第151回国会 財務金融委員会 第8号(2001/3/14)抜粋 案件: 政府参考人出頭要求に関する件 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
外は真っ暗、夜なべかなと思う時間まで皆さん大変御苦労さまでございます。またきょうは問責決議案、残念ながら否決されまして、また何やらちょっと気の抜けた答弁も多うございますから、最後ですので、張り切って私も質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
まず第一点、今回のこの関税定率法等の一部を改正する案のうちの一番目、特恵関税制度の改正についてお伺いいたします。
特恵関税制度を今後十年にわたってさらに延長しようというこの改正案でございますが、まず第一点、この特恵関税制度の中で特恵国扱いになっております国、とりわけ中国についてお伺いいたしたいと思います。
私の手元にいただきましたデータによりますれば、特恵国の扱いを受けた輸入量のうち、ほぼ九割以上でしょうか、中国が占めております。これが年々二十数%ずつ増加いたしまして、恐らく今年度は、八千億から九千億、対中国の輸入が占めることとなると思います。
では、所轄の官庁にお伺いいたしますが、対中国輸入物品の中で、どのような内訳になっておりますでしょうか。
○寺澤政府参考人 お答え申し上げます。
中国からの主な輸入品でございますが、平成十二年、中国からの輸入額が五兆九千億余でございます。そのうち、繊維製品が一兆八千億、機械機器が一兆五千億、食料品六千億等でございます。
○阿部委員 その繊維の一兆八千億、私の最初に申しました数字が私の数値の読み間違いでしたら大変失礼いたしました。五兆のうち一番多くを繊維が占める一兆八千億のうち、日本企業の海外出資によるものの再輸入と申しますか、輸入の占める割合はどれくらいでございましょうか。
○寺澤政府参考人 私ども、通関統計上はその数字を持ち合わせてございません。
○阿部委員 先ほどの吉井委員の御質問にもございましたが、今我が国の産業は、ITから繊維そして野菜に至るまで、労働力の非常に安価な中国へとシフトしております。そして、先ほどの吉井委員の御質問で、ネギ、シイタケ等々のセーフガードをどうするかという御質問、あるいは繊維、タオルのセーフガードをどうするかという御質問もございましたが、実は大きな問題点は、そのセーフガードの発動以上に、セーフガードは年限のあるものでございますから、今問題になっておるような野菜、生鮮食料品の我が国内における農業運営のあり方、これをどのように我が国が位置づけて、支援していくなり育成していくなり、その方向性を明らかにすることが今一番国民の求めるものかと思います。
野菜のお店屋さんの店頭に行きますれば、オール中国野菜のオンパレードでございます。このことも含めて、我が国の農水省の皆さんにあっては、特に生鮮度の高い野菜等々の国内での生産における農水省の役割をどのように認識しておられるのか、この点についてお答え願います。
○小林政府参考人 今、野菜を中心にした農政のあり方のお話がございました。
まず野菜については、昨年、価格が非常に下落した中で、緊急的な対策を一つ講じております。緊急野菜対策ということで、特に地域によって大きな影響が非常に生じたものですから、そこで高品質の野菜をつくっていく、そのための生産なり共同出荷体制の整備、これは全体で事業規模三十億円の緊急支援ということを講じております。また、あわせまして、低コストの耐候性ハウスとか予冷保冷施設等の整備等、こういうものを緊急にやるということが一点でございます。
ただ、もう少し広い、長い意味で申し上げますれば、今先生御指摘がございましたけれども、国産野菜が消費者の皆さんに受け入れられて、きちんとそれが大事にされていくということからしますと、表示の問題が一つございます。表示につきましても、昨年から生鮮物の表示ということで始めておりますし、またことしも、加工等を含めたそれなりの、きちんと国産と輸入物の区別がついていく、こういった方向を打ち出しております。
また、一昨年制定いただきました食料・農業・農村基本法におきまして、農産物、野菜を含めたいろいろな対策がございます。その中で、平成二十二年を目指した食料自給率でございますとか生産目標を立てておりますが、その中でも、野菜につきまして一つの大きな品目として位置づけて、それの達成に向けてさまざまな補助事業、融資事業も含めて対応していく、それによって国内の産地の輸入品に負けない体質強化を図っていきたい、そういった方向で進めているところでございます。
○阿部委員 現在、御指摘のような点が順調に実施されましたとしても、ネギにいたしまして、国産ネギが大体三百円のところ、例えば中国のネギが百円という価格で市場に出回り、国産のものをつくっている農家というのはやはり非常に窮地に立たされておると思うわけです。
ネギとシイタケについては今セーフガードについて検討中ということも伺っておりますが、果たして、また今度セーフガードを発令いたしました場合に対中国との貿易摩擦、当然予測されると思いますが、その点について、我が国政府といたしましてはどのような対中国との交渉あるいは施策をお持ちであるのか、お教えください。
○西藤政府参考人 ネギ、生シイタケ等のセーフガード調査につきましては、現在、政府の調査を開始しておりまして、関係法令に基づいてセーフガードの発動を含め検討中という状況でございます。
一方、私ども、関係国の農業生産の状況、流通の状況、そういうことを国内の生産者に情報提供し、そういうものに対抗できる対応もとっていく必要がある、あるいは関係国に国内の状況についての理解を求めていく必要もあるというような観点から、中国との間では実務レベルの情報交換の枠組みを二月から始めておりまして、今月も関係者との情報交換を行う、そういう取り組みを通じて円満な貿易関係の樹立に努めていきたいというふうに思っております。
○阿部委員 私の根本的にお伺いしたかったのは、中国のWTO加盟について我が国がどのような姿勢で交渉に臨んでおられるかです。当然、もしもネギ等々のセーフガードをいたしました場合に、WTO加盟国でない中国からの反応は多様なものが予測されてまいると思います。タオル等については、中国におきましても、中国の製造メーカーに日本国ばかりに輸出しないようにという指示がおりているやにも報道されておりますが、いずれにしろ、やはり中国のWTO加盟ということは、我が国にとりましても非常に貿易上の安定にかかわってまいりますことですから、この点に関して、これは恐れ入りますが宮澤大蔵大臣にお願いいたします。
○宮澤国務大臣 基本的に、我が国は中国のWTO加盟に賛成でございます。中国にとりましても非常にたくさん問題がございます。想像しましても、農業についてまことにいろいろ問題があるであろうと思われますが、今中国は、この段階になりまして、各国とそういう具体的な問題を処理しながら、なお一般的な規則を受諾しなければならないという、その問題についての交渉がなおジュネーブ等々で行われておるということでありまして、我が国としては、基本的に中国のWTO加盟を支持する立場であります。
○阿部委員 もう一歩立ち入って、中国がWTO加盟をなし遂げるために、我が国としてできることが何かあるとお考えでしょうか、またなすべきことがあるとお考えでしょうか。この点について明確にお願いいたします。
○宮澤国務大臣 私は今交渉の内容を詳しく存じませんが、基本的には我が国とは既に妥結をしておりますし、我が国はWTOの中国加盟を支持しておりますので、具体的な問題があるようには聞いておりませんが、あるいは私が十分細かいことを知らないかもしれません。
○阿部委員 では、次に移らせていただきます。
この法改正のうちの沖縄にかかわる部分についてお伺いいたします。
いわゆる関税の減免税・還付制度の改正についてですが、沖縄は昭和四十七年から関税の払い戻し制度をとっており、また平成十年から一部免税制度をとったと思います。そして、今回これらを統合いたしまして、全品免税制度になさるというお考えですが、これまでのいわゆる沖縄における関税取り扱い政策の問題点と今後の改善点について、担当部署からお伺いいたします。
○寺澤政府参考人 お答えいたします。
現行の沖縄型特定免税店制度は、沖縄振興策の一環といたしまして平成十年六月に導入されたものでございますが、その後、開業されました特定免税店業者等沖縄関係者から二つの要望が出ております。一つは、旅客に需要のある物品の品ぞろえを可能とするために、現在対象から除外されている革製ハンドバッグ等を対象に加えてほしい。もう一つは、ブランド品等につきまして、輸入代理店を通じて購入せずに済むように、いわゆるデューティーフリーショップ並みに輸入の許可を受けない状態で物品の販売を認めてもらいたいということでございます。
今般の改正は、このような要望を踏まえまして、本制度をより実効あるものとするために、従来の関税の払い戻し制度を免税制度に変更することによりまして、輸入の許可前に物品を販売できるようにする、それとともに、これまで本制度の対象から除外されておりました物品についてもすべて対象とするというふうにしたものでございます。
○阿部委員 今おっしゃったような施策で本当に沖縄の貿易にかかわる収入の増が見込まれればよろしゅうございますが、なかなか見通しが暗いようにも報道されております。
もう一点お伺いいたします。
沖縄をいわゆる香港やシンガポールのような関税のないエリアになさるようなお考えは、我が国はどのようにとっておられますでしょうか。これは私が知らないだけかもしれません。
○寺澤政府参考人 沖縄全島、沖縄県全域を関税のフリーゾーンにする、いわゆる自由貿易地域にする構想がございましたが、この構想につきましては、沖縄県内及び国内の産業が関税上の保護措置を失うという問題、それから沖縄を関税法上は外国扱いをするということになる問題がございますので、現在は検討されていないと承知しております。
今回の沖縄型特定免税店制度の改正は、フリーゾーン構想のような関税政策上の問題がなくて、かつ沖縄の振興に関税面から実質的に貢献できるという観点から行おうとするものでございます。
○阿部委員 では、一応数年の経過を見させていただくことにしようかと思います。
引き続いて、先ほど吉井委員から御質問のございました関税職員の増員のことについてお伺いいたします。
これは、昨年の夏のまだ大蔵委員会でございました当時の視察で、実は私は不勉強でしたので、前委員長の萩山先生が特に石川、富山地域の視察を企画してくださいます中で、関税職員がいわゆる水際取り締まり作戦に実際にどのように従事しておられるかを初めて拝見いたしました。
先ほど来の御答弁ですと、システムとかモニター類を充実させるというふうにおっしゃいますが、結局、システムやモニターを最終的に統合して判断いたしますのは人間でございます。日本は海に囲まれた国、そして、ましてや昨今では、航空機によるいろいろな犯罪物、麻薬等々の輸入も増加しており、非常に我が国にとって、今、関税職員の充実ということは、国際化社会に突入しているがゆえに大変に重要なこととなってくると思います。
先ほどの大臣の御答弁が明確な増員という向きに余り確定をいただけませんでしたので、あえてこの場でお言葉をいただければと思いますし、もしそのお言葉があいまいであれば、もう一点資料を添えて質問いたしますので、関税職員の増員についてお答えをお願いいたします。
○若林副大臣 御承知のように、国家公務員定員全体につきましては純減を図るという方向で非常に強化して努力をしているところでございますが、国家公務員全体で五千九百八十八人の純減となっております。うち非現業職員については千八百九十三人の純減という、昨年以上に厳しい状況の中で対応をしているわけでございます。
関税関係、先ほどお話ありました覚せい剤、麻薬などの水際取り締まりの強化とか、適正迅速な通関の確保のための要員としては五十九人を確保いたしましたが、全体の定員削減との関係で対前年増減は二十二名の純減となったわけでございます。大変厳しい定員事情のもとでありますけれども、税関定員の確保及び処遇改善について今後とも努力を払ってまいりたいと思います。
全体の中で増員についても努力をいたしますが、そのような新しい状況変化に応じて負担がかかっている地域については、特段の配慮をしながら増員についても努力をしてまいりたいと思っております。
○阿部委員 もちろん、総定員法の枠等々があるのは知っておりますし、ただし、やはりめり張りをつけませんと国の安全が保たれていかないと思います。
ちなみに、大麻等々の摘発件数において、警視庁摘発の四百九十キログラムのうち、税関、水際作戦で四百八十五という、ほぼ九八%に近いブロックをいわば税関の職員の皆さんの汗と努力でなさっていることと思います。また昨今、羽田空港への国際便の離着陸に対して、関税職員が常勤化できないために日夜運航できないような事情も承っておりますので、あわせて強く強くめり張りのある増員をお願いいたします。
最後に一点、これは私が質問通告してございませんので、一応お聞きいただきまして、今後我が国にも起こり得る関税上の問題、貿易上の問題と思ってお聞きください。
テーマは、南アフリカにおけるエイズ治療薬の輸入問題でございます。
エイズは、今南アフリカにおいては五人に一人が罹患、多いところでは、アフリカでは三人に一人という高率な罹患でございます。これに対して、抗ウイルス薬、エイズを治療する物品が非常に高い。それによって、低所得者層に回らない。インドやあるいは東南アジアで安くつくったエイズ治療薬を輸入したいという政府側、そして逆に米国は、薬剤の開発にかかわる特許ということを問題に、WTOの中の知的所有権の問題としてこれを制限する方向を打ち出しております。
我が国に直接かかわった問題ではございませんが、実は、医薬品等々の特許にかかわって、人命との間で大きなそごが生じているのが低開発諸国の医療問題でございます。注射針一本、アメリカのものは高うございます。そして、それゆえに治療にたどり着けない多くの貧民、下層の皆さんがおいでであります。これから恐らく、二十一世紀、我が国が東南アジア、アフリカに対して、先ほどの先進国として特恵国に対して何がなせるかということの中に、ぜひともWTOの席上におきまして、我が国といたしまして人道的な立場から安く治療薬が行き渡ることに意見を申し述べていただければと、これは私からのお願いでございます。
私は、きょう、持ち時間というか持ち質問、準備いたしましたのは以上でございますので、終わらせていただきます。ありがとうございます。
○宮澤国務大臣 お話はよく承りました。