第151回国会 厚生労働委員会 第21号(2001/6/13)抜粋

案件:  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律案(内閣提出第八三号)  個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律案(内閣提出第四四号)

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 まず冒頭、きょうは、金田委員にも先ほどの小沢委員にも御紹介というか御意見がございましたが、郭貴勲さんの問題について、私も一言、坂口厚生労働大臣に心からお願いを申し上げたい件がございます。

 厚生労働省の職員の方はお気づきだったと思いますが、厚生労働省前に郭貴勲さんを支援なさる日本の被爆者団体、被団協の皆さんが座り込みを一昨日、昨日となさっておられました。私もメッセージを送るべく参加させていただきましたが、皆さん大変御高齢で、御自身も被爆者でありながら在外の韓国人被爆者の問題に自分たちも流れを一にして応援していこうと思われる姿、やはり私はとうといと思いましたし、敬服もいたします。

 そういう日本国内の被爆者の皆さんの、在日にあって同じように被爆された在外の被爆者の方々へのお気持ちということもやはり厚生労働大臣にはお酌み取りいただきまして、高度な政治的配慮をしていただきたいと思います。

 あわせて、きょう、私どもの土井党首は、党首討論の全時間をこの在外被爆者問題の小泉首相への質問にかえさせていただきました。その中で、きょう、小泉首相の御答弁で、その置かれた在外の被爆者の各国々の状況をかんがみて、勘案して判断を下していきたいという御答弁でございました。私は、極めて前向きな御答弁と受け取りました。例えば、在日であった韓国人の方々、今二千二百人が韓国にお帰りになってお暮らしと思いますが、やはり日本と韓国あるいは北朝鮮のこれからの長きにわたる友好のためにも、日本がどのような態度をとるべきか問われているように私は思います。

 そこで、坂口厚生労働大臣は、きょうの首相発言、特に、その方々の置かれた国の状況を考えてという一文をどのようにお聞きになりましたか、このことを一言お聞かせくださいませ。

坂口国務大臣 総理がきょうおっしゃいましたのは、とにかくこの裁判で一番問われているのは、日本の国の中に居住または現在している人のみに被爆者援護法が適用されるのか、それとも日本の国以外に居住している人にもそれが適用されるのか、その一点に今これが問われているという御指摘でありまして、私もそのとおりだというふうに思っております。この大阪地裁の判決は広島とは違うという御認識が先日来ございましたけれども、ずっと判決文を読ませていただきますと、双方ともその一点に絞られておりますことには間違いがないと私は思っておる次第でございます。

 そして、日本の人と同じように、諸外国に今お住まいになっている皆さん方に対してどのような形でおこたえをするか、そのこたえ方の問題が今問われているんだろうというふうに思っております。日本に居住する人たちと同じ形でおこたえをするのか、それとは少し違うけれども、しかし別な形でこの皆さん方におこたえをするのか、おこたえをすることには間違いがないが、そのおこたえの仕方が今どうかということを問われているのであろうというふうに思っておりまして、そういうことを総理は言われたのではないかというふうにきょう受け取らせていただいた次第でございます。

阿部委員 一点目の坂口大臣の御認識でございますが、やはり一たん受けた被爆者手帳の資格の喪失要件というのは、実は死亡時ということしか書かれておりませんことをきょうの土井党首も申しましたと思います。

 そして、やはり日本にお住まいであって、故国に帰りたい、祖国に帰りたいと思っても、その被爆者手帳が今度は帰ればなくなってしまうというふうな事態がもしこの法律の解釈で成り立ちますと、この法律によるその方のいわば移動という人権の侵害、人は動くことも含めて人権でございますから、そうした観点からも再度御検討いただきたいと思います。私どもの認識は、やはりこれは広島の他の判決等々とは違うということは再度申し上げましたが、その点をおきましても、このことゆえに、ある一人の個人の移動が制限されるという観点に立った上での、もう一度御熟慮を重ねてお願い申し上げます。

 では、引き続きましてもう一点、本法案とはちょっとテーマが違いますが、ぜひともここで坂口厚生労働大臣に御検討いただきたい事案がございます。皆さんも御承知おきのように、大阪で起きました小学生殺害事件でございます。

 連日の報道でございますし、この犯人と目される方の精神状況あるいは人格的な問題等々、あるいは被害を受けたお子さんたちの本当に胸に迫る御家族の苦しみ、子供たちの悲しみ、私どもも毎日夜この報道の中で本当に胸をつぶされる思いでございますが、その中にあっても、私は、この報道がいわゆる精神障害者による犯罪ということでひとり歩きしていくことを極めて恐れております。

 どういうことかと申しますと、報道から聞き及ぶ範囲においても、この容疑者には二つの特色があると思います。もとの奥様との離婚問題のときの言動を含めて、いわゆるこの方が精神障害の範疇に入るのか、それとも極めて人格的に乱暴でいろいろな傷害事件を起こしておられたのか、その辺も、精神障害者という形で一くくりにしてしまっては、かえって世の中で、日本で二百十万とも言われる精神障害の方たち全般に及ぶ影響の大きさを私は一点懸念するものでございます。

 そしてもう一点、厚生労働省としてぜひとも今お取り組みいただきたいのは、実はこの容疑者も、法務省の刑事局からいわゆる精神鑑定されました後、今度は、昔でいう精神衛生法、今は精神福祉法となりましたでしょうか、そのもとにあって、鑑定医二人のまた御意見で措置入院をされました。措置入院の解除のときには、今度はその治療機関先の医師だけが解除を検討いたします。

 今の精神医療の状況、非常に手薄でございます。全国で精神科医は一万二千、患者数は先ほど申しました二百十万とも言われる中で、この措置入院ということの現状とその後のフォローアップ体制について、実は厚生労働省にお伺いいたしましたが、厚生労働省としての詳しいデータをお持ちでないようにも伺いましたが、まず一点、もしあれば、措置入院を受けた方たちのその後のフォローアップ状況を厚生労働省としてどのように把握しておられるか、そして、そのことについて坂口厚生労働大臣の御認識を伺いたいと思います。

今田政府参考人 今回の事件、大変痛ましい事件でございまして、私ども本当に心を痛めております。

 今回のケース、精神障害者であったのかどうかとかそういったことは、これから本当に捜査当局等から全容を解明した上でないと、本当に、このことを早計に精神障害者としてとらまえて云々することについては慎重でなくてはならない、私もそのように思います。

 さて、一般的に、検察あるいは警察もございますが、犯罪等を犯したけれども責任能力を問うことができないというような場合には、それらから通報を受けまして、都道府県知事にこれが譲られるわけであります。都道府県知事は、自傷他害のおそれがあるかどうかということを今御指摘の二名以上の指定医によって判断をし、必要な入院措置をさせます。

 これは、そもそも一種の人権上の制限を加える制度でありますから、さまざまな仕組みの中で、できるだけ、状態がよくなればすぐにでも、その拘束しなければならない条件がなくなったのだからそういったものを解除するということから、退院時においては、当の医療機関の指定医がそういうふうに判断をされたということをむしろ尊重して、入院時の二名の診察、そして退院時の一名の診察という仕組みになっております。

 さて、この措置入院を解除した後にどうかという御質問であります。

 年間で約三千四百名が措置入院をいたしておりますし、ほぼ同数がまた退院をしていくわけでありますけれども、こういった方々が、一つは、自傷他害はないけれども医療は要るという場合には、引き続き医療保護入院あるいは任意入院としてそのまま入院されるケースが多々ございます。それから、もちろん直に御退院になられる方もいらっしゃれば、そういう道筋を通って退院される場合がある。

 ただ、その方が措置入院であったということを取り出して、その方がどのようなその後の状況にいらっしゃるかという点について、私どもはそれを把握しているわけではございません。

阿部委員 特に把握していただきたい点は、例えば法務省の刑事局から、いわゆる心神喪失ないし耗弱によって都道府県に回されて、指定医の診察を受ける方は三千六百二十九人。そのうち、措置入院になる方は二千百四十二人。この方たちは、明らかに何らかの心神喪失状態と判定されて、それゆえに犯罪を犯された。その時点では指定医はかかわりますが、先ほど申しますように、今度は解除の時点では、治療的な観点からというところで受け持ち医しかかかわらないわけです。

 今、精神医療の現場を見れば、一人の医者が患者さん何人を診ているか、極めて手薄な状態でございます。簡単に換算しても、一人の医者が二百名以上診ている場合も、外来も含めますればございますでしょう。そうした中で、極めて治療的にもあるいは判断的にも、ルーズなことと申しますか、不十分なことが行われているのではないか。

 特に、法務省刑事局から措置入院となりました患者さんのフォローアップ、現状調査、これを早急にしていただきたいと思います。私は、これが次の再犯にも、ほかのまた悲しい事件にもつながっていくことが大変危惧されますので、早急に御検討いただきたいと思います。

 では、本来の質疑に入らせていただきます。

 きょうは農林年金についての厚生年金への一元化ということがテーマでございましたが、一元化はある意味ではきょうの皆さんの御論議の中でやむなしという認識に立った上で、ではその一元化されるところの厚生年金の実態はいかなるものかということについて、これも何人かから御指摘ございましたでしょうけれども、私の方からもお尋ね申し上げます。

 先回までの論議で、私は、国民年金、一階建て部分の空洞化の問題を指摘させていただきましたが、実は厚生年金、二階建て部分にも空洞化と呼べる現象が進んでいると思います。そもそも加入者にして去年からことし五十万減少しておりますが、この事態、原因についてどのように分析しておられますでしょうか。

坂口国務大臣 この問題をお答えします前に、先ほどの精神障害者の問題でございますが、大阪の事件はまことに痛ましい事件でございまして、本当にお母さん方の何とかしてほしいという叫びが聞こえるわけでございます。

 しかし、大阪の場合は、それが本当に精神障害によるものなのかどうかということはまだわかっておりません。しかし、現実に、精神障害があって、そして犯罪を犯すケースもあるわけでございます。

 その場合に、今の措置入院となってその解除をするときに一体どうするのかということは、そこが私も問題だというふうに思っておりますが、そこは、その医師たちは、いわゆる法をその人がまた犯すかとか犯さないかというようなことは頭の中にないわけでありまして、医学的症状がとれたかどうかということ以外に私はないのだろうと思うのです。また、その人たちを帰した後、その人たちがどういう社会環境にあるかということも、それほど吟味するいとまがないのではないかという気もするわけでございます。そこをもう少しチームワークで何かできないのかというふうに今、私個人でございますが、考えているところでございます。

 時間がないようでございますから急がせていただきますが、先ほどおっしゃいましたように、平成十年に比べまして、十一年度末で見ますと、大体約四十八万人、五十万人、被保険者数で減少いたしておりますし、適用事業所数でいきますと一万減っているわけでございます。

 これが何によってこの傾向が出てきているのかということは、一つは、昨今の経済環境が厳しいということもございますが、常用雇用者数が減少している、そして、短期間の労働者が増加している、パートが増加している、このことが一番大きな要因になっているのではないかというふうに考えておる次第でございます。個人、法人を問わず、事業所数が減少していることなども要因ではございますけれども、そうした、常用雇用からパートへ、そこが大きな原因になっているというふうに思っております。

阿部委員 いわゆる法人数が二百五十一万ございますところ、加入している法人数は逆に百六十九万で、これも八十二万未加入状態というふうな分析が、これは厚生省から直にいただいたのではございませんが、上がっております。

 そして、私といたしましては、ぜひとも社会保険事務所でいろいろお取り扱いの企業の加入状況をしかるべく分析にたえるような資料として提供していただきたい、これは厚生年金、長く続いてほしいものでございますから、きょうは時間がございませんので、その一点、お願い申し上げて、あと、農林年金の業務に携わっておられた皆さんの雇用問題は先ほど二人の大臣から前向きな御答弁をいただきましたので、質問を終わらせていただきます。

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