理着席〕

福田内閣総理大臣 私、勉強不足で知らなかったんですけれども。

阿部(知)委員 私は、総理が勉強不足というよりも、みんなまだわからないんだろうなと思います。
 そこで、もう一度、恐縮ですが、私は、この三つの特性というものを読んだときに、いかに御高齢者にとって失礼であり、そして、生きていく気力をなくさせるような制度であるかということで、まず強く反対いたしました。
 一つは、老化に伴って体の機能が落ちて、治療が長期化したり複数疾患にかかっているだろうと。そう言われれば、そうかもしれません。二つが、その高齢者には痴呆が多いんだよ、ぼけているんじゃないの。三つ目が、もっとひどいんですね、「この制度の中で、いずれ避けることができない死を迎える」。まあ事実です。人間は、みんな死出に向かう旅人ですから。
 しかし、あなたは治らない病気を持って、ぼけていることも多くて、死に向かう、その制度の中にいます、こんなことを言われて、ああそうですか、私はそういう人間なんですかと七十五歳以上の人が思うとしたら、また思わせられるとしたら、私は、それは人権の侵害だし、総理だってそうだと思います、舛添大臣だってそうだと思います、七十五歳以上になっても何か役に立ちたい、現役並みにばりばり働きたい。それがこの国のモデルだったはずです、エージレスに働こうと。私だって、元気だったらそうしたいです。でも、今挙げたような三つの特性が挙げられて、そこにあなたは行くんだよと言われる制度です。
 では、この制度にかかわる人たちのあらあらの試算がどんなものであるかということで、これも皆様のお手元に二枚目の資料がございます。
 後期高齢者、二〇〇八年の四月段階で一千三百万人と予想されますが、この中では、現在、国民健康保険にお入りの方、一千百万人。そして、六十五歳から七十四歳、お年は若いけれども障害をお持ちの方、約百万人。さらには、子供さんに扶養されていて今保険料をお払いでない二百万人、孝行息子や孝行娘といる二百万人、そしてさらに、現在では、働いておられる七十五歳以上の方三十万人も含めて、さあさあ、みんな、もうすぐぼけるよ、慢性の病気だよ、ごめんなさい、そう厚生労働省が言うんだから、そして死が避けられないよと、こういう仕組みの中に一くくりに抱え込むわけです。
 そして、総理、よく聞いてください。この働いている人は、現在、政府管掌保険とか組合健康保険に入っておられるんです。でも、もうそれもだめなんです。あなたは七十五だから、もう否やはなく、後期高齢者医療制度の中で死ななきゃいけない、組合健康保険の中で死んではいけない、こういうふうになるわけです。こんな制度だと、正直言って、総理、御存じでしたか。お願いします。直截な言葉で結構です。これは意外と審議の中でも出ておりませんでした。
 でも、日本人って本当に堅実だから、後期高齢者でも百万人が働いておられます、一割が。そういう国なんです。そして、そういう国を目指してきたんです。三十万人は今健康保険組合や政管健保、残り七十万人は、例えば農業者であったり、ほかの制度の中かもしれません。でも、現実にそうやって働いている。働いていてももうすぐ死ぬ保険、それはおかしいし、概念を変える必要があると思います。
 総理が総裁選に出るときに、この後期高齢者制度の二百万人の保険料凍結を言われました。問題はここにもありますが、概念、考え方が私は余りにも人を惨めにする、寒くする、寂しくすると思いますが、いかがでしょうか。
 ごめんなさい、大臣、それではいいですか。

    〔田野瀬委員長代理退席、委員長着席〕

舛添国務大臣 阿部委員のおっしゃることもよくわかりますけれども、最初に出された「後期高齢者の心身の特性」、これは一般的にそういうことを言っているので、七十五歳以上、病気になりなさいとかぼけになりなさいということではなくて、私も、本当に死ぬまで生き生きと働いていただく、そういうことを目指すべきだと思っています。
 そして、例えば、今政府管掌健保とか組合健保で、現役でまさに働いておられる方が、この制度に入った途端に、極めて惨めになったり保険料の支払いが倍増したりとかいうことであれば、これは問題がありますけれども、福田内閣、安心と希望ということで、そしてこのスローガンを掲げて一生懸命政府を挙げてやっておりますので、気持ちのところは阿部委員と同じで、さらにいい制度にしていきたいと思います。

阿部(知)委員 舛添さんは本当に、平易な言葉で、またお気持ちも優しい方ですから、私は反論したくないんですけれども、でも、今、大臣の認識にも間違いがあります。
 ここの働いている方、組合健保や政府管掌保険の方は、こちらの後期高齢者医療制度に来た途端、保険料は二倍になります。だって、大臣御存じでしょう、こっちだったら企業主が半分出しているんです。こっちに来たら、まともに全額自分です。保険料がふえたりじゃなくて、ふえるでしょう。
 そして、きょう私は、もう一つ言わせていただきたい。今、女性の平均年齢は八十六歳になんなんとする。この制度の中で十年生きるんですよ。この制度の中で死ぬんじゃないんですね。この制度の中で生きるんですよ。そういう保険として、この制度はすごく選択肢が、あなたは治りたいですか、あるいは安らかに死にたいですか、この二つしかないんです。
 さっき高橋さんが、その支払い方式、かかりつけ医などについてお話しになりましたけれども、これも問題ですので最後にやらせていただきますが、保険料は上がる、医療の質は下がる。下がるその大きな理由は、あなたはもう死が間近であるという前提がくっついているからなんです。
 保険料のお話に行かせていただきます。
 皆さんのお手元に「東京都内の国保と新保険料の差」というグラフを出してあります。今私は組合健保などで働いている方が二倍になるよと言いましたが、国保の方と比べてみます。
 お手元にある資料、これはたまたま東京都です、東京都のデータを私が入手することができたので。ただ、全国のデータはどうか、特に所得別に、今ある保険料より重くなるのかどうか、厚生労働省は知っているのかと伺いました。データがない、知らないんです。だから問題なんです。
 ここには、下に年収がございます。端から二本目、年収百七十万円の方、大体、月額の年金、十五万円くらいでしょうか。この方は、現在の国保と比べて保険料は二・数倍。今の国保だって重いんです。国保を払うのは大変なんです。それに、決して高所得層ではありません、百七十万円。次の二百万円の方も二倍近いです。そして、東京都のデータだけとれば、年収が六百十万、七百三十万の人は今度の方が少し軽くなります。なぜこういうことが起こるかというと、東京都では、所得の少ない、収入の少ない人には横出しして保険料を補てんしているからです。でも、今度の制度では、横出しなし、広域連合というものをつくった中で保険料が決められます。
 大臣、お願いがあります。全国で調査してみてください。これは、私がたまたま東京都のデータを使ってつくった。だけれども、厚労省は知らない、申しわけないが、データを集めていない。こんなことで本当に国民の命や暮らしに責任を持てるかどうか不安です。お願いします。

舛添国務大臣 今、阿部委員が出された東京都の例は、一つは、今おっしゃったようにかなりの公費が都から入っている。それから、保険料の算定方式で、所得税じゃなくて住民税をとっている、そういう要因がございます。したがって、そうじゃない場合にどうなるかというのは、一般的には申し上げられますけれども、これはきちんと調査をして、統計が出次第、また御説明申し上げたいと思います。

阿部(知)委員 そういうのはこの制度が始まる前にやってもらわなきゃ困るんです。制度が始まって人が死んでから、先ほどの、年金が一万五千円の方がもし七千円出したら、残るお金で食費だってないでしょう。そんなところまで追い込んでからでは遅いんです。
 大臣、そこは大臣らしく、本当にこのデータが出るまではこんな制度は開始しないんだと言ってほしいですが、どうですか。

舛添国務大臣 調査は調査で行いますけれども、これはきちんと国会の場で法律が通った、そのことをもとにして行っているわけであります。しかしながら、福田内閣においてさまざまな激変緩和措置をやる、そして私は、調査が出次第、それぞれの自治体においてきちんと激変緩和のための措置をとっていただくように指示を出したいと思います。

阿部(知)委員 今、自治体にそんなお金がないから問題なんですよ、大臣。そんなことを言ってもらっては、予算委員会らしくない。自治体にそれだけのお金が出せれば出したいです。
 ちなみに、横出しを現在している自治体の数は千七百九十五分の千二百。ほとんどの自治体で現在では国保に持ち出しをしているんです。だけれども、これからも出し続けられるかどうか。本当に、自治体の財政は御存じだと思います。高齢者はふえてくる、それをおまえらが補てんしろという形で丸投げして、もう財源がそこには入れられない、その状態が迫っているから私はきょう取り上げさせていただいたんです。
 そして、時間の関係できょう最後になりますでしょうか、皆さんのお手元に「主な救急搬送拒否事例」というものを上げております。救急車のたらい回し問題は、私以外にも公明党もお取り上げいただきました。他の党もお取り上げいただきましたが、私は、これを後期高齢者という観点から取り上げたいと思います。
 この間の新聞報道、二〇〇六年八月八日から二〇〇八年の一月八日まで、一年半ほどの間に、新聞事案だけでも十二の救急搬送で搬送されずに、世で言うたらい回しされて亡くなった事案があります。何と、この中の半数が七十五歳以上の高齢者であります。
 ちなみに、うちの藤沢ですが、私は消防隊に行って聞いてみました、普通の救急車に乗る人の中で七十五歳以上の比率はどんなものですかと。七十五歳以上は二七%という数字でありました。その普通の搬送というか、救急搬送ですよ、そのパーセンテージに比べても、たらい回しされて亡くなっていく方の数が七十五歳以上は多いんです。
 私は、この理由をきちんと読み解かなければ、七十五歳以上の人がこれから後期高齢者医療制度になって、まして保険証をなくしたとき、払えなくて保険証がなくなったとき、年金天引きで八割、ほかは自分が窓口で払うといいますが、本当に、大臣、大体何割の人が窓口になると思いますか。
 厚生労働省はデータがありません。六十五歳以上で二割だそうです。七十五歳以上の人は、年金天引きと言われても年金がないから自分で払うという人の数、これも厚労省は出しません。どれくらいでしょう。それだけきょう伺います。そして、次回にまた続けます。

逢沢委員長 厚生労働省水田保険局長、時間が参っておりますので、短時間にお願いします。

水田政府参考人 お答えいたします。
 年金天引きにつきましては、この一月に市町村から社会保険庁に対して要請をするわけでありまして、その時点で数字が明らかになろうかと思います。

阿部(知)委員 何にもわかっていない制度を始めることほど酷なことはありません。
 終わります。


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