第151回国会 厚生労働委員会 第18号(2001/6/6)抜粋 案件: 政府参考人出頭要求に関する件 確定拠出年金法案(内閣提出、第百五十回国会閣法第二一号)
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
今、坂口厚生労働大臣がお見えになるのを、半分は首を長く、半分はどきどきしながら待っておりました。理由は、昨日もお伺い申し上げました在外被爆者の方々に対しての大阪地裁判決について、再度控訴せずという御判断をいただきたい旨、私は、きょうはまた冒頭、お願い申し上げます。
実は、本日の午前十一時に、郭貴勲さん、大阪地裁の原告となられた方ですが、この方が、この控訴をしない、控訴の断念を求める議員連盟の議員三名とともに、法務大臣の森山眞弓さんにお目にかかることができました。その森山大臣との会合を踏まえまして、重ねて、坂口厚生労働大臣にもぜひこの郭さんにお会いいただきたく、私はきょうここでお願いを申し上げようと思います。
前回のハンセン病の熊本判決後、坂口厚生労働大臣は、真っ先にお会いいただきまして、苦しい、被害者と申しますか、患者さんたちの状況についてみずから耳をおかしくださいまして、そのことが大きくハンセン病に対する取り扱いを前進させたと思いますので、ぜひとも今回の在外被爆者の方たちとの直接の会見をお願いしたいと思います。
それに先立って、幾つか私の方から御質問をさせていただきます。
まず、先ほども小沢委員の御質問にございましたが、同じように控訴せずという御判断を伺いますに際して、昨日私も質問させていただきましたが、坂口厚生労働大臣のお答えは、平成六年当時の共産党の岩佐委員の御質問への関係局長の答弁が、これは在外に居住している方を含むものではないという認識にのっとっておるというふうな御発言でもございましたが、実は、坂口厚生労働大臣にあっては、今回の大阪地裁の判決全文をお読みいただけましたでしょうか。まず第一点、お願いいたします。
○坂口国務大臣 まだ拝見いたしておりません。
○阿部委員 所用お忙しい中とは存じますが、ぜひとも御一読いただきたい。
実は、この判決文の中に、「立法者意思も第一次的には当該法文に表われた合理的な立法者意思を探求すべきであって、国会における答弁等を過大視することは許されず、これらは、あくまでも解釈の参考資料として位置づけられるにすぎない。」という一文がございますが、何を言っているかというと、当時の岩佐委員への答弁をもってこの法案の全文を解釈すべきではない、これは法案の審議過程で質問に立った委員への担当部署の回答ではございますが、その後に立法化された段階で、本来の立法趣旨ということを深く酌み取って判断すべきだという裁判所の判断でございます。
ここの部分、ぜひとも厚生労働大臣には今回の地裁判決全文をお読みいただきまして、きのうの御答弁、さらにはきょうの小沢委員への御答弁についてもう一度御考慮願いたい。なぜならば、私ども、国会、立法府におります者は、その立法の本来的趣旨ということをさらに深めて生かすべく鋭意努力することを課せられた者だと思います。
そして、昨日、坂口厚生労働大臣は、もともとの被爆者援護法の前文をお読みいただいたというふうに承りましたから、ここにはやはり、我が国が唯一の被爆国として、核兵器の根絶的廃絶と世界の恒久平和の確立を全世界に訴え続けてきたという一文がございますように、世界の垣根を越えてこの原爆の悲劇というものを乗り越えていくべき道を我が国が指し示すべきであるという法文の前段になっております。そういうことになりますと、果たして居住区の日本国内外にあることを分けることが、本来的に、被爆者援護法の本来の趣旨に合うかどうか、いま一度その原点に立ち戻ってぜひともお考えいただきたいものでございます。
引き続いて御質問がございます。
坂口厚生労働大臣にあっては、この被爆者援護法を、いわゆる人道的見地から成り立つ、より高次な判断に基づく立法というふうに認識しておられますでしょうか。
○坂口国務大臣 平成六年でございましたか、その法律ができましたときにいろいろと議論をした記憶がございますが、大変その法律はさまざまな思いを集約する形ででき上がっているというふうに私は理解をいたしております。原爆に遭われました患者の皆さん方の気持ちというものもある程度その中に織り込みながら、しかし、言葉としては余り明確な言葉を避けて、そうしてでき上がっているように思います。
その当時もいろいろと議論をいたしましたが、やはり、その当時としてはこれが精いっぱいの法律なんだろうということで通過をしたように記憶をいたしておりますが、そんなに詳しく私も理念のところまで整理をして今読んでいるわけではございませんが、当時を振り返って、そんな思いを今いたしております。
○阿部委員 私は当然、当時国会の場にはおりませんし、この前文を読むのは今回こういう判決がおりましてから改めてということでございますが、この大阪地裁判決にも言うように、一つには国家賠償的、もう一つには人道的見地の法律であるという認識を私はこの法律から受けとめます。そして、もしそうであれば、いわゆる人道は国境を越えると思っております。例えば国境なき医師団というものもございますように、あれは人道的見地から、他国に起きたいろいろな戦禍を医師たちが救援するという仕組みでもございます。ぜひとも、再度のお願いでございますが、大臣にあっては、この法律の掲げる高い理想というものに一歩でも近づくべく御判断をいただければと思います。
それから、一文訂正ですが、私はきのう、外務省と大阪府と申しましたが、法務省でございました。田中眞紀子さんの御活躍が華々しいもので、つい間違えまして、これは法務大臣と関係省庁特に厚生省、それから大阪府、小泉内閣総理大臣となっております。
けさの森山法務大臣と郭貴勲さんのお話し合いの中で、森山大臣が郭さんに伝えられた中身は、これは厚生労働大臣の判断が大変に重要に響くのだというふうに森山さんは御認識だというふうに伝えられた由です。これは私が郭さんから伺ったことですので、どこにどういう文面で残っているということではございませんけれども、そういう意味で、厚生労働大臣としての御判断をお願いいたします。
そして、この件に関しての最後の御質問でございますが、その判断をなさるにも、ぜひとも患者さんに直にお会いいただきたく、きょうはこの一点のみ、坂口厚生労働大臣が郭さんにじかにお会いいただくことのお約束をこの場でいただければ、まずもって胸のどきどきはおさまって次の質問に行けますので、この点だけ、きょうは一点、よろしくお願いいたします。
○坂口国務大臣 何か、前に私は一度お会いしたことがあるそうでございます。私もうすっかり忘れておりますけれども、御本人が一遍会ったというふうに、一度か二度かわかりませんけれども、お会いしたということを言っていただいておるようでございますから、多分お会いしたんだろうというふうに思っております。
決してお会いしないというわけではございませんが、この二、三日はまことに国会の方がびっしりなものでございますから、少し時間を置きまして、機会がございましたら、その機会もまたつくりたいと思っております。
○阿部委員 確認事項でございますが、少し時間を置く間に控訴とかが判断されてしまいますといけませんので、これは坂口厚生労働大臣の記憶に深く残るような会い方をぜひしていただきたいと思います。
やはり、じかにお声を拝聴するということは、患者さんたち、あるいは実際にこういう立場に立たされた方たちの声をじかに聞いていく政治というのが大変に重要な時代になってございますので、再度、しつこくお尋ねするようで申しわけございませんが、控訴についての坂口厚生労働大臣の、これは直に大臣だけが判断するものではございませんが、お心を決める、判断をなさる前にぜひ一度お会いくださいますように、お約束をしてくださいますでしょうか。
○坂口国務大臣 それは了解いたしました。
○阿部委員 いつもありがとうございます。
では、引き続いて、心置きなく次の確定拠出型年金の法案の審議に入らせていただきます。
きょう、私より何人か前に、民主党の釘宮議員が幼児虐待のことをここで御質問でございました。委員は、本来の確定拠出型年金とは少しかかわりのないテーマであるがというふうに前振りなさいましたが、私は、今の幼児虐待という現象は、非常に、社会の不安定、それから今の社会のあり方ということを強く反映しているように思います。
私は小児科の医者でもございますが、実は、幼児虐待をめぐっては、働くお母さんも専業主婦もどちらにもふえております。その大きな原因は何かというと、きょうもキーワードになっておりますところの、自己責任という言葉が非常にひとり歩きしております。実は、育児をめぐっても、育児をしているお母さん、あなたの責任ですよということは、これはある意味で当然なのですが、そのお母さんが育児の責任を全うできるような社会のセーフティーネットがないと、自己責任は機能しないのでございます。
そういう意味でいえば、今回の拠出型の年金の法案審議の中で、何もこの法案自身が悪いと申しているのではなくて、この法案の趣旨を生かすべく、まずセーフティーネットをもっと確実にしなさいということが各委員の共通した認識であろうかと思います。
それに対していただきます辻局長初め皆さんのお答えは、何でこんなにいいものをつくったのにだめなんだろうというところで大きくすれ違っているように私には見受けられます。どんな法律もそうですが、やはり順番と時期をたがえては、いい法律でもその時節に合わないで期待した効果が上げられないということがあると私は思います。
私自身のこの法案への認識を申しませば、これ以前になすべき三つの事柄がまずあると思います。
一番目は、昨日のこの質問でも伺わせていただきましたが、公的年金にかかわる部分の充実でございます。この部分について国民が安心感を持たないと、その次は進めません。これが、育児におけるお母さん方の自己責任と社会が持つべきセーフティーネットのかかわりと同じ図式を持っております。今盛んに自己責任と言われましても、本当にそのことがさまざまな社会混乱や老後の不安を生むようであっては、自己責任という言葉の意味が生きてまいりません。この意味で、私は、きょう第一点目は、公的年金の充実ということを先回の質問の聞き残し分も含めて聞かせていただきます。
それから二点目は、いわゆる確定給付型をめぐっての論議のときにも問題になりましたが、企業年金基本法と称されるような、企業年金、職域年金についてのきちんとした給付を保障するような法律をまず大前提でつくるべきでございます。このことも各委員が御指摘ありましたし、給付型の討議のときにも幾つも上がっておりましたが、この部分について明確なお答えが辻局長初めとして皆さんの側から提起されないということが、また論議をすれ違わせております。
三つ目は、このような金融市場が不安定な時期に、何でこの時期かという認識でございます。だれも今の株価がいい動きをしているとは思っておりません。だれも、だれ一人、どの方も思っておりません。なのに今、こうした直接金融ということが組み入れられたこの法案をこの時期に提出することの意味でございます。私は、こんな時間があるなら、そもそも一番目の公的年金の論議をもっともっとしっかりして、国民にわかりやすく提示すべきであると思います。順番が本当に違うと思います。
そうはいっても、設定された委員会ですので、順次質問に入らせていただきます。
まず、一番目でございます。公的年金の現状の認識にかかわる部分でございます。
きのうの私の質問に対していただきましたお答えが、要約いたしませば、七千万人の国民年金の加入者のうちでたかだか五%内外が未納という状態であるので、そのことは数値的には大きくはないというふうなまとめの御発言をいただきましたが、これは現状認識としてはやはり違うのではないか。何が違うのかといえば、国民年金が置かれている状況に危機を感じるか、それともそこそこの妥当なものであると感じるか、いや、安心なものであると感じるかというところで違ってまいるという指摘をしました。
では、再度お伺いいたしますが、平成十一年度の国民年金被保険者実態調査から明らかになった国民年金の現状について、幾つかの特徴があると思いますが、その認識、特徴について担当部署からお答えください。
○冨岡政府参考人 お尋ねの点につきまして申し上げますと、まず今回の調査結果による、考えております特徴といたしまして、未納者の中で、年齢階級別に見ますと、二十歳代それから三十歳代前半の層の未納の方の割合がふえているという点が一つでございます。それから、大都市部とその他の中小都市、それから町村といったところを比べますと、大都市部が低いという傾向がございます。
それから、未納の理由としてのお答えで一番多いのは、保険料が高いというのが理由でございますが、それでは、その方たちの所得、世帯の所得を比較してみますと、実は、未納の世帯と納めている世帯の間に、納付している世帯の方が世帯の所得として若干高いという傾向はありますが、所得分布自体にはそれほど大きな格差はございません。一方、未納の世帯でも生命保険といったものに五〇%ぐらいの世帯が加入しておられまして、かなりの額の保険料を負担しておられます。こういった点から、未納の理由として、調査のお答えの中では保険料が高いというお答えが多いわけでございますが、ほかの、所得とか生命保険の加入等を見ますと、やはり公的年金に対する支払いのその方の意識の中での優先度と申しましょうか、理解がかなり差になってあらわれてくるのではないか。
以上のような点が、今回の調査の特徴の主なものでございます。
以上でございます。
○阿部委員 今のような調査結果をお聞きになりまして、私であればまずどう思うかをお伝えいたしますが、若い人で、大都市部に未納率が高いということは、逆に、都市と農村を比べました場合に、いろいろなその地域の持っているセーフティーネット、人間関係、きずなも含めて、弱いのが都市であり、まだ旧来のものが機能しているのが農村部であるとも思います。
となりますと、これから、一番人間のきずなが弱い、その意味で本来的な社会が持っているセーフティーネットが弱い部分で、さらに公的年金への信頼性が低まっているということは、先ほど私が申しました社会の安全弁ということについて極めて危うい状況があると認識されます。
恐らく小泉総理も同じような認識を持たれましたのか、若い人に国民年金の、いわゆる公的年金の宣伝マンをしなくちゃいけないというふうにおっしゃったと、昨日でしたか朝日新聞には報道されておりましたが、かかる調査を聞かれまして、坂口厚生労働大臣の、国民年金、特に公的な年金への国民の信頼の部分について、そして政府のなすべき役割についての御認識をまずお教えください。
○坂口国務大臣 調査の結果をどういうふうに読むかということ以外に、私は、年金に対する信頼がなくなってきたのは、年金を改正するごとにだんだんと変えていく、年金の改正時にいつも給付の額を下げて、そして今までの約束をだんだんたがえていくという、やはりここが一番問題なのではないか。
ですから、信頼を得ようと思えば、年金などというのは、人口構成、ずっと先まで読むことのできる最も読みやすいものでありますから、もっと先までそれは読めるわけでありますので、先の先まで計算をして、そして、これから先の、十年先、二十年先の年金はこうなりますという本当のことをまず言うということがやはり一番大事ではないか。そこを徐々に徐々に言おうとするものですから、なかなか信頼がなくなっていくのではないかというふうに私は思っております。
○阿部委員 いつも明確な御答弁をありがとうございます。
本当におっしゃるとおりで、国民年金の本当の公的年金の部分をこんなにグレーにして、ファジーにして、あいまいにして、その次の確定拠出型年金の論議というのが国民に浸透するわけもなく、その意味では、自己責任ということを考えなさいと言っているその行政府側が、もっと国民年金についての基本的な選択肢をまず提起すべき時期であろうと私も思っております。
そして、その件に関しまして、実は私は昨日、桝屋厚生労働副大臣からお返事もいただきましたが、御検討をいただきたいことがございます。
これまでの年金論議の中では、特に自社さ時代の合意では、まず二分の一を税で確実にいたしましょうということが合意されましたが、果たして税源をどこに求めるかは一貫してあやふやでございます。こうした状態では、これはだれも何かを負担しないでお金がわいてくるわけではないので、どのような負担形式を論じていくかという際の選択肢が全くないのが現在でございます。
今、政府側として考えている選択肢と、案でも結構でございます。そして私自身がきのうお尋ねいたしましたのは、私は、かなり年金ということに目的を限ってですが、所得累進的なもので税源を考えていく。例えば、これは消費税と違いまして、消費税は逆累進性が高い税制でございますが、やはり社会は相互扶助によって成り立つという人間の思いやりをもう一度この社会に惹起しなければいい時代が来ませんので、かなり所得に、年金ということに目的を定めたような累進的な税も検討の一つに上るのではないかと私自身は思っておりますが、厚生労働省としてお考えの幾つかのプランを、案をお示しいただければと思います。
○坂口国務大臣 ほかの人は答えにくいと思いますから、私から申し上げたいと思いますが、それはもうかなり限られてきているというふうに思います。それは、一つは、これから先、消費税と申しますか間接税をどうするかという問題が一つ。それから、現在の直接税をどう改革するかという問題がもう一つ。この二つだ。
直接税の中には、例えば課税最低限をどうするかといったような問題もあるでしょうし、あるいはまた、現在の税の中で、何と申しますか、税の捕捉が十分に行われていないというようなこともありますから、捕捉率を高めるといったようなことをどうするかといった問題も私は含まれていると思います。
そうしたことを行う中でこれは行く以外にないわけでありますから、かなり税の問題にこれは限られてくるわけでありますし、税の中はそうしたことに限られてくるというふうに私は思っております。
○阿部委員 私自身も、例えば今塩川財務大臣が一生懸命やっておられる特別会計の見直しとか、そういう是正すべき、あるいはむだ遣いというかむだ構図はもちろんメスを入れるべきと思います。その前提に立ったとしても、やはり大きな論軸が必要と思いますので、この点についてはもうきょうこれ以上詰めませんが、国民にわかりやすい幾つかの案を明示するような方向にぜひとも厚生労働省として歩を進めていただきたいと思います。
引き続いて、企業年金基本法に関するお尋ねをいたします。
今我が国はもちろん企業年金基本法等ございませんが、いわゆる確定拠出型年金においては、運用によるリスクは、先ほど来申しますように、受給者本人が負うというようになってございます。そのことは、自己責任という言葉で本当に語るためには、まず受給権の保護等々、他の本当にリスクをかけてやれるだけのベースの安定が必要と思いますが、これは辻局長にまずちょっとお伺いいたします。
なぜ我が国では、企業年金基本法のような、いわゆる受給権の保護ないしは金融機関の預かった年金の取り扱いに対しての根本的な法案をおつくりになってこなかったのか。あるいは、これからはどうされるのか。お願いします。
○辻政府参考人 いわゆる企業年金基本法あるいは企業年金の包括的な法律というものをどのように考えるかでございますけれども、関係審議会でこのようなものが必要だとされましたゆえんも、今の企業年金というものの権利保護、受給権保護制というものにまだまだ不十分な面があるからである。特にそれは、適格退職年金というものが税法上の根拠のみにありますことから、積み立て義務がない。そういったところから包括的な法体系というものが求められてきたと私ども認識しております。そのような観点から、基本的には企業年金というものに対して包括的に法制というものを持っていきたいということで、沿革的には議論されてまいりました。
しかし、それを詰めていきますと、結局、今の御提案しております企業年金基金法といった法体系をつくりまして、それで具体的には、積み立て義務のなかったものについて積み立て義務を課するという形で、いやしくも確定給付型の企業年金については積み立て義務をきちっとかける。そしてまた、それにかかわる受託者につきましては受託者責任という運用責任を明確化する。そして、それらについて情報開示がなされる。それから、厚生年金基金との、あるいはこのたび御審査いただいております確定給付企業年金法との相互の移行規定を設ける。そうすると、全体として、結果として包括的に網羅的に法体系ができるということから今回の御提案に至りまして、基本法という名前を銘打ってはおりませんが、全体として今の企業年金に関する法体系がこれで整備されるという理解に立っております。
ただ、一つ、ERISA法などと比較されますときに、支払い保証制度がその法体系にないではないかという御指摘、るるいただいているわけでございますが、それは今後引き続き検討という位置づけになったと理解いたしております。
○阿部委員 私は、ずっとこの論議を承っておりまして、先ほど来申しますように、受給者の自己責任、自己責任ということをおっしゃる限りにおいては、やはりそのことがわかりやすくなるような基本の法体系というのは必要だと思います。
どういうことかというと、これは受給者に提供される情報を初めとして、運用についてはかなり専門性が要求されるということがきょうも繰り返し言われておりました。専門性が要求されるのであれば、その専門性をつかさどる人々あるいは機関についてのきちんとした約束事が明示されるということ、共通して明示されることがやはり非常に重要になってくると思います。
これは、医療の世界ではインフォームド・コンセントという言葉が今はやりでございますが、患者さんにいろいろ説明して選んでいただく。その場合に、医師はいろいろな説明義務を負いますし、医師という専門性において患者を傷つけてはいけない等々ございまして、いわゆるそれを医師法という形で私どもは、十分なものであるかどうかわかりませんが、みずからの専門性を律する法律を持っております。
あわせてですが、この間審議されておりますのは、例えば患者の権利基本法をつくろうとか、いわゆる本当に選べる体制にするためには提供者と受給者の双方を本当におのおのきちんと律していく法体系が必要であるということが、これからの社会の大枠であると私は思います。
今、辻局長のお答えは、この側面はここで、この側面はここで、全部合わせてどうにかなっているだろうということでございますが、金融市場等々の不安定性を考えれば、やはり基本になるような法律、これはアメリカではERISA法、ドイツでも、アルテル・レンテン・ゲゼッツというのだそうですが、こうした形で法体系が既に一九七四年時点で整備されているものでございます。逆に、あれこれ寄せ集めたらこうなるよというのではないところの基本法的、このごろは、林業、農業基本法という、基本法という形の制定が立法府でも多いように思います。
それらの今の私の指摘を受けました上で、もう一度御答弁をお願いいたします。
○辻政府参考人 このたび、この確定給付企業年金法案、確定拠出年金法案を提案する過程で、私どもも、法制的にそのあたりを全体としてどうするかという議論をいたしました。ただ、我が国の場合、沿革的に厚生年金基金というものは厚生年金法と一体として形成され、そこが位置づけられて既にあったというようなこと、そういうことから、あえて申せば立法技術的にそれぞれの法体系を生み出していく形をとったという経過がございます。
ただ、御審査いただいておりますように、受託者責任とか情報開示とか、いわゆるそれぞれの責任を果たすという意味での法体系は私どもなりに相当緻密に詰めておりまして、ERISA法との対比におきましても決して劣ることがない、ましてや少し厳しいぐらい、そういった形で、一つ一つについて全体として体系として説明できるような法体系を御提案しているものと考えております。
○阿部委員 私は、法というのは、その国の文化と歴史と国民性と、そして物事の考え方の大筋が見えるものであるべきだと思います。その意味で、先ほど来申しますように、ここではこの面が保障、ここではこの面が保障、ここではこの面が保障というふうになってきた経緯自身が、我が国が職域年金というものを考えるに当たって、あるいは老後の保障ということを考えるに当たって、基本的な姿勢ということを国民にメッセージできない大もとになっていると思います。
どういうことかというと、ERISA法という法律においては、先ほど申しました受託金融機関の規律性、いわゆる責任、専門能力を持った人たちが受給者にベストベネフィットを与えるような仕組みを、そして義務を課したものでございます。ドイツの法体系では、むしろ受給権の保護ということを前面に出して、その受給権の保護から逆に受託者の金融機関のなすべきことを決めたり、労働組合のなすべきことを決めたりしております。
やはり、法体系には歴史があると思います。かなり金融機関が発達し、それから、人が人に対してどのような信頼を持つべきかというところを法で定めなきゃいけないアメリカの場合と、逆に、相互連帯ということと共同責任という意識が非常に高いドイツで、まず受給権保護ということを法の中心に組み立てた体系。そして、これからの法律というものはすべからく、きょうの被爆者援護法でも申しましたが、筋が、理念がわかるものでなければ、何度も申しますが、国民のだれもにかかわる年金問題のようなものはメッセージが伝わりません。
我が国はどういう姿勢で国民の老後を、特に企業年金、職域年金のこれからを考えておるのか、そのことを基本法でお示しになるべきだと思います。強く給付のことを保障するような理念を伝えなければ、やはりこれから国民にとっては不安定要素を増すと思います。
きょうの確答はいただけなくても結構ですから、これは、法律というものの考え方をもっと大筋、大枠に立って考えていただきたいという要望としてお聞きおきいただければ結構でございます。
そして、あわせてまた質問に移らせていただきます。
そういう法律ができたとして、例えば医療でもそうですが、医者が一番この患者によかれかしとやったとて、そこで医療被害や医療ミスが起こることもございます。そのミスが起こったとき、被害が起こったとき、年金では受け取れなかったとき、あるいは、先ほど言いました、幾ら自己責任と申しましても、全部あなたがそこで選んだからよとやはり言うべきでない、言えない。年金を予定として考えていたけれどももらえなかった、あるいは自分に今ある選択をどういうふうにすればいいのだろうと考えた一人の国民が、どこに相談に行けばいいか。
それはニッセイレディがいいのかという質問もけさございましたし、かなりの専門性を持って一人一人の国民に直に答えられる窓口を厚生労働省としてはお考えか否か、これをお教えください。
○辻政府参考人 さまざまな分野におきまして、いわば消費者、国民お一人お一人を対象とする分野で必ず苦情といったものがあるわけでございまして、それぞれに対してどのような窓口を設けるかという問題にもつながるわけでございます。
確定拠出年金制度に関しましては、この苦情というものは、究極的に、その処理というのは、運用指図を行います加入者と運営管理機関、この間に生じるいわゆるトラブルに起因するものと言えると思います。そのようなことから、この運営管理機関に関するトラブルをどのように処理するのかということでございます。
そのことに関しましては、運営管理機関と相対峙するこの制度を実施する事業主、企業、それと、運営管理機関と事業主を監督する厚生労働省、この関係にあるわけで、私どもといたしましては、厚生労働省に、今申しましたようにあらゆる分野にあらゆる苦情がございますのでそれぞれの窓口というのは設けませんが、苦情というものが入ってきますれば運営管理機関と事業主に対してそれを処理するように伝えていく、そういった形でこの問題に対応してまいりたいと考えております。
○阿部委員 今の辻局長の御答弁で、本当に個々に疑問を感じた個人の側がどうなるのかということが私には見えてまいりません。これからは自己責任で自己運用だと言われましたときに、何度も申しますが、医療でも、二つの治療法を提示されたときどちらがいいかということを選ぶのに、今、セカンドオピニオンがないということで患者さんたちはいろいろ言っているわけです。
例えば、私が提案いたしますのは、社会保険庁の中に、あるいは各都道府県にございます社会保険事務所、そういう中に、この年金の相談窓口。あるいは、これは三カ月置きに市場を見ていなきゃいけないシステムだそうですから、読み方だってわかりません。そういうことについて、利用者側、いわゆる一人一人の国民がもっと自分の年金の知識を高めるための、そしてそれは受託機関から出される情報だけではやはり偏りがございます。そこの部分を理解されないと、ここは自己責任といっても、本当にどこにも相談できないあげくに選ぶということになりますから、もう一度御答弁をお願いいたします。
○辻政府参考人 この確定拠出年金法案の構造でございますが、これは、十分に労使と話し合って、そして、さまざまな制度の枠組みのもとで、決められた枠のもとで、その運用結果について自己責任を持つ。まさしく、その自己責任を前提にして導入されようとしている制度でございます。
したがいまして、個々の市場で、私どもはさまざまな選択をしながらさまざまな市場分野で行動いたしておりますけれども、そこで生じる自己責任と、位置づけとしては、制度論として恐縮でございますけれども、同じものでございます。したがいまして、これだけについて個々人の苦情を処理する機関を設けるといった形にはならないのではないか。
しかしながら、私どもは、もしも本当に不条理なトラブルが起きたとき、大変大きな国民の不信につながり、この制度そのものが大変危ういものになるという深刻な認識は持っております。したがいまして、私どもは、運営管理機関と事業主を的確に指導し、また、個々人の方についてのトラブルがあれば、今言ったような前提の枠組みで、誠心誠意、処理できるように努力をいたしたいと思います。
○阿部委員 誠心誠意やろうという意思が具体的に媒介できる制度や窓口がなければ、誠心誠意にならないのです。
そして、例えば、今、辻局長もきっとお考えでしょうが、これは五人とか十人の中小企業の方々が利用される。労働組合だってないかもしれない、その中で、個々人の窓口がなければ機能しないということも当然あり得ます。そもそも、連合と日経連、経団連の合意すら不十分であること、私は昨日の参考人のお話の中で明らかに承りました。そして、それ以下の、中小の本当に組合のない方たちもこの年金を利用されるとした場合に、個別の、個々人に親切な仕組みがなければ、今幾ら辻局長がそのように、心しておりますとか意図しておりますとか言っても、例えば私が疑問を感じたときどこに行けばいいのということです。これにお答えください。
○辻政府参考人 公といたしましては、私ども、所管官庁でございます。そのような意味で、そのような苦情を受け付けないとかそういうことはあり得ないことでございまして、そのようなつもりで御答弁申し上げております。
○阿部委員 所管官庁に行くというのはどういうことですか。私が、一人が、私個人が厚生労働省に、お会いくださいと行くという意味ですか。
○辻政府参考人 厚生労働省、それから地方厚生局、それから地方社会保険事務局、これら厚生省の社会保険に関連するところ、今申しましたような理由から、自己責任による制度についての市場における苦情というものの処理、これは、そのどれかのためだけの窓口を設けるといったことは体系上とりませんけれども、厚生省所管のそのような苦情については、今までもどの分野においても受け付けておりますが、社会保険の関係の窓口、開ける限りのもの、おいでになれば、それを究極的には私ども、この確定拠出年金を所管する部局に伝わるように、幅広く受け付けたいと思います。
○阿部委員 では、少なくともそうした広報活動をもっとしっかりなさるべきです。この確定拠出型年金の御説明のときにも、その部分については、私にいただきましたリーフレットの中にも明示もされてございませんし、それから、きょうの先ほどの釘宮委員の御質問でもそうですが、児童相談所に行けばいい、しかし、そこに人員の手当てがなければ、現実には、行っても同じように処理できないことが生じます。個人単位に戻したときに、苦情や混乱や不満や疑問はふえてまいります。そのことを見越して、人的手当て、そして広報活動をなさらなければ、それは、何度も申します、意図はしていますが、個人には、国民には伝わらない形式になります。
今後、厚生労働省として広報活動をなさるときに、必ず、疑問を生じたときの一般国民向け窓口の明示をお願いいたします。これはお約束をお願いいたします。
○辻政府参考人 今申しましたように、例えば、厚生省は、確定拠出企業年金法を所管しておりますほか、確定給付企業年金法も、あるいはさまざまな法体系で消費者と相対峙する制度の所管をしております。各省もそうであります。そのような一般の国民個々人の自己責任に基づく問題についての処理という一環の問題でございますので、特にそれだけの窓口といったことは考えておりませんが、今後、幅広く必要な処理が対応できるように努力をいたしたいと思います。
○阿部委員 何度も申しましたが、人的な補充が必要ですので、そこの部分をきちんと、人が配置されなければ窓口があっても機能しませんし、特に今般、市町村における年金相談窓口業務はほとんど社会保険事務所の方に移管されておりますので、混乱ないしは相談数の増加も当然起きてまいりますから、よろしく御検討のほどをお願いいたします。
最後になりますが、三番目。いわゆる金融市場がかほどに不安定な時期、特に株価の安定ということが今非常に不安定、不透明な時期にあって、あえてこの確定拠出型年金を今この時期に導入しようとする御判断は、どのように立つものでしょうか。
○辻政府参考人 この確定拠出年金は、基本的に、今の企業年金のあり方で新しい選択肢を提供しようとするものでございます。
その新しい選択肢の提供はなぜ必要か。これにつきましては、企業年金のあり方を検討する中で、確定給付の企業年金は中小企業には導入しにくい、一方、中小企業にも三階といった多様な公的年金の上乗せというものが必要であろう。また、雇用が非常に流動化していく中で、長期の雇用を前提とした確定給付年金ではなくて、職場を比較的移動される方々にとっては、ポータビリティー、すなわち、職場を持ち歩けるような年金が必要だ、欲しい、こういうような構造的な状況があるという認識で、それにこたえるために選択肢として導入するものでございます。
そして、そのときに、今確かに株価が大変低迷しておる状況、金利が低いという状況でございますが、これは必要性があり持ち込むことでございますことと、それから、今後の状況ということを見ますときに、長期的な運用を前提にいたしております。これが例えば一年、二年、三年、こういうような短期な環境を前提にして評価が問われるような法体系であれば別でございますが、加入後六十歳まで引き出せない、しかも原則十年を要する、このような仕組みのもとでこの制度を導入いたしますので、運用は長期的に見るという観点から考えるべきであります。それからもう一つ、株につきまして特に問題になっておりますが、株価の収益率は長期的に見れば債券を上回ります。
そのようなことから、長期的に運用するという前提から株式の市場は見るべきであると考えておりますし、そのような観点から、この制度を現在導入することにつきましては、具体的に着手することについては十分検討をしてそれぞれでお取り組む必要がありますが、制度を導入する必要性としては現時点でも問題はないと考えております。
○阿部委員 制度を導入する必要性については、私も、先ほど申しました三つの観点がクリアされればあり得る選択であるとは思っております。
ただし、この一年間を見ましても、日経平均の株価三〇%の下落、そして、それは中長期的に見ましても、これまでのような高度経済成長の中で行われる株式市場ではないわけです。このことは、どなたも認識を一にしておるわけです。
そして、収益性を含めて、この確定拠出ということが、ある程度、あなたの将来についての安心ですよ、安全ですよ、あるいはリスクをかけてもやってみるべき商品ですよというには、何度も申しますが、株価の安定ということも含めて、今非常に国民は金融市場についての信頼を失っている状態でございます。これは、銀行が倒産したり、あるいは本当に、税金が投入された後、安いお金で外国の金融資本に買い取られたりすることを見ているわけです。
やはり、行政にある方は、一度普通の目、国民の目になって、今の株価の状況、私は昨日も財務金融委員会で個人の株式取引を増加させるための租税措置の法案を審議してまいりましたが、租税で優遇措置をされてすら、なおかつ個人が株式に信頼を抱くには、今の日本の金融状況ではかなり無理があろうと判断しております。
そこで、この法案を導入するに当たりまして、さまざまな手数料、あるいは金融市場の動向等々も関与いたしますが、金融庁とはどのような点が検討され、合議されましたでしょうか。
○辻政府参考人 この法律を実施していきます上で、運営管理機関というもの、それから資産管理機関というのは、これは金融行政といわば重複というか共通の場になるわけでございます。したがいまして、この運営管理機関等につきまして、共管関係でこの法案を担当するというかかわり合いになっております。
○阿部委員 このことを伺いますのは、例えば金融機関におきまして、普通の金融機関で比べました場合に、米国と我が国で、いろいろな金融機関の手数料、このことだけにかかわりません、ここにおいては日米の差はあるのでしょうか。例えば、米国のものは全般に金融市場の手数料が安くハンドリングされていて、日本では手数料が高いという傾向は一般的にあるのでしょうか。お教えください。
○辻政府参考人 金融行政は私ども所管しておりませんので、関係して承知する限りのことを申し上げますと、この確定拠出年金の制度に関して言えば、アメリカの手数料、いわゆる四〇一k、これに相当する四〇一kの手数料というものは、平均的に一・三二%という情報を私ども得ております。
そして、その中で、日本とアメリカの最も共通する部分である記録管理等の管理費用、管理手数料につきましては、アメリカが約〇・六%だと認識しておりまして、私ども、日本でこの制度の中での運営管理機関を担当しようとしている、準備している方々、関係者のお話、状況を総合いたしますと、大体その〇・六%というものを目安にして日本もできるというようなことで、事この点につきましては比較的にそのような認識を持っております。
○阿部委員 認識ですから、それを客観的に保証するものがないといけませんが、その点については小沢委員が先ほど御質問でしたので、一点、認識をお聞かせください。
イギリスでは、ステークホルダー年金において、ハンドリングチャージを積立金の一%以下に規制することになったというふうに伝えられておりますが、逆に、規制しなければそれ以上上がるということでもございますね。公的規制を入れたということは、ハンドリングコストというのは必ずしも、市場経済に任せたとしても上がり得るということでもございますね。
辻局長にあっては、このイギリスのハンドリングコストの規制という事実をどのようにお考えでしょうか。
○辻政府参考人 英国におきましては、ステークホルダー年金と呼ばれる確定拠出型の個人年金がございまして、この手数料の上限が一%で規制されているということを承知しております。
このステークホルダー年金の性格でございますが、公的年金にかわって位置づける。もしステークホルダー年金に入れば、公的年金にかわる位置づけになって、公的年金に入らなくてもよいという代替制度でございますので、公的年金加入者と比べて不利益にならないように手数料が規制されておるというのがこの理由であると考えております。
日本の場合、確定拠出年金は、英国のステークホルダー年金のように公的年金の代替ではなくて、あくまでも公的に年金があった上での上乗せの私的年金であるということで、基本的には、アメリカも同様と存じますが、民間の制度として、当事者同士で決定する、規制になじまないものだというふうに理解しております。
○阿部委員 今の御答弁には必ずしも同意いたしませんけれども。どういうことかというと、公的年金と拠出型の年金の場合のハンドリングコストは、往々にして拠出型の方が上回ると言われております。これは、諸外国の統計でもそうでございますから、年金局長の〇・六%という見通しの客観的根拠について再度お伺いいたしますが、時間の関係でこれは次回に、また私の総括討論のときに送らせていただきまして、一点、最後にお伺いいたします。
いわゆる同じ拠出年金の中で中小企業退職金共済というのがございましたが、これが、九三年以降、いわゆるバブルの崩壊後、破綻というか赤字運営になった時期がございます。この事例をどのように総括されて、今回の確定拠出法案の提出に至られたでしょうか。お願いいたします。
○日比政府参考人 私の方から、客観的な事実関係等だけ申し上げます。
中小企業退職金共済制度でございますが、これにつきましては、この十年間で、いわば予定運用利回りと言われているもの、給付額の基礎になりますが、法律改正によって予定運用利回りを下げたことがこの十年間ほどで三回ございます。平成二年度までは実は予定運用利回り六・六〇で設計されておりましたが、平成三年度から七年度までは五・五〇、その後、八年度から十年度までは四・五〇、十一年度以降、現在のところ、三・〇〇でございます。
これにつきましては、背景事情といたしましては極めて単純でございまして、運用利回りの実績の方、これが下がってきた。これにつきましては、平成元年度、実績で六・〇四からほぼ一貫して下がっておりまして、十一年度では三・〇八というのが運用の実績でございます。
先ほど、赤字の点をおっしゃられましたが、退職金共済制度におきましては、給付の額を決めるに当たって予定運用利回りを定め、結果としての実績の運用利回りとの差が、長い目で見ますと赤字になっていく。単年度ではでこぼこがございますけれども、そういう構造でございますので、運用利回りの実勢に予定運用利回りをいわば合わせるといいますか、それでもやっていけるような改正というふうなことで三回やったということでございます。
○阿部委員 もう時間がございませんので、一言だけ。
受給者側にとっては、何回も予定利率を下げられるというのはたまったものでもありませんし、それが拠出型の本質であるようにも思いますし、引き続いて明後日の総括討論のときにもお伺いいたしますが、いかにも不安定な制度ですので、セーフティーネットという観点から、もう一度何をなすべきかをお考えいただきたいと思います。
ありがとうございました。
○鈴木委員長 次回は、来る八日金曜日午前九時十五分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。