第155回国会 財務金融委員会 第7号(2002/11/15) 抜粋

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 ただいまの佐々木委員の御提起にありましたように、目下の金融行政というものは国民から見ましても非常にアンバランスであり、強い者に優しく弱い者に厳しいというところで、今の御質問があったと思います。

 そして、それがさらにこの間、竹中新金融担当大臣になられて不良債権処理を加速されるという方針が出た中で、きょう四人の参考人にはお運びでございます。何回かにわたる参考人の御出席は大変労をねぎらいたいと思いますが、だがしかし、国民の関心事は、一体本当に銀行はどのようになっており、何をやっておるのか。私はこの分野は専門ではございませんが、その分だけ一人のまた国民といたしまして、わかりやすい言葉で銀行の現状というものをお話しいただきたいということをまず申し上げて、以下質問に入らせていただきます。

 今、病んだ金融システムというものを患者さんに例えますれば、三回にわたる荒療治をいたしましたが、いまだによくなったのか悪くなったのかわからない、国民がこう思っている次第です。国民を家族と例えていただいてもいいです。そして、日本銀行の出されました不良債権処理の基本的な考え方、一文を読ませていただきますが、まず質問は、ただいまの三木三菱東京ファイナンシャルの社長にお願いいたします。

 ここに書いてございます、日銀のペーパーには、金融機関は過去約十年にわたり、九十兆円に上る巨額の不良債権処理を実施してきておるが、だがしかし、問題克服に向けての根本的なところでまだ問題がある、そして我が国の不良債権問題は、現状においてでございますが、金融機関の経営体力や収益力との対比では、むしろこれまで以上に厳しい状況に直面していると考えられると。

 すなわち、簡単に言えば、患者さんたちは悪くなっているよということの表現でございます。ここにはきちんとした言葉で、金融機関の経営体力や収益力との対比でむしろ厳しい状況に直面しているという指摘について、三木参考人にお伺いいたします。

三木参考人 お答え申し上げます。

 日銀のレポートは種々同感のところがございますけれども、金融機関の体力、それは全体のことにつきましてはちょっと私詳しくございませんけれども、私どものグループにおきましては、既に不良債権の残高が減少しております。

 それからまた、不良債権処理の額が業務純益の中に入ってきておりまして、この平成十六年度までの集中処理期間に向けて中期計画でこれを処理すべくやっておりまして、そういう意味では、私どもにとりましては、前より弱くなっているということはないと思います。

 なお、日銀が申されております中で、現在の不良債権は過去のバブルのときの問題よりは新しい不況から来るものが多いとか、それから、金融機関の利ざやが薄いことが非常にその収益上困ったことにしているとおっしゃっている指摘は、全くそのとおりだと思っております。

阿部委員 確かに東京三菱は、前回の公的資金注入では他の三行と違いまして注入されておりませんが、しかし今おっしゃったような認識というのは、先ほどのような取り立てをしながら成り立つものであれば、実は自己資本を損傷しないためにかなり強引な、そしてかつ、潤滑油としての金融、貸し出し機能をきちんと伴わない形で処理されていて、それが基本問題なんだという指摘がなされておるところと思います。

 そうした観点からも、やはりリーダーとしてのお考えをいま少し進めていただきまして、本当に国民の金融、役立つ金融ということで視点を据え直していただきたいと思います。

 そして、残る三行の御出席者に伺いますが、実は、一九九九年の三月の時点で約七・五兆円の公的資金の注入があり、ただし、そのときに各行の経営責任者の責任問題は、三年を見て著しく経営状況が改善しなかった場合に考えるというふうになっております。

 もちろんここに御出席のお三方は、当時の責任者、責任のトップのグループには属されたかもしれませんが、即同じ方ではないと思いますが、三年たった現在、公的資金の注入ということも含めて、よくなったのか、悪くなったのか。そして、前経営者からの、何を一番改善するように、患者さんでいえば申し送りと申します。この患者さんはこうであるから、金融システムは傷んでいるから、ここが一番大切で、努力せよというふうに聞かれているのか。各三行、恐縮ですが順次お願いいたします。

前田参考人 お答え申し上げます。

 私ども、九九年の三月からこの二〇〇二年の九月、直近の九月中間期でございますが、この間に向けまして、私どもが、新しい経営陣が引き継いだことは、リストラを強化するということと収益力の向上の二点でございます。

 コストの削減につきましては、従業員の数、約五千名を削減いたしております。それから国内外の支店網につきましては、約百カ店の削減を実施いたしております。また、取締役、監査役につきましては、その数、百十一名から二十九名に大きく削減をいたしております。また、役員報酬等につきましては、公的資金投入前の五割の水準までに削減を行っております。

 これから、私どもが引き継いだものといたしまして、さらに収益力の向上に向けて努力をしてまいりたいと考えております。

寺西参考人 お答えを申し上げます。

 私、一月に就任をいたしましたけれども、私どもの銀行の最大の問題点というのは、一方で不良債権の処理といったものを早くやるということ、それから、それをなし遂げるために収益力の強化をやっていく、これが二つの大きな課題であったというふうに認識をいたしております。

 そういった観点から申し上げますと、まだ改革といったものは緒についたばかりでございますけれども、この九月末の決算では、私どもの不良債権額が、開示債権でございますけれども、減っていく傾向にございます。収益の範囲内に不良債権処理額もおさまり始めたということでございますので、このピッチで経営改革、それから我々のリストラの努力も含めて、懸命の努力を続けてまいりたい、かように考えているところでございます。

 以上でございます。

西川参考人 お答えいたします。

 私は、九九年三月に既に頭取を務めておりました。その当時と読み違えましたのは、不良債権の新規発生という問題、当然ゼロとは考えないわけでございますけれども、そのボリュームについて読み違えておったということ。それから、保有株式の含み損問題、当時は含み益でございましたが、株価の下落によりまして大きな含み損を抱えるということになった。この点が読み違えておったところでございます。

 一方におきまして、先ほど来お答えしておりますように、リストラ等によりましてコスト削減、これを二千億、合併後の銀行といたしまして二千億のコスト削減という目標で臨んでまいりまして、約六割既に達成をいたしております。そのほか、業務改革等によりまして収益力の増強を図りまして、業務純益におきましては、当時から見ますれば、おおよそ三千億見当の増益という格好にしてきておりまして、それによりまして、今年度あたりは不良債権処理も業務純益の範囲内に入ってくるというふうに見ておるわけでございます。

 以上でございます。

阿部委員 私が冒頭申し上げましたが、本当の本質的な部分でよくなったかどうかが極めて重要だと思います。

 例えば、今、各御意見いただきました前田参考人のお話の中では、確かにリストラを進めたと。しかしながら、どの企業でもそうですが、リストラを進めるということは本質的な解決ではございません。リストラは固定費を落としているだけで、それによって収益力を上げているうちはちっとも本質はよくなっていない、やらなきゃいけない最低限のことと思いますが。

 また、寺西参考人のお話にありました不良債権処理額の低下は、逆に不良債権処理をする能力すらなくなってきているというふうにもとられるわけです。不良債権処理額の低下によって、また本質的な改善が図られたとも思えません。

 そして、西川参考人には、私は失礼いたしました、当時からずっとかかわっていらしたということで、逆に言えば一番まとまったお話と思いますが、そうであれば、今回日銀が指摘されたような、先ほどの経営体力や収益力との対比では、むしろ今まで以上に厳しいと。これは本年三月から国際会計基準に基づく時価評価も入っておりますし、現状を直視してかじ取りを誤らないようにしなければ、結局国民が迷惑をすると私は思うわけです。

 そしてさらに、一つでもやれること、本当の意味で銀行が国民の信頼を得るために、最後の一問ずつを伺いたいと思います。

 実は、銀行、役員の皆さんは別として、五十五歳で定年の推奨と申しますか、異動が進められているようであります。しかし、その行く先が取引関連企業である場合を多く見聞しますし、特にその取引先が斜陽、多少傾いてきたりする場合に、銀行から斜陽の方に役員として送られてくる方がよくございます。皆さん経営責任者としては、御自分の銀行のいわゆる職員が、関連取引先にどのような数で、どのような割合で毎年異動されておられるか、御承知であればちょっとお教えください。

前田参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと正確な数字、今手元にないんですが、毎年、定年で退職をする方の中に、一般のお取引先に行かれる方が、私の記憶では、みずほグループ全体で申し上げますと二百人ぐらい行かれたと思います。大体毎年、一年間でそれくらいの数だと思います。

 以上でございます。

三木参考人 お答えいたします。

 恐縮ながら、ちょっと人数の数字につきましては、今正確なあれがございません。お取引先の方から要請がございまして、そして派遣するという例はかなりございます。

 ただし、そういう先が非常に経営が不振になりましたときに、派遣者がいるからということで特別扱いをする、そういうようなことは全くいたしておりません。

 以上でございます。

寺西参考人 お答えをいたします。

 私も細かな数字を持ち合わせておりませんが、二百人ぐらいだったのかなという記憶でございます。これは確かでございませんので、御放念ください。

 確かに、御指摘のように、銀行から一般会社に出向するケースというのはたくさんございますし、それも五十歳前後で出るケースが大半でございますが、私どもが見てお聞きしている限り、これまでの業務知識だとか業務の経験だとかスキルといったものをお取引先から請われて出向するケースが多いんじゃないかな、こういうふうに思っておりますし、出向した行員も、そういった技能、技術を生かして、出向先の発展のために懸命に努力をしている、こういうふうに考えております。

 以上でございます。

西川参考人 お答えいたします。

 私ども、取引先企業への出向者、これは在籍のまま出向しているというケースでございますが、これが約七百名おります。そのほか、既に退職をしたという方がやはりおられるわけでございますが、ちょっとこの数字は今記憶にございません。

 いずれも、お取引先からのニーズ、要請に基づきまして、それに適した人材を選別して派遣をさせていただいておるということでございまして、相手様に参りますれば、もう既にそれは銀行の人ではなくて、相手様の会社のために全力を尽くすというのが本来のあり方でございます。

 また、銀行も、先ほどもお話がありましたが、派遣をしているから融資の面あるいは不良債権処理等の面で特別な計らいをするということは全くございません。あくまでもコマーシャルベースでございます。

阿部委員 冒頭委員長からも申されましたので、個別のことには立ち入りませんが、ぜひ、現実にどれくらいの方が、先ほど、派遣ではなくて五十五歳早期退職勧告後関連の取引先に、これは極めて異例なことでございます、他の業種では。こうした銀行のいわば運営のあり方が、私は銀行の改革をもおくらせていると思いますので、きちんとした点検を行っていただきたい。そして、大胆に他の分野からも経営陣に人を導き入れて、本当にクリアでオープンな運営をしていただきたいということをお願い申し上げて、終わらせていただきます。

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