第155回国会 財務金融委員会 第2号(2002/10/30) 抜粋 ○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
塩川財務大臣並びに竹中金融大臣には、昨日に引き続いて本日、連日の委員会で長時間御苦労さまです。また、非常に経済、金融のかじ取りが難しい時期の御就任に当たって、ぜひとも遺憾なくお力を発揮していただきたいと思いながら、昨日並びに本日の御質疑を聞いておりました。
そして、聞いておりまして、だがしかしです、だんだん何が何だかわからなくなってくる御答弁もこれあり、私は、やはり今この困難な時代、例えば経済の状況一つとりましても、空洞化の問題並びにアジアの全体的な経済状況の中で我が国が果たすべき役割が何であるのかという問題、多面的に考えても、今まで経験しなかった事態に直面している折でありますから、実は何が本当に正しいのかは、本当に変な話ですが、やってみなければわからないということもあると思うのです。
以前の金融大臣であった柳澤大臣が私によくおっしゃっておられましたが、先生はいろいろな今の銀行が自己資本比率を含めて不安定じゃないかと言うけれども、大丈夫なのです、今の金融状況は大丈夫なのです、御心配はないのですと繰り返しおっしゃっておられて、それはそれで、柳澤大臣のおとりになる一つの姿勢であり政策であると私は思います。
竹中新大臣も、実はニューズウイークの中で、先ほど達増委員が御指摘の点以外にも、例えば、政府のとる方針というのは、何もしない方針から、アグレッシブに非常にドラスチックに方針をとる、この二極のどちらにおいても、ある意味で市場からの批判も含めて批判を受けるものであるというふうにおっしゃっておられます。これは、英文そのまま間違いなく訳したと思いますので、政府は何も策をとらずとも、あるいはきょうドラスチックなアクションをとろうとも、どちらにおいても批判されるだろうと。私もある意味でそうだと思います。
であるならば、今国民にとって、国民の目から見て一番必要なことは、一体何をしたいのだということをもっとはっきりと、そしてそのやることに伴う痛みの大きさ、深さ、それに対しての対処方法をきちんと明示して進まれるべきが、私は政治家としての見識であろうかと思います。
そこで第一問、通知をしてございませんが、竹中大臣であればきっとすぐお答えくださると思いますが、現下のアジアの経済状況における我が国金融の役割について。
このことを一問目に伺いますのは、小泉首相が訪朝されて、特に北朝鮮問題は、外交問題あるいは平和の問題、核の問題としては我が国は一定の方向性を見据えた形になっております。そして、これからの北朝鮮の我が国との経済交流、あるいは全体的な、中国の上る竜と言われるような隆盛あるいはASEAN諸国の大きな羽ばたきの前で、一体、我が国の経済、特に金融はアジアにおいてどういう役割を果たさねばいけないか。
これは冒頭、所信表明演説でございますので、抽象的でも構いませんから、忌憚なき御意見をお願いいたします。
○竹中国務大臣 いきなり大きな問いかけをいただいております。
今、アジアはというふうに限定されましたが、世界は、そしてアジアは、やはり日本経済を本当に注目していると思います。特に、日本の金融システムがいかに安定化し、強固なものになっていくかということに極めて大きな関心を払っていると思います。
要因は二つあろうかと思います。一つは、やはり日本の経済は、九〇年代以降大変厳しい厳しいと言われながらも、世界の中で圧倒的な貯蓄を生み出しているということだと思います。世界が発展するためには投資資金が要る、しかし、その投資資金が、だれかがどこかで投資をしようと思ったら、だれかがどこかで貯蓄をしていなければいけないというのが、これは恒等式でありますから、その貯蓄資金を日本が、恐らく世界全体で見れば五分の一とか四分の一をこの一国が生み出していると思いますが、それをどのように積極的に活用して、うまく効率的に配分して、世界経済を引っ張っていけるような力になってくれるのか。
その意味では、日本の経済は、貯蓄というものを通して見る限り、やはり金融、経済の一つの間違いないエンジンであるというふうに見ているのだと思います。その意味で、金融システムを改革、効率化していくということは、やはり日本は世界に対しても大きな責任を持っているというふうに思うわけでございます。
もう一点、アジアが恐らく日本の金融を注目する理由は、これも委員会で一部御指摘がございましたが、ある意味で、世界じゅうが今、デフレの強い圧力の中に入りつつあるということだと思います。特に、よく現実を見ますと、アジアの地域で昨年は、日本はもちろん物価はマイナスでありましたけれども、日本だけではなくて香港、シンガポール、マレーシア、ちょっと不正確かもしれません、一カ所ぐらい違っているところがあるかもしれませんが、そういうところで物価がマイナスになっているわけです。このデフレが、さらにこれがアジアのみならず欧米にも広がるのではないかという中で、デフレをとめる、つまりその意味で金融の仲介機能を回復していくシステムをどのようにつくれるかという意味でも、やはり注目をしているのではないかと思っております。
日本経済の存在感、それとデフレの克服という点で、やはり重要な役割を内外ともに果たさなければいけないのだと思っております。
○阿部委員 ともすれば落ち込みがちな日本国民が、いつも塩川大臣がおっしゃるように、みんながだめだ、だめだと言うからだめになるんだ、こういう方向に行けばいいことがあるよというメッセージを送ることが政治のかなめであるという御指摘もございますから、今竹中大臣から御指摘のあった二つの点、日本の高い貯蓄高、それから全般的に、全世界的にデフレ傾向でありますが、その中でも、もしも今日本の貯蓄に蓄えられている部分が流動性のものになれば違ってくるだろうというお見通し、そのことを私も期待したいですが、果たして現実はそうなっているかと申しますと、昨日の読売新聞でしたか、「邦銀、海外撤退に拍車も」という見出しでございまして、実は、邦銀の海外支店による貸出金が、九七年には八十兆円前後に達しておるものが、現在は二十兆円余りと四分の一に縮小しておるという指摘がございます。
このことについて、竹中大臣の御所見を伺いたい。
○竹中国務大臣 ちょっと新聞の記事の詳細及び数字について正確に把握をしておりませんが、日本の金融機関は、もちろん金融機関としての独自の活動をしておるわけでありますけれども、同時に、海外で活動するメーカーを中心とした日本の企業の金融部門をサポートするという非常に重要な役割を担ってきたというふうに認識をしております。
そういう中で、日本の銀行がみずからの比較優位を考えて、日本の銀行の得意なものは得意なものとして伸ばして、そうでないところはむしろ他の力を活用するような形で新しい仕組みづくりをしているというのは、これは私は当然必要なことであろうかと思います。これは決して海外での進出量とか、そういうものではかれるものではなくて、いかにそのネットワークを形成しながら、世界の資源で使えるものは使えばいいわけでありますから、それを活用していけるような、本当の意味での金融機関としての力をつけることができるかという点にあるのではないかと思っております。
数字が小さくなること自体は、正直言って寂しいという感じは恐らく持つのかもしれませんけれども、これはやはり、そういうことを通しても、力そのものを強化していく一つのプロセスとして生かしていただきたいと思っております。
○阿部委員 例えば、中国で元を現地調達すればいいという考え方も成り立ち得ると思いますが、だがしかし、先ほど御指摘の、日本の貯蓄の中に蓄財という形になっているものをより積極的に生かそうというのであれば、やはりトータルの邦銀の貸出額というのは重要な意味を持つと私は思います。
それから、邦銀の貸し渋り、貸し渋りというか貸し出せない状態になっていることが、逆に言うと、自己資本比率を損なうおそれがあるということがまた一つの足かせになっているという指摘もございますので、きょう大臣、詳しい記事はお読みにならなかったということでありますから、そういう観点からも、やはり我が国、これから国内も、そしてアジアのみならず世界ですが、きちんとした金融の一翼を担えるようにということが、これはもう国民の強い願いでもあると思いますから、ぜひとも御検討をくださいますようにお願い申し上げます。
そして、私はもう一点、達増委員がお出しいただきました英文の中で、竹中大臣がお話しになっているところで、日銀の株式の買い取りの事態をどう思われるかというインタビューがございまして、これに関しましては、正直に言って、私は最初はこのニュースは驚いた、しかしながら、このニュースを聞いて、これが私に投げかけられた、私が今何をなすべきかの、一つの大きなある意味での投げかけられた問題であるというふうに考えたと。
ジス・マスト・ビー・マイ・ジョブとなっていますが、これが私の仕事だという、これはというのは何かというと、よりディサイシブ、決定的な行動をとるということが私の役割だというふうに日銀のボールを受けとめたとおっしゃっておられますが、この点についていかがでございましょうか。
○竹中国務大臣 御指摘のとおり、私、日銀の金融政策決定会合があった日だというふうに記憶しておりますが、金融政策について、いわゆるマクロの金融政策について議論をしているというふうに認識をしておりましたのですけれども、これは金融政策ではない、信用秩序の維持のための政策という形で御承知の日銀の政策が出てきたということに、最初は、正直言って予想外であったという意味で驚いた次第でございます。
しかし、日本銀行が、信用秩序維持のために非常に強い政策決意を持っている。ディサイシブというのはそういう意味で、強い決意を持っているという意味で申し上げたんだと思いますけれども、日銀もそういう姿勢でいるし、私自身もそういう姿勢でこの問題に当たらねばならないというふうに考えた、そのようなことを申し上げたと記憶をしております。
○阿部委員 この文章どおりとれば、銀行が非常にダメージされた状態にあるということに、私はそういうシグナルとしてこれを受け取ったとおっしゃっておられますから、よくお読みいただきまして。
私がなぜこういうことを聞くのかというと、例えば、私個人が今のこの不良債権問題にどういうふうな処方せんを考えておるかということ以上に、今決定的なポジションにある竹中大臣が、やはり国民に対してどのような言葉で語り、どのようなシグナルとしてこの事態に臨むかが極めて重要だと思います。このインタビューの中で竹中大臣も、国民は非常によく理解しておる、状況をわかっておるというふうにお書きですので、であるならば、政治家の責任というのは、どのような形でこれを考え、対処していくのかを明確になさることだと思います。そして、もしそれが、先ほど来の御質疑の中で、公的資金の注入をも必要とするもの、あるいは大きな失業や倒産の、一つの貸しはがし圧力になるものであるとするならば、その痛みの強さはどのくらいのものであるのか。
例えば、幾つかの総合研究所、特に銀行関係の総合研究所の方たち、例えば、日本総研の試算では、三百三十二万人の失業者が生まれ、GDPが六・四%減少する。あるいは、第一生命経済研究所では、平成十六年度までに四万四千社が倒産、四十五万人が失業、GDPが六兆七千億円減少すると試算している。
これを、あくまでもそういう総合研究所の試算ですよというふうには笑って済ませられない、無視してよいものでもないと私は思います。政策を発表なさるときには、そのことにはこのくらいの副作用があるかもしれない、あるいは、大きく言えば、もっと副作用以上の大ごとがあるかもしれない、しかしながら今やらなくてはいけないことがこれであるというふうに、きちんと説明責任を果たされた方が私は政治の姿勢として誠実であろうかと思いますが、その点について御答弁をお願いします。
○竹中国務大臣 技術的な問題はともかくとしまして、やはり説明責任はきちんと果たさなければいけないと思っております。
むしろ、今は基本的な枠組みを決める段階でありますので、しっかりと、さまざまな方の御意見を含めながら審議している段階でありまして、この基本的な方針が定まった後、これは、小泉内閣は「改革と展望」を毎年出す、その「改革と展望」を毎年見直して、マクロ経済がどうなるかというシナリオを示していくという明確なスタイルをもうとっているわけでありますので、「改革と展望」の見直しの時期ももう数カ月の、二カ月ぐらいのうちに参ります。その中に、この新しい政策を織り込んでどのような姿が描いていけるかということはこれはきっちりと説明をしていくつもりでございます。
同時に、金融は技術的に大変難しい問題でもございますから、特段の配慮をして、先ほども御指摘をいただきましたけれども、要するにこういうことをやっていって、その中でこういう変化を期待しているのだということについても、ぜひ新たな工夫をして、御理解いただけるように努めたいと思っております。
○阿部委員 昨日の株価の動きを見ましても、むしろ優良株の方が売られるような形になってきて、株式というものも非常に風評で動く事態が生じておりますので、市場にとっても望ましくない状態と思いますから、竹中大臣にあっては、本当に重要な任務、きちんと説明責任、国民にメッセージして事を運ばれるように、一点希望いたします。
あと、塩川財務大臣にお願いいたします。
私は、先ほど来申しますように、もしもこの不良債権処理というものを竹中大臣がおっしゃるように一丁目一番地というふうに認識されるのであれば、そのことに伴ってあらゆる政策動員が必要となる。その一つに、先ほどの失業、倒産、あるいは貸しはがしによる企業の経営困難を初めとして、いわゆる補正予算の問題がもう一方で出てまいると思います。
もしも政府が一丸となってこの対策を打たれるのであれば、当然、来期の通常国会に補正予算をというようなことではなくて、既に税収の落ち込みもことしは十兆もあるやもしれないという指摘もあり、大臣は、十一月中旬になったら税収も確定されるし、来期の補正予算で何とかという御発言ですが、私は、やはりそれは政府としての決意が感じられない。やはり迅速な手で、昨日の御答弁では、まだ使い残した予算があるからいいではないかという大臣の御発言でありましたが、やはり極めて重要な時期の政策であれば、まず現下のデフレ状況も含めて、失業の増大、倒産の増大、中小企業のさまざまに困難な局面も含めて、より積極的に補正予算の編成をやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○塩川国務大臣 今のお話を聞いていますと、何でもまず補正予算という言葉がありきという感じでございますけれども、私たちは、要するに、加速していくことにつきましてのアクションがどういうところに出てくるかということを、これをよく検討いたしまして、もうこれで三回にわたりまして経済関係大臣が集まりまして、いわゆる今阿部さんの心配しておられるセーフティーネットの問題等、それから企業をどうして再生するかということについて相談しております。
そして、特にセーフティーネットや中小企業あるいは雇用の問題等については、現在の予算の中においてどれだけのものの余裕があるかということの計算もきちっと見直しまして、かなりの額があるということを確認しておりますが、なおこれで足らぬことも十分承知しております。そうなった場合はどのような処置をするかということもあわせて現在検討しておりまして、これがきょうの総合対策の中に意思表示として明確に出てくると思っておりますし、また、きょうは総理が特に、何というか総理発言のような形でその点についても明確にされると思っております。
御心配になっておることは私たちも十分受けとめまして、そういうことの起こらぬように万全を期してやっていきたい。金が必要ならばどんなときでもやはり用意しなきゃならぬのは、これは政府の責任でございますから、事態を見きわめて適時適切な措置を講じたいと思っております。
○阿部委員 国民の苦しみが増しますので、くれぐれも後手にならぬよう、よろしくお願いいたします。
終わらせていただきます。
○小坂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
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