第156回国会 イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会 第7号(2003/07/02) 抜粋 ○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
先週よりもう一週間以上、このイラク支援法並びにテロ対策支援法の延長、論じられてはおりますが、論じられれば論じられるほど、何が何やらわからない、実体が見えてこない審議が続いているように思います。私は、その主な原因は、やはり、答弁なさる政府の側、とにかく言い逃れることばかりで、実際にどういうことを行いたいから、そのことについて国民の理解を求める基本的な姿勢に欠けているように思います。
本日、民主党の方から対案が出まして、一体自衛隊を送る必要性は何なんだ、任務は何であるのか、そして停戦合意もない、国際的に見れば何らのいわゆる停戦という状態にない事態の中で、一方の占領国に加担するかもしれない形での自衛隊という、ジャパニーズアーミーと言われていますが、そういうものの派遣ということはやはり論外であるとする民主党の皆さんの意見は、私は高く評価したいし、今回、十五分ですので、ちょっと質疑の時間がないので、次回また我が党から質問に立つ者が質疑をしたいと思います。
きょうは、私がせんだって聞き漏らした問題を、特に石破長官と福田官房長官にお願いしたいと思っています。
私は、テロ対策支援法にのっとっての自衛隊派遣であれ、あるいは、現在既に行われておるところの、PKO法に基づいての、せんだって私が問題にしたヨルダンへのテントの運搬等々にしろ、いずれにしろ、大きな問題は、恣意的な運用ということが非常にある。これを、こうやって恣意的な運用と言葉で言うとわからないので、私はあえて、さっきの木島先生の骨太の論議みたいな、国際法の大きな枠を持ってきた論議ではなくて、具体的にやってみようかと思って、この前から、テント何張り持っていった、だれがどうして持っていった、どこで決めたという問題をあえて伺わせていただいています。
まず、石破長官にお願いいたします。またテント問題かと思われますでしょうか。私はやはり、コスト算段もなく、そしてもっと言えば、自衛隊の、果たしてけん銃を持っていく必要があったかどうかの検証もなく行われたこのヨルダンへのテントの運搬ということをきちんと説明していただきたいと思います。
まず、百六十張りのテントを、三月二十八日の安全保障会議の折に、自衛隊員六十人、そして十四丁のけん銃をつけてヨルダンに送る、その場合に政府専用機をお使いになるということを決定されたことは長官も御存じだと思いますが、なぜ政府専用機でしょうか。これは事務方ではなくて長官が、安全保障会議できちんと会議に出たことと思いますから、お答えいただきたいと思います。
○小町政府参考人 お答え申し上げます。
今御質問の難民用テントの譲渡及び空輸につきましては、御案内のとおり、UNHCRから、難民用テントの調達及び輸送には相当の費用と時間がかかり、緊急に必要とされる難民用テントがイラク周辺国では十分に手配できないという事情から、我が国政府が備蓄しております難民用テントをUNHCRに譲渡するという要請があったわけでございます。
空輸に当たって政府専用機を使用することといたしましたのは、UNHCRからの要請の緊急性にかんがみ、迅速かつ確実に利用することができる政府保有の航空機によることが適切であったこと。当時、チャーター等の市場は非常に、戦闘行為開始後で、いつチャーター機が確保できるかどうか不透明な状況があったことは御案内のとおりでございます。かつ、UNHCRから要請された難民用テントの量が、おおむね政府専用機二機で空輸可能な量に見合ったものであったこと、そういった理由を踏まえたものでございます。
○阿部委員 石破長官も政府専用機に乗られたことがあると思いますし、例えば、小泉首相並びに石破さんのような要人がどこかに行かれるときに乗るわけですね。乗ったことない。では、ちょっとお見せしようかしら。中谷防衛庁長官はないですか。では、テントと首相だけかもしれない、これに乗れるのは。
こういうふうに、上段は、いろいろな会議室とか、非常に整備された高級な専用機でございますね。どこにテントを入れたかというと、こんな会議室の中にテントを入れるわけにはいかないので、下の、通常サムソナイトバッグを入れるような荷物の部分にテントを入れた。
これは、本当であれば、例えばカーゴ、C130でもいいですし、ただ、カーゴは、C130は飛行距離が短い。そして、さっきの御答弁にもありました、民間機をチャーターすればもっと効率よく運べる。だって、専用機は、普通、首相がどこか行かれるとき、要人がどこか行かれるとき用に上段は全部整備されて、荷物は下だけしか入らない。
おまけに、長官、御存じでしょうか。もしも民間の、イギリスが所有しているようなロシアのアントノフあるいはイリューシンという民間の荷物運搬用のものを使っても数千万円しかかからない。そして実は、今回の輸送、幾らかかったか。先回私が申しましたので御存じかと思いますが、ちょっと繰り返していただけますか。
これは事務方はやめていただきたい、先回私、聞きましたので。
○石破国務大臣 かかった費用は一億円でございます。
なぜB747を使用したかといえば、私どもは、C1、C130、そしてまたこのB747というスリータイプを持っておりますが、一番適したものはこのBの747であった。C1はもっと運べませんので。飛行航続距離も非常に短うございます。C1はだめ、C130はだめということになりますと、B747ということになります。
その場合に、では、民間機をチャーターすればよかったではないか。先ほど委員御指摘のイリューシンとかアントノフとかいう飛行機は、ロシアの飛行機でございますから英国ではないかと私は思っておりますけれども、それを使いました場合に、確かに費用的に言えばそうなのかもしれません。しかし、迅速性でありますとか、あるいは、この間も委員から、ではなぜそんなに武器を持っていったのだというような御指摘がございました。しかしながら、それは確かに機内の秩序維持ということにはまず使うことはありません、しかし機内の秩序維持ということと、現地におりまして、これは、カーゴの扉をあけましていろいろなものを搬入したり搬出したりしますときに、それは不測の事態があることは想像できることでございます。その場合に備えてけん銃を持っていったということでございまして、トータルで考えてみましたときに、これは費用だけで推しはかれるものではないでありましょう。
そしてまた、この要請は、UNHCRから求められたものでございます。委員、恣意的にとおっしゃいましたけれども、これは私どもが恣意的に決めてテントを、UNHCRの要請は二千人分ということでございましたけれども、これはUNHCRから来たものでございますので、日本国政府として恣意的に決めたものではございません。この任務を全うしますために何が一番よいかということは、これはそろばん勘定だけではできないということも委員御案内のとおりかと存じます。
○阿部委員 いろいろ御答弁いただきましたが、自衛隊員が、この専用機に乗った方は四十人、そして専用機に先立って十人既にアンマンの空港に行っておられます、そのための費用が七百万円。御存じですか、先に自衛隊員が十人行くために、ほかの飛行機で行くために七百万円、そして整備費その他で、とにかくトータルで一億八百万円。本当に私は金がかりだと思います。
それから、これはイギリスの会社が所有しておるものです。ロシア製ですが、イギリスの民間会社が所有しておる。それで、コスト的にはもっと安い。
わざわざ自衛隊員をつけて、自衛隊員が行くがために自衛隊員十人が先にアンマンの空港に行って……(福田国務大臣「必要だから行っていた」と呼ぶ)必要だからというそこでの福田長官のお話ですが、普通、物品を運ぶのにけん銃までつけて、そしてそのけん銃は残念ながら、防衛庁長官、この専用機の中の金庫に入れて、実際におりるときには自衛隊員はおろす業務にはかかわらず、現地の職員がおろすのを見ておるという状態なわけです。
本当の必要性というのは何ですか、再度。
○石破国務大臣 これは、恐らく実際に行く自衛官たちがその必要性というのは感じている、それは委員よりも実際の自衛官たちの方がよく知っておるはずです。そういうような任務を行うときに、みずからの身を守る武器というものは持っていかねばなりません。
そして、先ほどお答えを申し上げましたように、確かに、搬出しますとき、搬入しますとき、それは見ておるだけでありましょうか。そのときに不測の事態が起こるということは完全に排除できるものではございません。それは、いろいろな、世の中に完全というものはございませんし、そしてまた、そこにおいてカーゴを搬入しますときに全く不測の事態が起こらないというわけではございません。そういうことにも備えて持っていったというふうに私は聞いております。
また、事前になぜ人が行ったのだということでございますが、政府専用機が飛びます場合に、それが受け入れられるものかどうか、そしてまたそれが飛び立てるものなのかどうか、事前に先遣の職員を派遣するのは通例となっております。
○阿部委員 アンマンの飛行場の状態くらい、自衛隊が十人行かなくてもわかると思います、どういう機種が着陸できるかどうか。そういうのを詭弁というんです。いつもそのように詭弁を用いて運用するからこそ、この法案だって合意が得られないんだと思います、実像が見えないと。
そして、おまけに、何度も言わせていただきますが、けん銃は飛行機の機内の金庫に入って、携帯しておりることができないわけです。そして、例えば小泉首相が行かれるとき、SPの方がつきますが、SPの方は首相と飛行機に乗るとき、けん銃は置いていくのです。テントの方が小泉首相よりもけん銃で守られなければならない理由があるのですか、長官。お答えください。
○石破国務大臣 それは、テントと総理とどっちが大事だという御質問をされましても、なかなか的確なお答えはいたしかねるところでございます。今回の……(発言する者あり)いやいや、それは質的にどうなのだ、それを同列に議論して、どちらが大事とかどちらが大事じゃない、そういうお答えをすることは、それは当然するべきものでもないということを申し上げておるわけでございます。
○阿部委員 私が指摘したかったのは、そういう喜劇的なことをやっておるということなんです。そして、そのために高いお金をかける。
日本はかつて、第二次大戦のときに、実際に極めて非合理的な戦闘に突入していき、たくさんの戦死者を出しました。今笑われた福田長官、あなたは今、第二次大戦の戦没者、まだ未帰還の遺骨、何体あるか御存じですか。
○福田国務大臣 私は存じません。
○阿部委員 そういう存じない人に、新たな死者が出るかもしれないこんな法案の提出はしていただきたくないんです。
第二次大戦で百十万の遺骨がまだ未帰還です。あなたは、内閣官房長官として、それくらいの責任と自覚を持つべきです。知らないなんて、よくも言えたと思います。百十万帰ってきていないのです、三百四十万の死者で。笑って済まされることではないし、今、イラクの国内でも、負傷したあるいは死傷したイラク兵の遺体、家族たちは必死に求めている。それと同じ状態が、まだ百十万の未帰還の方があるのが我が国です。
だからこそ、自衛隊員にこれだけの負荷をかけて、何を聞いても、戦闘地域、非戦闘地域、ぐちゃぐちゃ、よくわからない。ガラガラヘビ作戦のときどうする、これもわからない。暫定政府ができて、それがきちんとした日本との連動になるのか、これもわからない。わからない、わからない、わからないずくめの中で決められているのは、自衛隊の派遣だけです。本当にあなたは、これで自衛隊員の身の安全、保証できますか。福田長官にお願いします。私は、今のは福田長官にお願いします。
○福田国務大臣 今まで随分御説明を、同じことも繰り返しながら説明をさせていただいております。
自衛隊の安全ということであれば、安全には十分なる配慮をしてこの活動を行うということは、これはもう再三申し上げていることでありますので、その辺は、自衛隊の派遣は絶対だめだというお立場ではいろいろ言い方もあるかもしれませんけれども、私どもはやはり、それは日本のために、また世界のために、中東地域の安定のために、それはイラクの国民のためにということもあるんですよ。そういうことを含めて考えて、そしてこの自衛隊の派遣、活動、これは本当に大事なことだというように考えております。
相当大きな見解の差が、今委員との間にはあると思っております。
○阿部委員 イラクの人々に対する支援において、思いはだれも同じだと思います。ただ、その場合に、現在安全性のどのような担保があるのかわからない自衛隊員の派遣を、かつてどのような状態で兵隊が死んでいったかも知らない官房長官が云々されるとは笑止であるということを申し添えて、終わらせていただきます。
○高村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。