第155回国会 厚生労働委員会 第7号(2002/11/15) 抜粋 ○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。よろしくお願いします。
私は、本日二十分ですので、前回の質問の折に、せっかく坂口大臣から御答弁をいただきながら、私の質問の趣旨と、それから大臣からいただきました御答弁で多少の食い違いがございました部分について詰めをさせていただければと思います。
内容は、小児救急医療に関することと研修医問題でございます。私が、この間、個人勝手に集中審議している案件でございます。
小児救急医療のことは、先回の私の質問で、日本全国の三百六十三、二次医療圏のうち、その六割の二百二十という部分がまだ未整備である、その私の質問に対しまして、坂口大臣の御答弁が、これから地域で、とりわけその地域の大学や医師会や関連病院の皆さんと御協議をいただいて地域での充実を図りたいというふうに御答弁をいただきましたが、そうした部分ももちろん推し進めていただきたいのですが、私が問題にしたいのは、さらに根本的な部分でございます。
と申しますのも、二百二十の未整備の医療圏のうち百十三の医療圏は、アンケート調査において、例えば厚生省が診療報酬上の加算をする、あるいは地域で話し合うなどをいたしましても、もともと小児科の入院できる施設がない、あるいは小児科医がいない、これではどのような手だてをとっても解決がしないと百十三が回答しております。ということは、現在は確かにいたし方ないにしても、中長期的に考えて小児科医の配置を、あるいは子供たちが入院できる施設の配置を考えていかないと、少子化問題は、底割れどころか真っ逆さまに転落していくように思います。
そこで、私が先回提案いたしましたことは、実は昭和四十八年度から文部省の政策で、各県に一医大、いわゆる無医県をなくそう、無医科大学県をなくそうという施策が昭和四十八年から五カ年計画で実施されております。そして、この計画の開始当時、人口十万単位の医師の数が百十三人弱であるので、これを五年計画で百五十人、大体十万単位にいるように配置しようという計画でございました。
計画は、およそ数を達成いたしまして、現在は十万当たり二百人近くの医師がおりますが、にもかかわらず、そして小児科医も減ってはいないにもかかわらず、医師がいない、小児科の後方ベッドがないというところが、先ほど申しましたように、日本の医療圏の中で約三分の一を占めております。
そこで、まず、担当であります文部省にお伺いいたしたいと存じますが、当初のこの計画は、もちろん医師の数をふやすと同時に、その地域の医療に責任を持てる体制を担うべく各県が率先して医科大学の設置をし、また国がそれに補助をして医療の提供体制を整えていこうという考え方であったかと思います。この件に関しまして、私は、ここまでやってきて、だがしかし現実のような状況があるということを、文部省は、とりわけ若い医師の養成にもかかわる、研修も大学病院においては文部省の指導下にございますので、先ほど申しました中長期的な展望に立って、現在総括と今後ということをお話しいただければと思います。
○工藤政府参考人 今お話ございましたように、当時の医療需要の増大に伴いまして、昭和四十八年から無医大県解消計画を進めてまいりまして、昭和五十四年の琉球大学医学部の新設まで、計十六校の国立の医科大学、医学部を設置しまして、これによって、全く医学部がない県がなくなったわけでございます。その結果、昭和五十八年度には、人口十万人当たりの目標数でございます百五十人という当面の目標が達成されたと認識してございまして、しかも今日では、十二年度現在でございますけれども、十万人当たりでいいますと二百一人余りという状況と承知してございます。
このように、日本全国、総数といいますか、トータルでいいますと目標値を上回る状況にあるわけでございますが、御指摘のございました小児科医でございますとか精神科医、あるいは救急医のように、診療分野により、あるいは地域によりまして一部偏在があるという御指摘があることを承知している次第でございます。
○阿部委員 それでは私の説明を繰り返していただいたにすぎませんから、もう少し、これからどうしようということをやはり考えていただきたいかと思います。
と申しますのも、実は、二年間の研修年限の中に、今回の研修義務化に伴って、小児科三カ月、あるいは精神科の素養、あるいは疫学、公衆衛生を取り入れるということは、大臣も御答弁くださいました。私は、そのことを前向きに評価した上で、既にやはり学生の教育段階から、あるいは研修医の教育段階から、自分の未来の医師像、そして国が個々の医師に要請している医師のありようをきちんと伝えられるためには、教育であるところの文部省と、実際に医療を提供し、国民に責任を負う厚生省が、より緊密に論議いたしまして、ぜひとも、医大がありながら医療過疎が累々としかばねのようにある状態を解決していただきたいと思うのであります。
と申しますのは、五つの都道府県では、医科大学がありながら、二次医療圏で全く小児医療が無整備でございます。新潟などもそうでございます。青森もそうでございます。また、十六の都道府県では、二次医療圏、例えば六つ、七つ掲げても、たった一地区、大学があるところしか二次医療圏を担っておりません。
こうなりますと、やはり縦割り行政の中で、医者を数だけ養成すればよい、あるいはとりあえず養成しておけばよいというのではなくて、より積極的に、厚生省の側の医療提供体制という、国民の基本的人権、子供たちの命ということを踏まえて、坂口厚生労働大臣としかるべく文部科学担当の大臣の間で、ぜひとも義務化に向けて、かかる現状について認識を共有していただいて、次のよい策を提案していただきたい、あるいは御検討いただきたいと思いますが、坂口大臣に御答弁を伺います。
○坂口国務大臣 小児科医師が非常に少なくなっているという、とりわけ地方におきまして少なくなっているという話が多いわけでございます。事実そうなっているというふうに思います。
なぜそうなっているのかということにつきましては、いろいろ原因もあるというふうに思いますし、また、新しく小児科医になる人が、以前に比べると若干最近減ってきていることも事実のようでございます。
その原因としまして、小児科というのは、日夜を問わず診療をしなければならないし、そして、その割には恵まれないといったようなこともあるのも事実でございます。また、ある小児科医によりますと、いや、小児科とか産科というのは非常に訴訟が多い、そういう訴訟が多いので、もうそれに耐え切れずにやめた人もいるし、そういう先輩を見ていると、やる人が少なくなっていくというようなことを言う人もおります。
しかし、そういう現実があるのは事実だといたしましても、しかし、自分はやはり小児科をやるんだという強い決意でもっておやりになる方も、私はあるはずだと思いますし、そういう、えらいからとか難しいからということで逃げるという人ばかりでは決してないと私は思っております。
ただ、今御指摘になりましたように、それぞれの医科大学におきまして、あるいは医学部におきまして、多くの小児科医が生まれてはくるんですけれども、それが大学病院とかそういうところに集中されていて、地方に分散されていないということもあるというふうに思います。今、百十三とおっしゃったでしょうか、二次医療圏でほとんど小児科医師がいないというような状況、まことに悲しむべき事態でありますし、これは一刻も捨てておけない状況にあるというふうに私も思っております一人でございます。
したがいまして、そういう地域にいかにして小児科の医師をふやしていくかということについて、それは対策は考えればあるんだろうというふうに思っております。文部科学大臣ともよく話をさせていただきまして、小児科医師が全国津々浦々、多くの場所でやはり診療に携わっていただける体制をどうするかということを考えたいと思いますし、それから、十六年から始まります研修医制度におきましても、小児科をこの研修のテーマの中の、三カ月研修という一つに取り上げさせていただきましたのも、そうした趣旨から取り上げさせていただいているところでございます。御趣旨を十分に尊重して、やりたいと思います。
〔委員長退席、宮腰委員長代理着席〕
○阿部委員 いつも明確な御答弁をありがとうございます。実際に小児科医が、幾ら何でも志だけではやはり頑張れない、二十四時間戦えない。なぜそういうことにきちんとした政策、施策のいわゆる目が向けられなかったか。
私は、現在の厚生行政の中にも実は二つの大きな原因があると思います。
このたび、小児科の入院加算というのをちょうだいいたしまして、例えば小児科医が一人のところは、一日患者さんを入院させると二千百点、小児科医が二人のところは、忘れましたが、三千何点、五人以上がまた三千六百点とか、段階が立てられました。
ところがでございます。小児科医は、本当にしんどいのは一人か二人でやっているところでございます。お互いに交代交代、もうばてるまで当直を繰り返しながらでもみんな頑張っております。しかしながら、二人でやっているところでは、同じ小児の入院患者さんを診ても、点数が少ない。五人いれば高くなるとなれば、当然ですが、正直言って五人の方が楽です。五日に一回の当直と二人で交互では、緊張感も違います。
そして、厚生省行政がよかれと思ってつけた加点、加算が、むしろ医者の数で、私は、看護婦さんの数で医療の充実度の、提供体制の、看護体制の加算をすることには賛成でございます。ただし、小児科医の数で、五人に厚くしたら、みんな五人のところに必ず一〇〇%流れます。
特に、百床から百五十床の規模の病院が今危機に瀕しております。大体、そうした病院では、多くて二名の小児科医、まかり間違うと一名でございます。せっかく厚生省が加算してくださってもです。加算したがゆえに集中していってしまうのでは、ミイラ取りがミイラになると私は思います。
そこで、お願いがございます。この間の厚生省のいろいろな調査の中では、地域中核病院、私はそう呼んでおりますが、急性期でも慢性期でもなく、でも地域にとって不可欠で、おじいちゃん、おばあちゃんの風邪から子供の風邪、熱、下痢、嘔吐、一般診療を担っている百床から百五十床内外の病院像が浮かんでまいりません。調査の実数も見たことがございません。そこで小児科医の勤務数も統計上見たことがございません。
ぜひともここに光を当てて、そして願わくは、小児科医の医師の数で加算を変えるという方針について再度点検していただきたいと思いますが、大臣から御答弁をいただきたいと思います。
〔宮腰委員長代理退席、委員長着席〕
○坂口国務大臣 今御指摘いただきましたように、その数によりまして加算をしたことがかえって逆の方向に本当に向いているのかどうか、私も今定かにそのことにお答えをさせていただくだけの資料を持ち合わせておりませんけれども、それがもし事実であるということでありましたならば、その点は次の機会に改善をしたいと思います。
○阿部委員 私の指摘した点は、実は四月の診療報酬改定で、各病院の手術件数によって、ある件数以上いけばフル、満額の診療報酬だが、それ以下のところは診療報酬をカットするという方針も厚生省は出しておられます。このことも同様に、地域中核病院にとって、実は、少ない医師で、各自の医師はある数をこなしているにもかかわらず診療報酬がカットされる、たくさんいれば、一人の医者がやる件数が少なくても加算が高い。
私は、今回の診療報酬改定の一番の誤りは、何度も申しますが、地域はだれによって支えられておるかという視点を欠いて、集中化、専門分化、センター化という一側面にフォーカスが当たったことと思います。実はこの点について御答弁をいただきたいのですが、時間の関係で、恐縮ですが私の指摘のみにとどまらせていただいて、最後の一問に入らせていただきます。
私は神奈川県の藤沢、寒川というところを選挙基盤としておりますが、実はこの地域で、戦時中と申しますか、ちょうど戦争当時、海軍の相模海軍工廠というのがございまして、化学兵器、毒ガス兵器をつくっておりました。ここで最近、その地域を縦貫道路が通りまして、掘り返しておりましたら、ビール瓶に詰まった液状物体が出てまいりまして、これを取り上げた作業員が皮膚のびらんを起こし入院をいたすということがございました。
この毒ガスと申しますのは、もちろん急性期の症状のほかに、例えば五年、十年、二十年と発がん性が非常に指摘されており、現在マウントサイナイ病院におられる鈴木先生、この先生も実は相模海軍工廠で学徒動員でつくっておられたそうですが、四十年、五十年たったら発がん性があるのではないかと極めて深刻に案じておられた。
今回被災した勤労者、労働者の皆さんには労災が適用されておりますが、労災と申しますのも、症状固定してしまえば、その後のフォローが本当に五年、十年、二十年、責任を持って行われるかどうか、非常に不安でございます。国が放置した毒ガスによって後年障害があらわれるということもまだまだあると思いますが、坂口厚生労働大臣にあっては、こうした事案について、今後厚生労働省として、疫学も含め、長期フォローも含め、医療費の負担問題も含めて、どのようなお考えをお持ちか、御答弁をお願いいたします。
○坂口国務大臣 きょう阿部議員からそういう御質問があるということをけさお聞きしたわけでございますが、それまで私、全然そうした事例があることは知りませんでした。
それで、今、労災が適用されているということでございますが、さまざまな法律もあるんだというふうに思いますし、その労災の適用だけでそれは今後だめなものなのか、またこういうケースはほかにも実際問題としてあり得るものなのか、その辺は少し整理をさせていただきたいと思っております。新しい法律というのもなかなか難しいので、今まであります法律の中のどれかで対応し、そしてそこが対応が十分できるようにしていくということにするのか、その辺のところもあわせて一度検討をさせていただきたいと思います。
○阿部委員 ぜひよろしくお願いしたいと存じますが、実は、同様事件を昨年小沢委員が質問主意書で出しておられますので、あわせて御検討をいただきたく、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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