第155回国会 厚生労働委員会 第9号(2002/11/22) 抜粋 ○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
きょうは花の金曜日で、まして連休を控えての貴重なお時間を、坂口厚生労働大臣初め各委員の皆様も大変遅くまで御苦労さまです。私が最後の五十分をちょうだいして質疑をいたしますが、この間、約二日間にわたって論じられてきました国立病院の独立行政法人化、問題が多々これあり、本当にこれでいいのかなと思いながら、でも、せっかく審議しているのですから一つなりともいいことが実現するように願いながら、きょうの論議に入らせていただこうと思います。
私は、きょうは主には保育所の問題、特に国立病院に併設されております保育所問題について質疑をさせていただこうかと思います。と申しますのも、実は、私も二十数年前、世田谷にございます国立小児病院に就職いたしますときに、自分でそこを就職の場所に選んだ第一の条件は、院内保育があるというその一点でございました。二人の幼い子を抱えて小児科医として続けられるかどうかぎりぎり瀬戸際のところで、子供たちの面倒を見ておりました母が救急車のたらい回し七カ所されました末に亡くなりまして、私ももうはたと本当にお先真っ暗になったときに、小児科医をやめて子育てに専念するか、あるいは、一つでも保育所のあるところを見つけて続けるかといったときに、現実にそこにあったのが世田谷の国立小児病院でした。
その意味からも、ずっと私が問題にしております小児科医の本当に減少。それで、小児科医の多くが実は女性でございます。女性が働き続けるということを今は男女共同参画社会というとても美しい言葉で語りますが、実際にそのことを支えていくために本当に何ができるのか、一つでもかち取れるものがあれば、私とて頑張って、皆さんのお時間をちょうだいした意味があると思いますので、よろしくお願い申し上げます。
まず、保育行政全般についてお伺いをいたしますが、現在、国の集計上、待機児童は何名となっておりますでしょうか。
○冨岡政府参考人 私が今手元にしております資料によりますと、十四年四月一日現在で二万五千四百四十七人というふうになっております。
○阿部委員 申しわけありませんが御答弁をいただく部署ではございませんので、御存じでお答えいただきましたと思いますが、せっかくですから御答弁はしかるべき担当部署からきちんとお願いいたします。一回一回の審議、本当にみんな真剣でありますから。私がこの数値を伺うにはわけがございますので。
ことしの新基準では二万五千四百四十七人でございました。では、旧基準、旧来の基準を用いますと、保育所待機児童は何名でございましょうか。きちんと担当部署からお願いいたします。私は国立病院部の部長に聞いておるのではございません。児童家庭局ですか、お願いいたします。
○坂井委員長 本日は、児童家庭局は政府参考人としての要請がありませんので、出席しておりません。
○阿部委員 わかりました。
それでは、この点をぜひ明確にしていただきたいですが、旧定義では三万九千八百八十一人です。この新旧の定義の差は何であるか。これはグロースな、大きな質問ですので、木村副大臣でも結構ですし坂口大臣でも結構ですから、御答弁をいただきます。
○坂口国務大臣 この差は、これは無認可保育所に入っている人たちを含めている、いないによる差だというふうに思います。
○阿部委員 さすが大臣でございます。
いわゆる無認可と一概にちょっとくくれない部分もございますが、実はこの間の国の統計処理で一挙に一万五千人の児童が待機ではなくなりました。私は、小泉首相の進めておられる待機児童ゼロ作戦というのは賛成ですけれども、定義だけ変えて数を減らすのはいかがなものかと思うのです。その実態がこの国立病院の保育所においても明らかになるので、私はあえて、ちょっと意地が悪くてきちんと通告もせず恐縮でしたが、聞かせていただきました。
そこで、国立病院の担当からお願いいたしますが、現在、国立病院に併設の保育所には何人の子供たちがおられますでしょう。これはまさに部局ですから、お願いいたします。
○冨岡政府参考人 平成十四年五月一日現在で、国立病院・療養所の施設内保育所の児童数は二千五百五十四人となっております。
○阿部委員 国立病院には百四十四カ所の保育所が併設され、今御答弁にありました二千五百五十四人の子供たちがそこで日々を暮らしておりますが、この子供たちは新基準では待機児童に入りますか、それともカウント外ですか。担当部署にお願いします。
○冨岡政府参考人 カウント外になるものと考えます。
○阿部委員 先ほど来小沢委員が盛んに問題にしております非正規雇用の職員の雇いどめ問題とも関連いたしますが、今、保育所の保母さんたちは皆さん非正規職員です。そして、この非正規職員の雇用問題について、ここでは、次の法人が考えるんだからわからぬ、答弁できぬ、きちんと継承できるかどうかもよくわからぬというふうな御答弁が続いておりますが、果たしてこの百四十四カ所、二千五百五十四人の子供たちの次、これからどうなるのか、このことについて私はきちんとした御答弁をきょうはいただきたいと思います。
実は、この子供たちは、院内保育所がなくなってしまった場合には、本当の意味で、保育を現在受けながらどこにも行くところがなくなってしまう、あるいは確定されない子供たちでございます。この子供たちの実数、そして、国立病院部の部長は、一体何人の非正規雇用の皆さんがこの子たちを支えているか、御答弁をいただきたいと思います。
○冨岡政府参考人 保育士さんの数、御指摘のように賃金職員でございますが、保育士、保育助手、その他の方、合わせまして合計五百六十人でございます。
○阿部委員 非正規としております職員がそれだけで、独自にその各病院の中の運営委員会で同じように非常勤で子供たちを保育してくださっている方が約三百五十四名、まあ一、二名は違うかもしれませんが、実際にはそれだけの職員で子供たちを見ておるわけです。
そこで、先ほどの小沢委員の御質疑に私もまた引き取らせていただいて移りますが、実は、二〇〇〇年のILO総会への条約勧告適用専門家委員会報告の中に、百号条約関係というのがございまして、これは、女性を長期間臨時雇いでとめ置くことがいわゆる賃金レベルの問題も含めて不可避的に男女の差を拡大するということで、国立病院が、百号条約の定める義務に照らして、職員需要に合わせて雇用慣行を調整し、いわゆる同一賃金同一価値労働に基づいて賃金なり身分なりを保障できるようにすべきだという勧告ですが、これについては部長は御存じでしょうか。
○冨岡政府参考人 今御指摘の点につきまして、私、今現在初めて御指摘を受けましたので、勉強いたします。
○阿部委員 とても本当に正直な御答弁で、その意味で評価いたしますが、だがしかし、それではやはり担当部局の長として、本当に私は不安でなりません。
実は、二十年間も賃金職員で保母さんをやっている方がおられるわけです。そして、これは、国立病院が国立病院であるときに既に改善され、正規雇用に振りかえられるべきものであったと思いますが、それすら努力されず、このまま新しい法人に丸投げ、次は勝手にやりなさい、こういう形では、いわゆる不良債権や負債を押しつけて、人的にもお金の上でも本当に困難を背負い込ませてやっていくことになると思います。そうでなければ、このお金のかかる保育の分野を切り捨てるしかなくなっていきます。しかしながら、それは小泉首相の望む待機児童ゼロ作戦には合わないと思います。
数の上でごまかすんじゃなくて、本当にここにいる二千五百五十四人の子供たち、そしてその働くお父さん、お母さんが安心して働ける、あるいは地域の子供たちもそこで預かれる体制にするためには、私はやはりいろいろな創意と工夫が必要だと思います。
その前提には、現在、私が申し上げました、御存じなかったような勧告についてもきちんと把握していただいて、本当に、どういう働く条件で働く人々を支えていくかということをまず御認識いただきたいと思いますが、御存じないものは追及しても仕方ありませんので、少し坂口大臣に大枠、大仕切りの御答弁をいただきたいと思いますので、同じ問題で移らせていただきます。
実はこのことは、独立行政法人化に伴って採算性、効率性が求められたときに、私がいつも指摘しますように小児科診療の高コスト、もう何といっても高コストです。どんなに経営努力しようと、ひっくり返ろうと、本当にそれは仕方ありません。子供を育てるとはそういうことです。コストよく、効率よく育てるわけなんかいかない。手間暇もかかる、勝手なときに熱も出す、だれかに見てもらわなくちゃやれない。その子供たちの、小児科の存続の問題も、保育所の存続の問題も、実は極めて国策上、国の政策上重要と私は思いますので、その御認識をまず坂口厚生労働大臣にお願いいたします。
○坂口国務大臣 小児医療につきましては、御指摘のようになかなか採算ベースに乗らない課題であるということに私も同意いたします。とりわけその中でも小児救急、先生がいつもお取り上げになります小児救急などの場合は、特別にまたこれは不採算でありますから、こういう問題も政策医療の中に私は当然入ってくるというふうに思っております。
それから、保育所の問題でございますが、私も十分に存じているわけではございませんけれども、共済組合等でおやりをいただいている保育所もかなりあるというふうに思っております。これは国家公務員共済法にのっとっているのかどうか、共済組合でおやりいただいているのがかなりあるというふうに思っております。
今後、独立行政法人になりましたときに、公務員型でございますから、共済組合にはそのままずっとお入りをいただくのではないかというふうに今思いますけれども、これはもう一度ちょっと調べなければわかりませんが、そう私は思います。そういたしますと、今までの共済組合でおやりをいただいておりますような保育所はそのまま継続をしていただけるということになるのではないか、そういうふうに思っています。
○阿部委員 大体の大臣の御認識どおりでありますが、私が指摘したいのは、そうやって長年共済組合方式でやってきても、やはりなかなかそこの職員を常勤化して手当てすることができないような経営実態であった。
そして、私は、国のエンゼルプランというものをずっと眺めてみますと、ここにこれだけの、百四十四カ所の国立病院に併設された保育所がありながら、そしておまけにその横に小児科もありながら、これらをもっと前向きに活用できるための何か利用できる助成策があるかとずっとこれも眺めてみますと、実際、現実のエンゼルプランの中にもなかなかございません。と申しますのも、これが無認可という形をとり、そしてこれまでは共済組合の併設型で、国の支援事業はほとんど賃金職員のみという形で配置されてきた中では、本当の意味で盤石の基盤をもって次に拡充していくための措置がなかなかとれないという現状でございます。
ちなみに、私が申しました、百五十八カ所の小児科があり百四十四カ所の保育所があるということは、今厚生労働省がいろいろに考えておられる病児保育とかもそこでは実践し得るようなインフラがあるということでございます。
私は、どういう形で支援してくださいというところまで明確に申せませんけれども、現実に国の責任ということも含めて、保育、子供をはぐくむ責任ということも含めて、何らかの安定的な方向に、もちろんここで大臣が、独立行政法人のなさることですから御命令はできないことも存じております。ただし、この保育の存続ということについて、国がいろいろな意味で配慮、今後もきちんと行っていくということの御答弁をいただければ何よりと思います。
○坂口国務大臣 保育の問題につきましては、今御指摘になりましたように、病院を初めといたしまして、いわゆる職場における保育というのが最近ふえてきておりますし、それはまた結構なことだというふうに思っております。
この職場におきます保育というものを、できる限り正規の保育所にできないかということが検討課題に今なってきております。私は、保育所なるもののいろいろの基準というものがありますけれども、若干そこは緩めてでも、現在職場におきます保育所というものを正規の保育所に引き上げる努力をするということが大事だというふうに思っておりまして、そうした議論も今始まっているというふうに私は認識をいたしております。
したがいまして、これはその病院の中の保育所の形態にもよりますけれども、ある程度そこは保育所それぞれの病院におきましてもお考えをいただきますれば、私は、正規の保育所に格付できるようになる可能性というのは十分にあるというふうに思っている次第でございます。
○阿部委員 本当に実のある御答弁で、深く感謝します。
理由は、この二千五百五十四人の子は集計からも省かれて、そして保育所が存続できないとなると、本当に、まあ職があるわけじゃないから路頭に迷うとは言いませんが、即行き先の迷う子供たちでもあります。お母さんやお父さんの仕事のためにも、そして何よりも子供たちのやはり育つ日々のためにも、今大臣がおっしゃったような多様な検討と援助を引き続いてお願いしたいと思います。
二問目は、私はこれまで、国立病院は地域中核病院としても大事なんだというお話の方ばかりをしてきましたが、実は、本当の意味でセンター化された、センター病院としての役割もこれは担っていくものだと思います。
そこで、そういう視点に立ったときに、私の勤めておりました世田谷の国立小児病院は、この四月から、隣の大蔵病院というところと合併して国立成育医療センターととてもすばらしい名前になりました。すばらしい名前になったとき、実は、去るも地獄、残るも地獄というようなことが起こりました。
どういうことかというと、世田谷区で、いわゆる夜間の小児医療をここはある種実際には担っておられましたし、都立母子保健院というところと合わせて一挙に二つ大きな病院がごそっとなくなり、移動してしまったので、世田谷区では非常に住民が困っているという問題もございますが、これは残る地獄の方です。去っていったというか出ていった方の旧国立小児病院でも、やはりいろいろな労働条件の問題で非常に大変な思いを看護婦さんがしていると私は思いますので、私自身も勤めた経験から、ぜひともこのことも少し勘案していただきたいと思い、幾つかの数値を申し述べさせていただこうと思います。
今度の新たな国立成育医療センターでは、いわゆる、よく用いられますところの百ベッド当たりの看護婦数というのが、旧小児病院時代は八十七・七人、成育医療センターになりましたら、これが七十一・〇人と減少しておりますが、この事実を担当の部長は御存じでありましょうか。
○冨岡政府参考人 御指摘の点につきまして、成育医療センターが統合によりましてできたわけでございますが、実は、ある意味では病院の新設オープンとか統合といった場合には、いろいろな患者さんの数とか職員さんの数といった関係では、余り、変動と申しましょうか、いろいろ通常の巡航運転に入ったときとは違う状態が生じるものでございます。
実は、病床数も小児病院のときよりもかなりふえまして、専門的な病床が五百床ということでございますが、まだオープンしたばかりで、なかなか現実には病床が埋まっていないといった点もございます。一方では、小児病院の方は四月に、事実上年度末で閉まるということでございますが、看護師さんの採用といった面で、中には就職されましてもすぐやめる方が一定数見込まれるとかいうことで、少し許容される範囲で雇ったりするとかいった点もありまして、必ずしも比較が難しいという点があるようでございます。
そういう非常に変動と申しましょうか、ある意味では変革期での、なかなか比較しにくい時期の問題と思っております。
○阿部委員 今の御答弁がきちんと労働条件等を勘案した上での御答弁であれば、私も、まだこっちもつくりかけだし、ちょっと少な目なんですよというふうにとれますが、旧国立小児病院に行った患者さんたちは、ほとんど横へ水平移動しており、それに見合う看護婦数がむしろ減っておるという実態ですから、もう少し実態をこれもよく把握をしていただいての御答弁をいただきたいと思います。そして、でも、今の御答弁を聞く限り、これからはふやすんだというふうにも聞こえますので、ぜひとも充実の方向に進めてほしいと思います。
と申しますのも、私が旧小児病院に勤務時代もそうでしたが、国立の小児病院といえども看護婦数は少のうございました。そして、夜間は看護婦さんたちは、本当にけなげですが、赤ちゃんを、患者さんを背中に背負って、信じられないような格好で看護しておられました。あるいは赤ちゃんにミルクを上げるときに、ベッドに置いたまま哺乳瓶だけを置きたくないから、抱き上げて、本当に手間暇かけて小児医療というのは行われるものでございます。
そして、他の設置主体の小児病院と比べますと、国立の小児病院は、圧倒的に看護婦数が平均いたしまして少のうございます。例えば、私の友人が副院長をしておりました長野の県立こども病院などは、百床当たりの看護婦数百三十一・八人。今度の国立成育医療センターが八十七・六、断トツ少ないのです。
今これを言っても細かいデータがないと言われると思いますから、きちんとこれから、他の設置主体よりも国立のセンターの看護婦数が少ないんだということを、その視点から見ていただいて、必要な配置に向けて部署としての御検討をお願いしたいと思いますが、確認の答弁をお願いいたします。
〔委員長退席、宮腰委員長代理着席〕
○冨岡政府参考人 成育医療センターにつきましては、私どもとして病床の性格上非常に手厚い看護体制をしいているものと思っております。小児病院のころと比較いたしましても、看護体制自体は決して見劣るというものじゃなくて、新しく充実した病棟といったものもございます。それは御案内のことかと思っております。
それで、先ほど申し上げましたが、五百床規模のかなり高度で近代的な病床を用意したわけでございますが、なかなか五百ということにはまいらないわけでございまして、ちなみに、最近の時点で勘定しますと、入院患者百人当たり百十七人の看護師さんということで、そういう面でも決して見劣りするとか機能的に不十分というものではないんではないのかと思っております。
○阿部委員 いただきました数値ですから、お答えいたしますが、例えば群馬県立小児医療センターが看護婦さんが百二十三・五人。やはり本当の意味で、まだ充実したというふうにおっしゃるにはゴールは遠いと思いますし、成育センターですから未熟児、新生児もどんどん搬送されてまいりますし、ぜひ今後本当に必要な看護婦数の確保に向けて検討をよろしくお願い申し上げます。
引き続いて、国立病院関係はこれで一段落させていただきまして、診療報酬改定について伺います。
さきの数回さかのぼる委員会で、いわゆる診療報酬改定が、手術件数の多寡、多い少ないによって、特に高度な手術については、例えばひざの骨頭の置換、ひざの関節の手術ですね、これが、三人以上お医者様がいて患者さんが五十人以上の場合を例に出させていただきますが、これだとフル、満額の診療報酬。ところが、これが、五十人を欠けお医者様が三人いないと減額されるという診療報酬体系になりました。
私は、この体系が導入されたときに、これではお医者さんの数ばかり多くて、それはたくさんいれば件数も多くなりますから、でもお一人当たりの手術件数は少ないかもしれないし、何せ大病院優遇、中小病院切り捨てになるのではないかということを質問いたしまして、当時の担当局長から、しかるべく診療報酬改定を見直していくという御答弁をいただきましたが、どのように改善されたかの御答弁をお願いいたします。
〔宮腰委員長代理退席、委員長着席〕
○真野政府参考人 ことしの四月の診療報酬改定におきまして、先生御指摘のような対応を行ったところでございますが、ことしの五月時点で、手術の施設基準の届け出状況を見ますと、施設基準の要件を満たす保険医療機関数に偏りが見られたというようなこともございまして、中医協における議論を踏まえまして、ことしの十月から、これまでの手術のグループ数、これを減らすということによりまして、症例数の要件を緩和する。それから、先生御指摘の症例数でございますが、症例数の要件の六〇%を満たしており、さらに専門医が手術を行った場合には、手術料の減額は行わないというようなことの見直しを行っております。
○阿部委員 今御答弁いただきましたように、例えば、ひざなんかは日常的に痛むところで、地域にある中核病院でも、手術件数五十にいかなくても、ある程度習熟した先生がおられて指導をなさる場合には、それもきちんとした診療報酬にしようと。当然なされるべき改正でしたし、特に今後このような件数によって多寡を決めていこうとする場合には、ぜひとも実態、実際を見ていただきたい。
と申しますのは、これまで、例えば昨年の秋出ました厚生省の医療提供体制の見直しという中でも、いつも指摘させていただきますが、地域の中核病院がどんな役割を果たしているか。日常的に、でもそこになくては困って、手術も、遠くまで行ってはおじいちゃん、おばあちゃんは通えないわけです。ひざの手術なんかしてもらって、例えば一日がかりで往復するようなところに、その後が通えません。そういう実態がありますので、今一番厚生労働行政の中で、特に厚生行政の中で必要なのは、私は医療提供体制とその質だと思っております。
質の方は医療ミスの問題で、きょうは珍しく私にしては触れませんけれども、診療報酬体系によって提供体制が大きく変わっていきますので、そういう点をぜひとも御勘案いただいて、今後の政策に生かしていただきたいと思います。
では、この点については終わらせていただきまして、引き続いて臓器移植問題に入らせていただこうかと思います。
臓器移植の法施行後、一応は三年以降に見直しをしなくてはならないということで、昨日も議連、生命倫理議連、あるいは私が加入しております脳死を人の死としない議員の会などでもいろいろな論議が上がっておりますが、私は多様な見直し点が必要になってくるかと思います。
特にマスメディア上論じられますのは十五歳以下をどうするこうするというお話ですが、私はいろいろな意味で反対でございますが、でも、それをのけたとしても、このような救急医療体制でそんな論議をしているのは笑止千万と申しわけないけれども思いますが、きょうはその点でもまたありません。
いわゆる臓器の適正な、そしてフェアなレシピエントへの配分をめぐって、臓器移植ネットワークという仕組みが社団法人ででき上がりましたが、実は、この社団法人臓器移植ネットワークは、毎年毎年、いわゆる決算収支報告が四年続けておくれまして、私が先回もこの委員会でも取り上げまして、やはり非常に重大で、公明正大なことが行われなければいけないところが、いろいろに会計上問題あるのではやっていけないじゃないか、この点についてどういう指導をしておるんだということを伺いました。
これは同僚議員の山口わか子さんが、決算行政監視委員会でも、こんなに毎年決算報告がおくれるのであれば文書できちんと指導しなさいということを言い、御答弁でもそうしますということをいただきましたが、果たしてどのようになりましたでしょうか。お願いします。
○高原政府参考人 御質問の日本臓器移植ネットワークに対します文書による勧告でございますが、平成十四年八月二十九日付で改善勧告書を発出しております。
内容といたしましては、一、会員の状況ということと、御指摘の会計処理については、公益法人会計基準に基づき処理する体制を整えつつあるものと判断できるが、国庫補助金による事業を行っている公益法人として、引き続き公益法人会計基準に基づく処理がなされるとともに、国庫補助金の交付要綱に基づく適正な処理を行われたい旨の指示を行ったところであります。
○阿部委員 いただきました資料によりますと、そのほかにも、例えば、きちんと会員登録をするとか、微に入り細にわたりの御指導でございますので、一応この委員会でも取り上げさせていただいて、きちんと実施していただいたということを評価しながら、でも、それが四年も五年もじゃなくて、やはり社団法人、公益法人のあり方ですから、今後もきちんとやっていただきたいと思います。
そして同様に、これもその折に取り上げさせていただきましたが、いわゆる脳死臓器移植、これまで二十二例が実施されましたが、その中でも四例目になります大阪府の千里救命センターの事例では、日弁連、日本弁護士連合会の人権監視委員会から人権侵害の疑いがあるという勧告が出されました。
これは、国の検証委員会では、まあいいんじゃないか、幾つかの問題はあるがいいんじゃないかという指摘に終わっていた事例を、日弁連が、人権という観点から見た場合に、何度も何度も脳死判定を繰り返して患者さんに負担をかけた、家族にやはり心配をかけたなどなどいろいろなことがあって、勧告が出されております。
その後の経緯と、移植対策室としての対応をお伺いしたいと思います。
○高原政府参考人 御指摘の勧告書につきましては、四月十七日に御質問いただいた際、脳死下での臓器提供事例に関する一つの指摘として検証会議にも報告し、議論していただきたいとお答えしたところでございます。これを受けまして、六月二十一日に行われた検証会議において、資料として配付し、御報告を行っております。
当日の検証会議におきましては、勧告書と、勧告を受けた事例を検証した臓器移植専門委員会報告書をあわせて検討したわけでございますが、報告書の内容について特段の問題は指摘されませんでした。
なお、その専門委員会の報告書でございますが、御指摘の件につきましては、当該医療施設では、施設の言う臨床的脳死判定を治療方針決定の参考とするために行っており、その内容は無呼吸テストを含んでおり、指針に示す臨床的脳死判断の方法とは異なる、その結果、無呼吸テストの回数が多くなったことからも、必ずしも適切とは言えない、そういうコメントを、脳死判定等に係る医学的評価に関する作業班からいただいておるところでございます。
○阿部委員 私が問題としたいのは、必ずしも適切と言えないと言われた場合に、そのことを受けて臓器対策室がどう動いたかということなのです。
日弁連の人権侵害勧告を受けて、受けた当初は、この千里救命センターは、自分たちのマニュアルだからいいじゃないかと言っておられました。しかしながら、その後何回かの検討で、この間、七月の一日でしたか、今までの臨床的マニュアルを変えました。これは、実は、移植対策室が指導して変えたのではなくて、日弁連が人権勧告して変わっております。
移植対策室というものに期待されるものは、やはり国民が安心して本当に、例えば脳死状態になったとき、きちんと治療されて、そしてドナーとなりたい意思があった方が提供されるということを法が定めたわけで、検証会議で問題があるという、あるいはこれこれの問題であるということがどう指導に生かされたかというところが一番問題と思いますが、その点はいかがですか。
○高原政府参考人 一つには、いわゆる検証結果につきまして、臓器提供施設も知り得る状態にはなっておったわけでございます。これは委員御案内のとおりだと思いますが、今回の御指摘も踏まえまして、今後においては検証の結果を臓器提供施設に必ず連絡するということについて検討してまいりたいと考えております。
○阿部委員 本当に、それが当然の対応だと思います。それでなければ、何のために検証会議をやっているのか意味が出ませんので、必ずそのようにお願い申します。
と申しますのも、実はこのケースも含めて、人権救済の申し立てが相次いでおります。既に四件出ております。
そして、去る十一月十二日に実施された和歌山県立医大の事例でも、実はこれは法的脳死判定に入ってから、あ、脳波があった、やり直し、もといとなりました。でも、これはやはり、法的脳死判定というのを、あ、脳波があった、やり直す、そして、やり直そうというあと三時間余りは何ら治療らしい治療もされず、三時間たって、しっかり脳死になったかな、もう一回やってみようという事例だと報告されております。
今後の検証会議にかけられることと思いますが、今局長のお答えになりましたように、やはりきちんとした検証会議が行われ、それを返していける体制を、この件についても、検証会議の結果をお待ちしますから、よろしくお願いいたします。
○高原政府参考人 ただいま、脳死と判定されたドナーとなった方が第一回の判定の際に脳波があったというふうな御認識でございますが、私どもは、その可能性を全く否定するものではありませんが、かなりアーティファクトであった可能性もある。それから、その終了後、きちんと体の保護というふうなことは行われておりますし、いずれにいたしましても、ただいま委員御指摘のとおり、今後、検証会議において、脳死判定や救命医療の状況、そういったものにつきまして検証してまいりたいと考えておりますし、それを知らせたいと思っております。
○阿部委員 実は最近は、脳死臓器移植の事例は、患者さんのプライバシーということでほとんど新聞報道もその内容に至ってはなされず、逆に言えば、それだけ検証会議の役割が大きくなっているんだと思います。そういう自覚に基づいて、今もし高原局長がおっしゃったようであれば、それはそれでまた安心の一つのデータになるかもしれませんし、逆にアーティファクトか、人工的かどうかという微妙なものを脳死近隣の状態になるとチェックしていかなければなりません。まだきっと局長のところにも検証会議に足るデータが上がっていないと思いますから、私もそれを待って、また御答弁をいただきたいと思います。
あわせてもう一つ。いわゆる臓器移植によって移植を受けた側、レシピエントの皆さんはどうお暮らしか、どうお過ごしかということでお伺いいたします。
実は、私どもが把握しているだけでも、これまで八名の方が移植後に亡くなっておられます。もちろん、余命六カ月とか言われた御病気ですから、もとの御病気の進展ぐあいもおありかと思いますが、このレシピエントサイドの検証というのは果たしてどのように今後取り組まれますでしょう。
と申しますのも、検証会議では、ドナーの方たちの問題はまだ俎上に上りますが、ある程度、二十二例の方が貴重な臓器を提供され、それを受けられたレシピエントサイドの情報というのは国民には閉ざされたままでございます。今後、移植対策室でどのような検討を行っていかれるのか、この点についてお願いいたします。
○高原政府参考人 脳死移植を受けたレシピエントの予後につきましては、日本臓器移植ネットワークにおきまして、生存率ないしは生着率について把握しております。厚生労働省といたしましても、ネットワークよりその報告を受けております。臓器移植の実施状況に関する国会報告の中にも生存率等の移植結果について盛り込むなど、広く一般に公表しておるところでございます。
例えば、二年生存率で見ますと、心臓は一〇〇%、肺は七二・九%、肝臓は八一・九%、腎臓は九三・三%が生存率でございます。生着率は当然これまた違ってまいりますが、例えばそのような報告をしております。
脳死下におきます移植事例につきましては、欧米においては一般的な医療として定着しておりまして、そうした治験を踏まえて、どのようなレシピエントがいいのかということで、現在も患者の移植適応の評価の中身として行っているところでございます。しかしながら、我が国におきましては、まだ症例数が少ないこともありまして、予後の詳細な分析等は行っていない状況でございます。今後、事例の集積を踏まえ、関係学会等の動きも見ながら、そういった研究の必要性について検討してまいりたいと考えております。
○阿部委員 何でもそうですが、技術というものは、それが定着するまでの間、一番いろいろな問題が起こるものです。その意味でも、集積を、症例を重ねてというマスの見方をすると同時に、一例一例きちんと、でき得る限りのフォローはしていただきたいと思います。
と申しますのも、日本では心臓移植後のいわゆるバイオプシー、心筋バイオプシーといって、心筋の傷みぐあいを診る回数が、学会報告に上げられた論文を見ましても、圧倒的に欧米よりも多い回数でございます。一回一回レシピエントに負担でもありますので、やはり移植医療の質をきちんと移植対策室としても把握しておく必要が、今後の国民の判断にも響いてくると思いますので、よろしくお願いいたします。
最後に、インフルエンザの予防接種シーズンを迎えまして、予防接種のことについてお伺いいたします。
実は、日本で使用されておりますほとんどのワクチンの中には、ワクチンが細菌汚染から守られるために水銀化合物が入っております。この件につきましては、既に平成十三年の十月段階で、衆議院では家西委員、参議院では朝日俊弘委員だったと思いますが、我が国のワクチンの中で、特に水銀、ほとんどのものに含まれておりますし、アメリカでのいろいろな予防接種委員会の勧告等は既に、やめなさい、とめなさい、なしにしなさいという報告が上がっておる折から、日本としてはどのように対処すべきか、それを抜くような方向で、水銀を使わない方向にしてはどうかという御意見の提示がありました。
この一年の経過を踏まえて、進捗状況をお願いいたします。
○小島政府参考人 ワクチンに保存剤として添加されておりますチメロサールの問題でございますが、先生御指摘のように、十一年当時、アメリカ、ヨーロッパの議論を踏まえまして、我が国といたしましても、製造業者に対し、チメロサールの使用を中止または削減を検討するよう指導したところでございます。あわせて、ワクチンからチメロサールを抜く等の一部変更承認申請がなされれば、承認審査を迅速に行う旨示したところでございます。
お尋ねのインフルエンザワクチンに含まれているチメロサールの量につきましては、その後、平成十四年一月に北里研究所が製造するチメロサールを使用しない製品が既に承認をされました。また、他社の品目につきましても、従来の製品に比べまして十分の一から二十分の一に、添加されておりますチメロサールの量が削減されてきているというのが実情でございます。
○阿部委員 恐縮ですが、最後に大臣に一つお願いいたします。
削減の努力は認めますし、ただし、やはりフリー、なしにしていただきたい。こうしたものへの感受性と申しますのは個体差がありますので、そして、反復して使用されるインフルエンザワクチンなども今フリーのものもでき上がってきているというお話ですから、全般の指導を、使わないという方向にこれは誘導していただきたい。理由は、自閉症等の発生もあるというふうに疫学的には言われておりますが、それがあるかないかわからないときは予防原則に基づいて使わない方向にというのがこれからの厚生行政の基本と思いますので、最後に一言、よろしくお願いします。
○坂口国務大臣 よく検討いたします。
○阿部委員 ありがとうございます。
○坂井委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
次回は、来る二十七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
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