第151回国会 環境委員会 第8号(2001/4/3)抜粋 案件: 政府参考人出頭要求に関する件 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法案(内閣提出第三七号) 環境事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子と申します。私は、もともと子供の医者でございます。
昨年の十二月でございましたが、環境庁、ことしになりましてからは省ですが、当時の環境庁の調査で、いわゆる臍帯の中にPCBを初めとするいろいろな化学的汚染物質の移行が確認されたという報道がなされておりますが、きょう、こうした委員会が開かれますことも、そうした次世代への影響が私どもの非常に強い関心にあって、やはりこの処理問題はどうしてでも解決していかなければならない時期に差しかかっているという認識から、幾つかの質問をさせていただきます。
私で、きょう参考人に御質問させていただくのは最後ですが、これまでの五人の皆さんの御質問等々伺いますと、やはりキーワードは、安全と安心と住民合意という、どなたもそこに力点を置かれて聞いておられます。私も、安全、安心、住民合意について、おのおのの四方にお伺いいたします。
まず、一番目は森田先生にお伺いいたします。
きょうお示しいただきましたレジュメも非常に簡略にまとまっておりますし、改めて勉強させていただいた思いがいたしますが、いわゆるPCBについての認識が、わずかこの三十年、四十年の間でもこれだけ変遷を重ねてまいりまして、当初認識されていた毒性とは大きに違いが出ているということも、ここで先生がお話しくださいました。
そして、そうした危険性の再評価も大切であろうというお話をしてくださいましたが、その場合に、いわゆる危険性ということを評価するための必要なモニタリングということが非常に重要になってくると思います。いわゆる土壌、大気、水等々にあわせて生物モニターを用いる、例えば貝類とか、そういうこともあろうかと思いますが、先生として、お考えの中で、これからまた未知の毒性も出るやもしれませんこういう化学物質についてのモニタリングのあり方というのを一点お聞かせください。
それからもう一つ、先生のお話の中できょう勉強になりましたのは、高砂市で実際に住民合意のもとに処理工場がうまく機能した例があるとおっしゃいましたが、この場合には、一体何をモニタリングしておったか。十年前だから土壌とか大気とかはしていませんでしたよ、それでも住民合意は得られましたよということかもしれませんが、そのあたり、どういう点がこの高砂市では実際に、現実にうまくいった原点であるか、その二点ついて、まずお伺いいたします。
○森田参考人 まず、モニタリングとしては、何を観察するかということと若干関係してくるんですが、日本全体の人の汚染がどういうふうに推移していくか、そして、そのリスクがどうなっていくかという、そういったタイプのモニタリングという点に関していえば、人を材料としたモニタリング、例えば母乳のモニタリングであるとか血液のモニタリングとかあるいは臍帯といった、どちらかというと捨てても構わないようなそういうサンプルを使ったモニタリングがあります。また、生物的な指標を使って、例えば貝だとか魚だとか鳥だとか、そういったものを使って蓄積状況の推移をはかるというモニタリングもあります。また、当然、トレンドが結構重要ですので、過去に振り返ってどうであったか、そういった形のモニタリングもございます。
私どもの研究所も、そういったことには結構これまで力を入れてやってきておりますし、また、これからもやっていく予定になっております。
それから、高砂のケースについてですが、高砂の場合というのは、まず一つは、住民の方々にとってもそこの部分に大量のPCBがあるということ自体が相当不安な材料であって、そういう意味では、まず、住民を含めて、そこにあるものを消すということが非常に重要な課題であったということがあります。
したがって、ここでもう一つの課題でありましたのは、せっかくいい施設をつくったのであるから、日本のほかのところにあるPCBもそこで焼いてはどうかという議論が当然あります。それの方が効率がいい、日本全体から見れば間違いなく効率がいいんですが、しかし、それは住民の合意が得られませんでしたので、そこにあったものだけがやり終えた段階でそのプラントは全部解体をする、そういう状況になります。
もう一つ、そこで行われた作業ですが、まず一つは、そういった焼却施設のシステムの安定性、それから、排出することを含めて、いろいろな条件を非常に厳密に規定して、そしてそのとおり運転する。運転管理を非常に厳密にやるということ、それを二年間やるということをまずやったこと。あわせて、排水、排ガスのモニタリングを実施して、確かにそこにないことを検討するということをやっております。
もともと、鐘化の工場自体相当PCBで汚染されて、もともとPCBを使っていたところでもありますし、それから、高砂市はそのほかに三菱製紙の工場などもあったりしまして、その付近の海域ももともと既に若干汚れていたということではありますが、そういったところに新たな負荷をしている形跡は見えなかったという状況であります。
以上です。
○阿部委員 大変ありがとうございます。
先生の研究所で母乳あるいは臍帯血等々のモニタリングも視野に入れながらトレンドを見るというお話でしたが、実はこれは、今般、もしも環境事業団が公的なかかわりをいたしますようになれば、当然国としてそうしたモニタリングを積極的に進めるべきと思いますし、また御助言を賜ればと思っております。
では二点目、酒井先生にお伺い申し上げます。
先生のきょうの御発言と、それから前もっていただきました先生の論文を読ませていただきました。趣旨といたしまして、大気汚染等々が心配されている以上に、現在、PCBが流出しているような形での汚染が非常に問題であるというお話を伺いました。そして、約一万一千台でしょうか、コンデンサーも行く先不明になっていると。
先生の御研究の中で、一番目の質問とも関係いたしますのですが、これまで、そういう行方不明になってしまったこととあわせて、各地域での環境モニタリング等々の実績はございましょうか。
先ほど先生は、イヌイットの女性の母乳のことをおっしゃいましたが、例えば全国各地の母乳を調べてみたとか、この県では不明が多かったとか、そういう日本のマッピングはございますでしょうか。PCBが三十年間放置され続けたことの環境負荷を具体的に指し示すようなデータがございましたら、お教えくださいませ。
○酒井参考人 私が不勉強かもわかりませんが、私の知る限り、そういう地域ごとのマッピングは、比較できるような形では存在しないかと思います。
ただ、散発的には、湖底あるいは海底とかの底質をモニタリングした例という形で、地域的にやはり高い場所があるというようなことを指し示すような結果というのはあろうかと思います。それは、国レベルでもこれまで行ってきている事例はあろうかと思います。ただ、全体を満遍なく調べて、それで全然穴がないというような形のものはちょっと私は存じ上げません。
○阿部委員 今般の法律の中では、地方自治体の関与ということが出てまいりますし、各地方自治体がこぞってPCBのちゃんとしたモニタリングをして、下げていくような努力をしてくれる向きに、また先生の研究も生かしていただければと思います。
三番目、浦野参考人にお伺いいたします。
一点目は、先生のおっしゃる、環境事業団等々の半ばオフィシャルな方式を用いた場合と、これまでの民間で処理していた場合の住民の参加、同意について、何か具体的に担保できるようなものがあるかというのが一点でございます。公共の事業団でした方が住民合意がうまくいくと考えさせられることが何かあるか。
それから、続けて二点で申しわけございませんが、もう一点は、皆さんの口にも上りましたカネミ油症のケースでございます。
実は私は、昨年の夏、五島列島に患者さんの検診に行ってまいりました。三十年前に主に皮膚症状を訴えていた患者さんたちは、今は、乳がんであるとかあるいは肝機能障害、慢性の肝臓障害であるとか老齢に伴ういろいろな神経合併症であるとか、当初予測した病態像とは全く異なるとすら言えるものを呈しておりまして、先生御提唱の患者さんのフォローアップ、必要によっては医療費の減免等々について、私は免除すべきものと思いますが、貴重なデータを与えてくださっている患者さんたちでもありますし、その辺についての先生の御進言を再度お願いいたします。
○浦野参考人 重要な点が二点、御指摘というか御質問があったと思うのですが、一つは、事業団というか国の関与した機関の方が住民合意が得られるのか、民間の方がいいのかという御質問、もう一つは、油症患者さん等のフォローの問題でございます。
実は、事業団がどういうところでどのぐらい事業を展開して、一カ所、北九州市という話は具体的に出ているのですが、その後どうされるのか、私は十分把握をしておりませんが、先ほど申し上げましたように、ある程度公共的なところでやらざるを得ない部分があると、全部ではありませんけれども。それはどこかでやらなきゃいけないとすれば、国が関与した事業団でもいいというふうに思っておりますが。
それをどこに立地するかは、変な話ですけれども、やはり住民合意の得られやすいところに多分立地を考えておられる。ですから、国がやっているということで安心感の得られるような、あるいは大企業の敷地の中の一部を使って、そこの敷地自身が町ぐらいの大きさがあるようなところもございますので、そういうところで物事をやる場合と、そうではなくて、それなりの人たちがいて、周辺住民が不安がある場合とで合意形成の仕方というのは随分違うだろう。
ですから、一律に、国がやれば合意形成が得やすいということには決してならないし、むしろ民間が幾つか拠点をつくってやる計画もあるようですけれども、民間の方々から伺っておりますと、やはり住民合意をどう得るか。逆に言うと、悪く言うと、おどしに来て、ゆすり、たかりみたいなのが来たりすることもあるわけですので、そういうことまで踏まえて、大変慎重に一生懸命な努力をしている企業も出てきております。ですから、場合によっては民間ベースでやった方が、むしろ日常的に周辺住民と交流している民間企業がやった方がいい場合もあり得る。ですから、その地域地域、設備ごとにいろいろな対応をやっていく。
私、実はリスクコミュニケーションのガイドというのを旧環境庁と通産省から委託を受けて三年間日本化学会でやってまいりまして、今度、全体として本を出版することになっておりますけれども、そういったことも踏まえて、どちらにしても、民間がやるにしても国がやるにしても、特に地元自治体がいろいろ関与しないと住民との合意は得られないので、自治体の方々の意識改革というのがやはり非常に重要だというふうに思っております。
それから油症患者さんは、本当に不幸にして、ある意味では貴重な医学的な資料と言っては恐縮ですけれども、情報を与えてくださる方々ですし、大変御苦労もされていることも事実でございますので、これについては、しっかりとした、これこそ国の、もちろん民間の製造業者等も責任はございますけれども、裁判で一たんの決着がついているということも、裁判というか合意をしたわけですので、残りの部分について、これは単に日本だけのためではなくて、世界でもいろいろなこういった問題で被害を受けている方がおられるわけです。処理技術だけでなく、この被害の実態、あるいはその後の影響についても日本がしっかりとした対応をとって、世界にも貢献すべきものだというふうに思っております。
○阿部委員 大変ありがとうございました。
最後に村田参考人になりますが、私どもがお願いいたしましたので、時間がございませんのであえて質問を省略させていただいて、ただ一点、やはり保管と使用と処分の間にはほとんど差がない、ぐるぐる回っておるので、処分、廃棄だけを処理してもしようがないということを教えていただきましたことをお礼申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございます。
【中略】○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子と申します。
私は、本来、環境委員会所属ではございませんが、実は、先ほども申しましたが、二十六年間小児科の医者をやっておりまして、あわせて、いろいろなこうした化学物質の人体への影響、臨床疫学というものに従事してまいりました立場から、今般のこの法案について実は非常に危惧を持っておりまして、あえて私どもの原委員並びに金子委員の好意で、私のこの時間を差しかえていただきました。
そして、きょう、私の質問でこの委員会が終わり、採決に移るものと思いますが、ぜひとも川口大臣には、もう一度原点に立ち返っての御答弁をお願いいたします。
まず第一点、恐らく、このPCBという問題が我が国の政治の中で論じられますときに、午前中そして午後も話題になっておりましたカネミ油症の患者さんたちは、いわば身も縮む思いでお聞きになっているのではないかなと私自身強く思います。
そしてまた、先ほども、これから予定されている環境事業団の当初の予定地が北九州市であり、藤木委員の御質問にもございましたが、住民合意の問題を重々に考慮されるようにという御指摘でございましたが、まず第一弾、川口環境大臣は、この間、カネミ油症の患者さんたちに現実にお会いになりましたでしょうか。
○川口国務大臣 お会いいたしておりません。
○阿部委員 やはり政治というのは、人間の生きた思いと、それから、やはり納得、国民の安心、安全という点にございますから、会えばどうこうなるというものでもございませんけれども、やはり今般の、まさにカネミ油症あり、それゆえに三十年余にわたり遅延したPCB対策でもございますから、改めて、これはオフィシャルでも非公式でも構いません、環境大臣として、血の通った政治のためにもぜひともカネミ油症の患者さんたちに会っていただきたいと一点要望いたします。
そして、質問に入らせていただきます。
私は、ずっと皆様の質問を承りながら、やはりこの法案は根本的な欠陥を持っていると思っております。どういうことかと申しますと、これは、PCBの出口法案、いわゆる廃棄物となってから以降の、あるいは廃棄物とされるべく保管されて以降の処理や安全性に関する法案でございます。しかしながら、既にカネミ油症もそうでございますし、先般のベルギーの食肉の汚染もいわば混入という形で起こったPCB禍でございます。あるいはまた、これは非意図的製造ないしは混入でございます。
ここで問題にされているのは、すべて意図的な製造、それから、それが保管、処分、廃棄に回った、そこから始まっておりまして、先ほどの午前中の村田参考人のお話の中でも、実は、使用中か、リサイクルされてまた使用に回るものか、使用、保管、処分の間も境目があいまいでございます。そして、現実には小学校等々で蛍光灯も使われている。
そういたしますと、本来的に国民の安全性という見地に立ちましたらば、混入する可能性もある、使用中のものもある、保管の問題もある、処分の問題、廃棄の問題もあるというふうに立てば、本来この法案は、PCB対策特別法、これは私のつくった仮称でございます、としてより包括的な概念の中で法案形成をされるべきと思いますが、なぜ、出口のところ、廃棄物ということに限ってこの法案を作成されたか。
これは何度も申しますが、カネミ油症の患者さんたちのPCBは、これは混入したものでございます。そして、そうした事態がきっかけになりこの問題が国民にも提起され、政治の俎上にも上りました。そのこともかんがみた上でのお返事をいただきとうございます。
○川口国務大臣 PCB廃棄物につきましては、今まで長い期間、処理の体制も整備ができなくて保管されたままになっていて、高濃度のPCBを含む高圧トランスですとかコンデンサーが紛失・不明をいたしまして、環境の汚染が懸念されるということでございますので、この特別措置法案によりまして、PCB廃棄物の保管、処分について必要な規制を行う、それとともに、処理のために必要な体制を整備するということで処理を推進する、そしてPCB廃棄物による環境汚染を防止しようということでございます。
このPCB廃棄物が長い期間保管をされたままになっているということは、先進国の中でも本当に日本固有の話でございますので、この処理を推進するということが国際的な観点からも非常に重要だと考えております。
PCBの処理ということでいいますと、既に廃棄物処理法で、国際的に見ましてもかなり低いレベルまで分解をするということが義務づけられております。それから、これが意図的な排出であるか、あるいは非意図的な排出であるかということを問わず、水質汚濁防止法で排水の規制をいたしております。それから、PCBの処理や廃棄物の焼却に伴うコプラナPCBの排出については、ダイオキシン類対策特別措置法で規制が実施をされているということでございます。
ということで、コプラナPCBを含めまして、PCBの対策としては、既に環境への排出規制は講じられているということでございます。
ただ、その一方で、環境への影響が非常に大きい高濃度のPCBを含む高圧トランスですとかコンデンサーについては処理が進んでいないということでございますので、その処理を速やかに進めることが大事であるというふうに考えております。
それから、PCBの製造、使用につきましては、化審法で、新たにPCBを製造する、使用するということはございませんで、既に製造された製品につきましては、耐用年数を過ぎて廃棄物として保管されるということになりまして、順次処理をされていくということになるわけでございます。
したがいまして、ダイオキシン類対策特別措置法による規制措置、既にあるわけでございますし、それと今回の特別措置法というのが両方相まって、PCBの環境への排出による汚染を総合的に防止することが可能だというふうに考えております。
○阿部委員 私の質問の趣旨をもう一度申します。お返事はもう結構ですから。
PCB特別対策法として包括的に、特に使用中のものの使用停止期限も定めてつくるべきであるということと、混入時の対策もうたうべきであるというふうに受けとめていただければ幸いです。
そして、近くPOPs条約を我が国が批准する段になりますと、毒性の見直しということが、特にPCBは歴史がございまして、ダイオキシン類、コプラナPCBとしての毒性換算をした場合に、現在の毒性のADIでは違いが出てまいると思います。この毒性の見直しの計画について、申しわけございませんが、短目にお願いいたします。
○岩尾政府参考人 PCBの毒性評価については、厚生省が昭和四十七年に暫定的に決めた一日許容摂取量がございます。環境省としては、化学物質の環境リスク評価を推進するために有害性の評価を実施しておりますが、現在のところ、この厚生省の定めた暫定的な基準を見直す必要があると判断できるだけのPCB全体の毒性情報を把握していないことから、PCBを環境リスク評価の対象とする予定はございません。
なお、今後PCBの毒性等について知見の収集等に努め、新たな科学的知見が得られた場合には適切に対処してまいりたいと考えております。
○阿部委員 その点に関しましては、本日の午前中の参考人の方どなたも述べておられましたけれども、PCBからジベンゾフランないしはコプラナPCBが純粋にPCBという形で分離されずに混入、一緒になっているということも含めて、ぜひとも毒性の再検討は必要ですから、今の点は、これでやりますと時間が詰まってまいりますので、環境省として、午前中の参考人の御意見をきちんと受けとめて対処していただきたいと思います。ここでそうしたことの一つ一つが詰められなければ、言葉で幾ら安心、安全と申しましても、ちっとも安全じゃないし、国民にとっては不安が増すということにもなってまいります。
続いて、法案に戻らせていただきますが、実はこの法案は、安全性をうたいながら、安全性の指標として何をチェックしていくか、何をモニターしていくかについては全く言及されておりません。
これも午前中の参考人の皆さんのお話をまとめますと、例えば土壌、大気、河川あるいは貝、ムラサキガイ等々、そうしたものをモニターする必要もあると私は受けとめましたが、しかし、これも酒井参考人に伺いましたところ、我が国のそれらの汚染状況について現状のデータがない、私はマッピングがないというふうに確認いたしましたけれども、これも大変恐ろしいことでございます。基礎データがないところに処理がさらに加わり、いい方に向かうか悪い方に向かうかは、比較するデータがなければ結局は物が言えません。
この全国モニタリングの項目並びに体制について、所轄の官庁からこの法案に伴うお考えを伺いたいと思います。
○岩尾政府参考人 環境省では昭和四十九年から化学物質汚染実態調査を行っておりまして、PCBについては、昭和五十三年から生物モニタリング調査の一環として生物中のPCB濃度の調査を全国二十二の地点で実施しております。現在まで、魚のスズキそれからムラサキガイ、ウミネコなどを対象に調査を進めております。
○阿部委員 実は、私は神奈川の藤沢というところで選出されておりますが、この間大変騒がれております荏原製作所のダイオキシンの流出事故に伴って、以降、住民の血液や母乳中濃度、あるいはまた土壌中、河川中もきちんとはかるようにという強い要望が住民から出ております。そして、何度も申し上げますが、今おっしゃったような指標だけではこの問題は大変に不十分でございます。現実に毎年毎年新たにわかってくる毒性あるいは危険性について、十分な納得を住民から得ないと事は進められないという観点から、既にダイオキシン類で実施されているようなモニターもぜひともあわせて、確かにPCBの方が相対としてはダイオキシンより毒性は低いと今のところ言われておりますが、これはモニターしてみないとわからない現実もございますので、あわせてモニタリング項目の増加を要求いたします。
引き続いて、カネミ油症を振り返りまして、健康被害ということについてもお伺いいたします。
カネミ油症は非常に独特な食品公害、いわゆるPCBをこれほど大量に直に食べた例などほかにございませんので、患者さんたちも長年のPCB禍に苦しんでおられます。先ほどのモニタリングの関連とあわせて申しますれば、例えばPCBの関連の処理工場で働く労働者の皆さん等々の健康被害のデータも、これは健康被害というふうに判明しなくても、健康検査状況の推移、例えば三十年たったらほかよりも発がん性が高かったとか、十五年たったときに肝機能障害が多かったとか、そうしたことは、実は私たちにとって未知の化学物質であるがゆえに、一つ一つが、その工場内で働く勤労者の皆さん、そして不幸にも食べさせられてしまったカネミの患者さんの健康調査も、そしてあわせて周辺住民の健康調査も非常に重要な一つ一つのデータとなると思います。
所轄の厚生省におきましては、健康モニタリングということをどのようにこの法案に伴って、環境省の提案でございますが、お考えであるか。特に勤労者、工場労働者と申しましょうか、その辺についてのお考えをお聞かせください。
○尾嵜政府参考人 御質問は勤労者ということでございますが、想定しておりました御質問とは全く違った御質問で恐縮でございますが、厚生省といたしまして、私の立場から申し上げますと、カネミ油症の患者さんの研究を担当している部署でございます。
そういった立場からは、食品という観点からの研究なりをやっておりますけれども、今回の法案に絡みまして、厚生省として、今お聞きしましたPCBの人体影響についてモニタリングするということについては議論をしたことがございませんし、この法案の通った後の全体の対応につきましては、一義的には環境省が御検討なさる事柄ではないか、そういうふうに承知しております。
○阿部委員 これは、例えば原発施設で働く勤労者の問題もダイオキシン処理解体工場で働く勤労者の問題も、今般、環境事業団がやるにしろ民営化されるにしろ、その現場で働く勤労者の健康被害という観点からも、それは周辺住民を必ずや上回るものでございますから、厚生省として、健康管理の省庁としてそうした計画をぜひともお立ていただきますように、また法案については、私どもの党からも附帯でお願いするように取り計らってございますので、あわせて御検討をよろしくお願いいたします。
そして、カネミ油症のことに関しましては、お答えを用意していただきましたようですので、あわせて再質問をさせていただきますが、実は、このカネミ油症と言われるケースにつきましては、午前中も申し上げましたが、当初は皮膚の症状、有害なものを食べたために体が排出しようとする皮膚の症状で露見、発覚いたしました。しかしながら、その後の三十数年、このPCBが長きにわたり体に残留するという特殊な毒物であったがゆえに、午前中も申しましたが、肝臓が悪くなる、免疫系が侵され、がんができる、そして神経系にもおくれた影響が出る等々がございます。
きょう、私が大変御無理を申し上げまして、農水大臣に御出席をお願いしたいと申し上げましたが、かないませんで、副大臣が御出席くださいましたので、副大臣にお聞きいたしますが、実は、当時、皮膚症状を主に認定された患者さんたちが、その後の訴訟の経過で、一応国の責任なしと認められまして、一時金を国に払い戻すように命じられました。いろいろな事態の中で、十年間でゆっくりと返していいよということになりましたが、はてさて、患者さんたちは皆さん御高齢でありますし、あわせて慢性の障害に悩んでおられます。
そして、実は、現在のこの患者さんたちの治療費は出ておりません、カネミからは。なぜならば、当初の皮膚症状についての補償、治療費でございましたから、遷延性にどのような障害がくるかについては認識がなかったゆえに医療費は出ていない。老齢、医療にかからなくてはならない、生活苦、その中でお金の返済の問題が起きております。
私はぜひとも、今般のPCB法案がもしも成立するのであれば、高度な政治的な判断において、このことをきちんと、これは申しわけもなかったし、やはり現在も苦しんでおられるという状況の中で、この仮払金の徴収という事態を担当の農水の方で検討し直していただきたい。
そして、もしそれが法的に不可能であれば、せめて医療費のお支払い、これは現実に患者さんたちは非常に苦しんでおられますので、これは道義的、人道的見地からも、いわゆる人体実験、壮大な人体実験を起こした結果ですので、そのことをあわせて補償するようなことを、これを農水省に補償せよといっても無理がございますので、各省庁分割の中で話し合われないで、この法案の記念すべきやはり出発点として、現状に苦しむカネミ油症の後遺症の患者さんたちについての対策をしていただきたいという二点を、最初に農水省関連の副大臣に、そしてできれば川口大臣にお願いいたします。
○松岡副大臣 先生の御指摘の問題につきましては、経過につきましてはもう既に先生十分頭に、念頭に置いていただいた上での御質問と思いますので、結論の部分だけ申し上げますが、民事調停によりまして、それぞれ個別に返還しやすい方法といったようなことでなされてきたわけでありまして、そして、いよいよ十月が期限である、このような今状況になって、先生の御指摘でございます。
そこで、債権管理法におきましては、履行延期後十年を経過した後においても、無資力かつ弁済することができる見込みがないと認められた場合には債権を免除できる旨の規定があるわけでありまして、この規定に基づきまして、その時点における個々人の状況に応じ、関係省庁と協議の上、適切に対処してまいりたい、これが私どもの立場でございます。
○阿部委員 そのような認識では、恐らくこの法案を国民は安心して受け入れることができないと思います。
理由は、何が起こるかわからない薬物であるから、例えば医療費等々について、これは国がまるで責任がなかったかのように債権管理法というふうな言い方をされますが、ある意味で国が関与し、食品公害から人体公害へと広がった事態でございます。
当時の薬物の毒性の認識では確かに責任を問われなかったかもしれませんが、三十数年を経てみて、もし裁判で争われれば違う結果も出るやもしれない事態でございます。本当に、何かが起こっても、大丈夫、国が補償しますよということを言わない限り、実はPCBの処理も進まないという、この当たり前のことを政治家が理解するかどうかで、国の政治はいい向きにも悪い向きにも行くわけです。
私は、PCBは処理しなきゃいけないと思っています。ただしかし、そのことにおいて、かつて被害を受けた方たちが生活苦に苦しみ、あわせて合併症に苦しんでいるときにお金の取り立てをしていたのでは、国民から見えるものは、随分非情な、片一方で機密費には何億も使いながら、こうしたことの患者さんの生存にかかわることで、このようなつらい取り立てをする政治の仕組みということについて、省庁に分断されずに、もう一度政治家として皆さんお考えいただきたいと思います。
では、川口大臣お願いいたします。
○尾嵜政府参考人 環境大臣がお答えになる前に、医療費の関係について、若干私の方から御説明を申し上げます。
医療費につきましては、裁判が和解をされました後に、いわゆる認定患者さんにつきましては、カネミ倉庫の方から、入院なり治療に必要な医療費というものが支払われているという状況でございます。
先生の御指摘は、認定患者さん以外のことをお話しでございましたが、そこについては、医療費は御自分で負担していただくという状況になっているということでございます。
○阿部委員 今せっかくお答えをいただきましたので、それについても申し添えたいのですが、当時の基準で認定したものであって、認定という作業自身、例えば水俣病でもそうですが、遅発性にいろいろな症状があらわれることがございます。これも厚生省は経験で御存じですから、そのようないわば経験を学ばないことをおっしゃらないで、いろいろな症状が出てくる、逆に、受診していただく一つ一つがデータでございますから、そうした見地に立って、医療費はむしろ出してでも、助成してでもデータ収集をさせていただくくらいの感覚にならないと、とても現実にはやっていけないと私は思っております。
せっかくお答えをいただきましたので、私の考えも申し述べました。
○川口国務大臣 これは、普通の一般の国民の方にはなかなかわかりにくいことではあると思いますけれども、物事の整理はきちんとしておかないといけないと思いますので申し上げさせていただきたいと思いますが、カネミ油症というのは、食品、要するに食べ物による健康被害の問題でございまして、環境省が担当いたしておりますのは、何かが環境に排出されて、その結果環境の汚染が生じるといった問題については環境省が担当いたしているということでございます。
ということでございますけれども、そのおっしゃったような有害な物質について問題が生じたということは非常に重い問題であると思っておりまして、環境省といたしましては、環境にそういった有害な化学物質が出て、それによって環境の汚染が起こることがないように全力で取り組みたいと思っております。
○阿部委員 今いみじくも川口大臣の御答弁にありましたように、国民的に理解しづらい。当たり前です。国民は、ここからここの分が環境省の責任、ここからここが厚生省の責任、ここからここが通産省の責任というふうに、自分に起こった健康被害を分けて考えることはできないわけです。トータルに人間としてこれは全部受けとめなければならないわけです。
そして、私が冒頭申し上げましたのは、だからこそ、本法案は、いわばPCB特別対策法として包括的に、各省庁の垣根を超えて立案されるべきであったろうと私は考えております。そこが、国民的理解が低いからではなくて、国民は一個の分解されない人間として生きているからだと私は思っております。
次の質問に移らせていただきますが、最後に、この環境事業団が行う場合と、これまでの民間が処理していく場合と、何がどのように違ってくるかということを午前中も私は参考人の方にお伺いいたしましたが、キーワードは情報公開であろうということになりました。
本日、たまたま午前中の報道で、いわゆる核燃、昔の動燃でございますね、の不祥事の発表がございましたが、実は私は、動燃時代の事故の後、ジェー・シー・オーと動燃に視察に参りました。そのときに動燃という機構、当時ももう核燃と名を変えておりましたが、いかに情報公開を渋る団体であったか。私が議員として行ってすら必要な情報をお出しにならない。そして、周辺住民は、特にジェー・シー・オーの事故の周辺住民は、自分に起きた健康被害が、これはあのときの原子力発電の漏れの影響ではないかというふうに非常に危惧しておられたのを今も鮮明に覚えております。
そうなりますと、逆に、環境事業団ということで行った場合に、より住民への情報公開、住民参加を促進させるものを担保させるものは何であるか。私はまた、コストの点からも特殊法人方式でやることには賛成いたしませんが、それをさておいたとしても、なぜ環境事業団でやった場合の方が、住民参加、住民公開、住民合意が担保されるのか、この一点について川口大臣のお答えをいただきまして、最後の質問にいたします。
○川口国務大臣 環境事業団でこのPCB廃棄物の処理をしなければいけないと私どもが考える理由といいますのは、過去三十年間、PCB廃棄物が処理が進まないままに保管をされて、その過程で紛失あるいは行方不明になって環境汚染につながっていったということからでございます。
それがなぜそうなったかといいますと、排出者責任の原則に基づいて民間企業あるいは保管をしているところがそれをやろうとした場合に、地元の方の理解が得られなかったということでございます。それで、地元の方の理解ということを考えましたときに、環境事業団がそこをやることが適切であるというふうに考えたということでございます。
それから、おっしゃるように情報公開というのは非常に重要なことでございまして、情報公開が適切になされなければ、環境事業団としては地元の住民の方の理解や御協力が得られない。また、そのことから、この事業を適正に推進していくことも難しくなるということでございまして、まさにこの事業を進めていくために情報の公開をきちんとやるということが必要でございまして、それがなければこの事業を進めることは難しかろうということでございます。
環境省といたしましても、環境事業団に対しましてはその点をきちんと指導はしてまいりますし、環境事業団もみずから、この事業を進めていかなければいけない主体として、情報公開の重要性につきましては十分に認識をしているというふうに考えております。
○阿部委員 最後に申し上げさせていただきますが、私の認識は、今民間の諸企業が一生懸命住民合意をとるプロセスをいわばつくり上げているやさきでございます。そして、申し上げましたように、その方がコストにもよろしいでしょうし、この環境事業団の方式は、官、民の垣根をさらに高くし、住民と官との垣根も高くするものと理解しております。そして、本当にうまくいくかどうかは、この川口大臣たちのお出しになった法案、北九州市で一例目が施工されるやもしれないということで、その現実の成果を拝見したいと思います。ありがとうございました。