第151回国会 財務金融委員会 第9号(2001/3/30)抜粋 案件: 政府参考人出頭要求に関する件 参考人出頭要求に関する件 財政及び金融に関する件(通貨及び金融の調節に関する報告書並びに破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告) 財政及び金融に関する件
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子と申します。
皆様、大変遅い時間まで御苦労さまです。特に宮澤財務大臣並びに速水日銀総裁においては朝から長い時間でお疲れかと思いますが、私で最後ですのでよろしくお願いいたします。
宮澤財務大臣がお席を離れる前に一点だけ、申しわけありません。
私は、先ほど来のお話を伺いまして、特に鈴木淑夫議員の御質問の際に、日銀の速水総裁と宮澤財務大臣の間で、今般起こっております、日銀は出血サービスで量的緩和をした、簡単に申しませば、そこほどに私たちにはもうこれ以上打つ手はないのだという形で出されておりますが、宮澤財務大臣の今般の景気に対する認識は、よくはないけれども芽もないわけでもないし、まあまあという程度の、逆に経済政策上の認識がやや薄いかなと失礼ながら存じまして、二点だけ、ごめんなさい、質問通告していないのですが、宮澤財務大臣は何でもお答えが可能ですから、お答えいただければうれしく思います。
まず一点目は、先ほどの佐々木委員の御質問にありましたいわゆるデフレ認識ですが、内閣府は、従来であれば、一応成長率はプラスなので物価の下落があってもデフレとは呼んでいなかったけれども、今般は、成長率はプラスであっても物価の下落傾向が続いているのでデフレと呼ぼうと、簡単に言えば、同じ事態を見て認識を変えたかの、定義を変えたかのお答えでございましたが、やはり定義を変えるには何かの理由があると思うのです。同じものを見て、急に定義をある意味で変えたわけです。
その辺の認識について、恐れ入りますが宮澤財務大臣に、先ほど来、経済成長率がプラスであれば旧来はデフレと呼ばなかった、しかしながら今般、今からはデフレと呼ぼうというふうに定義をお変えになった一番の現実的な理由は何でございましょう。
○宮澤国務大臣 それで全部ですか。(阿部委員「もう一つあります。続けていいですか」と呼ぶ)
○佐藤(剛)委員長代理 阿部君、続けて言ってください。
○阿部委員 では、時間省エネのために続けさせていただきます。
二番目は、今のお答えが、もし先ほど来宮澤財務大臣がお答えの、今般の雇用不安はどうもやはりちょっといかぬなというお答えであるならば、私は、雇用不安ということに関しまして社民党的提言がございます。
実は、今般さまざまな雇用不安、リストラに対しまして極めて受け身的な政策、例えば雇用保険の延長ですとか、それから今も労働委員会にかかっておりますような転職前一カ月のいわば訓練期間の設定とか、極めて受け身的な雇用政策しか打っておりませんが、もし今般の事態を、かなりが雇用不安こそが問題であると内閣担当者の方で認識なさいますのであれば、例えばヨーロッパ諸国、イギリス、フランス、ドイツ等々でとられておりますような積極的な、直接的な雇用の創出策をおとりになるべきと思っております。
これはもちろん宮澤大臣の、私の担当ではないがとおっしゃいますでしょうが、しかしながら、内閣きっての実力者でもございますし、この金融財政問題、恐らく労働問題と離しては解決がいかないだろうというのが私の結論ですので、その点も含めての御答弁をいただければ大変ありがたいと思います。
○佐藤(剛)委員長代理 御通告がないようでございますが、宮澤大臣、よろしくお願いいたします。
○宮澤国務大臣 まず最初のことでございますが、これは十何年前にもございました。
大変にみんなが不景気不景気と言っているときに、経済企画庁は景気は緩やかに上昇していると報告し続けたことがありまして、それは私もいかにもおかしいと思って、そういうことを実は申しましたのですが、経済企画庁からいいますと、景気が後退しているあるいは動いていないときはともかく、少しでも上がっているときは上がっている、こういうことになるわけなんですね。しかし、少ししか上がっていないと言うと緩やかに上がっていると言うので、その上がっているという部分がどうしてもついてくるので、そうでなきゃとまっているか落ちているしかない。
そこが、学者が考えられることと、俗に我々が言う言葉とが違っている原因だと私は思っていますが、今度の場合、そのデフレですが、明らかに国民はみんなデフレということが実感でございましょうね。それで、二期続いてマイナス成長ならデフレ、これはちょっときついですね。今度のように二年続いて消費者物価がマイナス、マイナスだったらデフレ、私はごくごく常識的な答えだ。
別に我々は、学問に反してはなりませんけれども、学問の定義でしょっちゅうやっているわけにもいきませんで、大きな地震でもマグニチュードは小さかったなんというときもございますから、やはりそれは実感というものは私はあるんだろうと思うので、したがって私は、政府がこれをデフレぎみと言ったか何と言ったか忘れましたが、私も賛成で、ちなみに、日銀はできるだけのことをすべてやられたというふうに私はお見受けしています。
それから、次の問題は、実は私の責務でないわけはありませんで、大切な責務と思っていまして、平成十年の補正予算から、一番大事なのは雇用対策だと思ってまいりました。幸いにして労働省が大きな特別会計を持っていましたから、かなりそれも助けになりまして、やはり一番大事だと思ったのはジョブクリエーションなのですが、ジョブをつくるということ、しかし、我が国は戦後本当のこういう状況はなかったもので、比較的労働政策、ジョブクリエーションなんというのはしたことがございません、成長してきましたから。しかし、それをやる、ミスマッチを解消する、おまけに今度はITの社会になるというのなら、そのための教育を積極的にしなければならない。
最初から私は、雇用の問題だ、大事なことだと思っていましたし、したがって、一般会計のみならず、雇用保険がそのころ非常に裕福であったということも助けになりまして、随分これはやってきておりますつもりですし、これからもいたしませんと、というのは、我々は二十一世紀の、ニューエコノミーかどうかわかりませんが、そっちへ向かって入っていくための、この間に態勢を整えなきゃならないと思いますから、やはり雇用というのは大事だというふうに思っておるわけでございます。
○阿部委員 予定外の質問に御返答ありがとうございます。
なお雇用の促進に向けて、内閣として総体でお取り組みいただきますればありがたいと存じます。どうもありがとうございました。
では引き続いて、ちゃんと予告いたしました質問に入らせていただきます。
私は、先ほどの宮澤財務大臣のお答えを受けても、やはり端的に事象だけを読んだ方がいいと思うのです。起きていることは雇用の不安と物価の下落。そしてこれをデフレ認識するか否かについては、やはりそのことがいろいろに派生させますいろいろなイメージがございますので、とにかく現実を的確に表現する言葉を使ってそのことに対処していくべきであると思っております。
そこで、速水総裁が日銀関係のいろいろなオフィシャルペーパーでお述べいただきましたことを、去年の十二月から本年の三月十九日でございましたか、最終的な金融の量的緩和に至るまでのペーパーをずっと眺めて、私なりに速水総裁に質問をさせていただこうと思います。
ちなみに、昨年の暮れまでは、全般的にはまあまあ緩やかな景気回復、それは鈍ってはおるが緩やかな景気回復であるという認識で、そしてまた、三月七日にいただきましたペーパーにおいても、必ずしも今般の量的緩和に積極的に立ち至らなくてもよいのかなと思うようなコメント程度のものであるようにも思われます。
もう少し内容を突っ込んで読ませていただきますと、これは文面からの引用でございますが、例えば、実は日本はマネタリーベースはかなり高いペースで伸び続けている、そしてマネーサプライの伸びはしかしながら一向によくない、ここにあるものは、いわゆるマネタリーベースはあってサプライが伸びない理由というのは、マネタリーベースの供給量の割には経済活動が活発化しにくくなっているという状況をあらわしていますという、これは速水総裁の認識でございます。
いわゆるお金はあってもそれが実際の経済の活性化に回っていっていない。簡単に申しませば、私のような素人が考えますれば、今般の量的緩和は、お金の総量は出しました、その次、実際の経済活動に回っていくための策でございますね。これについて、日銀総裁の方からの御意見もあわせて、今般のこの出血大サービスに踏み切られた背景を教えてくださいませ。
○速水参考人 御指摘のように、過去五年をとってみますと、マネタリーベースでは年平均プラス七・三%、マネーサプライ、M2プラスCD、これで見ますと、銀行貸し出しが伸びていないのですがプラス三・三%、名目GDPで見ますと、ほとんど上がっていない、プラス〇・四%。こういう状態を見てみますと、やはりただ金を出しただけではなかなか景気がよくなっていかないということを強く感じます。
しかし、そうかといって、今金融の緩和をして、これから起こるであろう経済、特に金融の構造改革、あるいは不良貸し出しの償却、そういったものが企業に与えていく影響を考えますと、相当思い切った緩和政策をとらないと、下手をすると、またかつて九九年ごろ心配しましたようなデフレスパイラルといったようなことが起こる可能性が強い。
特に、そういうふうに私ども変わってまいりましたのは、最大のものは、やはり米国を中心とする世界経済の急激な減速が起こっているということで、日本にとってもこれで輸出の減少が生じておりますし、生産は弱含みになってきております。設備投資の先行きにつきましても、先行指標であります機械受注の下振れなどが懸念材料で出始めております。
こうしたことで、景気はここのところ足踏み状態と言ってもいいかと思いますが、先行きにつきましても、ここしばらくの間、停滞色の強い展開を続けていくのではないかというふうに予想されます。このため、今後需要の弱さを反映した物価低下圧力が強まっていきますと、このままではデフレスパイラルに陥る懸念が出てきているというふうに判断しております。
御指摘のように、供給サイドのコストダウンによる内外価格差といったようなことが日本ではまだ続いているのかもしれませんけれども、そちらの方はかなり下がってきております。同時に、これと需要サイドでの需要の減少が起こっていきますと、これはやはりほっておけない事態になっていくということを心配している次第でございます。
ここで必要なことは、やはり金融だけでなくて、経済自体を上向けていく民間主導の構造改革というものが、これ以上先延ばしできない状態に来ているというふうに考えております。
○阿部委員 今のような速水日銀総裁の御意見は、恐らく国民の多くが共有するところではあると思うのです。金融の量的緩和に伴って、ただこれだけでは経済の改善は得られないだろう。そこで、政府サイドの経済政策が重要にもなってくるわけですが、その点についてはまた後ほど柳澤金融大臣にもお尋ねいたしますので、その前提に立ったといたしまして、量的緩和を円滑に行えるような経済政策もうまく運んだとしてでございます。
まず、物価の下落という現象についてですが、これは今速水総裁も御指摘のように、我が国が生産点を中国等々に移しておりますことによるユニクロあるいは加ト吉、これは冷凍食品の価格安でございますね。輸入デフレと申しましてもよいかもしれません。それと、資産デフレ、資産価値が下がったということと、あとは雇用不安や生活不安による不安デフレ要因が、大きく今般の物価の下落には関係していると思います。
そして、恐らく経済のグローバル化という現象も、あるいは高齢化という波も、我が国がこれまで経験したことのない事態でもございます。あわせて、商品の売り方も、百円ショップ等々ではばんばん売れる。あるいは、回転ずしはどんどん回る。要は、単価当たりのコストを安くして、薄利多売方式になっておりますから、その中では、恐らく物価の動向というのは非常に簡単ではないように思うのです。あるいはまた、量的緩和をしても物価は下落を続けるやもしれません。
ここでお尋ねです。この二年間、ゼロ金利、いわゆる金利による緩和によって、市場に出回るお金をふやすという政策をとりましたが、物価は緩やかに下落を続けました。量的緩和に変えた場合に何が期待されますでしょう。速水総裁にお願いします。
○速水参考人 やはりこの量的緩和で、日本銀行から市場にできるだけ資金を豊かに出していくということが、これが金融サイドではなし得る最大のことだと思っております。
それで、ゼロ金利というのは、かつて一年半ほどやったわけでございますけれども、やはりこれから私ども考えておりますのは、もう少し、ゼロになってしまったらそれ以上は下がれませんし、量の面で金利がたとえ〇・二五がゼロになったといっても、そう大きな変化はございません。しかし、市場に金を多く出していくという方法をつくっておかないと、どういうことが起こるかもわかりません。
それと同時に、金融ということは、やはりリスクのあるものでございますから、それにはやはり金利というものがある程度ついていかなければ市場が動き出さないわけで、そういう意味でも、この際は、金利は市場に任せて、量の方で日銀に取引先が預けている当座預金の残高を四兆を五兆に目標を変えて、目標を新たに設定して、それを見ながら、必要な日々の資金の供給をし、あるいは、場合によっては吸収をするというような調整をしていきたいということで、これまでと考え方を変えて、その操作の目標を変えて、金利から量に移した。このことによって、少し中期に今の状態が続いていくというようなことを一般の市場や家計が感じてくださると、消費の方にもいい影響を与えていくのではないかというふうに考えております。
それと同時に、これから起こるであろう構造改革等につきましても、やはり競争力のあるものが伸びていくということが資本主義経済でございますので、その辺のところは、競争を通じて経済が伸びていくということをやっていかないと、世界経済におくれをとるということを心配しておるわけでございます。
○阿部委員 先ほどの鈴木委員の御質問とあわせて、速水総裁のお返事等々を伺いますれば、今の点については、一応先ほど、了解というと変ですが承りましたのですが、私があえてお伺いしたいのは、この経済状況の改善見通しに、短期に物価という指標を置かれることは非常に問題が大きいのではないかと思うのです。
先ほど鈴木委員は逆さに、ゼロベースというところになったら量的緩和をやめないでどんどんお続けなさいというふうな御提言でしたけれども、それも考え方で、私は一理あると思うのです。でも、私は、同じことの違う側面、物価を五年とか十年とかの長い目で見たときに安定策に持ち込むのが、日銀本来の考え方ではなかったかなと思うのです。
そして、こうやって量的緩和をして、すぐ金利で判断いたしましょうとした場合に、逆の弊害、先ほど申しました、まだグローバル化経済の行方もわからない中で、ちょっと物価の動きというのはなかなか読めないと思います。そのことを恐らく表現されたのだと思いますが、速水総裁のお言葉の中に、これは三月七日のペーパーですが「他方、数か月から数年間といったもう少し短めの期間では、物価の変動には、通貨以外の様々な要因も影響を及ぼしています。」要するに、数年や数カ月では、物価変動はさまざまな要因があるから指標にはなりませんと、ここのペーパーでは速水総裁が述べておられます。「経済全体の需給バランス、人々のインフレ期待、国際商品価格、あるいは為替相場などが複雑に関係しています。」ということです。今の為替の問題も、速水総裁も先ほどおっしゃったように、日本の物価に非常に影響していると思います。
さて、ここでなぜ、こうした指摘をされながら「金融政策で物価をどこまでコントロールできるか、また、すべきかは、なかなか難しい問題です。」私も、この方が妥当な展開だと思うのです。今回の量的緩和の成果を物価ではかろうとお考えになる根拠ですね。このことをもう一度、この速水総裁が書かれた、私はふむふむなるほどと思いましたが、このこととあえて言えば指標の設定の仕方が少し違うと思います。これを五年、十年のタームでお考えなのか。今量的緩和しておけば、十年後には物価は安定しますよという意味で指標に置かれたのか。恐らく、そうでもないお考えなのだと思いますが、短期に置くことは変数が大き過ぎて合わないのではないかという御指摘があることを踏まえて、今回の政策の目安を物価のゼロベース、ゼロ線に置かれたことの意味をもう一度お聞かせください。
○速水参考人 今回の基準は、日本経済にとって中長期的に望ましい物価水準の上昇率を示したものではございません。あくまでも、通常は行われないような思い切った政策を継続する条件として、日本銀行として、物価が継続的に下落することを防止するという断固たる決意を示したものでございます。
インフレでもデフレでもないところで物価を安定させていくということを当面の目標にしてやっていくつもりでございます。手段は量を使っていくということでございます。それが、物価の下落がとまってゼロのところまで行って安定するようであれば、次の政策はまたそのときに考えるということでございます。
○阿部委員 何度も繰り返しますのは恐縮ですから、以前に速水総裁からいただいたペーパーによれば、そういう短期の物価の変動は指標としては問題があろうという御指摘のように私は拝読いたしました。
そして、なおかつ私の考えを申し述べなくてはいけないと思いますが、私自身は物価の今後の見通しというのは、先ほど来申しますように、多様な要因が絡まってなかなか一筋縄ではいかないと思います。でも、生活者にとって望ましい物価とは何かということを考えてみたいと思います。
どういうことかといえば、諸外国、アメリカと比べてさえ、我が国は日常の必要な生活物資にかかわる物価はコスト高にできております。これは国民生活局からいただきました資料におきましても、例えば食べ物類でも、日本はアメリカ等々に比べますと平均一・五倍くらい、生鮮食料品は除くという物価の指数はございますが、毎日の生活に必要なものの値段を考えてみますと、食料品でも一・五から二倍、被服でも一・三から一・五倍くらいいたします。
そして、もっと高いものが公共料金でございます。これはガス、水道、電気、例えばアメリカと比べましても、私がアメリカと比べましてもと申しますのは、アメリカはあれだけいろいろな競争の国であって暮らしにくいだろうなと思われるかもしれないが、その暮らしにくいアメリカでも、いわゆるそんなにリッチじゃない人が暮らしていける要件の大きなもとが、公共料金が安い、あるいは毎日の生活費が安いということだと思いますからあえてアメリカを引きますと、電気は日本の場合がアメリカの一・一七倍、ガスは一・九六倍、水道二・五四倍、公共料金でございますね。
こういうこと等々、これ全部が込み込みで物価という形にあらわれているわけですから、むしろ今後の我が国がとるべき政策は、例えば、御高齢になり収入が少なくても安心して暮らせるような形態。もちろん、たくさんの年金が給付できればよろしゅうございますが、これはもうだれも気がついているように、もともとに限度がございます。そうなりますと、ある程度安定した低い物価で、特に生活必需品、公共料金が低い形で暮らせるような姿が望ましいというふうに私は考えております。
ですから、あえて日銀総裁に伺いますが、物価をなべてゼロベースでという判断をなさいまして、それでこの金融緩和策をやめるか継続するかをお決めになることは、もしかして判断を過たせるのではないかという私の懸念についてお答えくださいませ。
○藤原参考人 お答えいたします。
今回私どもがとりました政策の中に、時間軸として、消費者物価の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまでという基準を示しております。先生がおっしゃった疑問も、それはいつまで続くのか、これをどう考えるのかということだと思われますけれども、今回の措置は、通常では考えられないような思い切った政策をとったわけです。そして、ゼロ%以上の物価の基準が満たされるまでこれを続けるというふうにいわばコミットしたものであります。
しかし、これが中長期的に望ましい物価上昇率であるというふうに考えているわけでは決してございません。現在、我が国の物価状況は、需要の弱さに加えまして、技術革新や規制緩和、流通革命など供給面の要因も物価低下圧力として作用しております。このため、現時点では望ましい物価上昇率を具体的な数値で示すことはなかなか難しいというふうに考えておりまして、物価目標の数値化の問題は、したがって、引き続き検討課題とさせていただいているわけです。昨年の十月に物価レポートを出しましたけれども、私どもはこの問題を、さらに検討を続けていくこととしております。
○阿部委員 ぜひこれは検討を続けていただきたいと思います。
きょうの新聞でも、牛どん吉野家二百五十円、すき家二百何十円と出ておりましたが、一度下がった物価に対して、国民はやはりそのことを歓迎いたしますし、ユニクロのシャツにしてもそうでございます。ですから、なかなか物価の問題というのは、今般の量的緩和に伴って変動するかどうか難しい要因がございます。
そしてなおかつ、私が手元に持ちましたデータでは、前年度の賃金の上昇に伴って物価が上がるような線を日本は描いておるかというと、これがやや乖離がございます。例えば二〇〇〇年度ですと、前年度賃金比は上昇のプラス二・〇%ですが、消費者物価指数はこのとき下がっております。となると、我が国の物価というのは企業活動とも必ずしもパラレルではない、あるいは賃金とすらパラレルではないという動きを今新たに示しているのやもしれませんので、何度も繰り返しますが、この指標を置かれたことについては、よりさらに詳しい検討をぜひともお願いいたします。
そして引き続き、経済、金融担当大臣の柳澤さんにお伺いをさせていただきます。
私が先ほど来申しますように、一応、日銀の金融政策はこれで打つ手はすべて打った、速水総裁も、あとは政治の責任だとボールを投げられたのだと思います。そして不良債権処理問題も、六カ月と言った、いや、それは景気上昇までの時間だと、いろいろに見解の差がございますようですが、そのことはさっきからやっているので横におきまして、これまで不良債権処理が、アメリカから言われているのはずっと数年来ですが、うまく運んでこなかった大きな原因、あるいはうまく運んできたけれどもまだ足りないというふうに認識されているのか、うまく運んでこなかったとすればその原因は何であるのか、そのあたりをもう一度お教えください。
○柳澤国務大臣 阿部委員がまだこちらに御登場になられる前に、一九九七年から九八年まで、日本は大変な金融危機ということが言われておったわけです。そのときに一番言われたことは、金融機関のあるいは金融システムの健全性、もっと具体的に言うと、資本が十分ではないのじゃないかということが中心的な課題であったと私ども思っております。そうして、それがために再生法と早期健全化法がつくられたわけですけれども、特に早期健全化法では、本当に異例なことだったと思うのですけれども、金融機関の過少資本を修復するために、金融機関が発行するところの優先株を中心とするエクイティーを国が応募するという形で資本の増強に努めたわけでございます。
そういうことで、健全性というものに非常に焦点が当たっておりましたので、不良債権の処理についても、とにかく健全性が確保できればということで、処理の方式というものについて、どちらかというと、日本の場合にはとりあえず引き当てでもいいということでございました。アメリカからは、その当時から、私も速水日銀総裁からもたびたび伝言という格好で聞きましたけれども、いや、バランスシートに残しておいてはだめなんだというようなことを言われておったのですが、とりあえずは、とにかく健全性の観点から十分な引き当てをするということで処理に当たってきたということでございます。
それが、先ほど宮澤大臣が言われたように、アメリカはオフバランス化ということにずっと関心を持っておりましたので、ここに来まして、財政政策ももう出すべきものは出した、金融政策も出すべきものは出したということから、不良債権のオフバランス化ということに話が移ってきておる、このように理解いただければよろしいのじゃないかと思います。
○阿部委員 では、第二段階に入ったというふうに承った上でですが、不良債権処理の場合、特に直接償却と申しますかそういう手法をとりましたときの、それに伴います先ほど来の雇用不安、リストラの問題等々ございますが、柳澤金融大臣といたしましては、そこの点についてはどういう対策をお考えでいらっしゃいましょうか。
○柳澤国務大臣 日本銀行総裁が先ほどまででお使いになられたお言葉ですと、競争力のある企業あるいは部門を残して、競争力の落ちているあるいは失われている部門についてはこれを整理していくということが不良債権のオフバランス化を通じての構造改革として期待されているところ、こういう認識なわけでございます。
したがって、私は、雇用の問題というのは、今既に非常に不良債権化している不稼働部分について、それほど雇用が張りついているということ自体について若干留保したい気持ちもあるのですが、仮に、形式論理に従ってそこをとにかく切り捨てる、整理するということになったら、どうしてもそこに張りついている雇用というものが、機会が失われるということを認めざるを得ないのではないか。これはそういうことになろうと思うのです。
したがって、私は、今特に産業政策の面で非常にお願いしたいのは、アメリカあたりのこの問題の処理の経緯などを見ても、とにかくもっと新規産業が出てくれる、新規の雇用の場が出てくれる、こういうことが非常に必要なんだということをかねがね思っているわけでございます。
○阿部委員 新規産業、本当に出てくれればみんなうれしいわけですが、なかなかそこが、これといったものがまた一本、一つには見つからないというのが現在の過渡期の日本かと思います。
そこで、厚生労働省、せっかく来ていただきましたので、お伺いいたします。
一応不況三業種でございますね、建設業、不動産業、流通業等々、今回不良債権処理に伴っても一番リストラとかが起こりやすい分野でございますが、不良債権処理を政府、金融が一生懸命やるとして、厚生省サイドとしてこれらの不況三業種についてどういう雇用労働対策を裏打ちしていくのか、そのことについてお答えをお願いいたします。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
雇用問題についてのお尋ねでございますけれども、特定の産業から大勢の方が失業者として出されるというケースを想定した場合でもありますけれども、私どもといたしましては、三つの観点から対策を講じなければならないと思っています。
一つは、解雇、倒産等によりまして失業をされた方々のセーフティーネットの確立でございます。
この点につきましては、昨年の通常国会で改正をいただきました雇用保険法、この法律によりますと、倒産、解雇等により離職する労働者の方々に対する給付日数を延ばすなどセーフティーネット機能を強化しておりますので、この円滑な施行を図ってまいりたいと思います。
それからもう一つが、労働移動の円滑化でございます。
失業を余儀なくされるというケース、私どもとしてはそういった事態が切迫した場合に、でき得れば本当に失業する前に次の仕事に移っていくような、そういうサービスを心がけたいと思います。また、仮に失業したとしても、その期間が最小になるような対策をいたしたいと思います。その意味で、先ほど先生お触れになりましたけれども、雇用対策法等の改正案を今国会に御提出し、現在御審議をいただいているところでございます。
また、もう一つは、働く場が生まれること、そしてその働く場に、失業した方あるいは転職せざるを得ない方々がうまく適合することでございます。
そういった意味で、中小企業の新規分野への進出等の場合に、そこに見合うように能力開発を充実すること、それから創業時の企業につきまして、中小企業の場合にはさまざまな点で雇用のノウハウとかいうのがございませんけれども、そういう立ち上がり時の支援を強化して、失業者の方々を雇いやすくする。こういった三つの観点から対策を進めてまいりたいと存じます。
○阿部委員 あわせてでございますが、デンマークでは、地方市場労働評議会のような地方単位に権限を持たせた労働市場の雇用移行システムに力を注いでいると承っております。労働省でも、地方労働局ですか、おつくりになりましたし、ぜひとも雇用における地方分権化をさらに率先してお進めくださいまして、雇用不安なき不良債権処理に内閣挙げてお励みくださいますように、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○佐藤(剛)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。