第156回国会 個人情報の保護に関する特別委員会 第4号(2003/04/16) 抜粋

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。引き続いて質問をさせていただきます。

 福田官房長官が、本来出てくる場所でもないし、あと三時までだしと言われていますので、早急に、ぜひとも、せっかく来ていただきましたのですから、福田官房長官にやはり冒頭お伺いさせていただきます。

 今、我が党の北川れん子が御質問いたしましたように、本来であれば小泉総理、じかにおいでくださるのが私も一番と思います。なぜならば、この内閣の基本的な姿勢が、情報公開ということと、それに伴う、あるいはもろ刃の剣となりかねない個人情報の漏出などなどをどうコントロールしていくかという、極めてこれは内閣の本質にかかわる事案の審議だと思います。

 そして、その中でも、既に施行された情報公開法などでは、これは以前の質疑で取り上げさせていただいたので、福田官房長官、御記憶かと思いますが、例えば開示おくれが外務省でも防衛庁でもあり、三十日、六十日と区切られた期限の中でも開示できないままの案件が残る。

 あるいは、二月二十六日、報道されておりますが、外務省においては、開示請求のあった方に対して、今ちょっと忙しいから、もうちょっと後になるか、ないしはあなたが取り下げるのであればそのようにいたします、手数料を返しますというようなことまでなさるとなると、一体この内閣は、内閣の透明性、行政の透明性、それから、その中で個人情報の保護ということをどう考えておるのか。

 随所で問題が生じているからこそ、きょうは、できれば総理、それから福田官房長官にと。先ほどおっしゃいました、自分は各省庁間の調整官なんだと。調整官ということは、単にウ飼いのウを締めている人ではなくて、きちんと全体がうまく本当にトータルで機能しているかを判断なさる御見識にあると思うんです。その意味でお伺い申し上げていますので、そういうことと理解した上で、一点だけ御答弁をお願いいたします。

 先ほどから石毛委員が、微に入り細にわたり具体的な事例を挙げて、特に医療における研究に供されるような個人の情報あるいは医療情報についても、なかなかこの個人情報保護法だけでは問題がカバーし切れないということを具体例でたくさんおっしゃっていたと思うんです。

 それに対しての諸大臣のお答えを私は伺っておりまして、ここで明確に福田大臣に御答弁いただきたい点は、内閣の挙げての姿勢として、個人情報保護法案はもちろん成立を期すが、このインターネット時代にあって、個別に保護していかなければいけない事案も非常に数多い。ですから、この個人情報保護法案の成立と個別法のこれからの検討、早急な検討は車の両輪であるというふうな御認識をお持ちであると思いますが、その一点にだけ限って御答弁をお願いいたします。

福田国務大臣 この法律で定めました規律は、あらゆる分野を通ずる個人情報保護のための必要最小限のものであり、各府省におきまして、所管する各業種の実態等も踏まえ、追加的な措置の検討を行う必要がある、こういう認識でございます。

阿部委員 その認識が、いわば同時並列的にスタートしていないと問題が生じやすいということもよくよく御理解の上での御答弁と推察いたしますので、本来はあと一問お願いしたいのですが、お時間でございますので、またの、来ていただけることを心から期待して、とりあえず、ありがとうございます。またぜひお越しくださいませ。

 次の質問に移らせていただきます。

 個別のことは個別にと言われましたので、特に医療関係のことで、木村副大臣にお出ましいただきましたので、御質疑をさせていただきます。

 医療におきましては、例えば、この個人情報保護法において、大体どのくらいのデータ数が集まるところを個人情報保護法の対象とするか、このことについては余り法案自身の中に明文はなく、これまでの審議の中で五千件くらいのデータを扱うところだというふうになっておりました。

 木村副大臣も御存じと思いますが、例えば開業のお医者様でいらっしゃると患者のカルテが五千人分ということはないやもしれません、特に開業したてとかですね。そういうこと一つとりましても、例えば個別にカルテ開示法なるものを整備することが必要ではないか。これが一点ですね。

 それから、同じように、この個人情報保護法案では、情報の請求者は生存する個人となっておりますが、カルテ等を見たい、例えば自分の親兄弟、親族が亡くなってそのカルテを見たいとする場合に、この法案のみでは開示に結びつかない。自分の情報のコントロール、あるいは自分と極めて近い個人の情報には手が届かないかもしれないわけです。

 ここで副大臣にお伺いいたしますが、そうした事案について、現段階で、先ほど福田大臣にもお伺いいたしましたが、これはもう同時スタート的にやっていただかないと困るわけですけれども、どのようにお考えか、お願いいたします。

木村副大臣 阿部先生よく御存じのように、まず一診療所当たりのカルテの話なんですが、厚生省の調べによりますと、医科の診療所では平均が大体六千件だそうでございます。これが歯科になりますと四千八百件余ということで、確かに先生がおっしゃったように、五千件というところを区切りますと、御指摘のような問題点が出てくるわけでございます。

 一般的に、カルテ等の診療情報につきましては個人情報保護法における個人情報に該当するわけでありますので、医療機関からは本人からの求めに応じて原則として開示しなければならないということと考えているところでありますけれども、これは、この法律では、生存する個人に関する情報、こういうことにもなっておりまして、じゃ、遺族の方をどうするんだというようなことももちろん出てくるわけでございますし、それから、遺族といってもたくさんの遺族の方がおいでになるので、遺族をどの範囲に限るとか、そういうような問題点もまた出てくるのではないか。

 そこを、先生が官房長官に御質問された、法律でいくのか、あるいはガイドラインみたいなものを決めていくか、そういうことが考えられるわけでありますけれども、御指摘の点に関しましては、カルテ開示や遺族によるカルテ開示の問題等も含めまして、現在、これからの診療情報の提供のあり方について、診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会において議論をいただいているところであります。まさに、同時並行的に今やっているところでございまして、今後取りまとめられる結論を踏まえまして、厚生労働省として適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。

 医療の方は、医師会の方が相当細かいガイドライン等も出しているようでございますが、特に歯科においては、この辺さらに、今お話しさせていただきましたように、適切に対応してまいりたい、このように思っている次第でございます。

阿部委員 厚生労働省において検討されているカルテ情報開示等の検討会も、三年目に入りましても、実は明確な前向きの方針というのは、まだ答申としても出ておらないわけです。

 先ほど私が申しましたように、開業したてとか、そこでも、医療ミスとか事故とか、何らかの情報を個人が求める場合も生じてまいりますので、私は、早急にカルテ開示を個別法として法制化なさることを、木村副大臣にはぜひとも御尽力いただきたいと思います。

 その間でも、例えば東京都などは、運用における取り扱い方針、指針ということで、御遺族のカルテ開示請求についても道を開くとか、きちんとそれなりの対応をもう平成九年からやっているわけです。東京都、石原知事で、国をぶっ飛ばすということもおっしゃっていますが、どうかぶっ飛ばされないように、国の全体の枠がきちんとそうした、今、なかなか個人情報保護法の中で到達できない問題をはらんでいる部分について、さらに運用上の取り扱い指針ないしは早急なカルテ開示で対応していただけますように、木村副大臣にはお願い申し上げておきます。

 木村副大臣には、これで終わるかと思います。ありがとうございました。

 それから、引き続いて、行政機関の個人情報保護法について、先ほど来、答弁、違う違うと言われながら立ってくださっている松田局長に伺います。

 私は、ぜひこれは松田局長に簡潔にお願いいたしたいのですが、個人情報の、自分がアクセスしたいということで、なかなかアクセスできない、あるいは却下されたような場合の不服申し立てということに関しまして、実は、今現在のところ、自分の情報を自分の生活地が持っていればいいですが、それが自分とは遠隔地のところに行くこともあるわけで、ただしかし、その場合に不服申し立てをするのは、例えば沖縄の人が不服申し立てをする場合に、その情報が中央、東京にあれば東京まで出向かないと不服申し立てができない仕組みになっております。

 これまでできた情報公開法では、一応八つの管轄区に分けまして、余りに遠い不服申し立ては便が悪いということで、八つに分けて情報公開法では既に施行されていると思いますし、きょう皆様のお手元に配らせていただいています、裁判管轄の特例がなかった場合の訴訟費用の一覧というのを見ていただければわかるように、遠いところ、大阪、鹿児島、那覇などでは、例えば不服申し立てをし一審、二審等々を行っていくと莫大な費用がかかってくるということもあるわけです。

 個人情報保護法案については、この点、どのようなアクセス権を保障されておられるかについて、お願いいたします。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が先ほどおっしゃられました不服申し立ては、裁判の前の段階の話でございまして、これにつきましては、今、情報公開審査会を改組しまして情報公開・個人情報保護審査会ということで、そこで不服申し立てについての大臣の判断について審査をするということになっているわけでございますが、その際に、地方の方々の便宜を図るということで、審査会の委員が地方に出向いてお話を聞くというようなことも法律に盛り込ませていただいているところでございます。

 今先生お話しの裁判の問題は、これは行政事件訴訟法第十二条にございます裁判の管轄の一般原則としまして、被告の所在地の裁判所に裁判を提訴するということになっておるわけでございます。

 これにつきましては、地方からの裁判の提訴の便宜という問題としましては、できるだけ地方の機関に権限を委任いたしまして、地方機関限りで裁判に対応できるようにするように努力してまいりたい、こう考えております。

阿部委員 今松田局長の御答弁のように、その被告の所在地であると。今松田局長は、だんだんだんだんその所管を地方に、地方分権の時代で分権していくのだから、これからは近づいてくるだろうという御答弁ですが、今この法案がスタートした途端にやはり問題は生じ得ることなわけです。

 ここを、主管大臣としての片山大臣に特にお伺いいたしたいのですが、先ほど私がお示ししましたように、既に情報公開法では八つに主管を分ける、これは訴訟へのアクセス権でございますから、そういう便宜が図られておる。これからどんな事態が生じるかは、いろいろな事例が、思いも寄らぬあの防衛庁の情報リストの収集とかもございまして、やってみなければもちろんわからないということがあるわけで、その場合に、そこの所管地が訴えを起こす被告の所在地であれば、当然遠隔地の方は裁判が起こしづらいだろうと思いますが、そこについて、片山大臣の御認識をお願いいたします。

片山国務大臣 裁判の管轄は、被告である行政庁の所在地の裁判所、これは大原則ですね。情報公開のときは大議論があって、御承知のように、今、八つの高裁がある地裁でもできる、これはもう大変な例外なんですね。

 そこで、情報公開法と今回の個人情報保護法の関係なんですが、現行法で開示請求なんかで多いのは何だといったら、医療と教育だというんですよ。そうしますと、かなり地方ですよね。そういういろいろな権限は、例えば国立病院だとかいろいろな学校だとか、こういうところに権限が移っておりますから、私は、情報公開の方は霞が関で開示、不開示の決定をするということが多いんだけれども、個人情報保護の方は、実態から見るとかなりばらけていると。

 それから、今局長が答弁しましたように、できるだけ中央の権限を、地方分権で地方自治体じゃないんですよ、国の地方出先機関の長に権限を委任する。それが今度は、被告である行政庁になりますから、だから、そういうことを運用上フォローしていこう、こういうふうに思っておりまして、そこが情報公開法と違うところなんです。

 ただ、行政事件訴訟法全般についての御議論は、これは裁判管轄の議論として、私は、国会で大いにやっていただくことはあるんだろうと思っております。

阿部委員 裁判管轄の問題は、それはそれとして司法改革の中で十分論じていただく必要もあるかと思うんです。

 今の片山大臣の御答弁の中で、個人情報保護のことについては医療と教育が圧倒的であろうというお話で、さはさりながら、私が申しましたように、圧倒的であっても、それ以外の事例という事態は生じ得るわけです。その場合に、情報の主は個人ですから、その方がもし不服であり、あるいは訴訟したいといった場合に、その住まう地で、中央に情報があった場合に問題が生じるだろうと。

 でも、これはもう片山大臣はよく御存じで、情報公開法の審議がこの八つの、とりあえず分割してやりましょうというところに落ちつくまでの長い論議があり、そしてまた、その方がベターであろうというお考えもあったことと思いますから、私は、この点については、ぜひ今の大臣の御答弁をもう一歩前向きに、もし本当にこれを、個人が自分の情報についてさまざまに、コントロールを自分の手のうちにするための極めて重要な部分と思いますから、お考えをいただきたいと思います。

 もう一点、これも石毛委員の御質疑の中でありましたが、実は医療と研究分野というのは密接不可分で、医療としてとられたデータの中からある部分が研究の用に供されたりした場合に、そのデータについては、採血を行った地方の病院が持っていなくて中央が持っている場合もあるんです。自分のものがどのようなものに利用されたかを、自分の所在地の自分のかかった病院でわからない場合もございます。

 これは、野党案も政府案もともに目的から除外して、研究用はというふうに除外しておりますが、その一方で、さっきの、個別の保護する、例えばその人の遺伝情報とか疾病情報とかいうのは保護する法制が必要なことともあわせて、私は、今後の課題、個人情報の自己コントロールということは今後の課題と思いますので、自己コントロール権という言い方を私ども野党はいたしますが、その点について、片山大臣のお考えを一点お伺いいたします。

片山国務大臣 自己コントロール権というのは、細田大臣からも大分答弁がございましたが、まだこれは権利として確立していないですね、世界の国の中でも、日本の中でも。まだ未成熟の段階ですから、今後の発展を見ないといかぬということですが。今の法制の考え方は、基本的には本人関与を強めるということで、開示の請求だとか訂正の請求だとか利用停止の請求だとか、目的に応じてだけ使え、必要最小限度の範囲でやれ、ただ、目的外利用については、十分な理由があれば、相応の事由があればいい、こういう仕組みですね。

 だから、今後どう考えていくか。個人情報というのは、使い方や場所や環境によっては、みんなセンシティブ情報なんですよ、ある意味では。それを全部コントロールできるようにしますと、ほかのことが何にもできなくなっちゃう。例えば報道なんかは全部ぶつかりますよ。そういうことがあるので、どこに接点を求めていくかということが一番大切なので。あるいは、保護し過ぎると、行政はもうやらぬでよろしいみたいなことになると、これも困るので、この情報化社会の中で。だから、保護をする、しかし個人情報も生かす、報道の自由は守る、こういうことの調和の中にあるんですね。

 そういうことで、委員のお気持ちや御意見は私もわからないでもありませんが、今後ともいろいろな幅広な検討を深めてまいりたいと思います。

阿部委員 そういう御答弁であれば、ぜひ個別法を早急に今おっしゃられた分野で準備していただくというふうに承りましたので、承っておこうかと思います。

 次の質問もできれば片山大臣にも御答弁いただきたいので、いましばしおつき合いいただきたいのですが。

 外務省の北島官房長にお伺いいたしますが、外務省は、去る二月二十六日、今まで、もうできている情報公開法の請求者に対して、ちょっと北朝鮮問題やイラク情勢で多忙のため開示決定が半年以上おくれてしまう、あるいは開示できないこともあるかもしれないので、開示請求を取り下げてくれまいかというお願いをいたしたと、文書で。私も文書をいただきましたけれども、外務省から。

 これが、確かに役所は忙しい、そのことは十分理解しているんですけれども、業務多忙で取り下げてくれまいかというふうに言ってしまっては、行政の透明性、国民に対する姿勢が大きく問われてしまうと思いますが、この件について、まず北島官房長にお願いいたします。

北島政府参考人 御答弁申し上げます。

 情報公開法に基づく開示請求を受け付けた時点で予測できなかった事案の発生によりまして審査がおくれていたという状況の中で、一部の開示請求者に対して、外務省の情報公開室長の名前で、決定期限を守れていないこと、あるいはそのおそれが高いことを通知する書簡を出したということは、御指摘のとおり、事実でございます。

 これは、審査の状況を開示請求者に伝える趣旨で、いわば情報提供の一環として行ったということでございます。このような情報提供が情報公開法に抵触するというふうには考えておりませんで、この点、ぜひ御理解をいただければと思います。

 さらに、取り下げを誘導、慫慂という御指摘がございましたけれども、この書簡は、請求者に対しまして請求を取り下げてもらうといった意図はなく、万が一、時間がかかっていることを理由として取り下げたいということであれば、請求手数料の返還に応じたいとの考えを伝えたということでございます。

 ただし、一部開示請求者に対しまして誤解が生じてしまったということであれば、この点については遺憾に感じております。

阿部委員 そのような外務省の文書を受けて開示要求を取り下げた方は、一件も実際はなかったわけです。受け取られた方も、当然、あ、情報公開ってやっているのに、こんなふうな運用のされ方をするんだと、非常に不透明感を高めたと思います。

 私は、この点について片山大臣に、前回の、開示のおくれとか、あるいは期限を延ばしての延長ということを非常に問題と思い、御質疑いたしましたが、この点について、今後の大臣の御指導でしょうか、について伺います。

片山国務大臣 外務省は恐らく善意で、まだおくれますよ、もう少し待ってください、こういう書状を出したので、それはそれで私は問題はないと思いますけれども、書状を出すのなら、できるだけ早くやった方がいいですな。それは、外務省は忙しいですからね、内憂外患こもごもというようなところがありますから大変忙しゅうございますけれども、できるだけ早くやっていただくように、今後とも外務省には要請してまいりたい。

 外務省は多いんですよ、情報公開の開示要求が。そういうこともありますので、そこは御理解を賜りたいと思います。

阿部委員 外務省が多いのは、開示延長も多うございましたし、不開示も一番多いのでよくわかりますが、ただしかし、今のように、大臣のようにおっしゃると、暇な省庁は早く開示をして、忙しいところは遅くなるというふうな向きにもとられますし、あるいはまた、悪意はなかったんだと言われれば、それは、意図によって情報公開の中身が問われるわけではなくて、そのために法をつくって、原則をつくってそのようにせいということですから、そのように悪意はなかったというふうに言われますと、やはり非常に情報公開の根本自身が問題になると思います。

 関連するような事項はほかにもございますので、この委員会には、私はきょう質疑の時間をいただきましたが、また改めて、福田官房長官御出席のもと、お時間をいただければと思います。

 ありがとうございました。

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