第155回国会 厚生労働委員会 第2号(2002/11/01) 抜粋

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 まず冒頭、坂口厚生労働大臣にあられては、さきの第百五十四国会に引き続いて今回もまた大任をお務めくださる由で、皆さんはおめでとうとおっしゃっていましたが、私はありがとうございますとまず申し述べたいと思います。

 そして、副大臣には実力派、鴨下先生と木村先生ということで、これは本当に今のどうやって社会保障制度を充実させていくかというときにあってまたとない人材と思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。褒め殺しではないので。

 そして、実は坂口厚生労働大臣に質問予告はしてございませんけれども、ハンセン病、クロイツフェルト・ヤコブ病と引き続く大臣の御英断によって時代を切り開いたような幾つかの政策とあわせて、いま一つ、私、阿部知子並びに中川智子、いつもこの場で例示させていただきますが、在外被爆者問題で、今、実は在ブラジルの森田さん、森田隆さんという方が、もう八十もお近い、超えられた年齢かと思いますが、わざわざブラジルから二十四時間をかけて、この日本でのいわば裁判に臨むために来日しておられます。

 彼は、かつての広島、長崎の被爆のときに被爆された被害者、被爆者で、その後日本の国策によってブラジルに移住されて、そして、ブラジルに在住しておると、なぜか、被爆者と認定されておるにもかかわらず、被爆についての治療がこちらに帰ってこないと受けられない。

 この問題は繰り返し私どもが提起しておりまして、やはり戦後五十七年たち、六十九万人近くの方が被爆され、その中には在日朝鮮人の方あるいは中国人の方、いろいろな国籍の方、あるいは日本人であって戦後海外でお暮らしの方、さまざまな運命を背負って生きておられる方がございます。ぜひともこの被爆者援護法の在外被爆者への適用という問題を、もういろいろな問題がございますが、命が有限であり、御高齢でもあり、坂口厚生労働大臣のいわば国際的な視野に立った御英断で、引き続き、現地での適用がなされるようにお願い申し上げたいと思います。

 これは御答弁をいただくものではなくて、現在森田さんが来ておられるということを御報告かたがた、本当にお心におとどめおきいただきたいと思うことで、まず冒頭申し述べさせていただきます。

 そして、私の本日の質問は、きょうは週末の金曜日にもかかわらず、当委員会の委員長初め委員の皆さんの熱心な御討議によって長時間にわたる委員会審議時間が確保されまして、私も実は議員になってから初めての四十分という時間をいただきました。大変うれしくもあり、今までなかなか質疑できなかった、そして本来私が長年自分のライフワークとしておりました小児科医療について、まず冒頭お伺いしたいと思います。

 そして、小児科医療についてお伺い申し上げるときに、このような悲しい事例を取り上げることから始めなければならないということを、私は、やはり来るべきものが来たかなという思いで、小児救急医療ということで取り上げさせていただきます。

 もう皆さんの中でも既にマスメディア報道等で御承知おきと思いますが、先日、岩手県一関市で、生後八カ月の乳児が、子供にはありがちな下痢、嘔吐という症状で、ちなみに私たち小児科医はうんこ、しっこと闘っているような毎日ですから、下痢、嘔吐というのは非常に日常的、そしてその中にいろいろな、重篤なものから軽微なものまである幅広い疾患ですが、第三病日、発病してから三日目と思われる夜間の時間帯に、一関市で救急受診ができる小児科医のいる病院を探し求めたがついに小児科医にはめぐり会えず、おうちで、自宅で死亡されたという事例です。

 坂口厚生労働大臣にあっては、まず、この事例について何が最も問題であると御認識であられるか、冒頭お願いいたします。副大臣。

木村副大臣 まず、阿部先生にお褒めの言葉をいただきまして大変恐縮に思っております。後が怖いかな、こう思っておるような次第であります。

 今先生が御指摘いただきました、岩手県の一関市で、生まれてから八カ月しかたたない赤ちゃんが死亡したという事件はまことに、本当に痛ましい残念な事件であると私自身も考えております。

 私も今子供たちが、ようやく一人は中学校一年、もう一人が小学校六年でございますので、随分小児科医の先生方に大変お世話になりました。先生自身が小児科の医師ということで、こういうのを随分御経験されながら、大変取り組んでおられるその真摯なお姿にまさに敬意と感謝を申し上げる次第でございまして、今後ともますますの活躍をお祈り申し上げる次第でございます。

 岩手県から事情を聞いたところでは、残念ながら、一関市を含む両磐医療圏というのは小児科のお医者さんが四名しかいないんですと。四名しかいないわけでございまして、救急医療体制というのが整備をされておりません。それで、盛岡市は、盛岡医療圏については小児救急医療支援事業が実施されておるんですが、その他の医療圏には残念ながらそういう事業が実施されていない。

 こういうことでございますので、今回の事件を踏まえて、同県におきましては小児科医への緊急連絡体制や医療機関相互の連携協力のあり方について検討を開始したと聞いておりますし、小児救急医療支援事業の普及促進を図る観点から、厚生労働省として運用改善をこれから一生懸命行うなど、今後とも関係都道府県をしっかりと支援してまいりたい、このように思っているような次第でございます。

阿部委員 しっかりと取り組んでいただきたく思います。

 しかしながら、私が指摘したいのは、岩手県ももちろん一生懸命実は取り組んでおられた県なわけです。おっしゃるように、今の御答弁のようにその医療圏に四名しか小児科医がいなければ、どう取り組もうと、逆さにひっくり返ろうと、四人で毎晩当直をすれば約一週間に二日泊まらなくちゃいけないという状態が来るわけです。そして、この一関市で起こったような同じ事態、いわば二次医療圏、国が定めた二次医療圏が実は日本全国三百六十ございますが、その中で、夜間、深夜の小児救急医療が未整備の地区が六〇%でございます。日本全国六割が未整備。無医村でございます、子供にとって夜間は。

 であるならば、私は、これは国の政策医療としてきちんと位置づけなければ大切な子供の命は守れないと思いますが、この点について、担当部署にお伺いいたします、もしくは手短に坂口厚生労働大臣に、果たして対策として抜本的にお考えがおありや否や、恐縮ですが短くお願いいたします。

木村副大臣 御指摘のように、三百六十三医療圏のうち、今、平成十三年度末では七十四医療圏で小児救急医療支援事業は行われており、それを本年は百十六に広げるようになっております。そして、小児救急医療の拠点病院整備を新たに進めるとともに、診療報酬の改定等にも一応評価をしたわけでございますが、これからも実情等、都道府県から報告を求め、しっかりとまたおっしゃるとおりに取り組んでまいりたいと思っております。

阿部委員 今の御答弁で、今年度百十六にふやされるということですが、それでもまだ三分の二近くは未整備な状態に残るわけです。

 そこで、事態はおっしゃるほど容易ではないということをきちんと担当の厚生労働省に認識していただきたく、厚生労働省が研究班を用いまして出された「平成十三年度研究報告書 二次医療圏毎の小児救急医療体制の現状等の評価に関する研究」というこの分厚い一冊ですが、ぜひともお読みいただきたいと思います。お読みいただいたならば、今のような御答弁ではとても済む現状ではない、英断がなければ解決しないということがはっきりしてまいります。

 どういうことかといいますと、今、診療報酬上の多少の加算をいたしますというお答えと、そして、多少は二次医療圏でふやしてまいりましょうということでございましたが、実はその二次医療圏でグループをつくってやりますにも、国の補助三分の一、県の補助三分の一、自治体が三分の一といって割っていった場合に、どうしても自治体で補助が出せないケースもございます。これは国の補助の持ち分を上げるという形でまずお考えをいただかなくてはいけない。そして、そうやってもなお実は、実態の過半の理由は、小児科医がいないのです。いないものは、金をまこうが何をしようができないのです。

 そこで、ここが私のお願い申し上げる御英断ですが、ここはぜひとも坂口厚生労働大臣の御答弁でお願いいたしますが、私は、これをつまびらかに全部読みまして、その結果一つの傾向を見ました。実は、県単位で、例えば十二の医療圏に分けられて、その中で小児の夜間救急がゼロという県が五つございます。青森、新潟、山形、徳島、佐賀です。五つ。そして、全県の中で五つ六つの医療圏に分かれていてもたった一カ所しか整備されていない、九割以上整備されていない県が十五県もございます。

 となると、実は、厚生労働省が各県に医科大学ないしは医学部を設置してきたことの意味は何であったのか。各県の医療を担うべく、次世代を担うべく、やはりそこに大学があるということは、その地域、県で、そこの医療をしっかりその県の大学が担ってくれるように、これは文部省とも知恵を合わせて、なぜ大学がありながらその地域の二次医療圏で小児科医がゼロで子供が死んでいくのかということについて、より踏み込んだ共同の御討論をいただきたいです。

 私自身長く大学におりまして、その実態、大学に、医局には人がたまりながら実は過疎が周りにふえていくということは、本当に自分自身も経験いたしましたし、これは一つの政策の、政治のいわばリーダーシップでなければ解決しないような時期に至っておる。その谷間で子供たちが死んでいくかと思うと、やはり私はいたたまれませんので、ぜひ、一つは大臣もこれをお読みいただきたい。

 それからもう一つ。新潟なら新潟大学があり、実は宮城県も、五つか六つの医療圏でたった一つしか二次医療圏が充足していません。東北大学という大手がございます。そうした実態を見ても、もっと細やかに各大学の現状、どうすればよいか、厚生労働省として、命に責任を持つ省庁として一言覚悟のほどをお願い申し上げます。

坂口国務大臣 これは、今お話を聞きまして、問題点は二つあるというふうに思います。

 一つは、やはり都道府県のリーダーシップがなければならない。きちっとそこはやられていないとうまくいかない。

 もう一つは、それぞれの地域に、数は少ないかもしれませんけれども小児科医というのはおみえになるんだろうというふうに思います。その小児科医の先生方を束ねて、一つの、お互いに開業の先生方が交代ででもそれをやろうよという、そこのリーダーシップがやはりなければならない。私の知っておりますところも、非常に少ないんですけれども、山間僻地で大変なんですけれども、その中を、小児科の先生、そして現在は別の看板を出しておみえになりますが元小児科でおみえになった先生も含めて、ひとつお互いに当直をし合おうということで、中で立ち上がる先生がおりまして、そしてうまくいっているケースを知っております。

 したがいまして、ここのところは、医療従事者の中でだれかがリーダーシップをとらなきゃならないのか、あるいはこれも市町村のところでだれかがリーダーシップをとっていただいて、医師に、あるいは医師のグループにそうしたお話をしていただかなければならないのか、そのへんのところを、いろいろあるというふうに思いますけれども、やはり、県と、それからもう一つは医師会等の中で、リーダーシップをとってもらう人をどう探し出すかということに私はかかっているような気がいたします。

 したがいまして、国といたしましても、上から一通の文書を流すというだけではなくて、その辺のやはり御相談に乗らなきゃいけない。今御指摘をいただきましたように、多いところ少ないところありますから、その進んでいないところに対してやはり十分な御相談に乗って、そこをどういうふうに進めていただくかということを、もう一歩やはり踏み込んでいかないといけない。その辺が、今、当面できることとしては最も大事なことではないかというふうに思います。

阿部委員 今の大臣の御認識は、確かに御指摘の面もあると思いますが、いわゆる小児医療、一次救急、二次救急、三次救急と三段階に分けてございまして、大臣のおっしゃっていただいたようなことは主に一次救急のところで、輪番制、開業のお医者様とあるいは大学の医師が手をとり合いながら、あるいは既にある年齢になられた先生たちも加わってくださって、一次の輪番制を回しているのも事実でございます。

 ところが、二次となりますと、後方ベッドがなければいけませんのと、今一番小児医療で問題になりますのは、入院させられるベッドが非常に少のうございます。ですから、この一関市の乳児も、おうちで死んだわけです。もし、同じ病態でも病院で加療中であれば、まだお母さんたちは納得がいったやもしれません。死にそうな状態でおうちに帰されて、家で冷たくなった子を抱えておろおろした親の気持ちを思えば、小児科の後方ベッドが少ないということも、いま一つ政策的にお考えをいただきたいと思います。

 それと同時に、私はまた、一次救急の輪番制については、他の問題を一つ指摘させていただきたいと思います。

 実は、地域の開業の先生と、そして大学からの、申しわけないけれどもアルバイト医師によって夜間が担われて、それは休日急患センターという形で行われていますが、深夜は行われていないところが大半です。深夜までを含めると、一割から二割しか行われていません。

 そしてもう一つ、大学で勤務する医師たちは、一晩十万円の当直代でそこに行きます。その中には研修医もおります。となると、絶対に、厚生労働省としてその輪番制の中身にまで踏み込んで、どのような医師がそれを担っているのか。そして私は、やはり若い医師を育てる立場にあった者として、大学で勤務したらせいぜい一月に数万円、一晩行けば十万円、これを若いうちから若い医師に当たり前のこととして教えたくないと本当に思います。

 そのためには、以前にも坂口厚生労働大臣にお願いいたしましたが、研修医たちのきちんとした身分、賃金保障の問題が一つと、それから担当部署の厚生労働省には、今輪番制をやっているよとおっしゃいますが、実際に、今国は交付金という形で地方に出した中の財源で手当てしてございますが、実はアルバイト診療になっていはすまいかということを重ねて調査していただきたい。これは御答弁は次回で結構ですから。残念ながらこの分厚い研究報告にはそこまで述べられておりません。しかし私は、何度も申し上げますが、そういう形は、目下やむを得ないとしても、極めてゆがんだものだと思います。

 そして、三Kと言われる小児科をやってきて、きつい、苦しい、もうからないと言われる、三K職場と言われています、小児科は。私自身は好きですし、坂口大臣も子供たちが好きでやっていらしたタケノコ医者ですからよくおわかりだと思いますが、しかしながら、これから育つ若い先生たちに、小児科の一次も二次も三次もやれと言ったら、少ない人数でみんな過労死してしまいますので、せめて研修教育の中に、これは大臣に御答弁いただきましたことでもありますが、小児科の研修を、計画では今実は一カ月だそうですが、より長く、プライマリーですから、夜間救急の半数は子供ですから、きちんと、せめてとりあえず、この患者さんは死にそうか生きそうか、重篤かもちそうか、この峻別をできる程度の一次診療をまず内科の先生にも皆さん身につけていただかないと、小児科医は悪循環していって消滅してしまうと思います。

 この点についても、大臣の御見識をお願いいたします。

坂口国務大臣 先ほど私が申しましたのは、二次医療圏のことを例に挙げて言っておりましたので、一次ではございません。二次のことを申し上げていたわけでございます。

 それから、研修をやっていく、十六年から正式に始まるわけでございますが、その研修医の皆さん方には三カ月はやっていただきたいというふうに思っておりまして、小児科、産科、精神科そして公衆衛生、それぞれ三カ月で約一年というふうに予測をいたしております。一カ月というのは、中でいろいろ若干ありましても最低一カ月以上ということを注釈でつけておるわけでございますが、平均しましては三カ月ずつというふうに思っております。

 この研修医の皆さん方には、研修を、アルバイトをそれこそしながらやっていただいていたのではいけませんので、アルバイトをしていただかなくてもいいようにちゃんと給料を出すようにしたいというふうに思っております。これは十分かどうかはわかりませんけれども、三十万ぐらいぜひ出せるようにしたいと思っている次第でございます。

阿部委員 破格の御答弁をありがとうございます。

 引き続いて、今度は、生まれ出る子供たちのところでお伺いいたします。

 実は、私は、以前に無資格分娩介助について質問主意書を出したことがございますが、日母という団体で産科看護学院というものをつくりまして、いわば助産婦でない方に、産科の介助に入るための、助産婦さんたちを介助するための教育を行っていた経緯があって、ただしかし無資格の、助産婦の資格を持たない、あるいは場合によっては看護婦の資格を持たない方すら助産に関与していた事例の報告を受けました。

 そして、そのような事例は私が質問主意書で出して以降ないのかなと思っておりましたら、ところが残念なことにそうではございませんで、現在もなお、ある県で、毎日、一月に六十件のお産を扱います産婦人科の、十九床の有床クリニックで、外来患者数は約百九名というところで、まったく助産婦がゼロの状態で分娩を取り扱っております。

 たまたま、これは実際にそこで助産婦さんがいないということに気がついたある方から県に通報が上がりまして、どうなっているのか、そして実際に医療被害を受けた方がそこに発生して、裁判に持ち込む形になって、いまだに無資格診療の実態が継続しておるという事例として極めて深刻な事態と私は受けとめております。県の方でも口頭指導などはなさっているようではありますが、やはり、口頭指導が何回かされても、現状で助産婦はゼロでございます。

 県の自治業務とはいいながら、このような実態に対して、やはり厚生労働省としてきちんとした見識を持ってのある意味での御指導を、ある意味です、強制的な意味でもないですが、もちろん自治義務ですから。しかしながら、こうやって放置されて改善されないということが引き続く限り、無資格診療は幾ら騒いでもやれるんだということになってまいりますので、この、十九床、無資格で助産婦ではない人が助産業務を今もって続けている病院が、医院があることについてのお考えを伺いたいと思います。

坂口国務大臣 具体的なケースにつきましては私もまだ存じておりませんけれども、前回にも、無資格の人を養成するというような問題が取り上げられましてまことに憂慮した次第でございまして、その対策にはかなり皆さん方にも積極的に働きかけをした経緯がございます。

 今回は、看護師さんとしての資格はありますけれども助産師としての資格のない人が携わっているということでございまして、これは医師及び助産師しかできないということになっているわけでございますから、ここはやはり責任をたださなければならないというふうに思っております。

 都道府県がこれは指導をすることになっておりますが、都道府県に対しまして必要な助言を我々も行っている。そして、都道府県に対しましても、そこはきちんとした医療が行われるようにしなければならないというふうに思っております。

 小児科にいたしましても産科にいたしましても、非常に難しい分野でございまして、正規の人が一生懸命やっておりましてもいろいろなことが起こりまして、そして訴訟が起こるといったようなことが多いわけでございます。その訴訟の多さが、また小児科や産科を少なくしているというようなことを言う人もいるぐらいでございます。しかし、正規の人がいなければ、それはまたさらにそれに拍車をかけるわけでございますしいたしますので、正規の人はきちんと置いて行われるように、これはやはり県がしっかりと指導しなきゃなりませんし、もしできてないということでありましたら、国の方がやはりそのことに対しましてもっと、出向いてでもちゃんとやらなければいけないというふうに思います。

    〔委員長退席、宮腰委員長代理着席〕

阿部委員 具体的なことを申し述べませんでしたので、この診療所は、医師が三名、助産師ゼロ、看護婦二、准看二十二という状態で、先ほど申しました六十人の月のお産を賄っております。

 准看という看護婦さんたちの習熟度、やはり個別に差がございますし、実力的に見ても、助産ということに、もちろん無資格でもありますし、緊急事態の発生にもなかなか正直言って対応し切れないと思います。

 このような状態が現実でありながら放置されているということを私は重ねて申し述べて、そして、いわゆる立入調査等々についても担当部局の方から御指導いただきたいと思いますが、局長、答弁をお願いいたします。

坂口国務大臣 局長はいないようでございますので、必ずそのように申し伝えます。

阿部委員 御苦労さまであります。よろしくお願いします。

 しかし本当に、先般助産師についての法制化がされた際も男性助産師問題が議論になりましたが、私が医療の現場にいて思いますのは、とにかく助産婦さんが足りない状態で、現状で危険な分娩が行われておりまして、男性ということが、逆の意味で、労働力不足から安易に導入されやすいということもございますので、極めて微妙と思いますし、とにかく現状を立入調査し改善をさせていただくことからまず始めていただきたいと思います。

 引き続いて、先ほど武山委員の御質問の臓器移植について、私は武山委員とは仲よしですが、考えが多少違いまして、論議の俎上に上せるために私の質問をさせていただきます。

 まず、坂口厚生労働大臣に伺いますが、今健康保険証と一緒に、このような臓器提供の、する、しない、あるいは脳死後、心臓死後というシールが配付されている実態を御存じでありましょうか。

高原政府参考人 御指摘の件は、いわゆる意思表示シールであると考えております。これは、運転免許証に貼付することができる意思表示シールとかそういうふうなものにつきましては、運転免許場、警察署等に配置もしております。今委員御指摘のものは、医療保険の被保険者証に貼付できる意思表示シールを、医療保険の被保険者証の更新等の機会に、保険者を通じて配付しているものでございます。

 意思表示シールは、臓器を提供するという意思と、提供しないという意思の、いずれをも表示することができるものであり、また、意思表示シールを張るか張らないかということもあくまで個人の意思にゆだねられております。

 ちなみに、最近の調査によりますと、臓器提供意思表示カードの入手方法を御存じの国民の方は、残念なことに三六%でございます。そういうふうなことでございますので、臓器提供というものを、ただいま委員御指摘のように、論議の俎上にのせて一人一人の国民の方に考えていただくよすがになればと思ってやらせていただいております。

阿部委員 よすがが、よすがで済めばよろしゅうございますが、実は、例えば運転免許証の書きかえのときには、自分でこのシールをとるようなシステムでございます。健康保険証の場合は、送付されてまいりますので、受け取った側としては、これを張らないと完了しない、シールを張らないと完了しないというふうに受けとめることもございます。しかしながら、臓器提供の意思を、ノンであれウイであれ、表明せねばならぬ義務はないわけです。ここを担当部署が履き違えないでいただきたいわけです。

 自分でとるのは自由です。しかしながら、送るのであれば、これが必ずしも強制的なものでないという何らかのことを書き加えないと、患者さんは私のところに持ってみえます、これは張らなくちゃいけないものですかと。張らなければ完成しないと思われるわけです。健康保険証は自分で受け取りに行くわけではないケースもございます。もちろん受け取りに行って、箱にあるものをこうやってとるのであれば、それは自由意思でとるわけです。

 その点について、やはりさきの国会で臓器移植法案が審議されましたときに、個人の自発的な意思ということをみんなが前提にして、この場で法案が成立したわけです。説明不足のやり方でこれを郵送ないしは組み込んで渡せば、そのようなものと理解されますので、現場でどのように取り扱われているか、高原局長に御答弁願います。

    〔宮腰委員長代理退席、委員長着席〕

高原政府参考人 私は医療保険を担当しているわけではございませんが、そのシールを張らないからといって、被保険者としての受領後の権利が制限されるとか、差別的な取り扱いを受けるとか、そういうことは全くない。もし万一そのような誤解があるような送り方をされていれば、そういう点は、入念的にといいますか、私どもは当たり前のことだと思っておりますが、誤解されないようなことをするというふうなことも検討課題だと考えております。

阿部委員 ぜひとも現場の担当部署の実際をお調べくださいまして、自分たちが思っていないから相手も思わないだろうというのは非常に傲慢な考え方と思いますから、実際に受け取る方がどのように感じておられるか、その点をきちんと担当省庁は認識していただきたいと思います。

 同じような事例がもう一つございます。

 実は、この間、静岡県と、そしてちょうどきょう、本日から京都府において、院内移植コーディネーターというものを発足させて、臓器提供のいわばドナーの数の確保を図ってまいりましょうということで、静岡並びに本日京都府で始まる院内コーディネーター制度というものがございます。

 皆様のお手元にお配りしている資料一枚の中の「臓器提供医療機関」という左下の方を見ていただきますと、ここには、日常業務としてこの院内臓器移植コーディネーターが何をするかということが書いてございます。「院内臓器提供情報の収集」となってございますが、これはどういうことかというと、脳外科などのフロアを日ごろから巡回しまして、臓器移植のカードをお持ちか否か、あるいは提供の意思がおありか否か、日ごろからチェックするということでございます。

 私どもの決めた脳死臓器移植法案は、脳死状態にきちんと診断されて以降、御本人の臓器提供の意思を問うという仕組みです。医療機関の中で、いまだ脳死に至らない段階から、あるいは入院したと同時に、院内移植コーディネーターの方がその方の臓器提供にかかわる意思の収集をなさるのは、個人のプライバシーの侵害であり、なおかつ、患者さんにとっては、そのことを何らか意思表示しなきゃいけないのかというプレッシャーになってまいります。

 このようなことが起こっていることについて、高原局長は御存じや否や、御答弁をお願いいたします。

高原政府参考人 臓器移植法に基づくあっせん機関のコーディネーターと御指摘の院内コーディネーター、同じようにコーディネーターという名前ではありますが、かなり業務として違うということでございまして、この図はどこがつくったのか私も存じませんが、ちょっとそこら辺のところで誤解を招くのかなと思っております。

 院内コーディネーターにつきましては、第一番の仕事といたしましては、院内の医師等医療従事者に対しまして、臓器移植、そういうふうなものの正しい知識、それを持っていただく、これが一番でございまして、院内における臓器提供情報の収集というふうなものは、これは院内のスタッフとして、例えば今先生もおっしゃいましたけれども、十分そういった制度が認知されているかどうか、または理解されているか、そういうふうなことでございます。

 臓器移植法に基づくあっせん機関のコーディネーターは、御指摘のとおり、院内で不幸にして患者が脳死状態になった後、患者の家族に対して、意思表示カードの所持の確認や、あっせん機関コーディネーターの説明を聞くかどうかの意思を聞く、こういう体制を整えるものでございまして、一般の外来患者や入院患者に対してカードの所持の確認を行うというふうなものではございません。

阿部委員 これは既に静岡県でもやっておられることですし、今ございませんと高原局長のおっしゃったようなことが現実にあるので私はお尋ね申し上げているので、現場をよくお調べくださって、特に私が問題にしたいのは、院内臓器提供情報の収集が、対患者さん、脳死にもなっていない、脳外科病棟に入院しただけの患者さんに対して行われている事実を私が聞き知って、こうやって質問しておりますので、きちんと、そのようなことがないよう、そしてこれから、きょう始まります京都府の現状についても、院内臓器移植提供情報の収集はあくまでも対患者に対して向かうものでないということをきちんと確認できるような行政の指導をお願いいたします。

 以上をもって、本日の私の質問を終わらせていただきます。

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