第155回国会 厚生労働委員会 第10号(2002/11/27) 抜粋 ○阿部委員 残り十分のお時間をちょうだいいたしまして、私、社会民主党の阿部知子ですが、質問を続けさせていただきます。
きょう、半日の論議で、ここに参加するだれもがこの法案の一日も早い成立を願うものであるということも、皆思いを一にしております。我が党も、基本的にそのような立場に立つものであります。
そして、そうした前提の上で、以下、時間が許せば、三点にわたりお尋ねを申し上げます。
一点目は、国交回復、国交正常化の問題であります。
先ほど来、北朝鮮による拉致問題の真の原因が何であるかということについて、各、国政に身を置く者の個々人の責任、あるいは政党の問題、あるいは政府の問題等々指摘されておりますが、私は、この間ずっとこの問題を考えてまいりましたときに、やはり、一九六五年、韓国とは国交正常化が行われましたのに、北朝鮮とはそのような向きに強力に推し進めることができなかった、いわばこの政策的な大きなおくれが今回の拉致を招き、また、それゆえに、今日、小泉首相が平壌宣言を出されたことを本当に歴史の英断と思い、強く支持するものでございます。
その立場に立ち、かつ平壌宣言を見直してみますと、この一番目に、国交正常化に向けて「あらゆる努力を傾注すること」、わけても両国間に存在する「諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した。」とございます。先ほどの福島委員に対する安倍官房副長官のお答えでもこのことは繰り返されたと思いますので言をまちませんが、私は、一つだけ確認させていただきたいと思います。
実は、今回帰国されておられる五人の方の帰国時、北朝鮮とはいわば期限を限っての帰国のお約束であったか否かということでございます。
私は、その後、当然、我が国としてあるいは御家族と話されて方針の転換があってもそれはあり得ること、重要なこととも思います。だがしかし、もしも、この帰国時に北朝鮮とどのような取り交わしをなさったのであるか、ここについて国民の間に事実が伝えられておらないとやはり大きな問題と思いますので、この一点につきお願いいたします。
○安倍内閣官房副長官 我が国が一、二週間で北朝鮮に帰すと約束をしたではないかというふうに北朝鮮側は、先般の正常化交渉の場においてそういう話をしたわけでございます。しかし、我が国としては、そういう約束ということを言うのであれば、そもそもなぜこの方々を拉致したのか、そういう約束ということを言うのであれば、十三歳の少女を学校の帰りにさらっていかないでもらいたい、こういうことを申し上げているわけでございます。
そして、北朝鮮側も、この五名の方々の希望で一、二週間ということを私どもに言ってきたわけでございます。であるならば、その中でスケジュールをとりあえず組みましょうということであったわけでございますが、この五名の方々は既に、日本にとどまって子供たちが日本に来るのを待ちたいということを表明しておられるわけでございますから、既に事情は変わった。この約束ということもそもそもないわけでございますが、彼らが言っている主張の前提も存在しないというふうに考えております。
○阿部委員 外交は交渉でございますから、確認事は言葉の一つ一つに至るまで、お互いに確認という作業を繰り返すものだと思います。そして、ここは本当に困難で粘り強い交渉ということを政府もお挙げでございますから、今の官房副長官のお答えですと、こちらはこう思っていた、あちらはこう思っていたという、そのずれを埋める手段がないように思います。これは今後、ありとあらゆる場面で出てまいりますことと思いますので、その点にぜひ留意されて交渉を進めていただきたい。
そして二点目は、私が一番気になっております、北朝鮮に残されております御家族の、お子さんたちの問題です。特に思春期、十代の後半の子供たちでございます。ある日突然に御両親がいなくなられたという状態に対して、せんだって田中アジア大洋州局長が北朝鮮に行かれたときに、この残されたお子さん方の情報については何か得ておられるでしょうか。どのようにお思いか、どのように今お考えか、この点をお願いいたします。
○安倍内閣官房副長官 質問にお答えする前に、日本側の主張と北朝鮮側の主張を並べられまして、両方とも一理あるような御意見でございましたが、私は全くそう思っておりません。
そもそも、五人の方々を二週間出したから後で帰してくれというのは、五人の方々を物のように扱っているわけでございます。ゴルフのクラブを二週間貸したから後で返してくれというわけにはいかないわけでございまして、五名の方々には意思があるわけでありまして、五人の方々は日本にとどまるということをはっきりおっしゃっているわけでございますから、ここはもう交渉の余地はないんです。そのことははっきり申し上げておきたい、こういうふうに申し上げておきたいと思います。
また、田中局長が先般北朝鮮側との話の中身につきましては、これは大変今微妙な状況でございます。既に外務大臣が中身についての概略についてお話をさせていただいているわけでございますが、詳細については控えさせていただきたい、こう思うわけでございますが、お子さんたちの現状等々についての言及はなかったと思います。
○阿部委員 前段については論議が長くなりますので、私も安倍官房副長官の御意見と一緒で、御家族に意思があるものと踏まえております。その上でなおかつ質疑いたしましたが。
二点目の、子供たちが今どのように思っておられるかという情報を、責任を持って、政府の責任で早急に集めていただきたいと思います。本当に、ある日突然親がいなくなったと子供は思うわけです。そのときに生ずる不安と動揺というものは、時間が長引けば長引くほど傷が深くなります。先ほど中川智子も申しました、年末を控えて、例えば、本当に家族も心の中から安らげるということは、この支援法ができ上がり、なおかつ子供たちの心のありさまが家族に伝わったときかと思います。この点についてきちんとしていただくことをお願い申し上げます。
三点目は、国際機関の活用でございます。平壌宣言の三点目は、「双方は、国際法を遵守し、」とございます。増元るみ子さんの弟さんも昨年の一月に国連人権委員会にこのお姉さまの件を含めての調査を依頼され、ことし、再度、十一月、政府からも国連人権委員会に申し入れをされておると思います。今後の国際機関の活用について、特に国際刑事法廷等も七月から発効しておりますし、こうしたことを踏まえて、政府としてどのようになさるお考えかについて御答弁をお願いいたします。
○安倍内閣官房副長官 子供たちの考えを何とか知るべきではないかという最初のお話があったわけでございますが、北朝鮮側からこういうふうに子供たちが考えているというふうなことを伺ったとしても、それは北朝鮮側がそう言っているというにすぎないわけでございます。ですから、その点につきましては極めて困難な状況があるということは申し上げておきたい、こういうふうに思います。
国際機関を使ってはということでございますが、政府は先般、ジュネーブにおいて、拉致被害者の御家族等の代理人として、国連人権委員会の強制的失踪作業部会に対し、被害者の所在確認依頼の再申し立てを行ったところでございます。作業部会においては、今回の再申し立てを踏まえ、対応ぶりにつき検討が行われていることと承知をしております。また、人権問題等を扱うニューヨークの国連総会第三委員会において、国連代表部大使よりステートメントを行い、拉致問題に言及したほか、日本は同委員会で採択された強制的または非自発的失踪の問題と題する決議の共同提案国となり、国際世論を喚起し、北朝鮮を含む関係国の問題解決に向けた行動を促したところでございます。
このように、我が国は、従来より国際社会に対しても我が国の拉致問題に対する立場について説明するとともに、この問題解決の重要性について訴えてきておりますが、今後、国際場裏において本件にどのように取り組んでいくかについては、事実関係を究明していく中で、いかなる対応が可能であり、また、最も効果的かという観点から検討していく考えでございます。
○阿部委員 この被害に遭われました方々の本当のお気持ちに沿って、これからも政府が責任持って今後の粘り強い交渉を続けてくださることをお願い申し上げて、質問を終わります。
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